JP1/Advanced Shell

[目次][用語][索引][前へ][次へ]


sortコマンド(テキストファイルをソートする)

形式

sort[-c|-m][-b][-f][-n][-r][-u][-z]
    [-k 開始位置[,終了位置]][-o 出力先パス名]
    [-T 一時ファイルディレクトリ][-t フィールド区切り文字]
    [入力パス名 ...]

機能

ファイルや標準入力から入力して,次のどれかの処理を実施します。実行結果を標準出力に出力します。

引数

動作モードの指定をするオプションを省略すると,ソートします。ソートを昇順にするか降順にするかは,-rオプションの有無で指定します。

-c
指定したファイルに対してソートされているかどうかチェックします。チェック機能は,1つのファイルが正しくソートされているかどうかを判定します。
ソートされている場合は,戻り値0で終了します。ソートされていない場合は,標準エラー出力にメッセージ(sort: found disorder: フィールドの内容)を出力し,戻り値1で終了します。
このオプションを指定した場合,入力ファイルを2個以上指定するとエラーとなります(sort: too many input files for the -c option)。-uオプション以外のオプションと同時に指定した場合,このオプションを最優先します。複数回指定してもエラーになりません。
-cオプションを指定しない場合はソートします。

-m
入力ファイルはソートされていると仮定してマージだけします。-cオプションが同時に指定されている場合,-mオプションは無視されます。複数回指定してもエラーになりません。
-mオプションを指定しない場合はソートします。

-o 出力先パス名
標準出力の代わりに出力先パス名に指定したファイルに出力します。
出力先のファイルが存在しない場合は新規に作成します。UNIXの場合,新規に作成したファイルのパーミッションはumaskに従って設定します。
ファイルが存在する場合は中間ファイルにいったん出力してから,元のファイルを削除して中間ファイルを出力ファイル名に変更します。この中間ファイルの出力先は入力ファイルと同一ディレクトリに作成します。UNIXの場合,ファイルのパーミッションはumaskに従って新たに設定します。
このオプションを複数指定した場合,最後に指定したオプションが有効になります。
UNIXの場合,出力先パス名に/dev/stdout(Windowsの場合も小文字で/dev/stdoutと記述する)を指定したとき,標準出力を使用します。
出力先パス名にシンボリックリンクを指定した場合,リンクを削除し,新規のファイルが作成されます。

-T 一時ファイルディレクトリ
sortコマンドで内部処理として使用する一時ファイルを作成するディレクトリとして,一時ファイルディレクトリで指定したディレクトリを使用します。
一時ファイルとは,ソートおよびマージ処理でメモリ上だけで処理ができない場合に使用する作業用のファイルのことです。
このオプションを複数指定した場合,最後の指定が有効になります。
このオプションを省略した場合,次のディレクトリを使用します。
Windowsの場合,共通APデータフォルダ\HITACHI\JP1AS\miscを使用します。
UNIXの場合,環境変数TMPDIRに定義されたディレクトリを使用します。環境変数TMPDIRが定義されていないときは,/var/tmpを使用します。

入力パス名
入力するファイルを指定します。入力パス名に指定がない,または入力パス名として「-」を指定した場合は,標準入力から入力します。/dev/stdin(Windowsの場合も小文字で/dev/stdinと記述する)を指定した場合,標準入力を使用します。

-b
-kオプションで指定した開始位置および終了位置に対して,行頭のスペースを無視してソートキーの位置を決めます。-kオプションでソートキーを指定した場合に,-bオプションは有効です。-bオプションは-kオプションよりあとに記述できません。

-f
小文字を大文字と見なしてソートします。複数回指定してもエラーになりません。

-n
先頭の数値文字列を数値としてソートします。
-fオプションよりも-nオプションが優先されます。このオプションは複数回指定できます。
数値の扱いを次に示します。
  • アスキー文字の0(0x30)〜9(0x39)で構成される文字列です。
  • 先頭のスペース(0x20および0x09)ならびにゼロ(0x30)は無視します。
  • 数値にマイナス記号(0x2d)を前に置いてもかまいません。
  • 数値の小数点は1つまで指定できます。
  • 数値に,整数部分の桁区切り文字を含んでもかまいません。
  • 小数点および整数部分の桁区切り文字はロケールによって異なります。主に小数点はピリオド(.),整数部分の桁区切り文字はコンマ(,)に定義されています。
  • 数値文字列がない場合は0として扱います。
  • 整数の桁数,または小数点以下の値で小数点以下の桁数が61以上になる数値をソートキーとして指定しないでください。

-r
-rオプションを指定すると降順に出力します。このオプションを指定しない場合,昇順に出力します。このオプションは複数回指定できます。

-t フィールド区切り文字
フィールド区切り文字を指定します。ソートキーのオフセットを決める場合,フィールド区切り文字はフィールドの一部と見なされません。また,連続するフィールド区切り文字は空のフィールドとなります。レコードの区切り文字と同じ文字は指定できません。
-tオプションを指定していない場合,デフォルトのフィールド区切りは連続したスペースとなり,スペースと非スペースの間でフィールドを区切ります。連続したスペースが空のフィールドを区切ることはありません。先頭のスペースは,ソートキーのオフセットを決めるときにフィールドの一部と見なされます。
フィールド区切りとして複数文字指定した場合,およびマルチバイト文字を指定した場合は,先頭1バイトをフィールド区切りと見なします。レコード区切りと同じバイト値を指定できません。
-tオプションにフィールド区切り文字の指定をしなかった場合,直後に指定したオプションおよびファイル名がフィールド区切り文字として処理されます。そのため,区切り文字を指定するようにしてください。このオプションは複数指定するとエラーとなります(sort: multiple field delimiters)。

-k 開始位置[,終了位置]
ソートキーの開始位置および終了位置を指定します。複数指定すると,最初のソートキーが等しい場合に次のソートキーで比較できます。
開始位置より終了位置の指定が大きい場合または指定したフィールドが存在しない場合,ソートキーの指定はないものとして扱われ,このソートキーの比較は等しいと判断されます。
開始位置および終了位置は,次の形式で指定します。
 
フィールド位置[.インデント][bfnr]
  • フィールド位置
    レコード内のフィールドの位置を指定します。数値以外を指定するとエラーとなります(sort: missing field number)。負の値を指定するとエラーとなります(sort: field numbers must be positive)。
    開始位置には0を指定できません。
    終了位置に0を指定した場合,レコードの末尾までを仮定します。
    フィールド位置にはint型の最大値まで指定できます。それ以上を指定すると,オーバーフローが発生して予測しない値になることがあるため,指定しないでください。
    フィールド位置の終了位置に0を指定した場合,次のインデントで説明する終了位置の指定はできません。
  • インデント
    フィールドの中のオフセットを指定します。数値以外または負の値を指定するとエラーとなります(sort: missing offset)。
    インデントの単位はバイトで,マルチバイトの途中を指定するとそのバイト位置から評価します。
    開始位置のインデントには0を指定できません。
    終了位置のインデントには0を指定できますが,0を指定するとインデントの指定がないと見なされます。
    インデントはint型の最大値まで指定できます。それ以上を指定すると,オーバーフローが発生して予測しない値になることがあるため,指定しないでください。
    フィールド位置の開始位置でインデントを省略した場合,フィールドの先頭バイト位置となります。
    フィールド位置の終了位置でインデントを省略した場合,フィールドの最終バイト位置となります。
  • ソートキーに指定するオプション
    ソートキーは,bオプション,fオプション,nオプション,rオプションで指定できます。
    bオプションでは,前の空白を無視してソートキーの位置を決めます。
    fオプションでは,小文字を大文字と見なしてソートします。
    nオプションでは,先頭の数値文字列を数値としてソートします。
    rオプションでは,降順にソートします。
    開始位置に指定したbオプションは開始位置にだけ有効です。また,終了位置に指定したbオプションは終了位置にだけ有効です。終了位置にインデントの指定がない場合は,bオプションは無効になります。-bオプション以外のオプションは,開始位置または終了位置のどちらにも指定でき,意味は同じです。

-u
同一のソートキーであるレコードが複数あった場合は,どれか1レコードだけ出力します。-cオプションと同時に指定すると,ソートキーが同じレコードがないかどうかをチェックします。複数回指定してもエラーになりません。

-z
レコードの区切りを変更するオプションです。レコードの区切りとしてNULL(0x00)を使用します。このオプションは複数指定するとエラーとなります(sort: multiple field delimiters)。
Windowsの場合,入力データの改行コードは,入力時に削除され,出力時に追加されます。そのため,バイナリファイルを入力しないでください。

ソート機能

ソート機能は,1つまたは複数のファイルを読み込み,1つまたは複数のソートキーを比較します。ソートキーは,-kオプションで指定し,1つまたは複数のフィールドで指定します。フィールドは,-tオプションで指定するフィールド区切り文字でレコードを区切ります。

ソートキーの指定がない場合,デフォルトではレコード全体を1つのソートキーと見なします。ソートキー同士はバイトごとに比較します。

ソートキーが複数ある場合,先頭に指定したソートキーを比較し,一致したときは次のソートキーを不一致になるまで順次比較します。

ソートキーがすべて一致した場合,レコード全体をバイト単位で比較して出力します。-rオプションの指定がない場合は昇順に,-rオプションの指定がある場合は降順に出力します。

ソートキーに対するオプション

ソートキーに対するオプションは,2種類あります。1つまたは複数のキーを指定した場合に,それぞれに有効となるグローバルオプションと,-kオプションに指定するローカルオプションです。sortコマンドで指定する-fnrbオプションはグローバルオプションです。また,sortコマンドの-kオプションに指定するfnbrをローカルオプションと呼びます。グローバルオプションは-kオプションより後ろに指定できません。

b
グローバルオプションは,-kオプションに指定する開始位置および終了位置の両方に有効になります。終了位置にインデント指定がない場合,または終了位置のインデントに0を指定した場合は,終了位置に対する指定は無効となります。
-kオプションを指定しない場合は,-bオプションの指定は無効となります。

f|n|r
ローカルオプションに指定がある場合,グローバルの指定を置き換えます。

グローバルなオプションの指定例を次に示します。

 
-bfnr -k 1,1 -k 2,2
 

1番目と2番目のフィールドは-bfnrオプションが有効になります。1番目と2番目のフィールドに次のように指定します。

グローバルオプション-bの指定がない場合のソートキーの範囲を次に説明します。

-k 1
1番目のフィールドからレコードの末尾までをソートキーとします。

-k 1,1
1番目のフィールド全体をソートキーとします。

-k 1,5
1番目のフィールドの先頭バイトから,5番目のフィールドの最終バイトをソートキーとします。

-k 1.2,5.11
1番目のフィールドの2バイト目から5番目のフィールドの11バイト目までをソートキーとします。

-k 2,1
2番目から1番目のフィールドの指定ですが,大小関係が逆転しており,ソートキーは比較されません。

-k 2.1b,5.1b
2番目のフィールドの先頭のスペースを除いた1バイト目から,5番目のフィールドの先頭スペース文字を除いた1バイト目までをソートキーとします。

-k 2.1b,5.0b
2番目のフィールドの先頭のスペースを除いた1バイト目から,5番目のフィールドの最終バイトまでをソートキーとします。

マージ機能

マージ機能はソート済みの各入力ファイル間のレコードを比較してデータを整列し,結合します。実際にはソートされていない場合でも,ソートしたと仮定して動作します。file1およびfile2をマージする例を次に示します。

file1
 
AAA
DDD
 

file2
 
BBB
AAA
 

file1およびfile2をマージするコマンド
 
# sort -m file1 file2
 

この場合,次のように結合します。

 
AAA   (file1の1行目のレコード)    ←file1:1行目とfile2の1行目を比較した結果
BBB   (file2の1行目のレコード)    ←file1:2行目とfile2の1行目を比較した結果
AAA   (file2の2行目のレコード)    ←file1:2行目とfile2の2行目を比較した結果
DDD   (file1の2行目のレコード)    ←file2:3行目がないためfile1の2行目
 

小文字を大文字と見なすオプション(-fオプション)

レコードをソートする場合の例を次に示します。

file1
 
a:B
A:b
 

大文字と見なさないソートコマンド
 
$ sort -t : -k 2,2 file1
 
「:」で区切った2つ目のフィールドをキーにソートします。

大文字と見なさないソートコマンドの出力
 
a:B
A:b
 
bよりBが小さいため,「a:B」が先に出力されます。

大文字と見なすソートコマンド
 
$ sort -f -t : -k 2,2 file1
 
-fオプションを追加します。

大文字と見なすソートコマンドの出力
 
A:b
a:B
 
2つ目のフィールドを-fオプションの指定に従って大文字と見なして比較するため,同じ値のソートキーと評価します。ソートキーが同じ値であるため,レコード全体をバイトで比較します。この結果,aよりAが小さいため「A:b」が先に出力されます。

戻り値

戻り値 意味
0 正常終了
1 正常終了
  • 入力したデータはソートされていません(-cオプションを指定した場合)。
  • 重複するキーが存在します(-cオプションと-uオプションを指定した場合)。
2 エラー終了

注意事項

使用例

sortコマンドを実行した結果表示に使用するファイルの形式を次に示します。

[目次][前へ][次へ]


[他社商品名称に関する表示]

All Rights Reserved. Copyright (C) 2011, 2012, Hitachi, Ltd.