JP1/Base 運用ガイド

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付録I.4 SNMPトラップ変換の定義ファイル

SNMPトラップ変換で使用する定義ファイルの形式および文法について説明します。

<この項の構成>
(1) SNMPトラップ変換動作定義ファイル(imevtgw.conf)
(2) SNMPトラップ変換フィルターファイル(snmpfilter.conf)

(1) SNMPトラップ変換動作定義ファイル(imevtgw.conf)

形式
nnm_url_base http://ホスト名:ポート番号/OvCgi/jovw.exe?MapName=default
severity SNMPトラップの重要度 to JP1イベントの重大度
snmp-filter
 source ホスト名1 ホスト名2 ホスト名3...
end-filter
var_expand 0 | 1
var_option $変数...
imevt_server イベントサーバ名
imevt_regkind 0 | 1

格納先ディレクトリ

Windowsの場合
インストール先フォルダ\conf\evtgw\imevtgw.conf

UNIXの場合
/etc/opt/jp1base/conf/evtgw/imevtgw.conf

説明
NNMのURLやSNMPトラップの重要度とJP1イベントの重大度のマッピングなど,SNMPトラップ変換時の動作を設定します。

定義の反映時期
SNMPトラップ変換機能を起動すると,設定が有効になります。

定義の記述
  • パラメーターの各単語は,半角スペースまたはタブで区切ってください。
  • 行頭に「#」を指定すると,その行はコメント行になります。

記述内容

nnm_url_base
JP1/IM - Viewの[イベント詳細]画面からNNMをモニター起動するために,NNMのURLを次の書式で指定します。
http://ホスト名:ポート番号/OvCgi/jovw.exe?MapName=default
 
ホスト名には,SNMPトラップ変換動作定義ファイル(imevtgw.conf)を設定するホストのホスト名を記述します。ホスト名で指定したホストがWindowsの場合,ポート番号の指定は不要です。指定したホストがUNIXの場合,ポート番号を指定します。NNM6.2(NNM 07-01)以前をご使用の場合は8880を指定します。NNM6.4(NNM 07-10)以降をご使用の場合は3443を指定します。ただし,NNMの設定によっては,ポート番号が異なる場合があります。NNMでのポート番号の設定をご確認ください。

severity
SNMPトラップの重要度と変換後のJP1イベントの重大度を対応づけます。SNMPトラップの重要度に指定できる内容を次に示します。
  • normal
  • warning
  • minor
  • major
  • critical
  • unknown
unknownは,SNMPトラップに重要度のデータがない,またはnormal,warning,minor,major,criticalに一致しないものを指します。
JP1イベントの重大度に指定できる内容を次に示します。
  • Information
  • Notice
  • Warning
  • Error
  • Emergency
  • Critical
  • Alert
  • Debug
デフォルトおよびseverityパラメーターの指定を省略した場合は,次のように対応づけられます。
SNMPトラップの重要度 変換後のJP1イベントの表示(重大度)
normal Information
warning Warning
minor Error
major Critical
critical Alert

snmp-filter

source ホスト名1 ホスト名2 ホスト名3...

end-filter
JP1イベントに変換するSNMPエージェントのホスト名を指定します。NNMのアラーム・ブラウザに表示されるソース(ホスト名)を指定してください。大文字小文字は区別されます。
ここで指定したホスト名から発行されたSNMPトラップのうち,SNMPトラップ変換フィルターファイル(snmpfilter.conf)で指定した条件に一致するSNMPトラップをJP1イベントに変換します。ホスト名を複数指定した場合は,どれかが一致した場合に条件が成立します。
source条件文を指定する場合の注意事項を次に示します。
  • source条件文の指定は,必ずsnmp-filterとend-filterで囲んでください。
  • sourceとホスト名指定,およびホスト名とホスト名指定は,スペースまたはタブで区切ってください。
  • 1行当たり1,023バイトまで指定できます。1,024バイト以降に指定されたホスト名は無効となります。
  • 一つのsnmp-filter内には,source条件文は一つだけ指定できます。一つのsource属性条件文に対象ホスト名をすべて指定できない場合,別のsnmp-filter文のsource条件文で指定してください。
このパラメーターの指定を省略した場合,SNMPトラップ変換フィルターファイル(snmpfilter.conf)で指定した条件に一致するSNMPトラップがすべてJP1イベントに変換されます。

var_expand 0|1
trapd.confから取得したメッセージ中に$r・$ar・$c・$s・$N・$$・$C・$aA・$T変数が含まれている場合,JP1イベント変換時にこれらの$変数をSNMPトラップに含まれる情報として展開するかどうかを指定します。
0を指定すると,デフォルトで展開される$#・$数字・$-数字・$+数字・$>数字・$>-数字・$>+数字・$x・$X・$@・$O・$o・$G・$S・$e・$E・$A・$*の合計18個の$変数を展開します。
1を指定すると,デフォルトで展開される$#・$数字・$-数字・$+数字・$>数字・$>-数字・$>+数字・$x・$X・$@・$O・$o・$G・$S・$e・$E・$A・$*に加えて,$r・$ar・$c・$s・$N・$$・$C・$aA・$Tの合計27個の$変数を展開します。
このパラメーターを省略すると,0が仮定されます。

var_option $変数...
trapd.confから取得したメッセージ中に,このパラメーターで指定した$変数が含まれている場合,NNMの表示と同じ内容を展開します。指定できる$変数は,$Eおよび$eの2種類です。
このパラメーターを省略した場合,または指定のない$変数に対しては,SNMPトラップ変換機能の$変数変換方式で情報を展開します。この場合,NNMに表示される内容とは異なった情報になります。

imevt_server イベントサーバ名
クラスタシステムなどで,変換したJP1イベントを論理ホストに登録したい場合にイベントサーバ名を指定します。指定できるイベントサーバは,自ホストで稼働しているイベントサーバに限ります。このパラメーターを指定する場合,イベントサーバ設定ファイル(conf)のremote-serverパラメーターにもイベントサーバ名が設定されている必要があります。ただし,JP1/Baseのバージョンが09-00以降では,imevt_regkindパラメーターに0を設定した場合に,remote-serverパラメーターが設定されている必要があります。イベントサーバ設定ファイル(conf)については,「14. 定義ファイル」の「イベントサーバ設定ファイル」を参照してください。
このパラメーターを省略すると,JP1イベントの登録先は自ホストに仮定されます。

imevt_regkind 0|1
imevt_serverパラメーターで指定したイベントサーバにJP1イベントを登録する方法を指定します。0を指定すると,imevt_serverパラメーターで指定したイベントサーバへ登録するJP1イベントの登録要因は3になります。1を指定すると,imevt_serverパラメーターで指定したイベントサーバへ登録するJP1イベントの登録要因は1になります。
imevt_serverパラメーターが指定されていない場合は,このパラメーターを設定する必要はありません。
このパラメーターを省略すると,1(登録要因1で登録)が仮定されます。
注※ JP1イベントの登録要因
1: 自イベントサーバから自イベントサーバあての発行
3: 他イベントサーバから自イベントサーバあての発行

注意事項
従来のSNMPトラップ変換機能では,imevt_serverパラメーターを設定し,かつイベントサーバ設定ファイル(conf)のremote-serverパラメーターをデフォルトから変更している場合,imevt_serverパラメーターに設定したイベントサーバ名をremote-serverパラメーターにも設定することが必要でした。このような環境で次の作業をした場合,SNMPトラップ変換機能でのJP1イベントの登録要因が3から1に変更になります。
  • バージョン9への上書きバージョンアップ
  • 以前のバージョンの定義ファイルをバージョン9へ移行する
登録要因が変更になることで,次の機能を使用している場合に影響があります。
  • 転送設定ファイル(forward)にB.REASON属性を設定している
  • jevexportコマンドの-fオプションでフィルターファイルにB.REASON属性を設定している
  • JP1イベントを取得する関数のJevGetOpen関数の第3引数(lpszFilter)にB.REASON属性を指定している
  • JP1イベントを取得する関数のJevGetRegistFactor関数で登録要因を取得している
従来と同じ登録要因から変更させないためには,imevt_regkindパラメーターに0を設定する必要があります。ただし,0を設定した場合,JP1イベントの登録でエラーになるおそれがあります。エラーになった場合には,登録対象のSNMPイベントをロストします。
なお,JP1/Baseのバージョンが09-00以降では,imevt_regkindパラメーターを0に設定しないかぎり,remote-serverパラメーターの設定は必要ありません。

定義例
次に示す条件で,SNMP動作定義ファイルを作成します。
  • NNMのURL:自ホスト(HostA)
  • ポート番号:8080
  • SNMPトラップの重要度とJP1イベントの重大度の対応:デフォルトの設定に下記の条件を追加。
  • SNMPトラップの重要度「unknown」をJP1イベントの重大度「Information」に対応させる。
  • SNMPエージェントのホスト名指定:hostA,hostB,hostC,および10.208.aa.bbb
  • $変数展開パラメーター:$r・$ar・$c・$s・$N・$$・$C・$aA・$T変数が含まれている場合,JP1イベント変換時にこれらの$変数をSNMPトラップに含まれる情報として展開する。
  • $変数変換方式指定パラメーター:$Eまたは$eが含まれている場合,NNMの表示と同じ内容の情報を展開する。
 
# NNM URL
nnm_url_base    http://HostA:8080/OvCgi/jovw.exe?MapName=default
 
# JP1EVENT SEVERITY
severity normal  to Information
severity warning to Warning
severity minor   to Error
severity major   to Critical
severity critical to Alert
severity unknown to Information
 
# SNMPエージェントのホスト名指定
snmp-filter
  source hostA hostB hostC 10.208.aa.bbb
end-filter
 
# $変数展開パラメーター
var_expand   1
 
# $変数変換方式指定パラメーター
var_option  $E $e

(2) SNMPトラップ変換フィルターファイル(snmpfilter.conf)

形式
[+] エンタープライズ名.イベント名
[+] エンタープライズ名.*
!エンタープライズ名.イベント名

格納先ディレクトリ

Windowsの場合
インストール先フォルダ\conf\evtgw\snmpfilter.conf

UNIXの場合
/etc/opt/jp1base/conf/evtgw/snmpfilter.conf

説明
JP1イベント変換対象とするSNMPトラップおよびJP1イベント変換対象外とするSNMPトラップを指定します。SNMPトラップ変換フィルターファイル(snmpfilter.conf)に定義するエンタープライズ名およびイベント名は,NNMのtrapd.confに定義されているエンタープライズ名およびイベント名と完全に一致するようにしてください。エンタープライズ名,およびイベント名の大文字小文字は区別されます。なお,trapd.confは,NNMが起動する言語環境によって異なるため注意してください。

定義の反映時期
次のどれかを操作すると,設定が有効になります。
  • SNMPトラップ変換機能を起動する。
  • NNMのアラームブラウザ(xnmevents)を起動する。
  • NNMのイベント設定ダイアログボックスで設定を変更し,[保存]ボタンをクリックする。
  • NNMが提供するxnmevents -eventコマンドを実行する。
  • NNMが提供するxnmtrap -eventコマンドを実行する。

定義の記述
  • 行頭に「#」を指定すると,その行はコメント行になります。
  • SNMPトラップ変換フィルターファイル(snmpfilter.conf)の定義内容は,次に示す式で900バイト以下にしてください。
    ((a1+1)+(a2+1)+(a3+1)+(a4+1)・・・(an+1))+34 < 900バイト
    注※ SNMPトラップ変換フィルターファイル(snmpfilter.conf)で定義されているSNMPトラップのオブジェクトID長。例えば,オブジェクトIDが「.1.2.3.4.5」の場合,anは10バイトになります。
    SNMPトラップ変換フィルターファイル(snmpfilter.conf)に一般トラップを定義する場合は,次に示す式で計算してください。
    上記計算式の結果+(一般トラップ数×2) < 900

記述内容

SNMPトラップのバリアブルバインディングをJP1イベントの拡張属性の固有情報として変換する場合に指定します。「+」とエンタープライズ名の間には,一つ以上のスペースまたはタブを入れてください。なお,1行の中で「+」と「!」の指定を混在させないでください。混在させた場合は,その行は無効となります。

バリアブルバインディングをJP1イベントに変換する際の注意事項
  • 変換できる各バリアブルバインディング値の最大値は1,023バイトです。1,024バイト以降のデータは変換されません。
  • JP1イベントの最大値は10,000バイトです。バリアブルバインディングをJP1イベントの拡張属性の固有情報として変換すると,JP1イベントのサイズが10,000バイトを超える場合,変換されないバリアブルバインディングが存在します。
  • JP1イベントの拡張属性の固有情報として変換できるバリアブルバインディングの個数は最大28個です。

エンタープライズ名
変換するSNMPトラップのOID_ALIASを指定します。

イベント名
変換するSNMPトラップのイベント名を指定します。

エンタープライズ名とイベント名の例
エンタープライズ名とイベント名について説明します。
エンタープライズ名は,trapd.confに次のように定義されています。

図I-3 trapd.confのエンタープライズ名の定義例

[図データ]
イベント名は,trapd.confに次のように定義されます。この例では,イベント名が「OV_Network_Warning」となっています。

図I-4 trapd.confのイベント名の定義例

[図データ]

*
指定したエンタープライズ名のSNMPトラップすべてを,JP1イベントの変換対象とします。

JP1イベント変換対象として指定したSNMPトラップ(「[+] エンタープライズ名.*」または「[+] エンタープライズ名.イベント名」)のうち,ここで指定したSNMPトラップをJP1イベント変換の対象外とします。このパラメーターを指定しても,「[+] エンタープライズ名.*」または「[+] エンタープライズ名.イベント名」の指定がない場合は,無効となります。

注意事項
  • SNMPトラップ変換では,SNMPトラップをJP1イベントに変換する際,SNMPトラップ変換フィルターファイル(snmpfilter.conf)の定義順に比較します。そのため,SNMPトラップ変換フィルターファイル(snmpfilter.conf)にはJP1イベントに変換する優先度の高い順に定義してください。
  • SNMPトラップ変換フィルターファイル(snmpfilter.conf)では「エンタープライズ名」および「イベント名」に.(ピリオド)を指定できません。変換対象のSNMPトラップの「エンタープライズ名」および「イベント名」に,.(ピリオド)が含まれる場合は,NNMで.(ピリオド)を使用しない名前に変更してください。

定義例
次に示す条件と一致するSNMPトラップをJP1イベントに変換します。
  • エンタープライズ名:OpenView,snmpTraps,またはsso
  • エンタープライズ名がOpenViewかつイベント名がOV_Network_Critical
条件1,2と一致しても,エンタープライズ名がsnmpTrapsかつイベント名がSNMP_Authen_FailureのSNMPトラップは変換しない。
 
OpenView.*
snmpTraps.*
sso.*
 
OpenView.OV_Network_Critical
 
!snmpTraps.SNMP_Authen_Failure

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