Cosminexus サービスプラットフォーム システム構築・運用ガイド

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7.4.3 性能解析トレース

性能解析トレース(PRFトレース)は,Cosminexusシステムの性能解析をするためのトレース情報で,それをCSV形式で編集出力したテキストファイルが性能解析トレースファイルです。性能解析トレースは,J2EEアプリケーションを含めた,システム全体の性能ボトルネックを解析するための情報が出力されます。システムの性能ネックや性能トラブルシュートに使用します。性能解析トレース機能については,マニュアル「Cosminexus 機能解説」を参照してください。

<この項の構成>
(1) 性能解析トレースファイルの出力形式と出力される内容
(2) 性能解析トレースの取得ポイント
(3) 性能解析トレースの取得方法と出力先

(1) 性能解析トレースファイルの出力形式と出力される内容

(a) 出力形式

性能解析トレースファイルに出力される形式は,Cosminexusの性能解析トレースと同様です。性能解析トレースファイルの詳細については,マニュアル「Cosminexus 機能解説」を参照してください。

(b) 出力される内容

HCSCサーバ(メッセージング基盤)の場合
性能解析トレースファイルに出力される内容を次の表に示します。

表7-21 性能解析トレースファイルに出力される内容(メッセージング基盤)

項目 内容
イベントID 取得ポイントのイベントIDが出力されます。
詳細については,次の個所を参照してください。
リターンコード 取得ポイント種別が出力されます。
  • 0:正常終了
  • 1:異常終了
インターフェース名 クラス名が出力されます。
オペレーション名 メソッド名が出力されます。
オプション情報 メッセージ共通ID リクエスト識別情報(親ID)が出力されます。
サービスリクエストID リクエスト識別情報(子ID)が出力されます。
付加情報 出力元固有の付加情報が出力されます。

HCSCサーバ(ビジネスプロセス基盤)の場合
性能解析トレースファイルに出力される内容を次の表に示します。

表7-22 性能解析トレースファイルに出力される内容(ビジネスプロセス基盤)

項目 内容
イベントID 取得ポイントのイベントIDが出力されます。
詳細は,「表7-28 性能解析トレース取得ポイント(ビジネスプロセス基盤)」を参照してください。
リターンコード 取得ポイント種別が出力されます。
  • 0:正常終了
  • 1:異常終了
インターフェース名 次の名称のどれかが出力されます。
  • ビジネスプロセス定義名
  • Javaクラス名
  • Data Transform
  • サービス名
詳細は,「表7-28 性能解析トレース取得ポイント(ビジネスプロセス基盤)」を参照してください。
オペレーション名 出力されません。
オプション情報 オプション情報が出力されます。
詳細は,「表7-28 性能解析トレース取得ポイント(ビジネスプロセス基盤)」を参照してください。

HCSCサーバ(DBアダプタ連携基盤)の場合
性能解析トレースファイルに出力される内容を次の表に示します。

表7-23 性能解析トレースファイルに出力される内容(DBアダプタ連携基盤)

項目 内容
イベントID 取得ポイントのイベントIDが出力されます。
詳細については,次の個所を参照してください。
リターンコード 取得ポイント種別が出力されます。
  • 0:正常終了
  • 1:異常終了
インターフェース名 クラス名が出力されます。
パッケージ名は表示されません。
オペレーション名 メソッド名が出力されます。
オプション情報 メッセージ共通ID リクエスト識別情報(親ID)が出力されます。
情報を設定していない場合はnullになります。
サービスリクエストID リクエスト識別情報(子ID)が出力されます。
情報を設定していない場合はnullになります。
付加情報 個別情報が出力されます。

(2) 性能解析トレースの取得ポイント

(a) HCSCサーバ(メッセージング基盤)の場合

性能解析トレースファイルのトレース取得ポイントは,次に示す場合があり,それぞれで取得ポイントが異なります。

単体サービス実行時
単体サービス実行時性能解析トレースのトレース取得ポイントを次の図に示します。

図7-10 性能解析トレースの取得ポイント(単体サービス実行時)

[図データ]
イベントID,トレース取得ポイント,および性能解析トレース取得レベルを次の表に示します。表の「図中の番号」は,図7-10中の番号と対応しています。

表7-24 性能解析トレース取得ポイント(単体サービス実行時)

イベントID 図中の番号 トレース取得ポイント レベル
0x9800 1 標準受付(Webサービス)の入口 A
0x9801 2 標準受付(Webサービス)の出口 A
0x9802 1 標準受付(SessionBean)の入口 A
0x9803 2 標準受付(SessionBean)の出口 A
0x9804 1 標準受付(MDB(WS-R))の入口 A
0x9805 2 標準受付(MDB(WS-R))の出口 A
0x9806 1 標準受付(MDB(DBキュー))の入口 A
0x9807 2 標準受付(MDB(DBキュー))の出口 A
0x9810 3 サービスアダプタ(Webサービス)のサービス部品呼び出し口 A
0x9811 4 サービスアダプタ(Webサービス)のサービス部品応答受信口 A
0x9812 3 サービスアダプタ(SessionBean)のサービス部品呼び出し口 A
0x9813 4 サービスアダプタ(SessionBean)のサービス部品応答受信口 A
0x9814 3 サービスアダプタ(MDB(WS-R))のサービス部品呼び出し口 A
0x9815 4 サービスアダプタ(MDB(WS-R))のサービス部品応答受信口 A
0x9816 3 サービスアダプタ(MDB(DBキュー))のサービス部品呼び出し口 A
0x9817 4 サービスアダプタ(MDB(DBキュー))のサービス部品応答受信口 A
0x9818 3 サービスアダプタ(CUSTOM)のサービス部品呼び出し口 A
0x9819 4 サービスアダプタ(CUSTOM)のサービス部品応答受信口 A

(凡例)
A:標準

ビジネスプロセスサービス実行時
ビジネスプロセスサービス実行時の性能解析トレースのトレース取得ポイントを次の図に示します。

図7-11 性能解析トレースの取得ポイント(ビジネスプロセスサービス実行時)

[図データ]
イベントID,トレース取得ポイント,および性能解析トレース取得レベルを次の表に示します。表の「図中の番号」は,図7-11中の番号と対応しています。

表7-25 性能解析トレース取得ポイント(ビジネスプロセスサービス実行時)

イベントID 図中の番号 トレース取得ポイント レベル
0x9800 1 標準受付(Webサービス)の入口 A
0x9801 2 標準受付(Webサービス)の出口 A
0x9802 1 標準受付(SessionBean)の入口 A
0x9803 2 標準受付(SessionBean)の出口 A
0x9804 1 標準受付(MDB(WS-R))の入口 A
0x9805 2 標準受付(MDB(WS-R))の出口 A
0x9806 1 標準受付(MDB(DBキュー))の入口 A
0x9807 2 標準受付(MDB(DBキュー))の出口 A
0x9808 1 ユーザ定義受付の入口 A
0x9809 2 ユーザ定義受付の出口 A
0x9810 7 サービスアダプタ(Webサービス)のサービス部品呼び出し口 A
0x9811 8 サービスアダプタ(Webサービス)のサービス部品応答受信口 A
0x9812 7 サービスアダプタ(SessionBean)のサービス部品呼び出し口 A
0x9813 8 サービスアダプタ(SessionBean)のサービス部品応答受信口 A
0x9814 7 サービスアダプタ(MDB(WS-R))のササービス部品呼び出し口 A
0x9815 8 サービスアダプタ(MDB(WS-R))のサービス部品応答受信口 A
0x9816 7 サービスアダプタ(MDB(DBキュー))のサービス部品呼び出し口 A
0x9817 8 サービスアダプタ(MDB(DBキュー))のサービス部品応答受信口 A
0x9818 7 サービスアダプタ(CUSTOM)のサービス部品呼び出し口 A
0x9819 8 サービスアダプタ(CUSTOM)のサービス部品応答受信口 A
0x9840 3 ビジネスプロセスサービスの呼び出し口 A
0x9841 4 ビジネスプロセスサービスの応答受信口 A
0x9842 5 ビジネスプロセス受付の入口 A
0x9843 6 ビジネスプロセス受付の出口 A

(凡例)
A:標準

DBアクセス実行時
HCSCサーバが,コマンドや電文の実行履歴を採取時にデータベースにアクセスするときの性能解析トレースの取得ポイントを次の図に示します。

図7-12 性能解析トレースの取得ポイント(DBアクセス実行時)

[図データ]
イベントID,トレース取得ポイント,および性能解析トレース取得レベルを次の表に示します。表の「図中の番号」は,図7-12中の番号と対応しています。

表7-26 性能解析トレース取得ポイント(DBアクセス実行時)

イベントID 図中の番号 トレース取得ポイント レベル
0x9850 1 DBコネクタ呼び出し口 A
0x9851 2 DBコネクタ応答受信口 A
0x9852 3 DBコネクタ実行履歴呼び出し口 B
0x9853 4 DBコネクタ実行履歴応答受信口 B

(凡例)
A:標準
B:詳細

ファイルアクセス実行時
データベースを使用しない構成でHCSCサーバをセットアップした場合,コマンド処理時に,データベースの代わりにファイルにアクセスします。このファイルアクセスするときの性能解析トレースを取得します。ファイルアクセスでの取得ポイントを次の図に示します。

図7-13 性能解析トレースの取得ポイント(ファイルアクセス実行時)

[図データ]

イベントID,トレース取得ポイント,および性能解析トレース取得レベルを次の表に示します。表の「図中の番号」は,図7-13中の番号と対応しています。

表7-27 性能解析トレース取得ポイント(ファイルアクセス実行時)

イベントID 図中の番号 トレース取得ポイント レベル
0x9854 1 ファイルアクセス呼び出し口(ファイルオープン前) B
0x9855 2 ファイルアクセス応答受信口(ファイルクローズ後) B

(凡例)
B:詳細

(b) HCSCサーバ(ビジネスプロセス基盤)の場合

性能解析のトレース取得ポイントを次の図に示します。

図7-14 性能解析トレースのトレース取得ポイント(ビジネスプロセス基盤)

[図データ]

イベントID,トレース取得ポイント,および性能解析トレース取得レベルを次の表に示します。表の「図中の番号」は,図7-14中の番号と対応しています。

表7-28 性能解析トレース取得ポイント(ビジネスプロセス基盤)

イベントID 図中の番号 トレース取得ポイント レベル インターフェース名 オプション情報
0x9900 1 メッセージング基盤からのビジネスプロセス実行要求呼び出し A ビジネスプロセス定義名
  • メッセージ共通ID
0x9901 2 メッセージング基盤へのビジネスプロセス実行要求応答 A ビジネスプロセス定義名
  • メッセージ共通ID
  • フォルト名(異常時)
0x9902 3 メッセージング基盤からの応答アクティビティ後呼び出し A ビジネスプロセス定義名
  • メッセージ共通ID
0x9903 4 メッセージング基盤からの応答アクティビティ後呼び出しへの応答 A ビジネスプロセス定義名
  • メッセージ共通ID
  • フォルト名(異常時)
0x9904 5 メッセージング基盤からの再実行要求呼び出し A ビジネスプロセス定義名
  • メッセージ共通ID
0x9905 6 メッセージング基盤からの再実行要求呼び出しへの応答 A ビジネスプロセス定義名
  • メッセージ共通ID
  • フォルト名(異常時)
0x9906 7 ユーザ作成のJavaクラス呼び出し B Javaクラス名 なし
0x9907 8 ユーザ作成のJavaクラスからの応答 B Javaクラス名
  • フォルト名(異常時)
0x9908 9 データ変換要求呼び出し A "Data Transform" なし
0x9909 10 データ変換要求からの応答 A "Data Transform"
  • フォルト名(異常時)
0x9910 11 メッセージング基盤へのサービス部品要求呼び出し A サービス名
  • メッセージ共通ID
  • 親スレッドのハッシュコード(並列実行時)
0x9911 12 メッセージング基盤からのサービス部品要求応答 A サービス名
  • メッセージ共通ID
  • 親スレッドのハッシュコード(並列実行時)
  • フォルト名(異常時)

(凡例)
A:標準
B:詳細

注 表に含まれないイベントID(0x9A00〜0x9AFF)は,データ変換基盤から発行されたものです。

(c) HCSCサーバ(DBアダプタ連携基盤)の場合

起動時とサービス部品実行時で,性能解析トレースのトレース取得ポイントが異なります。

起動時
起動時の性能解析トレースのトレース取得ポイントを次の図に示します。

図7-15 性能解析トレースのトレース取得ポイント(DBアダプタ起動時)

[図データ]
イベントID,トレース取得ポイント,および性能解析トレース取得レベルを次の表に示します。表の「図中の番号」は,図7-15中の番号と対応しています。

表7-29 性能解析トレース取得ポイント(DBアダプタ起動時)

イベントID 図中の番号 トレース取得ポイント レベル
0x9B60 1 データソース検索直前 B
0x9B61 2 データソース検索直後 B
0x9B62 B

(凡例)
B:詳細

サービス部品実行時
サービス部品実行時の性能解析トレースのトレース取得ポイントを次の図に示します。

図7-16 性能解析トレースのトレース取得ポイント(DBアダプタサービス実行時)

[図データ]
イベントID,トレース取得ポイント,および性能解析トレース取得レベルを次の表に示します。表の「図中の番号」は,図7-16中の番号と対応しています。

表7-30 性能解析トレース取得ポイント(DBアダプタサービス実行時)

イベントID 図中の番号 トレース取得ポイント レベル
0x9B00 1 メッセージング基盤からのサービス部品要求呼び出し直後 A
0x9B01 14 メッセージング基盤からのサービス部品要求応答直前 A
0x9B02 A
0x9B20 2※1※2,12※1※2 データ変換要求呼び出し直前 A
0x9B21 3※1※2,13※1※2 データ変換要求応答直後 A
0x9B22 A
0x9B23 15※2※3 データ複製要求呼び出し直前 A
0x9B24 16※2※3 データ複製要求応答直後 A
0x9B25 A
0x9B63 4 データベース接続要求呼び出し直前 B
0x9B64 5 データベース接続要求応答直後 B
0x9B65 B
0x9B66 6 SQL要求呼び出し直前 A
0x9B67 7 SQL要求応答直後 A
0x9B68 A
0x9B69 6 SQL要求呼び出し直前 A
0x9B6A 7 SQL要求応答直後 A
0x9B6B A
0x9B6C 6 SQL要求呼び出し直前 A
0x9B6D 7 SQL要求応答直後 A
0x9B6E A
0x9B40 8 SQL(SELECT)実行結果格納処理直前 A
0x9B41 11 SQL(SELECT)実行結果格納処理直後 A
0x9B42 A
0x9B43 9 SQL(SELECT)実行結果取得処理直前 B
0x9B44 10 SQL(SELECT)実行結果取得処理直後 B
0x9B45 B

(凡例)
A:標準
B:詳細

注 表に含まれないイベントID(0x9A00〜0x9AFF)は,データ変換基盤から発行されたものです。

注※1 標準電文の種別がXML電文のデータ変換定義がある場合のトレース取得ポイントを示します。

注※2 標準電文の種別がバイナリ電文のデータ変換定義がある場合のトレース取得ポイントを示します。

注※3 データ変換定義がない場合のトレース取得ポイントを示します。

(3) 性能解析トレースの取得方法と出力先

性能解析トレースを取得するには設定が必要です。詳細については,「7.3.1 Cosminexus サービスプラットフォームが出力するログやトレースの取得方法」およびマニュアル「Cosminexus システム運用ガイド」を参照してください。