JP1/Performance Management - Agent Option for IBM WebSphere MQ
ここでは,クラスタシステムでPerformance Managementを運用するための,セットアップについて説明します。
セットアップ手順には,実行系ノードの手順と,待機系ノードの手順があります。実行系ノード,待機系ノードの順にセットアップしてください。
は実行系ノードで行う項目を,
は待機系ノードで行う項目を示します。また,
は使用する環境によって必要になるセットアップ項目,またはデフォルトの設定を変更する場合のオプションのセットアップ項目を示します。
- 注意
- JPC_HOSTNAME環境変数は,Performance Managementで使用していますので,環境変数として設定しないでください。誤って設定した場合は,Performance Managementが正しく動作しません。
- <この項の構成>
- (1) PFM - Agentの登録
- (2) 共有ディスクのオンライン
- (3) PFM - Agentの論理ホストのセットアップ
- (4) 接続先PFM - Managerの設定
- (5) インスタンス環境の設定
- (6) 他Performance Managementプログラムの論理ホストのセットアップ
- (7) ネットワークの設定
- (8) 論理ホスト環境定義ファイルのエクスポート
- (9) 論理ホスト環境定義ファイルの待機系ノードへのコピー
- (10) 共有ディスクのオフライン
- (11) 論理ホスト環境定義ファイルのインポート
- (12) クラスタソフトへのPFM - Agentの登録
- (13) クラスタソフトからの起動・停止の確認
- (14) クラスタシステムでの環境設定
PFM - ManagerおよびPFM - Web Consoleを使ってPFM - Agentを一元管理するために,PFM - ManagerおよびPFM - Web ConsoleにPFM - Agent for IBM WebSphere MQを登録する必要があります。
PFM - Managerのバージョンが08-50以降の場合,PFM - Agentの登録は自動で行われるため,ここで説明する手順は不要です。ただし,PFM - Managerのリリースノートに記載されていないデータモデルバージョンのPFM - Agentは手動で登録する必要があります。なお,PFM - Agent for IBM WebSphere MQのデータモデルのバージョンについては,「付録I バージョン互換」を参照してください。
登録はPFM - Manager上およびPFM - Web Console上で実施します。手順は非クラスタシステムの場合と同じです。手順については,「2.1.4(1) PFM - Agent for IBM WebSphere MQの登録」を参照してください。
共有ディスクがオンラインになっていることを確認します。共有ディスクがオンラインになっていない場合は,クラスタソフトからの操作やボリュームマネージャの操作などで,共有ディスクをオンラインにしてください。
jpchasetup createコマンドを実行して論理ホスト環境を作成します。コマンドを実行すると,共有ディスクに必要なデータがコピーされ,論理ホスト用の定義が設定されて,論理ホスト環境が作成されます。
- 注意
- コマンドを実行する前に,Performance Managementシステム全体で,Performance Managementのプログラムおよびサービスをすべて停止してください。サービスの停止方法については,マニュアル「JP1/Performance Management システム構築・運用ガイド」の,Performance Managementの起動と停止について説明している章を参照してください。
手順を次に示します。
- jpchasetup createコマンドを実行して,PFM - Agent for IBM WebSphere MQの論理ホスト環境を作成する。
次のようにコマンドを実行します。
論理ホスト名は,-lhostオプションで指定します。ここでは,論理ホスト名をjp1-haloraとしています。DNS運用をしている場合はドメイン名を省略した論理ホスト名を指定してください。
jpchasetup create agt9 -lhost jp1-halora -d S:\jp1
共有ディスクのフォルダ名は,-dオプションの環境フォルダ名に指定します。例えば-d S:\jp1と指定するとS:\jp1\jp1pcが作成されて,論理ホスト環境のファイルが作成されます。
- 注意
- 環境フォルダ名には,次の文字を含むパスは指定しないでください。
- 「(」,「)」
- これらの文字が含まれていた場合,論理ホストの環境作成には成功しますが,PFM - Agent for IBM WebSphere MQの起動に失敗します。
- jpchasetup listコマンドを実行して,論理ホストの設定を確認する。
次のようにコマンドを実行します。
作成した論理ホスト環境が正しいことを確認してください。
jpchasetup list all
jpcnshostnameコマンドを実行して,PFM - Agent for IBM WebSphere MQを管理するPFM - Managerを設定します。
- jpcnshostnameコマンドを実行して,接続先PFM - Managerを設定する。
次のようにコマンドを実行します。
接続先PFM - Managerのホスト名は,-sオプションで指定します。接続先PFM Managerが論理ホスト運用されている場合は,-sオプションに接続先PFM - Managerの論理ホスト名を指定します。ここでは,PFM - Managerの論理ホスト名をjp1-halとしています。
jpcnshostname -s jp1-hal -lhost jp1-halora
また,PFM - Agent for IBM WebSphere MQの論理ホスト名は,-lhostオプションで指定します。ここでは,PFM - Agent for IBM WebSphere MQの論理ホスト名をjp1-haloraとしています。
jpcinssetupコマンドを実行して,PFM - Agent for IBM WebSphere MQのインスタンス環境を設定します。
設定手順は,非クラスタシステムの場合と同じです。ただし,クラスタシステムの場合,jpcinssetupコマンドの実行時に,「-lhost」で論理ホスト名を指定する必要があります。
クラスタシステムの場合のjpcinssetupコマンドの指定方法を次に示します。
jpcinssetup agt9 -lhost 論理ホスト名 -inst インスタンス名なお,エージェントログの出力先フォルダ(log_pathの値)には,共有ディスク上のパスを指定してください。
このほかの設定内容,および手順については,「2.1.4(2) インスタンス環境の設定」を参照してください。
(6) 他Performance Managementプログラムの論理ホストのセットアップ
PFM - Agent for IBM WebSphere MQのほかに,同じ論理ホストにセットアップするPFM - ManagerやPFM - Agentがある場合は,この段階でセットアップしてください。
セットアップ手順については,マニュアル「JP1/Performance Management システム構築・運用ガイド」の,クラスタシステムでの構築と運用について説明している章を参照してください。
Performance Managementを使用するネットワーク構成に応じて,変更する場合にだけ必要な設定です。
ネットワークの設定では次の二つの項目を設定できます。
- IPアドレスを設定する
複数のLANに接続されたネットワーク環境でPerformance Managementを運用するときに使用するIPアドレスを指定したい場合には,jpchostsファイルの内容を直接編集します。
このとき,編集したjpchostsファイルは,実行系ノードから待機系ノードにコピーしてください。
IPアドレスの設定方法については,マニュアル「JP1/Performance Management システム構築・運用ガイド」の,インストールとセットアップについて説明している章を参照してください。
- ポート番号を設定する
ファイアウォール経由でPerformance Managementのプログラム間の通信をする場合には,jpcnsconfig portコマンドを使用してポート番号を設定します。
ポート番号の設定方法については,マニュアル「JP1/Performance Management システム構築・運用ガイド」の,インストールとセットアップについて説明している章,およびクラスタシステムでの構築と運用について説明している章を参照してください。
PFM - Agent for IBM WebSphere MQの論理ホスト環境が作成できたら,環境定義をファイルにエクスポートします。エクスポートでは,その論理ホストにセットアップされているPerformance Managementのプログラムの定義情報を一括してファイル出力します。同じ論理ホストにほかのPerformance Managementのプログラムをセットアップする場合は,セットアップが一とおり済んだあとにエクスポートしてください。
論理ホスト環境定義をエクスポートする手順を次に示します。
- jpchasetup exportコマンドを実行して,論理ホスト環境定義をエクスポートする。
これまでの手順で作成した論理ホスト環境の定義情報を,エクスポートファイルに出力します。エクスポートファイル名は任意です。
例えば,lhostexp.txtファイルに論理ホスト環境定義をエクスポートする場合,次のようにコマンドを実行します。
jpchasetup export -f lhostexp.txt
「(8) 論理ホスト環境定義ファイルのエクスポート」でエクスポートした論理ホスト環境定義ファイルを,実行系ノードから待機系ノードにコピーします。
クラスタソフトからの操作やボリュームマネージャの操作などで,共有ディスクをオフラインにして,作業を終了します。なお,その共有ディスクを続けて使用する場合は,オフラインにする必要はありません。
実行系ノードからコピーしたエクスポートファイルを,待機系ノードにインポートします。
実行系ノードで作成した論理ホストのPerformance Managementのプログラムを,待機系ノードで実行するための設定には,jpchasetup importコマンドを使用します。一つの論理ホストに複数のPerformance Managementのプログラムがセットアップされている場合は,一括してインポートされます。
なお,このコマンドを実行するときには,共有ディスクをオンラインにしておく必要はありません。
- jpchasetup importコマンドを実行して,論理ホスト環境定義をインポートする。
次のようにコマンドを実行します。
コマンドを実行すると,待機系ノードの環境を,エクスポートファイルの内容と同じ環境になるように設定変更します。これによって,論理ホストのPFM - Agent for IBM WebSphere MQを起動するための設定が実施されます。
jpchasetup import -f lhostexp.txt
また,セットアップ時にjpcnsconfig portコマンドで固定のポート番号を設定している場合も,同様に設定されます。
- jpchasetup listコマンドを実行して,論理ホスト設定を確認する。
次のようにコマンドを実行します。
実行系ノードでjpchasetup listを実行した時と同じ内容が表示されることを確認してください。
jpchasetup list all
Performance Managementのプログラムを論理ホスト環境で運用する場合は,クラスタソフトに登録して,クラスタソフトからの制御でPerformance Managementのプログラムを起動したり停止したりするように環境設定します。
- 注意
- PFM - Agent for IBM WebSphere MQの登録を実施する前に,IBM WebSphere MQのリソースの登録が必要です。
クラスタソフトへPFM - Agent for IBM WebSphere MQを登録する方法は,クラスタソフトのマニュアルを参照してください。
PFM - Agent for IBM WebSphere MQをクラスタソフトに登録するときの設定内容を,Windows MSCSに登録する項目を例として説明します。
PFM - Agent for IBM WebSphere MQの場合,次の表のサービスをクラスタに登録します。
表4-3 クラスタソフトに登録するPFM - Agent for IBM WebSphere MQのサービス
項番 名前 サービス名 依存関係 1 PFM - Agent Store for IBM WebSphere MQインスタンス名 [LHOST] JP1PCAGT_9S_インスタンス名 [LHOST] IPアドレスリソース※1
物理ディスクリソース※2
IBM WebSphere MQリソース2 PFM - Agent for IBM WebSphere MQ インスタンス名 [LHOST] JP1PCAGT_9A_インスタンス名 [LHOST] 項番1のクラスタリソース 3 PFM - Action Handler [LHOST] JP1PCMGR_PH [LHOST] IPアドレスリソース※1
物理ディスクリソース※2
- 注※1
- IBM WebSphere MQ のクラスタ環境で定義されているIP アドレスのリソース
- 注※2
- IBM WebSphere MQ のクラスタ環境で定義されている共有ディスクのリソース
[LHOST]の部分は,論理ホスト名に置き換えてください。インスタンス名がSDC1,論理ホスト名がjp1-haloraの場合,サービスの名前は「PFM - Agent Store for IBM WebSphere MQ SDC1 [jp1-halora]」,サービス名は「JP1PCAGT_9S_SDC1 [jp1-halora]」のようになります。
MSCSの場合は,これらのサービスをMSCSのリソースとして登録します。各リソースの設定は次のようにします。下記の[ ]は,MSCSの設定項目です。
- [リソースの種類]は「汎用サービス」として登録する。
- [名前],[依存関係],および[サービス名]を表4-3のとおりに設定する。
- [起動パラメータ]および[レジストリ複製]は設定しない。
- プロパティの[詳細設定]タブは,Performance Managementのプログラムの障害時にフェールオーバーするかしないかの運用に合わせて設定する。
例えば,PFM - Agent for IBM WebSphere MQの障害時に,フェールオーバーするように設定するには,次のように設定します。
- [再開する]:チェックする
- [グループに適用する]:チェックする
- 再起動試行回数の[しきい値]:3※
- 注※
- 再起動試行回数の[しきい値]は3回を目安に設定してください。
- 注意
- クラスタに登録するサービスは,クラスタから起動および停止を制御しますので,OS起動時に自動起動しないよう[スタートアップの種類]を[手動]に設定してください。なお,jpchasetup createコマンドでセットアップした直後のサービスは[手動]に設定されています。また,次のコマンドで強制停止しないでください。
jpcstop all lhost=論理ホスト名 kill=immediate
クラスタソフトからの操作で,Performance Managementのプログラムの起動および停止を各ノードで実行し,正常に動作することを確認してください。
Performance Managementのプログラムのセットアップ終了後,PFM - Web Consoleから,運用に合わせて監視対象の稼働状況についてのレポートを表示できるようにしたり,監視対象で問題が発生したときにユーザーに通知できるようにしたりするために,Performance Managementのプログラムの環境を設定します。
Performance Managementのプログラムの環境設定方法については,マニュアル「JP1/Performance Management システム構築・運用ガイド」の,クラスタシステムでの構築と運用について説明している章を参照してください。
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