Groupmax Workflow Version 6 ビジュアル定義・シミュレータ・運用モニタ ユーザーズガイド
図 10-4に示した流れに沿って,流量シミュレーションを実行していきます。この項の説明どおりに操作していくと,流量シミュレーションの使い方を一通り学習できます。
- <この項の構成>
- (1) 流量シミュレーション機能の起動
- (2) シミュレーション情報ファイルのオープン
- (3) 単位時間の設定
- (4) 流量シミュレーションのパラメタの設定
- (5) シミュレーションの実行条件の設定
- (6) シミュレーションの実行
- (7) シミュレーション結果の分析
- (8) 流量シミュレーションのパラメタの修正
- (9) シミュレーションの再実行
- (10) 流量シミュレーション機能の終了
- 操 作
- 「流量シミュレーション」を起動します。
流量シミュレーション機能が起動し,メインウィンドウが開きます。
起動する方法は,「7.1 シミュレータの起動」を参照してください。
例題「発注2」のシミュレーション情報ファイルを開きます。このシミュレーション情報ファイルは,例題を手軽に実行していただくために,既にシミュレーションに必要な情報の一部を格納しているものです。
- 操 作
- [ファイル]−[開く]を選択します。
[開く]ダイアログが開きます。
- [開く]ダイアログのファイル名から「発注2.fsi」を選択し,[開く]をクリックします。
例題「発注2」のシミュレーション情報ファイルが開きます。
- 〈発展〉
ここでは流量シミュレーションの起動後に,提供されているシミュレーション情報ファイルを開きました。シミュレーション情報ファイルを新規に作成してシミュレーションを実行するときは,次の手順になります。
- [ファイル]−[新規作成]を選択し,シミュレーション情報ファイルを新規に作成します。
- [ファイル]−[ビジネスプロセスの読み込み]を選択し,シミュレートしたいビジネスプロセスを読み込みます。
この後の操作は,「10.2.3(3) 単位時間の設定」以降で説明する操作と同じです。
ビジネスプロセスのフロー図を見ながら,パラメタを設定したりシミュレーションを実行したりできます。次の操作を実行して,フロー図を表示させてください。
- 操 作
- [表示]−[ビジネスプロセス]を選択します。
[ビジネスプロセス表示]ダイアログが開きます。
- [ビジネスプロセス表示]ダイアログのビジネスプロセス一覧から「発注2」を選択し,[OK]をクリックします。
「発注2」のフロー図が表示されます。
作業時間は,業務によって様々な単位があります。例えば,数十秒単位で処理される作業もあれば,数十分単位で処理される作業もあります。流量シミュレーションを実行する際に作業時間の単位を決めておくと,時間にかかわるパラメタを設定しやすくなります。
流量シミュレーション機能を起動した後,パラメタを設定する前に,1単位時間を何分何秒にするかを設定しておきます。
この例題では,デフォルトを使用し,1単位時間を1分とします。次の操作を実行して,1単位時間が1分になっているかを確認しましょう。
- 操 作
- [シミュレーション]−[シミュレーション条件]を選択します。
[シミュレーション条件設定]ダイアログが開きます。
[シミュレーション条件設定]ダイアログの単位時間が1分0秒に設定されています。
- [OK]をクリックします。
[シミュレーション条件設定]ダイアログが閉じます。
[シミュレーション条件設定]ダイアログのほかの項目は,パラメタの設定後に設定します。
単位時間を設定した後,シミュレーションに必要な次のパラメタを設定します。
- 組織パラメタ
- 役職パラメタ
- ユーザパラメタ
- ロールパラメタ
- ケース生成パターンパラメタ
- ソースノードパラメタ
- 作業机ノードパラメタ
- 分岐ノードパラメタ
シミュレーションに使う組織を設定します。
ここでは,設定されている組織パラメタをそのまま使用します。例題「発注2」で設定されている組織パラメタの内容を確認しましょう。
- 操 作
- [パラメタ]−[組織]を選択します。
[組織パラメタ]ダイアログが開きます。
組織一覧に,「営業部」フォルダと「経理部」フォルダが表示されていることを確認します。
- [OK]をクリックします。
これで組織パラメタの内容を確認できました。次に,これらの組織に所属するユーザの役職のパラメタを設定します。
組織の中のユーザの役職を設定します。役職には,例えば課長,主任などが考えられます。ここでは,設定されている役職パラメタをそのまま使用します。例題「発注2」の役職パラメタの内容を確認しましょう。
- 操 作
- [パラメタ]−[役職]を選択します。
[役職パラメタ]ダイアログが開きます。役職として「部長」,「課長」,「一般」が設定されていることを確認してください。
- [OK]をクリックします。
これで役職パラメタの内容を確認できました。次に,組織に所属するユーザのパラメタを設定します。
ユーザごとに次のことを設定します。
- ユーザ名
ユーザを特定できる名前を設定します。
- 能力係数
ユーザが案件をどのくらいの時間で処理するのかを決める係数のことです。例えば,能力係数1.0のユーザが10単位時間で一つの案件を処理するとき,能力係数2.0のユーザは5単位時間で一つの案件を処理することになります。
- 役職
部長,課長などの役職を役職パラメタの中から選択します。
- ケース取り出しパターン
ケースの取り出し方を設定します。
- 稼動パターン
ユーザの稼動パターンを設定します。
例題「発注2」で使用するユーザパラメタは,既に大部分が設定されています。設定されているユーザパラメタの内容を表 10-2に示します。
表10-2 ユーザパラメタの内容
ユーザ名 所属組織 役職 能力係数 ケース取り出しパターン 高木宏昌 営業部 一般 1.0 到着順 林良介 営業部 一般 1.0 到着順 森田弘之 営業部 一般 1.0 到着順 杉山由美 営業部 一般 1.2 優先順位 前田知子 営業部 課長 2.0 優先順位 野村義幸 営業部 部長 1.5 優先順位 金本真 経理部 部長 2.0 優先順位 金子明 経理部 課長 2.0 優先順位 池山泉 経理部 一般 1.5 到着順 小川一郎 経理部 一般 2.0 到着順 海野美和 経理部 一般 1.5 到着順 ここでは,設定されているユーザパラメタの一部を変更しましょう。
- 操 作
- [パラメタ]−[ユーザ]を選択します。
[ユーザパラメタ]ダイアログが開きます。
組織のツリービューに「営業部」フォルダ,及び「経理部」フォルダが表示されています。
- 「営業部」フォルダをクリックします。
ユーザ一覧に,営業部に登録されているユーザが表示されます。
- 「森田弘之」を選択し,[編集]をクリックします。または,「森田弘之」をダブルクリックします。
[ユーザの編集]ダイアログが開きます。森田さんのパラメタは次のように設定されています。
森田さんは勤続10年の熟練者なので,能力係数を1.2に変更します。数値は直接入力するか,[▲]又は[▼]をクリックして変更してください。
- ユーザ名:森田弘之
- 能力係数:1.0
- 役職:一般
- ケース取り出しパターン:到着順
- [OK]をクリックします。
ロールパラメタは,ビジネスプロセス中のロールにユーザを割り当てたものです。
ここでは,設定されているロールパラメタをそのまま使用します。例題「発注2」で設定されているロールパラメタの内容を表 10-3に示します。
表10-3 ロールパラメタの内容
ロール名 ロール種別 ロール内のユーザ 提案元担当者 業務 高木,林,森田,杉山 提案元課長 業務 前田課長 提案元部長 業務 野村部長 経理課長 業務 金子課長 経理部長 業務 金本部長 資材発注係 業務 池山 以上でシミュレーションに必要なすべてのパラメタを設定できました。次は,シミュレーションを実行する条件を設定します。
どの時間に何件のケースを生成するかを設定します。
例題「発注2」には「発注書類作成」ソースノードがあり,「発注依頼書」ケースが生成されます。この「発注依頼書」ケースの生成パターンを作成します。
正確なシミュレーションを実行するには,業務の実態に合ったパターンを作成する必要があります。このため,志村さんは発注依頼書の作成について各部署を調査しました。そして,その調査結果に基づいてケースの生成パターンを作成しました。
例題「発注2」には,志村さんの作成したパターンが「発注2パターン」という名称で入っています。例題「発注2」のシミュレーションでは,この「発注2パターン」を使用します。読者の皆さんは,ここでケースの生成パターンを作成したものとして,次に進んでください。
ケースの生成パターンの作成については,「10.3.1 ケースの生成パターンの作成」を参照してください。
ソースノードで作成するケースごとに,次のパラメタを設定します。
- ケースの処理時間
ケースの作成に掛かる時間を単位時間で設定します。
- ケース生成パターン
作成されている生成パターンから,どのパターンで生成させるのかを設定します。
ここでは,「発注書類作成」ソースノードの「発注依頼書」ケースに対して,パラメタを設定します。
志村さんは,ソースノードパラメタを設定するために,発注依頼書の作成について各部署を調査しました。その結果,次のことが分かりました。
- 〈発注依頼書の作成に関する調査結果〉
- 発注依頼書を作成する時間は大体15分間である。
- 午前中は30件くらい作成する。午後は75件くらい作成する。
- 13時から16時に作業が集中する。17時以降はほとんど作業しない。
以上の調査結果に基づいて,ソースノードパラメタを設定します。
- 操 作
- [パラメタ]−[ソースノード]を選択します。
[ソースノード]ダイアログが開きます。ビジネスプロセス名には「発注2」が表示されています。また,ノード名には「発注書類作成」が表示されています。
- ケース名から「発注依頼書」を選択してから,値に「発注依頼書」ケースの処理時間「20」を設定し,[更新]をクリックします。
数値は直接入力するか,[▲]又は[▼]をクリックして設定してください。
- ケース生成パターンの「定期的」が選択されていることを確認し,[設定]をクリックします。
[ケース生成パターン]ダイアログが開きます。
ここでは,ケース生成パターンとして「発注2パターン」を使います。図 10-5に示すように「発注2パターン」が表示されていることを確認してください。投入されるケースの時間ごとの件数がグラフで表示されています。
図10-5 「発注2パターン」の生成パターン
- [ケース生成パターン]ダイアログの[OK]をクリックします。
[ケース生成パターン]ダイアログが閉じ,[ソースノード]ダイアログに戻ります。
- [ソースノード]ダイアログの[OK]をクリックします。
ソースノードパラメタが更新され,[ソースノード]ダイアログが閉じます。
- 〈発展〉
- ここでは,例題で使用しなかったパラメタやボタンなどについて説明します。
- イベント
[ソースノード]ダイアログ(1.で開いたダイアログ)のケース投入パターンには,例題で選択した「定期的」のほかに「イベント」があります。
「イベント」を選択した場合,指定されたパターンで生成されたケースがあるノードを通過したときに,任意のソースノードでケースを生成させます。
例えば,図 10-6に示したように待合ノードがあるビジネスプロセスでは,ケース2は,ケース1が分岐ラベル2を通過したときに生成されるようにする必要があります。
図10-6 イベントの設定が必要なビジネスプロセスの例
このようなビジネスプロセスでは,ケース2に対する生成のタイミングを次のように設定します。なお,操作方法の詳細はオンラインヘルプを参照してください。
- [ソースノード]ダイアログで,「ソース2」及び「ケース2」を選択する。
- 「イベント」を選択し,[設定]をクリックして,条件を設定する。
以上でソースノードパラメタの設定が終了しました。次は,作業机ノードパラメタを設定します。
作業机ノードごとに次のパラメタを設定します。
- 作業時間
作業に掛かる時間を単位時間で設定します。
- 重み
作業に対して重みを付けるかどうかを設定します。重みとは,案件の内容の重さを決める値のことです。同じ種類の案件でも,内容によって時間の掛かるものと掛からないものがあります。重みを付けることによってこのような状況に対応したシミュレーションを実行できます。
- 案件のタイプ
送付された案件を保留するかどうかを設定します。
保留とは,ユーザが案件の処理を途中で中断して,次ノードに案件を送付しないでトレーに置いておくことです。例えば,必要なデータが揃っていないときに,途中まで案件を処理してから保留にして置いておき,データが揃ってから案件の処理を再開する場合などに保留タイプを設定します。
例題「発注2」には次の作業机ノードがあります。
- 課長審査
- 経理課長審査
- 経理部長承認
- 資材発注確認
- 部長承認
以上の作業机ノードに対して,パラメタを設定します。志村さんが作業時間について調査した結果を表 10-4に示します。
表10-4 作業時間に関する調査結果
作業名 1件当たりの作業時間 案件によって作業時間に幅があるか 案件を保留するか 課長審査 約5分 ある しない 経理課長審査 約5分 ない しない 経理部長審査 約5分 ない しない 資材発注確認 約15分 ある しない 部長承認 約5分 ない しない 以上の調査結果に基づいて,作業机ノードパラメタを設定します。
- 操 作
- [パラメタ]−[作業机ノード]を選択します。
[作業机ノード]ダイアログが開きます。
[表示]−[モード]−[パラメタ編集]を選択しておけば,ビジネスプロセスの作業机ノードをダブルクリックしても[作業机ノード]ダイアログを開くことができます。
- [作業机ノード]ダイアログで,各作業机ノードの作業時間を次のように設定します。
作業時間を設定するには,ノード名から作業机ノードを選択して数値を変更します。数値は直接入力するか,[▲]又は[▼]をクリックして変更してください。数値の変更後[更新]をクリックすると,作業時間が更新されます。
- 課長審査:5(単位時間)
- 経理課長審査:5(単位時間)
- 経理部長承認:5(単位時間)
- 資材発注確認:15(単位時間)
- 部長承認:5(単位時間)
- 「課長審査」及び「資材発注確認」の作業机ノードに重みを設定します。
「ノード名」からノード名を選択し,[重み]をクリックすると重みが設定されます。また,ノード名をダブルクリックしても重みが設定されます。
「課長審査」及び「資材発注確認」の作業机ノードに重みを設定するのは,これらの作業が案件によって時間の掛かるものと掛からないものがあるからです。そのほかの作業机ノードは,どのような案件でも作業時間が一定しているので重みは設定しません。
重みの実際の数値は,ケース生成パターンで設定されています。ソースノードパラメタを設定するときに,生成パターンとして「発注2パターン」を選択しました。したがって,「課長審査」及び「資材発注確認」の作業机ノードには,「発注2パターン」に設定されている重みが適用されます。
- 作業机ノードダイアログの[OK]をクリックします。
作業机ノードパラメタが更新され,[作業机ノード]ダイアログが閉じます。
以上で作業机ノードパラメタの設定が終了しました。次は,分岐ノードパラメタを設定します。
分岐ノードごとに,各分岐先にケースをどのくらいの割合で送付するのかを設定します。この割合のことを分岐比率といいます。
例題「発注2」には次の分岐ノードがあります。
- 提案可否
- 発注金額
- 承認
以上の分岐ノードに対して,分岐比率を設定していきます。志村さんが分岐比率について調査したところ,次のことが分かりました。
- 〈分岐比率に関する調査結果〉
- 提案元の部長審査では,提案の90%が承認される。
- 経理課長審査で審査する発注依頼書のうち,発注金額が20万円以上のものは20%くらいである。
- 経理部長審査では,発注依頼書の95%が承認される。
以上の調査結果に基づいて,分岐ノードパラメタを設定します。
- 操 作
- [パラメタ]−[分岐ノード]を選択します。
[分岐ノード]ダイアログが開きます。
- [分岐ノード]ダイアログで,各分岐ノードの分岐比率を表 10-5に示すように設定します。
表10-5 分岐ノードパラメタの内容
分岐比率を設定するには,まずノード名から分岐ノードを選択し,続いて分岐ラベルを選択します。次に選択した分岐ラベルの数値を値の欄で変更します。数値は直接入力するか,[▲]又は[▼]をクリックして変更してください。数値の変更後[更新]をクリックすると,分岐比率が更新されます。
分岐ノード名 分岐ラベル名 分岐比率 承認 却下 5 承認 95 提案可否 却下 1 承認 9 発注金額 20万円以上 2 20万円未満 8
- 分岐ノードダイアログの[OK]をクリックします。
分岐ノードパラメタが設定され,分岐ノードダイアログが閉じます。
以上で分岐ノードパラメタの設定が終了しました。次は,ユーザパラメタを設定します。
流量シミュレーションを実行する前に,実行条件として次のことを設定します。
- 開始時刻
シミュレーションを開始する時刻を設定します。
- 終了条件
どのような状態になったらシミュレーションを終了するのかを設定します。終了条件として,「実行時間」(ある時間が過ぎたら終了する)と「処理件数」(ある件数の処理が実行されたら終了する)のどちらかを選択できます。
- キューの上限
案件の滞留件数がどのくらいに達したときにシミュレーションを打ち切るかを設定します。件数はロールキュー及びユーザキューに分けて設定できます。
案件が余りにも滞留する場合は,ビジネスプロセスに問題があるのは明らかです。したがって,それ以上シミュレーションを続けても意味がありません。そこで,案件が余りにも滞留する場合はシミュレーションを打ち切り,ビジネスプロセスやパラメタなどを見直します。
発注業務にかかわる各部署の社員は,いつも9時から20時ごろまで勤務しています。そこで,9時から20時までのシミュレーションをするように条件を設定しましょう。
- 操 作
- [シミュレーション]−[シミュレーション条件]を選択します。
[シミュレーション条件設定]ダイアログが開きます。[シミュレーション条件設定]ダイアログの単位時間が1分0秒に設定されています。この値は「10.2.3(3) 単位時間の設定」で確認しました。
- [シミュレーション条件設定]ダイアログで,実行条件を次のように設定します。
以上のように設定すると,660単位時間が経過したとき,つまり20時になったときにシミュレーションが終了します。
- 開始時刻:デフォルト(9時0分)を使用する
- 終了条件:「終了時間」を選択し,660単位時間に設定する
- ロールキューの上限:デフォルトのままとする
- ユーザキューの上限:デフォルトのままとする
- 実行条件の設定後,[OK]をクリックします。
実行条件が設定され,[シミュレーション条件設定]ダイアログが閉じます。
以上で実行条件の設定が終了しました。流量シミュレーションを実行しましょう。
「10.2.3(5) シミュレーションの実行条件の設定」で設定した条件でシミュレーションを実行します。
なお,シミュレーションを実行する前に,実行結果を格納するファイルを設定しておく必要があります。[シミュレーション]−[ログ採取情報設定]を選択して表示される[ログ採取情報の設定]ダイアログの各タブで,実行結果を格納するファイルを設定してください。操作の詳細はオンラインヘルプを参照してください。
ファイルの設定後,次の操作でシミュレーションを実行します。
- 操 作
- [シミュレーション]−[実行]を選択します。
シミュレーションが開始されます。実行中は,シミュレーションの実行中であることを示すダイアログが表示されます。また,メインウィンドウの下部にシミュレーションの進行度が表示されます。
シミュレーションが終了すると,アウトプットウィンドウに終了メッセージが表示されます。メッセージを確認して,ウィンドウを閉じてください。
シミュレーションが終了したら,次はシミュレーション結果を分析します。
例題「発注2」のシミュレーション結果を分析し,運用する上でビジネスプロセスに問題がないかを検証します。
まず,ビジネスプロセス全体を見渡し,問題点があるかどうかをチェックしてみましょう。
- ビジネスプロセスのフロー図から各ノードの滞留件数を見る
ビジネスプロセスの問題で第一に考えられるのが,あるノードで作業が滞留してしまうということです。各ノードで作業が順調に進めば,滞留することはありません。そこで,まず,ビジネスプロセス中に滞留しているノードがないかを調べます。
- 操 作
- [表示]−[滞留件数]を選択します。
ビジネスプロセスの各ノードに滞留件数が表示されます。滞留件数が表示されたビジネスプロセスを図 10-7に示します。
図10-7 滞留件数が表示されたビジネスプロセス
図 10-7のビジネスプロセスでは,資材発注確認の滞留件数が極端に多くなっています。どうやらこのノードの作業を見直す必要がありそうです。次に,資材発注確認ノードの詳細を見てみましょう。
フロー図から特定のノードの詳細を見るには,まずフロー図のモードを「状態表示」モードにします。既に「状態表示」モードになっている場合は,2.から始めてください。
- 操 作
- [表示]−[モード]−[状態表示]を選択します。
状態表示モードになります。
- 例題「発注2」のフロー図上で,資材発注確認ノードをダブルクリックします。
図 10-8に示す[ノード状態表示]ダイアログが開きます。
図10-8 [ノード状態表示]ダイアログ
図 10-8から,資材発注確認ノードの状況が分かります。また,このノードで案件を処理するユーザは,池山さん一人であることが分かります。池山さんはこの時点で案件を1件処理中ですが,池山さんの所属するロールが処理するべき案件の滞留件数が多くなっています。
- [ノード状態表示]ダイアログの[閉じる]をクリックします。
[ノード状態表示]ダイアログが閉じます。
以上で,滞留しているノードとユーザの状況が分かりました。次に滞留件数を減らすための対策を考えましょう。
- 滞留件数を減らすための対策を考える
図 10-8に示した状態を見ると,実際にこのビジネスプロセスを運用した場合,発注確認の段階で作業が滞留し,発注依頼から実際の発注までに時間が掛かってしまうことが考えられます。発注確認の作業を滞留させないための対策を考え,業務が順調に進むようにしなければなりません。
滞留件数を減らすためにはどうしたらよいか,志村さんは考えました。そして,次の二つの対策案を出しました。
- 対策案1:ユーザの稼動時間を増やす
- 資材発注確認ノードの池山さんは,どのくらい仕事をしているのだろうか。もし残業をほとんどしていないようであれば,残業時間を増やすことによって作業の滞留を避けることができないだろうか。
- 対策案2:ユーザを増やす
- 発注確認をする人員を増やしてはどうか。この場合,発注確認作業のピーク時に作業できるユーザを確保する必要がある。
志村さんは,更にシミュレーション結果の状況を調べ,以上の対策案が実施できるかどうかを検討することにしました。
- ユーザの稼動時間を調べる
まず,池山さんの稼動時間を調べ,対策案1が実施できるかどうかを検討します。
- 操 作
- [グラフ]−[ユーザ]を選択します。
[ユーザ状態表示]ダイアログが開きます。
- [ユーザ状態表示]ダイアログのユーザ一覧から「池山泉」を選択します。
ノード一覧に池山さんの作業しているノードの状態が表示されます。
- [ユーザ状態表示]ダイアログのグラフ表示から,「稼動状況」を選択し,[表示]をクリックします。
図 10-9に示す稼動状況が表示されます。
図10-9 池山さんの一日の稼動状況
図 10-9を見ると,池山さんは9時から20時まで稼動していて,これ以上稼動時間を増やせそうにありません。9時から20時までの間で稼動していない時間帯がありますが,この時間帯には定例会議に出席しています。どうやら,対策案1は実施できそうにありません。
- 稼動状況が表示されているダイアログの[閉じる]をクリックします。
ダイアログが閉じ,[ユーザ状態表示]ダイアログに戻ります。
- [ユーザ状態表示]ダイアログの[閉じる]をクリックします。
[ユーザ状態表示]ダイアログが閉じます。
志村さんは対策案1をあきらめました。そして,対策案2が実施できるかどうかを検討することにしました。
- 発注確認作業のピーク時間を調べる
対策案2では,ピーク時に作業できるユーザを確保する必要があります。そこで,発注確認の作業がどの時間にピークになるのかを調べます。
- 操 作
- 例題「発注2」のフロー図上で,資材発注確認ノードをダブルクリックします。
[ノード状態表示]ダイアログが開きます。
- [ノード状態表示]ダイアログのグラフから,「滞留件数分布」メニューを選択し,[表示]をクリックします。
資材発注確認ノードの滞留件数の分布が表示されます。この分布を図 10-10に示します。
図10-10 資材発注確認ノードの滞留件数の分布
図 10-10から,滞留件数が増え続けていることが分かります。このため,大体15時以降に作業できるユーザを探し,資材発注確認ノードに追加するとよいのではないかと志村さんは考えました。
- [ノード状態表示]ダイアログの[閉じる]をクリックします。
[ノード状態表示]ダイアログが閉じます。
15時以降に作業できるユーザを追加するために,志村さんは,資材部のユーザの稼動状況を調べることにしました。
池山さんと同じ課には,小川さんと海野さんがいます。この二人は,ほかのビジネスプロセスで作業をすることになっています。このビジネスプロセスは,志村さんの同僚のマックスさんが電子化を検討しています。志村さんはマックスさんに,次のことを依頼しました。
- 資材発注確認の作業を小川さんと海野さんにも担当してもらいたいと考えている。作業の時間は毎日15時以降である。この時間の二人の稼動状況を調べて,資材発注確認の作業ができるかどうかを教えてほしい。
マックスさんから,「二人は15時から19時の間であれば,資材発注確認の作業をしても大丈夫だろう。」という報告を受けました。志村さんは,二人を資材発注係に追加登録して,流量シミュレーションをもう一度実行することにしました。
小川さんと海野さんを資材発注係に追加登録するためには,次の作業が必要になります。
(a) 二人の稼動パターンを作成する
(b) 二人のユーザパラメタを設定する
(c) 二人を資材発注係ロールに追加する
以上の作業のうち(a)及び(b)は既に作業が終わり,「10.2.3(2) シミュレーション情報ファイルのオープン」で読み込んだファイル「発注2.fsi」に格納されています。したがって,ここでは(c)の作業をします。
- 操 作
- [パラメタ]−[ロール]を選択します。
[ロールパラメタ]ダイアログが開きます。ロールの一覧が表示されています。
- 「資材発注係」フォルダをクリックします。
一覧に,「ユーザ情報」フォルダが表示されます。
- [追加]をクリックします。
[ユーザの追加]ダイアログが開きます。
- ツリービューの組織をたどって「経理部」フォルダを選択します。
「ユーザ一覧」にユーザ名が表示されます。
- 「小川一郎」を選択し,[追加]をクリックします。
[ロールパラメタ]ダイアログに戻ります。
- 3.〜5.を繰り返して「海野美和」を追加します。
以上でパラメタの修正が終了しました。次は,修正したパラメタを用いてシミュレーションを実行します。
修正したパラメタを用いて,シミュレーションを実行します。
- 操 作
- [シミュレーション]−[実行]を選択します。
ログファイルの上書きを確認するダイアログが表示されます。
- [全て上書き]をクリックします。
シミュレーションが開始されます。実行中はシミュレーションの実行中であることを示すダイアログが表示されます。また,メインウィンドウの下部にシミュレーションの進行度が表示されます。
シミュレーションが終了すると,アウトプットウィンドウに終了メッセージが表示されます。
シミュレーションが終了したら,シミュレーション結果を見てみましょう。
- 各ノードの滞留件数を見る
- 操 作
- フロー図が開いている状態で[表示]−[滞留件数]を選択します。
ビジネスプロセスの各ノードに滞留件数が表示されます。滞留件数が表示されたビジネスプロセスを図 10-11に示します。
図10-11 滞留件数が表示されたビジネスプロセス(パラメタ修正後)
図 10-11を見ると,滞留件数が多いノードはないので,問題なさそうです。
志村さんは,修正後のビジネスプロセスで運用に入れると確信しました。そして,これまでの作業を報告書にまとめ,プロジェクト内会議で報告することにしました。
例題「発注2」のシミュレーションが一通り終了したので,流量シミュレーション機能を終了します。再び(1)から例題「発注2」を実行できるよう,変更したパラメタを保存しないで終了します。
- 操 作
- [ファイル]−[終了]を選択します。
流量シミュレーションで使用したパラメタを保存するかどうかを問い合わせるメッセージダイアログが表示されます。
- メッセージダイアログの[いいえ]をクリックします。
変更したパラメタは保存されないで,流量シミュレーション機能が終了します。
All Rights Reserved, Copyright (C) 2000, Hitachi, Ltd.