SEWB+/REPOSITORY 辞書設計ガイド
ドメインの分析とは,業務で使用するデータから,共通の値域と制約条件を抽出し,標準化することです。
- <この項の構成>
- (1) 値域,制約条件とは
- (2) ドメインを分析し,その値域と制約条件を整理する
ドメインを理解するために,まず値域と制約条件について解説します。
- 値域とは,データのタイプ,けた数,意味,構成,値の範囲などのことをいいます。
- 制約条件とは,データ項目を利用するに当たって守らなければならない制約をいいます。制約条件は,次の2種類に分類できます。
- データの値が妥当であるかを判断する条件
例えば,「受注年月日」は,必ず企業の「営業日」でなければならないという業務の規則があるとき,受注年月日が営業日であるかどうかを検証する条件のことです。
- データの値が導き出されるルール
そのデータが,ある別のデータから,計算,編集,又は形式変換などの処理を経て導き出されるルールのことです。例えば,「売り上げ金額」が,「単価×数量」で求められるものであれば,この計算式が「売り上げ金額」の導出ルールになります。
(2) ドメインを分析し,その値域と制約条件を整理する
ドメインを分析し,その値域と制約条件を整理する手順を,次に説明します。
- ドメインを抽出する
ドメインを抽出するには,まず,業務に使用するデータを調査し,その中から共通の値域を持つデータをグルーピングします。値域が共通なデータは,その制約条件も共通であると考えられます。それぞれのグループに対して,共通の制約条件を洗い出します。このようにして,データ共通の値域と制約条件をまとめ,整理したものがドメインとなります。
- 必要に応じて,ドメインを階層化する
ドメインによってグルーピングされたデータのなかで,さらに共通の値域や制約条件を抽出できれば,ドメインを階層化し,下位ドメインとして整理しておきます。
- ドメインに名称を付ける
それぞれのドメインには,業務の中で一意に識別できるよう,ユニークな名称を付けます。このドメインの名称は,データ項目の名称に反映します。詳細については「2.3 名称の標準化」を参照してください。
ドメインの抽出例を次に示します。
ドメイン名称 定義 データの例 コード 企業の主要な管理対象を識別するための文字列(値)で,必ず個々の値が示す対象が決められるデータ 顧客コード
製品コード
銀行コード番号 企業の主要な管理対象を識別するための文字列(値)で,時々刻々と発生する出来事(取り引き)などを識別するデータ 社員番号
受注番号区分 ある特定の条件を満たすかどうかを示すデータ 引当区分
割引区分年月日 ある特定時点の年,月,日を表すデータ 営業年月日
発注年月日
登録年月日金額 円やドルなどの通貨を表すデータ 売り上げ金額
割引金額このようにして整理したドメインと,その値域,制約条件を基に,辞書のデータ項目と業務ルールを設計します。
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