Hitachi

高信頼化システム監視機能 HAモニタ Linux(R)(x86)編


1.6.1 必要なハードウェア

HAモニタを動作させるために必要なハードウェアについて説明します。ハードウェアの構成については,「5.5 ハードウェア構成の検討」を参照してください。

ハードウェア構成例を次の図に示します。

図1‒10 ハードウェア構成例(BladeSymphonyまたはHA8000xMモデル以前の場合)

[図データ]

図1‒11 ハードウェア構成例(HA8000xNモデル以降で障害管理プロセサとして管理サーバを使用する場合)

[図データ]

図1‒12 ハードウェア構成例(HA8000xNモデル以降で障害管理プロセサとして管理サーバを使用しない場合)

[図データ]

図1‒13 ハードウェア構成例(RV3000の場合)

[図データ]

RV3000で,管理サーバを使用する構成の場合,必要な機器についてはRV3000のドキュメントを参照してください。

〈この項の構成〉

(1) プロセサ

実際に業務を処理するサーバマシンを,実行系と待機系とで1台ずつ使用します。

HAモニタを使用する前提機種を次に示します。

系のリセットをする場合は,BladeSymphonyまたはHA8000と,他社PC/AT互換機が混在する構成にはできません。

共有ディスクのデータの保護方法ごとに使用できる機能,およびLANの通信可否による系切り替え制御機能で使用できる機能については,「3.1 HAモニタで使用できる機能一覧」を参照してください。

メモ

BladeSymphonyを使用する場合,日立サーバ論理分割機構(Virtage)を利用すると,プロセサ内の論理パーティション(LPAR)を系切り替え構成の単位にできます。

また,使用するサーバマシンの機種に関係なく,VMware ESXiTMを利用して一つのプロセサ上で複数の仮想マシンを稼働させ,仮想マシンを系切り替え構成の単位にできます。

メモ

BladeSymphonyまたはHA8000の場合,系のリセットまたは共有ディスクのSCSIリザーブで,他社PC/AT互換機の場合は共有ディスクのSCSIリザーブで,共有ディスクのデータ破壊を防止します。また,系のリセットおよび共有ディスクのSCSIリザーブが使用できない場合は,LANの通信可否による系切り替え制御機能を使用します。系のリセットについては「2.3.5 系のリセット」を,共有ディスクのSCSIリザーブについては「2.3.6 共有ディスクのSCSIリザーブ」を,LANの通信可否による系切り替え制御機能については「2.3.7 LANの通信可否による系切り替え制御機能」を参照してください。

(2) 監視パス

実行系と待機系のプロセサ間を接続して,実行系と待機系との間で,互いの系を監視したり,系切り替えのための情報を交換したりするために使用します。

監視パスには,監視パス専用のLAN(監視専用LAN)として,TCP/IP LANを使用できます。HAモニタは,TCP/IP LANでブロードキャストで通信するため,ブロードキャストで通信できるLANを使用してください。TCP/IP LANは,どの系切り替え構成でも使用できますが,専用のIPアドレスとポート番号が必要です。

また,HAモニタ Extensionを使用して,一つの系切り替え構成での系の最大数を変更する場合は,マルチキャストで通信できるLANを使用してください。HAモニタ Extensionについては,「3.7 HAモニタ Extensionの機能」を参照してください。

(3) リセットパス

実行系で障害が発生した場合に,障害管理プロセサに対して系の入出力のリセットを指示するために使用します。共有ディスクのSCSIリザーブをする場合は不要です。障害管理プロセサとは,システム構成の設定やCPUの制御などができる,CPUとは独立したハードウェアです。使用するマシンの機種によって,SVP,BMC,または管理サーバのように名称が異なりますが,機能は同じであるため,このマニュアルでは総称して,障害管理プロセサと呼びます。

リセットパスに関する注意事項については,「5.5.4 リセットパスの構成」を参照してください。

(4) 共有ディスク

共有ディスクは,サーバが実行系と待機系とで共有するデータを格納するために使用します。共有ディスクのSCSIリザーブをする場合は必須です。系切り替え時には,共有ディスク上の情報が引き継がれます。共有ディスクには格納したデータを使用するすべての系を接続します。HAモニタで制御できる共有ディスクには,次の3種類があります。

使用できる共有ディスクには,日立ディスクアレイシステムやVMware vSANの共有データストアなどがあります。

HAモニタは,ディスク障害やI/Oパス障害に対応していません。これらの障害に対しては,HAモニタ以外の方法を使用して共有ディスクの単一点障害を防止する構成にしてください。単一点障害の防止については,「5.5.1 共有ディスクの構成」を参照してください。

SCSIリザーブをしてデータを保護する場合は,次の条件を満たす必要があります。

VMware vSANの共有データストアを使用する場合,次の二つの方法でアクセスできます。

注※

SCSIリザーブをしてデータを保護する場合は使用できません。

(5) ローカルディスク

系間で共有しない,系固有のディスク装置として使用します。OSのファイルや,HAモニタの各種ファイルをインストールしておきます。HAモニタは,共有ディスクではなく,ローカルディスクから起動します。

また,ローカルディスクについても共有ディスクと同様に単一点障害を防止する構成にすることを推奨します。

共有ディスクやローカルディスクに障害が発生すると,ファイルへのアクセスが失敗するため業務が実行できなくなります。この場合,サーバやOSは異常終了せず,系切り替えできないことがあります。これを防止するために,共有ディスクやローカルディスクにI/Oエラーが発生した場合には,OSやドライバの機能を用いてOSパニックを発生させることで,系切り替えさせることを検討してください。

(6) コンソール

HAモニタのコマンドを実行したり,出力されるメッセージを確認したりするために使用します。

(7) LAN

LANは,実行系と待機系を接続したり,クライアントとなるWSやPCと接続したりするために使用します。LANの通信可否による系切り替え制御機能を使用する場合は必須です。TCP/IP通信ができるLANのうち,OSがサポートするEthernet LANを使用できます。

HAモニタは,HUBやLANアダプタなどのLAN障害を直接処理するものではありません。これらの障害に対しては,HAモニタ以外の方法を使用して,LANの単一点障害を防止する構成にしてください。単一点障害の防止については,「5.5.2 LANの構成」を参照してください。

(8) 管理サーバ

HA8000xNモデル以降で系をリセットする場合,管理対象の系の数によって,HCSMが搭載された管理サーバが必要です。管理サーバの接続イメージや管理対象の系の数は,HAモニタの動作環境によって異なります。例えば,次のような構成ができます。