共有リソースは，共有ディスクやLANなど，実行系，および待機系の系間で共有するリソースのことです。HAモニタで共有できるリソースには，共有ディスク，ファイルシステム，LAN，通信回線があります。

HAモニタは，系切り替えを実現するために，共有リソースを制御しています。制御できる共有リソースの種類および状態が適用OSによって異なります。HAモニタが制御できる共有リソースの種類を次の表に示します。共有リソースの状態については，「2.4.5　共有リソースの状態制御一覧」を参照してください。

表2-5　HAモニタが制御できる共有リソースの種類

共有リソース	HI-UX/WE2	AIX	HP-UX（PA-RISC）	HP-UX（IPF）	Linux（IPF）
共有ディスク	○	○	○	○	○
ファイルシステム	×	○	○	○	○
LAN	○	○	○	○	○
通信回線	○	○	○	×	×

（凡例）○：制御できます。　　×：制御できません。

共有リソースを構成する際および使用する上での注意事項を示します。

• 共有リソースの制御はサーバ単位にします。したがって，連動系切り替えのように，複数サーバを使用した系切り替え構成にする場合，サーバで使用する共有リソースは，サーバごとに分けるか，リソースサーバを使用して複数サーバで共用するように構成してください。複数サーバでの共有リソースの共用については，「2.6　複数サーバで共有リソースを共用する構成でのリソースサーバの管理」を参照してください。
• 系切り替え時，実行系で共有リソースの切り離しが失敗すると，両系で共有リソースに対するアクセスが競合し，共有リソースの破壊やシステムダウンとなる場合があります。両系で共有リソースの競合を防止するため，HAモニタでは，系切り替え時に共有リソースの切り離しが失敗した場合，系をリセットする方法で系切り替えをします。サーバの停止時など，系切り替え時以外は，切り離しが失敗した旨の障害メッセージを出力します。この場合，ユーザが各共有リソースに対応した切り離しの操作をしてください。
• 共有リソースの制御はHAモニタがします。したがって，ユーザが共有リソースの状態を変更するような操作をする場合は，HAモニタによる制御と競合しないよう注意してください。競合した場合，HAモニタによる制御が正しく行えなくなります。

＜この節の構成＞

2.4.1　共有ディスクの制御

2.4.2　ファイルシステムの制御

2.4.3　LANの制御

2.4.4　通信回線の制御

2.4.5　共有リソースの状態制御一覧

2.4.6　その他の共有リソースの制御

2.4.7　共有リソースの動的変更

2.4.8　LANアダプタの二重化

2.4.9　LANアダプタ障害時の自動系切り替え

2.4.10　共有リソース接続失敗時のサーバの起動中止