高信頼化システム監視機能 HAモニタ
AIX,HP-UX(PA-RISC),HP-UX(IPF),およびLinux(IPF)の場合,共有リソースの接続失敗時やユーザコマンドの失敗時に,実行サーバの起動や系切り替えを中止できます。ここでは,実行サーバの起動や系切り替えを中止する場合の設定方法について説明します。
共有リソースの接続に失敗した場合は,残りの共有リソースに関する接続処理を続行したあと,実行サーバの起動を中止し,最終的にすべての共有リソースの切り離しをします。系切り替え中止の場合は,待機サーバを強制停止します。
対象となる共有リソースは次のとおりです。
共有リソースごとに,設定方法を示します。
サーバ対応の環境設定のvg_neckオペランドにuseを指定してください。なお,HAモニタのmondeviceコマンドによって,vg_neckオペランドの指定の変更もできます。
サーバ対応の環境設定のfs_neckオペランドにuseを指定してください。
サーバ対応の環境設定のip_neckオペランドにuseを指定してください。
また,HAモニタでのLANの状態設定ファイルである,サーバ識別名.upファイルについて,LAN障害時に,サーバ識別名.upファイルの実行結果(終了コード)が0以外になるように作成してください。
なお,サーバ識別名.downファイルの実行結果については,HAモニタの動作に影響を与えません。
実行サーバの起動や系切り替えを中止する場合の,サーバ識別名.upファイルの例を次の図に示します。これらのファイルのサンプルは,HAモニタサンプルファイル用ディレクトリの下に,server_on_neckIP.upのファイル名称で格納されています。
#!/bin/sh
set -x
INTERFACE=enX # LANインタフェース名
IPADDR=a.b.c.d # エイリアスIPアドレス
NETMASK=e.f.g.h # ネットマスク
BROADCAST=i.j.k.l # ブロードキャストアドレス
PATH=$PATH:/usr/sbin:/usr/bin
export PATH
# LANインタフェースにエイリアスIPアドレスを付加する
ifconfig $INTERFACE inet $IPADDR alias netmask $NETMASK broadcast $BROADCAST
# 上記で付加したエイリアスIPアドレスがシステムに登録されたか?
RCD=`netstat -in | grep $IPADDR`
if [ "$RCD" = "" ]
then
# 登録されていない場合終了コード1を返す
exit 1
fi
# 登録された場合は終了コード0を返す
exit 0
|
#!/bin/sh
set -x
INTERFACE=lanX:Y # LANインタフェース名
IPADDR=a.b.c.d # エイリアスIPアドレス
NETMASK=e.f.g.h # ネットマスク
BROADCAST=i.j.k.l # ブロードキャストアドレス
PATH=$PATH:/usr/sbin:/usr/bin
export PATH
# LANインタフェースにエイリアスIPアドレスを付加する
ifconfig $INTERFACE inet $IPADDR netmask $NETMASK broadcast $BROADCAST
# 上記で付加したエイリアスIPアドレスがシステムに登録されたか?
RCD=`netstat -in | grep $IPADDR`
if [ "$RCD" = "" ]
then
# 登録されていない場合終了コード1を返す
exit 1
fi
# 登録された場合は終了コード0を返す
exit 0
|
#!/bin/sh
set -x
INTERFACE=ethX:Y # LANインタフェース名
IPADDR=aaa.bbb.ccc.ddd # エイリアスIPアドレス
NETMASK=eee.fff.ggg.hhh # ネットマスク
BROADCAST=iii.jjj.kkk.lll # ブロードキャストアドレス
# LANインタフェースにエイリアスIPアドレスを付加する
/sbin/ifconfig $INTERFACE inet $IPADDR netmask $NETMASK broadcast $BROADCAST
# ARPキャッシュを更新する
IFNAME=`echo $INTERFACE | /bin/sed -e 's/:[0-9]*$//'`
/sbin/arping -U -c 2 -I $IFNAME $IPADDR
# 上記で付加したエイリアスIPアドレスがシステムに登録されたか?
RCD=`/sbin/ifconfig -a | /bin/grep $IPADDR`
if [ "$RCD" = "" ]
then
# 登録されていない場合終了コード1を返す
exit 1
fi
# 登録された場合は終了コード0を返す
exit 0
|
HP-UX(PA-RISC)およびHP-UX(IPF)の場合,サーバ識別名.upファイルによるLANの接続とは別に,HAモニタの環境設定のlan_pairオペランドの設定によって,独自にHAモニタが二重化されたLANアダプタの監視をします。
この場合,サーバ対応の環境設定のlan_neckオペランドを指定することによって,実行サーバの起動開始または系切り替え時,サーバ識別名.upファイルを実行する直前で,指定した監視対象のLANの状態を参照し,障害状態だった場合,実行サーバの起動または系切り替えを中止します。
HP-UX(PA-RISC)およびHP-UX(IPF)の場合は,二重化されたLANが,二つとも障害の場合に,LAN障害と扱います。
「2.4.8 LANアダプタの二重化」および「2.4.9 LANアダプタ障害時の自動系切り替え」もあわせて参照してください。
サーバ対応の環境設定のuoc_neckオペランドにuseを指定することによって,ユーザコマンドの実行結果が0以外の場合に,サーバの起動を中止できます。
なお,HAモニタがエラーの確認をするのは,「サーバの起動開始」および「サーバの系切り替え開始」時に実行するユーザコマンドだけです。このほかのタイミングでのユーザコマンド実行結果は無視されます。
ユーザコマンドについては,「2.4.6 その他の共有リソースの制御」および「4.15 ユーザコマンドインタフェース」も参照してください。
ユーザコマンドを含めた,共有リソースの切り離し処理全体,および接続処理全体に制限時間を設け,制限時間以内に処理が完了しなかった場合に,共有リソースに対する処理を中止できます。共有リソース接続失敗時にサーバの起動を中止する機能を使用している状態で,共有リソースの接続処理がタイムアウトした場合は,サーバの起動を中止します。
制限時間値は,サーバ対応の環境設定のdev_timelimitオペランドで指定します。
この機能を使用するとき,制限時間が適用される範囲は次のとおりで,系切り替え以外でのサーバの起動・停止処理では適用されません。
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