20.3.4 DBディレクトリを作成する場合(マルチノード機能の使用時)
マルチノード機能を使用する場合,一部のDBエリアをマルチノード構成の全HADBサーバ間で共有します。マルチノード機能については,マニュアルHADB システム構築・運用ガイドのアーキテクチャのマルチノード機能を参照してください。また,マルチノード構成の全HADBサーバ間で共有するDBエリアについては,マニュアルHADB システム構築・運用ガイドのアーキテクチャのDBエリア(表およびインデクスの格納領域)のDBエリアのファイル構成を参照してください。
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クラウドストレージ機能を使用しない場合
DBエリアを共有するには,DBエリアファイルに割り当てるデバイスを,異なるシステム間で一意に識別する必要があります。このため,同じデバイスを識別するために,WWNを利用します。WWNはシステムに依存しない,HBAでデバイスごとに割り当てられる固有の識別子です。
マルチノード機能を使用する際にDBディレクトリを作成する場合は,共有するDBエリアすべてについて,WWNを含むブロックスペシャルファイル(/dev/disk/by-id/wwn-で始まるパス)を割り当ててください。
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クラウドストレージ機能を使用する場合
AWS環境のときは,作業表用DBエリア以外のDBエリアのデータは,S3バケット内のS3オブジェクトに格納されます。Azure環境のときは,作業表用DBエリア以外のDBエリアのデータは,コンテナー内のBLOBに格納されます。格納された作業表用DBエリア以外のDBエリアのデータは,マルチノード構成の全HADBサーバ間で共有されます。
マルチノード機能を使用する際にDBディレクトリを作成する場合は,次に示す手順でadbinitコマンドを実行します。
- 手順
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プライマリノード用の初期設定オプションファイルを作成する
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プライマリノードでadbinitコマンドを実行する
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セカンダリノードおよびワーカーノード用の初期設定オプションファイルを作成する
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セカンダリノードおよびワーカーノードでadbinitコマンドを実行する
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手順3.〜4.は,セカンダリノードおよびワーカーノードの各HADBサーバで実施します。
なお,作業表用DBエリアのブロックスペシャルファイルは,サーバ定義で指定することもできます。詳細は,マニュアルHADB システム構築・運用ガイドのサーバ定義の設計のサーバ定義のオペランドの内容のシステム構成に関するオペランド(set形式)にあるadb_blk_path_wrkオペランドの説明を参照してください。
各手順の例を以降で説明します。
- 〈この項の構成〉
(1) プライマリノード用の初期設定オプションファイルを作成する(クラウドストレージ機能の未使用時)
クラウドストレージ機能を使用しない場合,初期設定オプションファイルを作成して,次のように初期設定オプションを指定します。
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プライマリノード用として各DBエリアの初期化が必要となるため,adb_init_dbarea_initializeオペランドにYを指定します。
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マルチノード構成の全HADBサーバ間で共有するDBエリアすべてに,WWN識別子を含むブロックスペシャルファイルを割り当てます。
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マルチノード構成の全HADBサーバ間で共有しないDBエリア(作業表用DBエリア)にブロックスペシャルファイルを割り当てる場合は,プライマリノード固有のブロックスペシャルファイルを割り当ててください。
- プライマリノード用の初期設定オプションファイルの指定例
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set adb_init_dbarea_initialize = Y set adb_init_wrk_blk_path = /dev/mapper/adb-ADBWRK_lv set adb_init_mst_blk_path = /dev/disk/by-id/wwn-0x600605b003a2e280172ab596258093bc set adb_init_dic_blk_path = /dev/disk/by-id/wwn-0x600605b003a2e280172ab5962580e259 set adb_init_stbl_blk_path = /dev/disk/by-id/wwn-0x600605b003a2e280172ab5962581311b adbinitdbarea -n DBAREA1 -i 1G,2 -v \ /dev/disk/by-id/wwn-0x60060e80102172300511166300000000,\ /dev/disk/by-id/wwn-0x60060e80102172300511166300000001
(2) プライマリノード用の初期設定オプションファイルを作成する(クラウドストレージ機能の使用時)
クラウドストレージ機能を使用する場合,初期設定オプションファイルを作成して,次のように初期設定オプションを指定します。
- ■プライマリノード用の初期設定オプションファイルの指定例(AWS環境の場合)
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set adb_init_dbarea_initialize = Y ...1 set adb_init_wrk_blk_path = /dev/mapper/adb-ADBWRK_lv ...2 set adb_init_cld_aws_region = ap-northeast-1 ...3 set adb_init_cld_aws_bucket = adbbucket ...4 set adb_init_cld_cache_path = /HADB/ADBCCH ...5 adbinitdbarea -n DBAREA1 -p 32 -s 32 ...6
- [説明]
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プライマリノードは,DBエリアの初期化が必要なため,Yを指定します。
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プライマリノードで使用する作業表用DBエリアファイルのブロックスペシャルファイル名を指定します。
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S3オブジェクトの格納先リージョン名を指定します。
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S3オブジェクトの格納先S3バケット名を指定します。
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キャッシュファイルの格納先ディレクトリ名を指定します。
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データ用DBエリアの指定をします。
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- ■プライマリノード用の初期設定オプションファイルの指定例(Azure環境の場合)
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set adb_init_dbarea_initialize = Y ...1 set adb_init_wrk_blk_path = /dev/mapper/adb-ADBWRK_lv ...2 set adb_sys_cld_az_storage_account = adbstorageaccount ...3 set adb_sys_cld_az_container = adbcontainer ...4 set adb_init_cld_cache_path = /HADB/ADBCCH ...5 adbinitdbarea -n DBAREA1 -p 32 -s 32 ...6
- [説明]
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プライマリノードは,DBエリアの初期化が必要なため,Yを指定します。
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プライマリノードで使用する作業表用DBエリアファイルのブロックスペシャルファイル名を指定します。
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BLOBの格納先ストレージアカウント名を指定します。
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BLOBの格納先コンテナー名を指定します。
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キャッシュファイルの格納先ディレクトリ名を指定します。
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データ用DBエリアの指定をします。
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(3) プライマリノードでadbinitコマンドを実行する
「(1) プライマリノード用の初期設定オプションファイルを作成する(クラウドストレージ機能の未使用時)」,または「(2) プライマリノード用の初期設定オプションファイルを作成する(クラウドストレージ機能の使用時)」で作成した初期設定オプションファイル名を指定して,プライマリノードでadbinitコマンドを実行します。
詳細については,「20.3.1 ブロックスペシャルファイルのDBエリアファイルを作成する場合」の「(2) adbinitコマンドを実行する」を参照してください。
(4) セカンダリノードおよびワーカーノード用の初期設定オプションファイルを作成する
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クラウドストレージ機能を使用しない場合
「(1) プライマリノード用の初期設定オプションファイルを作成する(クラウドストレージ機能の未使用時)」で作成した初期設定オプションファイルを各セカンダリノードおよびワーカーノードにコピーし,次のように初期設定オプションの指定を変更します。
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adb_init_dbarea_initializeオペランドの値をNに変更します。
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プライマリノード用の初期設定オプションファイルに指定しているブロックスペシャルファイルが次に示す条件を満たす場合は,ブロックスペシャルファイル名を変更するか,該当する指定を削除します。
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マルチノード構成の全HADBサーバ間で共有しないDBエリアにブロックスペシャルファイルを指定している場合
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マルチノード構成の全HADBサーバ間で共有しないDBエリアに指定しているブロックスペシャルファイルと同名,かつセカンダリノードおよびワーカーノード固有のブロックスペシャルファイルがない場合
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それ以外のオペランドについては,指定を変更しないでください。
- セカンダリノードおよびワーカーノード用の初期設定オプションファイルの指定例
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set adb_init_dbarea_initialize = N set adb_init_mst_blk_path = /dev/disk/by-id/wwn-0x600605b003a2e280172ab596258093bc :
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クラウドストレージ機能を使用する場合
「(2) プライマリノード用の初期設定オプションファイルを作成する(クラウドストレージ機能の使用時)」で作成した初期設定オプションファイルを各セカンダリノードおよびワーカーノードにコピーし,次のように初期設定オプションの指定を変更します。
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adb_init_dbarea_initializeオペランドの値をNに変更します。
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adb_init_wrk_blk_pathオペランドには,セカンダリノードまたはワーカーノードに割り当てる作業表用DBエリアファイルを指定します。プライマリノードとは異なる作業表用DBエリアファイルを指定します。
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上記以外のオペランドについては,指定を変更しないでください。
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(5) セカンダリノードおよびワーカーノードでadbinitコマンドを実行する
「(4) セカンダリノードおよびワーカーノード用の初期設定オプションファイルを作成する」で作成した初期設定オプションファイル名を指定して,セカンダリノードおよびワーカーノードでadbinitコマンドを実行します。
詳細については,「20.3.1 ブロックスペシャルファイルのDBエリアファイルを作成する場合」の「(2) adbinitコマンドを実行する」を参照してください。