18.9.3 バックアップの運用例(OSコマンドを使用)
ここでは,OSのコマンドを使用したバックアップの運用例(フルバックアップを取得する運用例)について説明します。
- 〈この項の構成〉
(1) システムの構成例
4つのノード(hadb01,hadb02,hadb03,hadb04)で構成されるHAモニタありのマルチノード構成で,プライマリノードはhadb01とします。DBディレクトリ,アーカイブディレクトリ,同義語辞書ファイルの格納ディレクトリ,および監査証跡の出力先ディレクトリは,次の構成となっているとします。
■hadb01のディレクトリ構成
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DBディレクトリの構成
/HADB/db ADBDIC:ブロックスペシャルファイル(サイズは512MB) ADBMST:ブロックスペシャルファイル(サイズは10MB) ADBSTBL:ブロックスペシャルファイル(サイズは512MB) ADBWORK:ローカルファイルシステム上のディレクトリ ADBWRK:ブロックスペシャルファイル(サイズは2GB) ADBUTBL01:ブロックスペシャルファイル(サイズは4GB) ADBUIDX01:ブロックスペシャルファイル(サイズは2GB) SPOOL:ローカルファイルシステム上のディレクトリ ADBSYS:システムディレクトリ
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アーカイブディレクトリの構成
/HADB/archive
アーカイブディレクトリは,アーカイブマルチチャンク表を定義した場合に作成するディレクトリです。
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同義語辞書ファイルの格納ディレクトリの構成
/mnt/syndict
同義語辞書ファイルの格納ディレクトリは,同義語検索を行っている場合に作成するディレクトリです。
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監査証跡の出力先ディレクトリの構成
/HADB/audit
監査証跡の出力先ディレクトリは,監査証跡機能を使用している場合に作成するディレクトリです。
■hadb02のディレクトリ構成
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DBディレクトリの構成
/HADB/db ADBDIC:ブロックスペシャルファイル ADBMST:ブロックスペシャルファイル ADBSTBL:ブロックスペシャルファイル ADBWORK:ローカルファイルシステム上のディレクトリ ADBWRK:ブロックスペシャルファイル ADBUTBL01:ブロックスペシャルファイル ADBUIDX01:ブロックスペシャルファイル SPOOL:ローカルファイルシステム上のディレクトリ ADBSYS:システムディレクトリのファイルシステムのマウントポイント
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アーカイブディレクトリの構成
/HADB/archive
アーカイブディレクトリは,アーカイブマルチチャンク表を定義した場合に作成するディレクトリです。
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同義語辞書ファイルの格納ディレクトリのファイルシステムのマウントポイント
/mnt/syndict
同義語辞書ファイルの格納ディレクトリは,同義語検索を行っている場合に作成するディレクトリです。
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監査証跡の出力先ディレクトリの構成
/HADB/audit
監査証跡の出力先ディレクトリは,監査証跡機能を使用している場合に作成するディレクトリです。
■hadb03のディレクトリ構成
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DBディレクトリの構成
/HADB/db ADBDIC:ブロックスペシャルファイル ADBMST:ブロックスペシャルファイル ADBSTBL:ブロックスペシャルファイル ADBWORK:ローカルファイルシステム上のディレクトリ ADBWRK:ブロックスペシャルファイル ADBUTBL01:ブロックスペシャルファイル ADBUIDX01:ブロックスペシャルファイル SPOOL:ローカルファイルシステム上のディレクトリ ADBSYS:システムディレクトリのファイルシステムのマウントポイント
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アーカイブディレクトリの構成
/HADB/archive
アーカイブディレクトリは,アーカイブマルチチャンク表を定義した場合に作成するディレクトリです。
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同義語辞書ファイルの格納ディレクトリのファイルシステムのマウントポイント
/mnt/syndict
同義語辞書ファイルの格納ディレクトリは,同義語検索を行っている場合に作成するディレクトリです。
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監査証跡の出力先ディレクトリの構成
/HADB/audit
監査証跡の出力先ディレクトリは,監査証跡機能を使用している場合に作成するディレクトリです。
■hadb04のディレクトリ構成
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DBディレクトリの構成
/HADB/db ADBDIC:ブロックスペシャルファイル ADBMST:ブロックスペシャルファイル ADBSTBL:ブロックスペシャルファイル ADBWORK:ローカルファイルシステム上のディレクトリ ADBWRK:ブロックスペシャルファイル ADBUTBL01:ブロックスペシャルファイル ADBUIDX01:ブロックスペシャルファイル SPOOL:ローカルファイルシステム上のディレクトリ ADBSYS:ローカルファイルシステム上のシステムディレクトリ
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アーカイブディレクトリの構成
/HADB/archive
アーカイブディレクトリは,アーカイブマルチチャンク表を定義した場合に作成するディレクトリです。
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監査証跡の出力先ディレクトリの構成
/HADB/audit
監査証跡の出力先ディレクトリは,監査証跡機能を使用している場合に作成するディレクトリです。
(2) バックアップの取得
OSのコマンドを使用して,バックアップを取得する手順を説明します。
手順
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マルチノード構成のHADBサーバを終了する※1
adbstop KFAA90000-I adbstop processing started. KFAA91154-I The HADB system was terminated normally. KFAA90001-I adbstop processing ended. (return code = 0) monend
プライマリノード(hadb01)でadbstopコマンドを実行し,全ノードのHADBサーバが正常終了したあとに,HAモニタのmonendコマンドを実行してください。
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OSのコマンドでバックアップを取得する
OSのcpコマンドおよびddコマンドをプライマリノード(hadb01)で実行し,次のディレクトリのバックアップを取得します。
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DBディレクトリのバックアップの取得
cp -r /HADB/db/ADBSYS /HADB_bkup/db/ADBSYS dd if=/HADB/db/ADBMST of=/HADB_bkup/db/ADBMST bs=524288 dd if=/HADB/db/ADBDIC of=/HADB_bkup/db/ADBDIC bs=524288 dd if=/HADB/db/ADBSTBL of=/HADB_bkup/db/ADBSTBL bs=524288 dd if=/HADB/db/ADBUTBL01 of=/HADB_bkup/db/ADBUTBL01 bs=524288 dd if=/HADB/db/ADBUIDX01 of=/HADB_bkup/db/ADBUIDX01 bs=524288
バックアップの取得先ディレクトリは/HADB_bkup/dbです。
システムディレクトリが$DBDIR/ADBSYSにマウントされていない場合は,OSのmountコマンドを実行してマウントしてください。
なお,ブロックスペシャルファイルのデータをバックアップする場合,ボリューム全体をコピーするため,実際の使用量よりもバックアップ容量が増えます。
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アーカイブディレクトリのバックアップの取得
cp -r /HADB/archive /HADB_bkup/archive
アーカイブマルチチャンク表を定義している場合は,アーカイブディレクトリのバックアップを取得する必要があります。
アーカイブディレクトリをNFSサーバ上に作成している場合は,アーカイブディレクトリのバックアップをセカンダリノードおよびワーカーノードで取得する必要はありません。
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同義語辞書ファイルの格納ディレクトリのバックアップの取得
cp -r /mnt/syndict /HADB_bkup/syndict
同義語検索を行っている場合は,同義語辞書ファイルの格納ディレクトリのバックアップを取得する必要があります。
- メモ
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監査証跡の出力先ディレクトリ下の監査証跡ファイルは,監査証跡の保存先ディレクトリに移動する運用のため,監査証跡の出力先ディレクトリのバックアップを取得する必要はありません。
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マルチノード構成のHADBサーバを開始する※2
adbstart
プライマリノードおよび全セカンダリノード(hadb01〜hadb03)で,adbstartコマンドおよびHAモニタのmonbeginコマンドを実行してください。adbstartコマンドの実行後,別ターミナル(コマンド入力画面)から,HAモニタのmonbeginコマンドを実行してください。
- 重要
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adbstartコマンドが終了する前に,monbeginコマンドを実行してください。
monbegin
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マルチノード構成にワーカーノードを追加する
adbstart
ワーカーノード(hadb04)で,adbstartコマンドを実行してください。
- 注※1
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手順1.は,次の方法で代替することもできます。
プライマリノードのhadb01でadbchgsrvmodeコマンドを実行し,プライマリノードのHADBサーバの稼働モードを静止モードに変更します。
adbchgsrvmode --quiescence
- 注※2
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手順1.で注※1の方法を実施した場合は,プライマリノード(hadb01)でadbchgsrvmodeコマンドを実行し,プライマリノードのHADBサーバの稼働モードを通常モードに変更してください。
adbchgsrvmode --normal
(3) バックアップからの回復
バックアップからの回復手順を説明します。
手順
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マルチノード構成のHADBサーバを終了する
adbstop KFAA90000-I adbstop processing started. KFAA91154-I The HADB system was terminated normally. KFAA90001-I adbstop processing ended. (return code = 0) monend
プライマリノード(hadb01)でadbstopコマンドを実行し,マルチノード構成のHADBサーバが正常終了したあとに,HAモニタのmonendコマンドを実行してください。
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OSのコマンドでデータベースを回復する
OSのcpコマンドおよびddコマンドをプライマリノード(hadb01)で実行し,バックアップから次のディレクトリを回復します。
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DBディレクトリの回復
cp -r /HADB_bkup/db/ADBSYS /HADB/db/ADBSYS dd if=/HADB_bkup/db/ADBMST of=/HADB/db/ADBMST bs=524288 dd if=/HADB_bkup/db/ADBDIC of=/HADB/db/ADBDIC bs=524288 dd if=/HADB_bkup/db/ADBSTBL of=/HADB/db/ADBSTBL bs=524288 dd if=/HADB_bkup/db/ADBUTBL01 of=/HADB/db/ADBUTBL01 bs=524288 dd if=/HADB_bkup/db/ADBUIDX01 of=/HADB/db/ADBUIDX01 bs=524288
バックアップファイルの格納ディレクトリは,/HADB_bkup/dbです。
システムディレクトリが$DBDIR/ADBSYSにマウントされていない場合は,OSのmountコマンドを実行してマウントしてください。
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アーカイブディレクトリの回復
rm -r /HADB/archive/* cp -r /HADB_bkup/archive/* /HADB/archive
アーカイブマルチチャンク表を定義している場合は,アーカイブディレクトリを回復する必要があります。
アーカイブディレクトリをNFSサーバ上に作成している場合は,セカンダリノードおよびワーカーノードでアーカイブディレクトリを回復する必要はありません。
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同義語辞書ファイルの格納ディレクトリの回復
rm -r /mnt/syndict/* cp -r /HADB_bkup/syndict/* /mnt/syndict
同義語検索を行っている場合は,同義語辞書ファイルの格納ディレクトリを回復する必要があります。
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マルチノード構成のHADBサーバを開始する
adbstart
プライマリノードおよび全セカンダリノード(hadb01〜hadb03)で,adbstartコマンドおよびHAモニタのmonbeginコマンドを実行してください。adbstartコマンドの実行後,別ターミナル(コマンド入力画面)から,HAモニタのmonbeginコマンドを実行してください。
- 重要
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adbstartコマンドが終了する前に,monbeginコマンドを実行してください。
monbegin
マルチノード構成のHADBサーバの開始後,プライマリノードのHADBサーバの稼働モードが静止モードの場合,プライマリノード(hadb01)でadbchgsrvmodeコマンドを実行し,プライマリノードのHADBサーバの稼働モードを通常モードに変更してください。
adbchgsrvmode --normal
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マルチノード構成にワーカーノードを追加する
adbstart
ワーカーノード(hadb04)で,adbstartコマンドを実行してください。
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同義語辞書ファイルの同期を取る
adbsyndict -s
プライマリノード(hadb01)でadbsyndictコマンドを実行し,同義語辞書ファイルの同期を取ってください。同義語検索を行っている場合に限り,この操作を実行してください。