Hitachi

Hitachi Advanced Data Binder システム構築・運用ガイド


21.2.3 移行後のクラウド環境でのHADBサーバの構築

移行後のクラウド環境でのHADBサーバの構築方法を説明します。

〈この項の構成〉

(1) インスタンスの用意

HADBサーバをインストールするインスタンスを用意してください。

ここでは,インスタンスタイプがr5b.2xlargeのインスタンスを用意するとします。

メモ

クラウドストレージ機能を使用しないクラウド環境から,クラウドストレージ機能を使用するクラウド環境に移行する場合など,すでにインスタンスが用意されているときは,この作業は不要です。

(2) ファイルシステム,ディスク,およびS3バケットの用意

表21‒2 用意するファイルシステム,ディスク,およびS3バケット」に示すファイルシステム,ディスク,およびS3バケットを用意してください。

クラウドストレージ機能を使用しないクラウド環境から,クラウドストレージ機能を使用するクラウド環境に移行する場合
  • 図21‒1 システム構成例(クラウド環境でクラウドストレージ機能を使用する場合)」のS3バケット(BKT001),およびキャッシュファイル用のファイルシステム(CCH001)を新たに用意してください。

  • 必要に応じて,DBディレクトリ用のファイルシステム(FS002),およびデータインポートの入力データを格納するファイルシステム(FS003)も,新たに用意してください。

  • 移行前のシステムで次のDBエリアのデータを格納していたEBSのディスクについては,不要な場合は破棄してください。

    • マスタディレクトリ用DBエリア

    • ディクショナリ用DBエリア

    • システム表用DBエリア

    • データ用DBエリア

    破棄する場合は,HADBサーバを正常終了させてから作業を実施してください。HADBサーバが正常終了しているかどうかを確認する方法については,「21.3.3 移行前の準備作業」の「(7) HADBサーバの正常終了」を参照してください。

(3) HADBサーバおよびHADBオプションのインストール

用意したインスタンスにHADBサーバをインストールし,そのあとにHADBオプションをインストールしてください。HADBサーバおよびHADBオプションのインストール方法については,「8.2 インストール」を参照してください。

クラウドストレージ機能を使用しないクラウド環境から,クラウドストレージ機能を使用するクラウド環境に移行する場合

移行前のHADBサーバのバージョンが05-06以前の場合は,クラウドストレージ機能が使用できる05-07以降のHADBサーバにバージョンアップしてください。バージョンアップの手順については,「8.6 HADBサーバのバージョンアップ」を参照してください。

(4) セキュリティグループの設定

用意したインスタンスでセキュリティグループを設定してください。セキュリティグループの設定方法については,「21.1.4 クラウド環境でのHADBサーバの構築」の「(4) セキュリティグループの設定」を参照してください。

(5) AWS CLIのインストール

用意したインスタンスにAWS CLIをインストールしてください。AWS CLIのインストール方法については,「21.1.4 クラウド環境でのHADBサーバの構築」の「(5) AWS CLIのインストール」を参照してください。

(6) IAMポリシーの設定

HADB管理者ユーザに対してIAMポリシーを設定してください。IAMポリシーの設定方法については,「21.1.4 クラウド環境でのHADBサーバの構築」の「(6) IAMポリシーの設定」を参照してください。

(7) 認証情報ファイルの設定

用意したインスタンスで認証情報ファイルを設定してください。認証情報ファイルの設定方法については,「21.1.4 クラウド環境でのHADBサーバの構築」の「(7) 認証情報ファイルの設定」を参照してください。

(8) 環境変数の設定

用意したインスタンスで環境変数を設定してください。設定する環境変数については,「8.4 環境変数の設定」を参照してください。

(9) カーネルパラメタの設定

用意したインスタンスでカーネルパラメタを設定してください。設定するカーネルパラメタについては,「6.2 カーネルパラメタの見積もり」を参照してください。

(10) ネットワークの設定

21.1.2 ネットワーク構成」を参照して,必要なネットワークを設定してください。

(11) サーバ定義の作成

HADBサーバをインストールしたインスタンスでサーバ定義を作成してください。サーバ定義の作成方法については,「8.5 サーバ定義の作成および変更方法」を参照してください。サーバ定義に指定するオペランドについては,「7. サーバ定義の設計」を参照してください。

なお,クラウドストレージ機能を使用するため,次のオペランドは必ず指定する必要があります。

上記のほかにもクラウドストレージ機能に関するオペランドがあります。詳細については,「7.2.14 クラウドストレージ機能に関するオペランド(set形式)」を参照してください。

<サーバ定義の指定例>

set adb_db_path = /HADB/db
set adb_rpc_port = 23650
set adb_sys_max_users = 10
set adb_sys_rthd_num = 40
set adb_sys_uthd_num = 128
set adb_sql_exe_max_rthd_num = 4
set adb_sys_memory_limit = 64000
set adb_sys_cld_aws_region = ap-northeast-1        ...1
set adb_sys_cld_aws_bucket = adbbucket             ...2
set adb_sys_cld_cache_path = /HADB/ADBCCH          ...3
adbbuff -g TBLBUF01 \
        -n ADBUTBL01 \
        -p 1000000 \
        -v 1024
adbbuff -g IDXBUF01 \
        -n ADBUIDX01 \
        -p 2500000
[説明]

下記の( )内は,指定値の例を示しています。

  1. S3オブジェクトの格納先リージョン名(ap-northeast-1)を指定します。

    (12) データベースの初期設定」で作成する初期設定オプションのadb_init_cld_aws_regionオペランドと同じリージョン名を指定することを推奨します。

  2. S3オブジェクトの格納先S3バケット名(adbbucket)を指定します。

    (12) データベースの初期設定」で作成する初期設定オプションのadb_init_cld_aws_bucketオペランドと同じS3バケット名を指定することを推奨します。

  3. キャッシュファイルの格納先ディレクトリ名(/HADB/ADBCCH)を指定します。

(12) データベースの初期設定

adbinitコマンドを実行して,データベースを初期設定してください。

データベースの初期設定後,adbstartコマンドを実行してHADBサーバを開始してください。

初期設定オプションの指定例

adbinitコマンドを実行するときに指定する初期設定オプションの指定例を次に示します。

set adb_init_dbarea_initialize = Y
set adb_init_wrk_blk_path = /dev/dbarea_work/ADBWRK          ...1
set adb_init_cld_aws_region = ap-northeast-1                 ...2
set adb_init_cld_aws_bucket = adbbucket                      ...3
set adb_init_cld_cache_path = /HADB/ADBCCH                   ...4
adbinitdbarea -n ADBUTBL01 -p 32 -s 32                       ...5
adbinitdbarea -n ADBUIDX01 -p 32 -s 32                       ...5

[説明]

下記の( )内は,指定値の例を示しています。

  1. 作業表用DBエリアファイルを割り当てるEBS上のブロックスペシャルファイル名(/dev/dbarea_work/ADBWRK)を指定します。

  2. S3オブジェクトの格納先リージョン名(ap-northeast-1)を指定します。

  3. S3オブジェクトの格納先S3バケット名(adbbucket)を指定します。

  4. キャッシュファイルの格納先ディレクトリ名(/HADB/ADBCCH)を指定します。

  5. データ用DBエリア(ADBUTBL01ADBUIDX01の指定をします。DBエリアのページサイズには32キロバイトを,セグメントサイズには32メガバイトを指定してください。

    クラウドストレージ機能を使用する場合,作成されるデータ用DBエリアの容量は約1ペタバイトになります。

注※

移行前のシステムで定義していたDBエリア名と同じDBエリア名を指定してください。