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Hitachi Advanced Data Binder システム構築・運用ガイド


10.10.5 統計ログファイルの運用

〈この項の構成〉

(1) 統計ログファイルに出力される情報

統計ログファイルには,次に示すHADBサーバの稼働情報が出力されます。

統計ログファイルに出力された情報は,adbstatコマンドを実行することで確認できます。

HADBサーバは,統計ログファイルを自動的に4つ作成して使用します。

重要

作成された統計ログファイルを手動で更新しないでください。統計ログファイルに出力される情報が不正になるおそれがあります。

1つの統計ログファイルの最大容量は,サーバ定義adb_sta_log_max_sizeオペランド,およびadb_sta_log_size_unitオペランドで指定できます。サーバ定義adb_sta_log_max_sizeオペランド,およびadb_sta_log_size_unitオペランドについては,「7.2.7 統計情報に関するオペランド(set形式)」の次の個所を参照してください。

1つの統計ログファイルが最大容量に達すると,HADBサーバはその統計ログファイルへの出力をやめて,次の統計ログファイルに出力します。このとき,切り替え先の統計ログファイルに格納されている古い情報は,上書きされます。そのため,古い情報が上書きされる前に,定期的にadbstatコマンドを実行することで,統計ログファイルに出力された情報を出力しておく必要があります。

メモ
  • 使用される統計ログファイルは,HADBサーバを開始するときにサーバメッセージログファイルに出力されるKFAA80295-Iメッセージで確認できます。

  • 1つの統計ログファイルが最大容量に達して,統計ログファイルが切り替わる場合,サーバメッセージログファイルにKFAA80296-Iメッセージが出力されます。

  • 統計ログファイルの切り替えテストを実施する場合,サーバ定義adb_sta_log_size_unitオペランドを指定すると,統計ログファイルの最大容量の単位を小さくできます(メガバイト単位に変更できます)。

(2) 統計情報が上書きされない期間の目安

統計ログファイル中の統計情報が上書きされない期間の目安は,次の計算式で求められます。

計算式(単位:日)
統計情報が上書きされない期間の目安=(log_max×4,294,967,296÷output_info)÷1,440

変数の説明

  • log_max:サーバ定義のadb_sta_log_max_sizeオペランドの指定値(オペランド省略時は4)

  • output_info:1分当たりに出力される統計情報量の目安(単位:バイト)

    次の計算式から求めてください。

    690+432×adbbuff_num+960×connect_num+4,376×sql_num
  • adbbuff_num:サーバ定義のadbbuffオペランドで定義したグローバルバッファ数(HADBサーバによって自動的に定義されるグローバルバッファ数も含みます)

    メモ

    HADBサーバによって自動的に定義されるグローバルバッファについては,「7.2.11 グローバルバッファに関するオペランドおよびオプション(コマンド形式)」のadbbuffオペランドの説明を参照してください。

  • connect_num:HADBサーバへの同時接続数

  • sql_num:1分当たりのSQL文の実行回数

計算例

統計ログファイル中の統計情報が上書きされない期間の目安の計算例を示します。条件は次のとおりとします。

  • adb_sta_log_max_sizeオペランドの指定値:4

  • adbbuffオペランドで定義したグローバルバッファ数:128

  • HADBサーバへの同時接続数:128

  • 1分当たりのSQL文の実行回数:120

1分当たりに出力される統計情報量の目安(output_info

=690+432×128+960×128+4,376×120

=703,986(バイト)

統計情報が上書きされない期間の目安

=(4×4,294,967,296÷703,986)÷1,440

≒約17日

上記の条件の場合,統計情報が上書きされない期間は約17日となります。

(3) 統計ログファイルの出力先を変更する場合

統計ログファイルは,$ADBDIR/spoolディレクトリ下に出力されますが,サーバ定義adb_sta_log_pathオペランドを指定して,統計ログファイルの出力先ディレクトリを変更できます。サーバ定義adb_sta_log_pathオペランドについては,「7.2.7 統計情報に関するオペランド(set形式)」を参照してください。

重要

統計ログファイルの出力先ディレクトリを変更した場合,変更前の統計ログファイルに格納されている統計情報を参照できなくなります。そのため,統計ログファイルの出力先ディレクトリを変更する前に,adbstatコマンドを実行して統計情報を出力しておいてください。

(4) 統計ログファイルを削除する場合

統計ログファイルを削除する手順を次に示します。

重要

統計ログファイルを削除する場合は,ここで説明している手順に必ず従ってください。手順に従わないと,統計ログファイルに出力される情報が不正になるおそれがあります。

メモ

HADBサーバの運用テストを実施したあとに,統計ログファイルが不要になり削除することがあります。その場合は,ここで説明する手順に従って統計ログファイルを削除してください。

手順

  1. adbstopコマンドでHADBサーバを正常終了する

    マルチノード機能を使用している場合は,統計ログファイルを削除するノードのHADBサーバを正常終了してください。

    コールドスタンバイ構成の場合は,コールドスタンバイ構成を正常終了してください。

  2. OSのrmコマンドなどで,統計ログファイルの出力先ディレクトリ下のファイルを削除する

    次のファイルをすべて削除してください。

    • adbstatlogXX

      ファイル名のXXは通番であり,0104のどれかになります。

    • .adbstatlog

      隠しファイルです。

  3. adbstartコマンドでHADBサーバを正常開始する