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Hitachi Advanced Data Binder システム構築・運用ガイド


6.24.2 グループの処理リアルスレッド数を設定する際の考慮点

クライアントグループ機能を適用すると,HADBクライアントおよびコマンドが使用できる処理リアルスレッド数を,グループごとに設定できます。クライアントグループ機能で設定できる処理リアルスレッド数の種別を,次に示します。

グループで使用できる処理リアルスレッドの最大数および保証数については,「2.12.3 グループごとの接続数・処理リアルスレッド数の設定」を参照してください。

〈この項の構成〉

(1) グループで使用できる処理リアルスレッドの最大数および保証数を設定する際の考慮点

クライアントグループ機能を適用して,グループで使用できる処理リアルスレッドの最大数および保証数を設定する際には,次に示す点を考慮する必要があります。

クライアントグループ機能を適用した場合の,処理リアルスレッド数の使用範囲の概要について,次の図に示します。

図6‒10 クライアントグループ機能を適用した場合の,処理リアルスレッド数の使用範囲の概要

[図データ]

(2) クライアントグループ機能を適用した場合の処理リアルスレッド数の求め方

クライアントグループ機能を適用した場合の処理リアルスレッド数の求め方について,説明します。

■グループで使用できる処理リアルスレッドの最大数および保証数の求め方

グループで使用できる処理リアルスレッドの最大数および保証数は,サーバ定義adbcltgrpオペランドの指定値およびサーバ定義adb_sys_rthd_numオペランドの指定値に従って決まります。グループで使用できる処理リアルスレッドの最大数および保証数に設定した範囲で,グループに所属しているHADBクライアントとコマンドは処理リアルスレッド数を使用できます。グループで使用できる処理リアルスレッドの最大数および保証数について,次の表に示します。

表6‒30 グループで使用できる処理リアルスレッドの最大数および保証数

項番

処理リアルスレッド数の種別

各種別の値

1

処理リアルスレッドの最大数

次の計算式で求めた値になります。

[図データ]

2

処理リアルスレッドの保証数

次の値になります。

所属しているグループを設定したサーバ定義adbcltgrpオペランドの-eオプションの指定値

注※

次のコマンドは,最低限必要な処理リアルスレッド数が確保されないと実行できません。そのため,処理リアルスレッド数の最大数は,最低限必要な処理リアルスレッド数以上の値が確保されるように調整する必要があります。もし,最低限必要な処理リアルスレッド数以上の値が確保されない場合は,次のコマンドを実行してもエラーとなるおそれがあります。

  • adbimportコマンド

  • adbidxrebuildコマンド

  • adbgetcstコマンド

  • adbexportコマンド

  • adbmergechunkコマンド

  • adbarchivechunkコマンド

  • adbunarchivechunkコマンド

  • adbreorgsystemdataコマンド

各コマンドの最低限必要な処理リアルスレッド数は,「6.23.2 コマンドの実行時に使用する処理リアルスレッド数に関する考慮点」の「(2) コマンドの実行時に使用する処理リアルスレッド数を指定するオペランドとコマンドオプション」の「表6‒28 コマンドの実行時に使用する処理リアルスレッド数を指定するオペランドとコマンドオプションの一覧」を参照してください。

■処理リアルスレッド数の自由利用枠の求め方

処理リアルスレッド数の自由利用枠は,グループに所属しているかどうかに関係なく,すべてのHADBクライアントやコマンドが使用できる処理リアルスレッド数です。処理リアルスレッド数の自由利用枠は,次の計算式で求められます。

計算式

[図データ]

(3) クライアントグループ機能を適用した場合の処理リアルスレッド数の関係

クライアントグループ機能を適用した場合に,「(2) クライアントグループ機能を適用した場合の処理リアルスレッド数の求め方」で示した処理リアルスレッド数の種別の値が,それぞれどのように関係しているかについて,次の図に示します。

図6‒11 クライアントグループ機能を適用した場合の処理リアルスレッド数の関係

[図データ]

[説明]
  • HADBサーバの処理リアルスレッド数(80)から,クライアントグループの処理リアルスレッドの保証数(15)とコマンドグループの処理リアルスレッドの保証数(10)が確保されます。そのため,処理リアルスレッドの保証数で確保されていない残りの処理リアルスレッド数が,処理リアルスレッド数の自由利用枠(55)となります。処理リアルスレッド数の自由利用枠は,グループに所属しているかどうかに関係なく,すべてのHADBクライアントとコマンドが使用できる処理リアルスレッド数になります。

  • 処理リアルスレッド数の自由利用枠(55)の中で,各グループは,自グループで使用できる処理リアルスレッドの最大数から保証数を除いた数を上限として,処理リアルスレッド数を使用できます。この例の場合,クライアントグループは,自グループで使用できる処理リアルスレッドの最大数(35)から保証数(15)を除いた数(20)を上限として,処理リアルスレッド数の自由利用枠を使用できます。また,コマンドグループは,自グループで使用できる処理リアルスレッドの最大数(25)から保証数(10)を除いた数(15)を上限として,処理リアルスレッド数の自由利用枠を使用できます。

メモ

グループで使用できる処理リアルスレッドの最大数の合計値によっては,処理リアルスレッド数の自由利用枠の一部が「無所属のHADBクライアントやコマンドだけが使用できる処理リアルスレッド数」になることがあります。「図6‒11 クライアントグループ機能を適用した場合の処理リアルスレッド数の関係」の設定内容を基に,無所属のHADBクライアントやコマンドだけが使用できる処理リアルスレッド数と,グループで使用できる処理リアルスレッドの最大数の合計値との関係性について,次の図に示します。

図6‒12 無所属のHADBクライアントやコマンドだけが使用できる処理リアルスレッド数と,グループで使用できる処理リアルスレッドの最大数の合計値との関係性

[図データ]

[説明]

グループで使用できる処理リアルスレッドの最大数の合計値が,HADBサーバの処理リアルスレッド数より少ない場合,グループが常に使用しない処理リアルスレッド数が発生します。この処理リアルスレッド数が,「無所属のHADBクライアントやコマンドだけが使用できる処理リアルスレッド数」になります。

この例では,各グループで使用できる処理リアルスレッドの最大数の合計値(60)が,HADBサーバの処理リアルスレッド数(80)より少ないため,グループが常に使用しない処理リアルスレッド数(20)が発生します。この処理リアルスレッド数(20)は,無所属のHADBクライアントやコマンドだけが使用できます。