Hitachi

Hitachi Advanced Data Binder システム構築・運用ガイド

9.3.3　バックアップの運用例（OSコマンドを使用）

ここでは，OSのコマンドを使用したバックアップの運用例について説明します。

〈この項の構成〉

(1)　DBディレクトリとアーカイブディレクトリの構成例

バックアップを取得するDBディレクトリとアーカイブディレクトリの構成例を次の表に示します。なお，ここでは，DBディレクトリを/home/adbmanager/dbとし，アーカイブディレクトリを/home/adbmanager/archiveとしています。

表9‒7　DBディレクトリとアーカイブディレクトリの構成例

項番

バックアップの取得対象のディレクトリ名およびファイル名

説明

ファイルの種類

バックアップ取得の有無

1

/home/adbmanager/db/ADBDIC

ディクショナリ用DBエリアファイル

レギュラーファイル

○

2

/home/adbmanager/db/ADBMST

マスタディレクトリ用DBエリアファイル

レギュラーファイル

○

3

/home/adbmanager/db/ADBSTBL

システム表用DBエリアファイル

レギュラーファイル

○

4

/home/adbmanager/db/ADBSYS

システムディレクトリ

レギュラーファイル群

○

5

/home/adbmanager/db/ADBWORK

作業用ディレクトリ

レギュラーファイル

×

6

/home/adbmanager/db/ADBWRK

作業表用DBエリアファイル

レギュラーファイル

×

7

/home/adbmanager/db/ADBUTBL01※1

データ用DBエリアファイル

ブロックスペシャルファイル

○

8

/home/adbmanager/db/ADBUIDX01※1

データ用DBエリアファイル

ブロックスペシャルファイル

○

9

/home/adbmanager/db/SPOOL

障害情報（コアファイル）の出力先ディレクトリ

レギュラーファイル群

×

10

/home/adbmanager/archive

アーカイブディレクトリ※2

レギュラーファイル

○
（凡例）

○：バックアップを取得します。

×：バックアップを取得しません。

注※1

8個のブロックスペシャルファイルで構成されていることとします。

注※2

アーカイブマルチチャンク表を定義している場合に，アーカイブディレクトリのバックアップを取得する必要があります。

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(2)　OSのコマンドでバックアップを取得する

OSのコマンドを使用して，データベースのバックアップを取得する例を次に示します。

図9‒3　OSのコマンドでバックアップを取得する例

[図データ]

この例では，次に示す条件でバックアップを取得することとします。

条件

  • データベースの初期設定後，一度以上HADBサーバを開始している

  • 更新不可状態の実表がないことを確認している

  • データベースの更新を抑止するために，HADBサーバを正常終了する

  • バックアップの種類はフルバックアップとする

  • DBディレクトリとアーカイブディレクトリだけバックアップを取得する

手順

  1. データベースの更新を抑止する

    データベースのバックアップを取得する前に，データベースの更新を抑止します。ここでは，HADBサーバを正常終了します。

    adbstop

  2. HADBサーバの状態を確認する

    手順1.で，HADBサーバが正常終了していることを確認します。

    adbls -d srv

    実行結果のSTATUSの項目が，STOPになっていることを確認します。

  3. DBディレクトリとアーカイブディレクトリのバックアップを取得する（OSのコマンドでコピーする）

    OSのコマンドを実行して，「9.3.3(1)　DBディレクトリとアーカイブディレクトリの構成例」で示したバックアップの取得が必要なファイルをすべてコピーします。

    • DBディレクトリ下のファイルのコピー先

      /home/adbmanager/db_bkupディレクトリ

    • アーカイブディレクトリ下のファイルのコピー先

      /home/adbmanager/archive_bkupディレクトリ

    実行するOSのコマンドを次に示します。レギュラーファイルはcpコマンドで，ブロックスペシャルファイルはddコマンドで取得することを推奨します。

    cp -r /home/adbmanager/db/ADBSYS  /home/adbmanager/db_bkup/ADBSYS
 
cp -H /home/adbmanager/db/ADBMST  /home/adbmanager/db_bkup/ADBMST
 
cp -H /home/adbmanager/db/ADBDIC  /home/adbmanager/db_bkup/ADBDIC
 
cp -H /home/adbmanager/db/ADBSTBL /home/adbmanager/db_bkup/ADBSTBL
 
dd if=/home/adbmanager/db/ADBUTBL01
   of=/home/adbmanager/db_bkup/ADBUTBL01 bs=524288
 
dd if=/home/adbmanager/db/ADBUTBL01.00001
   of=/home/adbmanager/db_bkup/ADBUTBL01.00001 bs=524288
 
dd if=/home/adbmanager/db/ADBUTBL01.00002
   of=/home/adbmanager/db_bkup/ADBUTBL01.00002 bs=524288
 
dd if=/home/adbmanager/db/ADBUTBL01.00003
   of=/home/adbmanager/db_bkup/ADBUTBL01.00003 bs=524288
 
dd if=/home/adbmanager/db/ADBUTBL01.00004
   of=/home/adbmanager/db_bkup/ADBUTBL01.00004 bs=524288
 
dd if=/home/adbmanager/db/ADBUTBL01.00005
   of=/home/adbmanager/db_bkup/ADBUTBL01.00005 bs=524288
 
dd if=/home/adbmanager/db/ADBUTBL01.00006
   of=/home/adbmanager/db_bkup/ADBUTBL01.00006 bs=524288
 
dd if=/home/adbmanager/db/ADBUTBL01.00007
   of=/home/adbmanager/db_bkup/ADBUTBL01.00007 bs=524288
 
dd if=/home/adbmanager/db/ADBUIDX01
   of=/home/adbmanager/db_bkup/ADBUIDX01 bs=524288
 
dd if=/home/adbmanager/db/ADBUIDX01.00001
   of=/home/adbmanager/db_bkup/ADBUIDX01.00001 bs=524288
 
dd if=/home/adbmanager/db/ADBUIDX01.00002
   of=/home/adbmanager/db_bkup/ADBUIDX01.00002 bs=524288
 
dd if=/home/adbmanager/db/ADBUIDX01.00003
   of=/home/adbmanager/db_bkup/ADBUIDX01.00003 bs=524288
 
dd if=/home/adbmanager/db/ADBUIDX01.00004
   of=/home/adbmanager/db_bkup/ADBUIDX01.00004 bs=524288
 
dd if=/home/adbmanager/db/ADBUIDX01.00005
   of=/home/adbmanager/db_bkup/ADBUIDX01.00005 bs=524288
 
dd if=/home/adbmanager/db/ADBUIDX01.00006
   of=/home/adbmanager/db_bkup/ADBUIDX01.00006 bs=524288
 
dd if=/home/adbmanager/db/ADBUIDX01.00007
   of=/home/adbmanager/db_bkup/ADBUIDX01.00007 bs=524288
 
cp -r /home/adbmanager/archive  /home/adbmanager/archive_bkup
    注意事項

    ブロックスペシャルファイルのデータ量については，ボリューム全体をコピーするため，実際の使用量よりも増えます。

  4. データベースの更新抑止を解除する

    OSのコマンドを使用してバックアップを取得したら，データベースの更新抑止を解除できます。ここでは，次に示すコマンドを実行して，HADBサーバを開始してください。

    adbstart

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(3)　OSのコマンドでバックアップから回復する

OSのコマンドを使用して，取得したバックアップから回復する例を次に示します。

図9‒4　OSのコマンドでバックアップから回復する例

[図データ]

手順

  1. HADBサーバを終了する

    バックアップから回復する場合，HADBサーバを終了する必要があります。次に示すコマンドを実行して，HADBサーバを終了してください。

    adbstop

  2. バックアップから回復する（OSのコマンドでファイルを格納し直す）

    取得したバックアップから，データベースを回復します。

    まず，バックアップから回復する前のシステムログを削除するため，DBディレクトリ下にあるシステムディレクトリ（/home/adbmanager/db/ADBSYS）を削除してください。次に示すOSのコマンドを実行してください。 

    rm -r /home/adbmanager/db/ADBSYS

    次に，バックアップから回復する前のアーカイブファイルを削除するため，アーカイブディレクトリ下にあるアーカイブファイルを削除してください。次に示すOSのコマンドを実行してください。

    rm -r /home/adbmanager/archive/*

    そのあとで，「9.3.3(2)　OSのコマンドでバックアップを取得する」の「手順3.　DBディレクトリとアーカイブディレクトリのバックアップを取得する（OSのコマンドでコピーする）」で取得したすべてのファイルを格納し直してください。

    • バックアップを取得したDBディレクトリ下のファイルの格納先

      /home/adbmanager/dbディレクトリ

    • バックアップを取得したアーカイブディレクトリ下のファイルの格納先

      /home/adbmanager/archiveディレクトリ

    実行するOSのコマンドを次に示します。

    cp -r /home/adbmanager/db_bkup/ADBSYS  /home/adbmanager/db/ADBSYS
 
cp -H /home/adbmanager/db_bkup/ADBMST  /home/adbmanager/db/ADBMST
 
cp -H /home/adbmanager/db_bkup/ADBDIC  /home/adbmanager/db/ADBDIC
 
cp -H /home/adbmanager/db_bkup/ADBSTBL /home/adbmanager/db/ADBSTBL
 
dd if=/home/adbmanager/db_bkup/ADBUTBL01
   of=/home/adbmanager/db/ADBUTBL01 bs=524288
 
dd if=/home/adbmanager/db_bkup/ADBUTBL01.00001
   of=/home/adbmanager/db/ADBUTBL01.00001 bs=524288
 
dd if=/home/adbmanager/db_bkup/ADBUTBL01.00002
   of=/home/adbmanager/db/ADBUTBL01.00002 bs=524288
 
dd if=/home/adbmanager/db_bkup/ADBUTBL01.00003
   of=/home/adbmanager/db/ADBUTBL01.00003 bs=524288
 
dd if=/home/adbmanager/db_bkup/ADBUTBL01.00004
   of=/home/adbmanager/db/ADBUTBL01.00004 bs=524288
 
dd if=/home/adbmanager/db_bkup/ADBUTBL01.00005
   of=/home/adbmanager/db/ADBUTBL01.00005 bs=524288
 
dd if=/home/adbmanager/db_bkup/ADBUTBL01.00006
   of=/home/adbmanager/db/ADBUTBL01.00006 bs=524288
 
dd if=/home/adbmanager/db_bkup/ADBUTBL01.00007
   of=/home/adbmanager/db/ADBUTBL01.00007 bs=524288
 
dd if=/home/adbmanager/db_bkup/ADBUIDX01
   of=/home/adbmanager/db/ADBUIDX01 bs=524288
 
dd if=/home/adbmanager/db_bkup/ADBUIDX01.00001
   of=/home/adbmanager/db/ADBUIDX01.00001 bs=524288
 
dd if=/home/adbmanager/db_bkup/ADBUIDX01.00002
   of=/home/adbmanager/db/ADBUIDX01.00002 bs=524288
 
dd if=/home/adbmanager/db_bkup/ADBUIDX01.00003
   of=/home/adbmanager/db/ADBUIDX01.00003 bs=524288
 
dd if=/home/adbmanager/db_bkup/ADBUIDX01.00004
   of=/home/adbmanager/db/ADBUIDX01.00004 bs=524288
 
dd if=/home/adbmanager/db_bkup/ADBUIDX01.00005
   of=/home/adbmanager/db/ADBUIDX01.00005 bs=524288
 
dd if=/home/adbmanager/db_bkup/ADBUIDX01.00006
   of=/home/adbmanager/db/ADBUIDX01.00006 bs=524288
 
dd if=/home/adbmanager/db_bkup/ADBUIDX01.00007
   of=/home/adbmanager/db/ADBUIDX01.00007 bs=524288
 
cp -r /home/adbmanager/archive_bkup/archive/*  /home/adbmanager/archive
    注意事項

    DBディレクトリ下のファイルをバックアップから回復する場合，DBディレクトリ（/home/adbmanager/db）に上書きコピーしてください。空のディレクトリに対して，バックアップ対象のファイルをコピーして格納するだけでは，データベースの整合性が取れなくなり，HADBサーバはその後の動作を保証できません。

  3. HADBサーバを開始する

    取得したバックアップからデータベースを回復したら，HADBサーバを開始します。次に示すコマンドを実行して，HADBサーバを開始してください。

    adbstart

  4. HADBサーバの状態を確認する

    HADBサーバを開始したら，HADBサーバの稼働モードが通常モードになっているかどうかを確認します。次に示すコマンドを実行して，HADBサーバの状態を確認してください。

    adbls -d srv

    実行結果のSTATUSの項目を確認してください。STATUSがACTIVEになっていれば，稼働モードが通常モードになっています。

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