スケーラブルデータベースサーバ HiRDB Version 8 システム運用ガイド(UNIX(R)用)

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26.19.2 高速系切り替え機能

待機系HiRDBのサーバプロセス及びシステムサーバをあらかじめ起動しておいて,系の切り替え時にサーバプロセス及びシステムサーバの起動処理をしません。これを高速系切り替え機能といいます。系の切り替え時にサーバプロセス及びシステムサーバの起動処理がない分,系の切り替え時間を短縮できます。

なお,高速系切り替え機能の方がユーザサーバホットスタンバイより系の切り替え時間を短縮できます(高速系切り替え機能はユーザサーバホットスタンバイの機能を包括しています)。系の切り替え時間の比較を次の図に示します。

図26-80 系の切り替え時間の比較

[図データ]

〔説明〕
あらかじめ網掛け部分の処理を実行して待機するため,系の切り替え時に網掛け部分の処理が不要になります。その分だけ系の切り替え時間が短縮されます。
<この項の構成>
(1) IPアドレスについての条件
(2) 高速系切り替え機能を使用する場合に指定するオペランド

(1) IPアドレスについての条件

(a) HiRDB/シングルサーバの場合

高速系切り替え機能をするユニットはIPアドレスを引き継げません。したがって,HiRDB/シングルサーバの場合はIPアドレスを引き継がない構成にしてください。

(b) HiRDB/パラレルサーバの場合

高速系切り替え機能を使用するユニットはIPアドレスを引き継がないようにしてください。対象ユニットのユニット制御情報定義のpd_ha_ipaddr_inheritオペランドにNを指定します。高速系切り替え機能を使用しないユニットはIPアドレスを引き継ぐ構成にしてもかまいません。

バックエンドサーバのユニットを高速系切り替え機能の対象として,システムマネジャ及びフロントエンドサーバのユニットを対象外にすることをお勧めします。システムマネジャ及びフロントエンドサーバのユニットをIPアドレスを引き継がない構成にすると,系が切り替わった後の運用がIPアドレスを引き継ぐ場合に比べて難しくなります。システム構成例については,「26.19.3 高速系切り替え機能使用時のシステム構成例」を参照してください。

(c) クラスタソフトウェアにHAモニタを使用している場合

実行系及び待機系HiRDB(又はユニット)の開始前に,pdunitオペランドの-x及び-cオプションに指定したIPアドレスを起動しておいてください。HAモニタ用のaliasオペランドの値.upファイルや,aliasオペランドの値.downファイルには,pdunitオペランドの-x又は-cオプションに指定したIPアドレスを指定しないでください。クライアント接続用IPアドレスを引き継ぐ場合は,クライアント接続用IPアドレスを指定してください。なお,クライアント接続用IPアドレスなどの引き継ぐIPアドレスがない場合は,HAモニタのserver定義文のlan_updownオペランドにnouseを指定するか,又はaliasオペランドの値.upファイルとaliasオペランドの値.downファイルを削除してください。

(2) 高速系切り替え機能を使用する場合に指定するオペランド

高速系切り替え機能を使用するには,pd_ha_agentオペランドにstandbyunitを指定します。

また,HiRDB/パラレルサーバの場合はトランザクションキューイング機能を使用するかどうかを検討してください。トランザクションキューイング機能を使用すると,系切り替え時のトランザクションエラーを少なくできます。トランザクションキューイング機能については,「26.20 トランザクションキューイング機能」を参照してください。