スケーラブルデータベースサーバ HiRDB Version 8 システム運用ガイド(UNIX(R)用)
系切り替え後,IPアドレスを引き継ぐかどうかで,ネットワークの構成及び運用方法が異なります。それぞれの運用方法については,次に示す箇所を参照してください。
ここではネットワーク構成の違いについて説明します。
- 基本方針
- スタンバイ型系切り替え機能の場合は基本的にIPアドレスを引き継ぐシステム構成にすることをお勧めします(マルチスタンバイ構成は,IPアドレスを引き継ぐシステム構成の場合だけ適用できます)。IPアドレスを引き継がないシステム構成にすると,IPアドレスを引き継ぐ場合に比べて運用方法が難しくなります。
- クラスタソフトウェアによってIPアドレスを引き継げる場合と引き継げない場合があります。各クラスタソフトウェアのマニュアルなどで確認してください。
- 高速系切り替え機能を適用するユニットはIPアドレスを引き継がないシステム構成にしてください。
- スタンバイレス型系切り替え機能では,稼働中のホストが処理を引き継ぐため,IPアドレスの引き継ぎが発生しません。
- エイリアスIPアドレスを使用することをお勧めします。
- <この節の構成>
- (1) IPアドレスを引き継ぐ場合
- (2) IPアドレスを引き継がない場合
(1) IPアドレスを引き継ぐ場合
IPアドレスを引き継ぐには次に示す二つの方法があります。
- IPアドレスを切り替える
- LANアダプタを切り替える
エイリアスIPアドレスを使用してIPアドレスを切り替えます(一方を停止して,もう一方を起動します)。このとき,現用系と予備系とでIPアドレス及びホスト名を同じにしてください。IPアドレスを引き継ぐ場合のネットワーク構成例(IPアドレスを切り替える場合)を次の図に示します。
図26-29 IPアドレスを引き継ぐ場合のネットワーク構成例(IPアドレスを切り替える場合)
HiRDBが使用するLANアダプタのほかに保守用のLANアダプタを準備して,使用するLANアダプタを切り替えます(一方を停止して,もう一方を起動します)。このとき,現用系と予備系とでIPアドレス及びホスト名を同じにしてください。IPアドレスを引き継ぐ場合のネットワーク構成例(LANアダプタを切り替える場合)を次の図に示します。
図26-30 IPアドレスを引き継ぐ場合のネットワーク構成例(LANアダプタを切り替える場合)
(2) IPアドレスを引き継がない場合
- スタンバイ型系切り替え機能の場合
- IPアドレスを引き継がない場合は現用系と予備系とで異なるIPアドレス及びホスト名を設定します。したがって,HiRDBのシステム共通定義のpdunit -cオペランドに予備系のホスト名を指定する必要があります。
- 1:1スタンバイレス型系切り替え機能の場合
- 正規BESユニットと代替BESユニットとで異なるIPアドレス及びホスト名を設定します。また,pdunit -cオペランドを指定する必要はありません。
- 影響分散スタンバイレス型系切り替え機能の場合
- 正規ユニットと受け入れユニットとで異なるIPアドレス及びホスト名を設定します。また,pdunit -cオペランドを指定する必要はありません。
IPアドレスを引き継がない場合のネットワーク構成例を次の図に示します。
図26-31 IPアドレスを引き継がない場合のネットワーク構成例
- 注意事項(スタンバイ型系切り替え機能限定)
- HiRDB/シングルサーバの場合は,クライアント環境定義のPDHOSTオペランドに現用系及び予備系のホスト名を指定してください。
- システムマネジャのユニットがIPアドレスを引き継がない場合は,クライアント環境定義のPDHOSTオペランドに現用系及び予備系のホスト名を指定してください。フロントエンドサーバのユニットがIPアドレスを引き継がない場合は,クライアント環境定義のPDFESHOSTオペランドに現用系及び予備系のホスト名を指定してください。そうすれば,系が切り替わった後もPDHOST,PDFESHOSTオペランドの指定値を変更する必要はありません。
- PDHOSTオペランドに現用系及び予備系のホスト名を指定した場合,実行系が現用系から予備系に切り替わると,UAPは一度現用系(待機系)に接続を試みて失敗した後に予備系(実行系)に接続するため,UAPの接続処理時間がその分だけ長くなります。この問題を解決するには,クライアント接続用のホスト名をエイリアスIPアドレスで設定し,そのIPアドレスを引き継ぐようにしてください。この場合のホスト名の指定方法については,「26.4 IPアドレスを引き継ぐかどうかでのホスト名の運用方法の違い」を参照してください。
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