スケーラブルデータベースサーバ HiRDB Version 8 システム定義(UNIX(R)用)

[目次][索引][前へ][次へ]

3.2.6 システム監視に関するオペランド

12) pd_watch_time = 最大応答待ち時間
〜<符号なし整数>((0〜65535))(単位:秒)
このオペランドは旧バージョンとの互換性保証のための指定です。したがって指定する必要はありません。
このオペランドはHiRDB/パラレルサーバ限定のオペランドです。
HiRDBサーバプロセスが他のHiRDBサーバプロセス(ディクショナリサーバ/バックエンドサーバ)から応答が返ってくるまでの最大待ち時間を指定します。
HiRDBサーバプロセスの中断を許したくない時間を指定しますが,指定した時間を過ぎても該当HiRDBサーバプロセスの処理を確実に中断するわけではありません。
《利点》
HiRDBクライアントがSQL実行を中断(クライアントプロセスの強制終了など),又はコマンド・ユティリティの実行を中断(強制停止等)しても,HiRDBサーバが当該SQLやコマンド・ユティリティの実行を中止しない場合,HiRDBサーバはこのSQLやコマンド・ユティリティの実行を続けて長時間にわたって排他資源などを占有することがあります。このオペランドを指定すると,この占有時間を短くできます。
《指定値の目安》
次のうちの最も長い時間を指定してください。
  • クライアント環境定義のPDCWAITTIMEオペランドで指定する時間
  • pd_lck_wait_timeoutオペランドで指定する時間
  • 実行時間が最も掛かるSQLの処理時間
  • 実行時間が最もかかるコマンド・ユーティリティの時間値
《オペランドの省略値》
このオペランドを省略すると,システム共通定義の同じオペランドの指定値が有効となります。システム共通定義の同じオペランドも省略すると,0が仮定されます。
《注意事項》
  • このオペランドに0を指定した場合は,SQL実行時間の監視をしません。
  • SQLの最大実行時間を設定する場合は,このオペランドに0を設定し,クライアント環境変数PDCWAITTIMEでSQL最大実行時間を設定することをお勧めします。クライアント環境定義PDCWAITTIMEについては,マニュアル「HiRDB UAP 開発ガイド」を参照してください。
  • このオペランドにSQL実行時間より短い値を指定した場合,SQL実行中に処理が中断され,HiRDBクライアントにSQLエラーか,又はHiRDBサーバの異常終了が報告されることがあります。
  • HiRDB/シングルサーバの場合にこのオペランドを指定しても,SQL最大実行時間を監視しません。ただし,このオペランドを指定した場合,その指定値がpd_lck_wait_timeoutオペランドの省略値として使用されます。このため,HiRDB/シングルサーバの場合はこのオペランドを省略することをお勧めします。

 

13) pd_down_watch_proc = サーバプロセスの異常終了回数の上限値〔,監視間隔〕
このオペランドは,HiRDBのサーバプロセスの異常終了回数を監視するオペランドです。PDCWAITTIMEオーバ,又はアボートによって異常終了するプロセスを監視対象とします。
サーバプロセスの異常終了が多発すると,新たなサービスを受け付けられないことがあります。しかし,サーバプロセスの異常終了ではHiRDBは異常終了しないため,実質オンライン停止状態になります。このオペランドを指定すると,HiRDBの再開始によってこの状態を抜け出せます。
サーバプロセスの異常終了回数の上限値:〜<符号なし整数>((0〜65535))
サーバプロセスの異常終了回数がこのオペランドに指定した値を超えた場合,HiRDB(HiRDB/パラレルサーバの場合は該当するユニット)を異常終了させます。これをプロセスの異常終了回数監視機能といいます。プロセスの異常終了回数監視機能については,マニュアル「HiRDB Version 8 システム運用ガイド」を参照してください。
HiRDB/シングルサーバの場合は,シングルサーバプロセスの異常終了回数がカウントされます。HiRDB/パラレルサーバの場合は,ユニット内のフロントエンドサーバ,バックエンドサーバ,及びディクショナリサーバプロセスの異常終了回数の合計値がカウントされます。
なお,0を指定すると,サーバプロセスの異常終了回数を監視しません。
監視間隔:〜<符号なし整数>((10〜3600))(単位:秒)
サーバプロセスの異常終了回数を監視する時間を秒単位で指定します。
例えば,100を指定すると,100秒間隔でサーバプロセスの異常終了回数を監視します。
《利点》
  • HiRDBの再開始によってメモリ及びリソース状態がリフレッシュされて処理効率が向上します。
  • サーバプロセスの異常終了が多発した場合,HiRDBが異常終了するため,すぐに系を切り替えられます。
《注意事項》
  • サーバプロセスが異常終了すると,KFPS01820-Eメッセージが出力されます。pdcancelコマンドでサーバプロセスが異常終了したときにもKFPS01820-Eメッセージが出力されますが,これは異常終了回数のカウントに含まれません。
  • 相互系切り替え構成の場合,系が切り替わると同一サーバマシンで複数のHiRDBを稼働するため,逆にトラフィックが上昇して効果が得られないことがあります。このオペランドを指定する場合は,異常終了した系でHiRDBを再開始する運用をお勧めします。
《オペランドの規則》
サーバプロセスの異常終了回数の上限値を指定しないで監視間隔だけの指定はできません。
《オペランドの省略値》
このオペランドを省略すると,システム共通定義の同じオペランドの指定値が有効となります。システム共通定義の同じオペランドも省略すると,次に示す値が仮定されます。
  • サーバプロセスの異常終了回数の上限値:0
  • 監視間隔:600
《備考》
  • プロセスの異常終了回数監視機能によってHiRDBが異常終了する場合,KFPS01821-E及びKFPS00729-Eメッセージを出力します。
  • サーバプロセスが異常終了する要因と異常終了回数のカウント対象を次に示します。
    サーバプロセスが
    異常終了する要因
    異常終了回数のカウント対象
    シングルサーバプロセス フロントエンドサーバプロセス ディクショナリサーバプロセス バックエンドサーバプロセス
    クライアント環境定義のPDCWAITTIMEオペランドの値を超えた ×※1 ×※1
    pdcancelコマンド × ×※2 × ×
    内部強制終了(HiRDBが内部的にSIGKILLを発行してプロセスを終了させる場合) ※3 ※3 ×※1 ×※1
    アボート
    XA接続のUAPでロールバックが発生した × ×
    上記以外のプロセス異常終了
(凡例)
○:プロセスの異常終了回数にカウントされます。
×:プロセスの異常終了回数にカウントされません。
注※1
トランザクションブランチが発生した状態で障害を検知した場合,同一トランザクションブランチから発生したフロントエンドサーバプロセスの異常終了がカウントの対象になります。
注※2
pdcancelコマンドでバックエンドサーバプロセス又はディクショナリサーバプロセスを強制終了すると,フロントエンドサーバプロセスを内部的に強制終了します。この場合,フロントエンドサーバプロセスの異常終了がカウントされることがあります。
注※3
OLTPシステムによるグローバルトランザクションが発生した状態で障害を検知した場合,同一グローバルトランザクションから発生したシングルサーバプロセス又はフロントエンドサーバプロセスの異常終了がカウントの対象になります。