スケーラブルデータベースサーバ HiRDB Version 8 システム導入・設計ガイド(UNIX(R)用)

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2.3.1 HiRDB運用ディレクトリの作成

実行者 HiRDB管理者

HiRDB運用ディレクトリを各サーバマシンに作成してください。HiRDB運用ディレクトリとは,HiRDBを実行するディレクトリのことです。ここで作成したHiRDB運用ディレクトリ下にHiRDBの各種ディレクトリ及びファイルが格納されます。

なお,HiRDB運用ディレクトリはインストールディレクトリと同じにしないでください。インストールディレクトリをHiRDB運用ディレクトリとすると,ディスク圧迫によるトラブルや,インストールの失敗などの可能性があります。また,インストールするたびにインストールディレクトリの所有者をrootからHiRDB管理者に変更して,グループとモードを(1)のように変更する必要があります。

<この項の構成>
(1) HiRDB運用ディレクトリに設定する情報
(2) HiRDB運用ディレクトリ作成時の考慮点
(3) HiRDB運用ディレクトリ下のファイルの削除
(4) HiRDB運用ディレクトリのバックアップの取得

(1) HiRDB運用ディレクトリに設定する情報

HiRDB運用ディレクトリの名称は任意ですが,次に示す情報を設定してください。

また,次のことに注意してください。

(2) HiRDB運用ディレクトリ作成時の考慮点

  1. HiRDB運用ディレクトリを作成するには,500メガバイト以上のディスクの空き容量が必要で,推奨値は1ギガバイト以上です。ただし,この数値は一応の目安で,システムの規模によって大きく変動します。
  2. HiRDB運用ディレクトリはルートディスク以外に作成することをお勧めします。HiRDB運用ディレクトリ下にはトラブルシュート情報のファイル($PDDIR/spool下のファイル)が作成されます。これらのファイルをpdcspoolコマンドなどで定期的に削除しないと,ディスク容量不足によってOSの動作に影響を与えることがあります。
    HiRDB運用ディレクトリをルートディスクに作成する場合は,ルートディレクトリとは異なるパーティションにHiRDB運用ディレクトリを作成することをお勧めします。
  3. HiRDB運用ディレクトリはローカルディスクに作成してください。また,/etc/checklist又は/etc/fstabに指定するファイルシステムのマウントタイプにはnosuidを指定しないでください。
  4. HiRDB運用ディレクトリはシンボリックリンクしないでください。
  5. マルチHiRDBの場合は,HiRDBごとに異なる名称のHiRDB運用ディレクトリを作成してください。
  6. HiRDB/パラレルサーバで2:1系切り替え構成又は相互系切り替え構成をする場合は,全サーバマシンでHiRDB運用ディレクトリを同じにできません。このときのHiRDB運用ディレクトリの設定方法については,マニュアル「HiRDB Version 8 システム運用ガイド」を参照してください。

(3) HiRDB運用ディレクトリ下のファイルの削除

サーバプロセス,又はクライアントの強制終了時などに,HiRDBは$PDDIR/spool下にトラブルシュート情報を出力します。また,ワークファイルの出力先を特に指定していない場合にコマンド又はユティリティを[Ctrl+C]キーを押すなどして途中終了させると,$PDDIR/tmp下にコマンド又はユティリティが出力した作業用一時ファイルが削除されずに残ります。これらのファイルを残しておくと,HiRDB運用ディレクトリがあるディスクの容量を圧迫する原因になります。HiRDB運用ディレクトリがあるディスクの容量が不足するとHiRDBが異常終了することがあるため,HiRDBは次に示すファイルを定期的に削除します。

これらの単調増加するファイルについては,「1.2.2 単調増加ファイル」を参照してください。

なお,通常はこれらのファイルを24時間ごとに削除します。この削除間隔をpd_spool_cleanup_intervalオペランドで変更できます。また,pd_spool_cleanup_interval_levelオペランドで指定した日より前に出力されたファイルだけを削除するという指定ができます。

このほかにも,トラブルシュート情報($PDDIR/spool下のファイル)を一括して削除する方法があります。

備考
pdcspoolコマンドのオプション,pd_spool_cleanup_level,又はpd_spool_cleanup_intervalオペランドの指定で,削除するトラブルシュート情報を選択できます。

(4) HiRDB運用ディレクトリのバックアップの取得

HiRDB運用ディレクトリがあるディスクの障害などに備えて,HiRDB運用ディレクトリ下のファイル($PDDIR/conf下のファイル)のバックアップを取得してください。HiRDB運用ディレクトリを回復するには,$PDDIR/conf下のファイルのバックアップが必要になります。$PDDIR/conf下には,HiRDBシステム定義のファイルが格納されています。HiRDBシステム定義を変更した後に,$PDDIR/conf下のファイルのバックアップを取得してください。

また,HiRDB運用ディレクトリ下にユーザがファイルを作成する場合,そのファイルのバックアップも取得してください。HiRDB運用ディレクトリの回復時にそのファイルのバックアップが必要になります。

HiRDB運用ディレクトリの回復方法については,マニュアル「HiRDB Version 8 システム運用ガイド」を参照してください。

●HiRDB運用ディレクトリがあるディスクのバックアップを取得する場合
HiRDB運用ディレクトリがあるディスクのバックアップを取得する必要が生じた場合は,次に示す手順でバックアップを取得してください。
〈手順〉
  1. pdstopコマンドでHiRDBを終了します。
  2. pdsetup -dコマンドを実行します。nを応答してください。
  3. OSの機能(コマンド)で,HiRDB運用ディレクトリを格納しているディスクのバックアップを取得します。
  4. pdsetupコマンドを実行します。
  5. pdstartコマンドでHiRDBを開始します。
注※
バックアップの中に回復後の不正動作の元となるファイルを残さないためにpdsetup -dコマンドを実行します。また,回復後も必要となるファイルを残すためにnと応答します。