Dynamic Link Manager Software ユーザーズガイド(Solaris®用)

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3.7.2 ZFSブートディスク環境の作成(Solaris 10の場合)

Solaris 10の場合の,ZFSブートディスク環境を作成する手順について説明します。

この項の構成
(1) ローカルブートディスク環境をストレージシステムのLU上(SCSIデバイス)にコピーする
(2) ZFSブートディスク環境をSCSIデバイスからHDLMデバイスへリプレース する

(1) ローカルブートディスク環境をストレージシステムのLU上(SCSIデバイス)にコピーする

ローカルブートディスク環境をストレージシステムのLU上(SCSIデバイス)にコピーします。コピーする前に,あらかじめ次に示す準備を行ってください。

コピー前の準備

  1. LU#0とLU#1それぞれに,ディスクスライスを設定します。
    LUのディスクスライスはそれぞれ次のように設定してください。
    • スライス0:すべてのディスク領域を割り当てます。
    • スライス2:すべてのディスク領域を割り当てます。
    そのほかのスライスは使用しません 。
  2. zpool createコマンドを実行して, SCSIデバイス上にルートプールを作成します。
    # zpool createルートプール名 LUのSCSIデバイスのスライス0
    ルートプール名をrpool2,LUのSCSIデバイス名をc2t50060E8010253334d0とした場合の例を次に示します。
    # zpool create rpool2 c2t50060E8010253334d0s0
    
  3. zpool statusコマンドを実行して,ルートプールが正しく作成できていることを確認します。
    # zpool status
    pool: rpool2
    state: ONLINE
    scrub: none requested
    config:
    NAME                             STATE     READ  WRITE  CKSUM
    rpool2                        ONLINE       0       0      0
    c2t50060E8010253334d0s0        ONLINE      0       0      0
    errors: No known data errors
    
  4. lucreateコマンドを実行して,ローカルブートディスク環境をLU#0にコピーします。
    # lucreate -n 任意のブートディスク環境名 -p ルートプール名
    ブートディスク環境名をzfsBE,ルートプール名をrpool2とした場合の例を次に示します。
    # lucreate -n zfsBE -p rpool2
    
    コマンドが正常終了すると,ブートディスクがrpool2にコピー されます。
  5. lustatusコマンドを実行して,コピーしたZFSブートディスク環境を確認します。
    # lustatus
    Boot Environment   Is   Active   Active   Can   Copy
    Name           Complete Now   On Reboot Delete Status
    ---------------------------------------------------------------
    s10s_u9wos_14a     yes        yes   yes   no    -
    zfsBE              yes        no    no    yes   -
    
  6. 次のコマンドを実行して,ZFSブートディスク環境でブートできるように設定します。
    # luactivate ブートディスク環境名
    # installboot -F zfs /usr/platform/`uname -i`/lib/fs/zfs/bootblk LUのSCSIデバイス
    なお,installbootコマンドに指定するSCSIデバイスはrawデバイスです。
    ブートディスク環境名をzfsBE,LUのSCSIデバイス名をc2t50060E8010253334d0とした場合の例を次に示します。
    # luactivate zfsBE
    # installboot -F zfs /usr/platform/`uname -i`/lib/fs/zfs/bootblk /dev/rdsk/c2t50060E8010253334d0s0
    
  7. initコマンドを実行して,ホストを再起動します。
    # init 6
    
    ホストを再起動するとき,rebootコマンドは使わないでください。
  8. zpool exportコマンドを実行して,移行前のローカルブートディスク環境にあるルートプールをエクスポートします。
    # zpool export 移行前のルートプール
    移行前のルートプール名をrpoolとした場合の例を次に示します。
    # zpool export rpool
    

ホスト再起動後の設定

(2) ZFSブートディスク環境をSCSIデバイスからHDLMデバイスへリプレース する

(1) ローカルブートディスク環境をストレージシステムのLU上(SCSIデバイス)にコピーする」で作成したZFSブートディスク環境のデバイスを,HDLM管理対象デバイスに設定します。

ZFSブートディスク環境のデバイスに,まだHDLMがインストールされていない場合,ここでHDLMをインストールしておいてください。さらにHDLMのインストール後,ローカルブートディスク環境のデバイスをHDLMの管理対象外に設定してから,以降の手順を実行してください。

なお,HDLMのインストール手順については「3.5 HDLMのインストール」を参照してください。デバイスをHDLMの管理対象外に設定する手順については「3.5.6 HDLMの新規インストール時のHDLMデバイスの非構成機能」を参照してください。

  1. ls -lコマンドを実行して,HDLMデバイスの論理デバイスファイルを指定した場合に出力されるリンク先のファイル名を表示します。
    コマンドの実行例を次に示します。
    # ls -l /dev/dsk/c4t50060E8010253330d1s0
    lrwxrwxrwx 1 root root 60 Jun 17 16:28 /dev/dsk/c4t50060E8010253330d1s0
    -> ../../devices/pseudo/dlmndrv@1/dlmfdrv@w50060e8010253330,1:a
    
  2. zpool replaceコマンドを実行して,ZFSブートディスク環境のLU#0をSCSIデバイスからHDLMデバイスへリプレースします。
    # zpool replace ルートプール名 現在のブートディスク環境のデバイス HDLMデバイスの物理デバイス
    最後に指定するパラメタは,HDLMデバイスの物理デバイスファイルです。
    物理デバイスファイルは/devicesディレクトリ下のデバイスファイルです。
    HDLMデバイスの物理デバイスの例を次に示します。
    /devices/pseudo/dlmndrv@1/dlmfdrv@w50060e8010253330,1:a
    
    ルートプール名をrpool2,現在のブートディスク環境のデバイスをc2t50060E8010253334d0s0,HDLMデバイスの物理デバイスを/devices/pseudo/dlmndrv@1/dlmfdrv@w50060e8010253330,1:aとした場合の例を次に示します。
    # zpool replace rpool2 c2t50060E8010253334d0s0
    /devices/pseudo/dlmndrv@1/dlmfdrv@w50060e8010253330,1:a
    
  3. zpool statusコマンドを実行して,リプレースが完了したことを確認します。
    # zpool status
    
    リプレースが完了すると,次のメッセージが出力されます。
    scrub: resilver completed after hh:mm with 0 errors
    hh:mm」には,完了からの経過時間が表示されます。
    上記のメッセージが出力されていない場合は,時間をおいて から再度コマンドを実行して,リプレースが完了したことを確認してください。
  4. installbootコマンドを実行して,LU#1 をZFSブートディスク環境として設定します。 新しいブートディスク環境でブートできるように次のコマンドを実行します。
    # installboot -F zfs /usr/platform/`uname -i`/lib/fs/zfs/bootblk リプレース後のHDLMデバイス
    なお,installbootコマンドに指定するHDLMデバイスはrawデバイスです。
    HDLMデバイスの物理デバイスを/devices/pseudo/dlmndrv@1/dlmfdrv@w50060e8010253330,1:aとした場合の例を次に示します。
    # installboot -F zfs /usr/platform/`uname -i`/lib/fs/zfs/bootblk
    /devices/pseudo/dlmndrv@1/dlmfdrv@w50060e8010253330,1:a,raw
    
  5. 手順4で設定したZFSブートディスク環境からブートします。
    OBPで指定するブートパスの求め方は,「(5) 移行後の環境を構築する」の手順11を参照してください。

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