Dynamic Link Manager Software ユーザーズガイド(Solaris®用)
Solaris 10の場合の,ZFSブートディスク環境を作成する手順について説明します。
- この項の構成
- (1) ローカルブートディスク環境をストレージシステムのLU上(SCSIデバイス)にコピーする
- (2) ZFSブートディスク環境をSCSIデバイスからHDLMデバイスへリプレース する
(1) ローカルブートディスク環境をストレージシステムのLU上(SCSIデバイス)にコピーする
ローカルブートディスク環境をストレージシステムのLU上(SCSIデバイス)にコピーします。コピーする前に,あらかじめ次に示す準備を行ってください。
コピー前の準備
- ローカルブートディスクと同じ容量のLUが2つ必要となります。あらかじめ,ストレージシステム上に作成しておいてください。また,1つ以上のデータディスクもホストに設定 しておく必要があります。
- すでにHDLMをインストールしている場合,ストレージシステム上に作成した2つのLUのうち,1つはHDLMの管理対象外に設定しておいてください。もう1つはHDLM管理対象デバイスに設定しておいてください。
以降の手順では,HDLMの管理対象外に設定したLUを「LU#0」と表記します。また,HDLM管理対象デバイスに設定したLUを「LU#1」と表記します。
なお,HDLM管理対象デバイスを管理対象外のデバイスに変更するには,「3.5.6 HDLMの新規インストール時のHDLMデバイスの非構成機能」を参照してください。
- LU#0とLU#1それぞれに,ディスクスライスを設定します。
LUのディスクスライスはそれぞれ次のように設定してください。そのほかのスライスは使用しません 。
- スライス0:すべてのディスク領域を割り当てます。
- スライス2:すべてのディスク領域を割り当てます。
- zpool createコマンドを実行して, SCSIデバイス上にルートプールを作成します。
# zpool createルートプール名 LUのSCSIデバイスのスライス0
ルートプール名をrpool2,LUのSCSIデバイス名をc2t50060E8010253334d0とした場合の例を次に示します。# zpool create rpool2 c2t50060E8010253334d0s0- zpool statusコマンドを実行して,ルートプールが正しく作成できていることを確認します。
# zpool status pool: rpool2 state: ONLINE scrub: none requested config: NAME STATE READ WRITE CKSUM rpool2 ONLINE 0 0 0 c2t50060E8010253334d0s0 ONLINE 0 0 0 errors: No known data errors- lucreateコマンドを実行して,ローカルブートディスク環境をLU#0にコピーします。
# lucreate -n 任意のブートディスク環境名 -p ルートプール名
ブートディスク環境名をzfsBE,ルートプール名をrpool2とした場合の例を次に示します。# lucreate -n zfsBE -p rpool2コマンドが正常終了すると,ブートディスクがrpool2にコピー されます。- lustatusコマンドを実行して,コピーしたZFSブートディスク環境を確認します。
# lustatus Boot Environment Is Active Active Can Copy Name Complete Now On Reboot Delete Status --------------------------------------------------------------- s10s_u9wos_14a yes yes yes no - zfsBE yes no no yes -- 次のコマンドを実行して,ZFSブートディスク環境でブートできるように設定します。
# luactivate ブートディスク環境名
# installboot -F zfs /usr/platform/`uname -i`/lib/fs/zfs/bootblk LUのSCSIデバイス
なお,installbootコマンドに指定するSCSIデバイスはrawデバイスです。
ブートディスク環境名をzfsBE,LUのSCSIデバイス名をc2t50060E8010253334d0とした場合の例を次に示します。# luactivate zfsBE # installboot -F zfs /usr/platform/`uname -i`/lib/fs/zfs/bootblk /dev/rdsk/c2t50060E8010253334d0s0- initコマンドを実行して,ホストを再起動します。
# init 6ホストを再起動するとき,rebootコマンドは使わないでください。- zpool exportコマンドを実行して,移行前のローカルブートディスク環境にあるルートプールをエクスポートします。
# zpool export 移行前のルートプール
移行前のルートプール名をrpoolとした場合の例を次に示します。# zpool export rpoolホスト再起動後の設定
- 移行前がZFSブートディスク環境の場合
手順4で実行したlucreateコマンドでは,/exportディレクトリおよび/export/homeディレクトリはコピーされません。
これらのディレクトリ下のデータをコピーしたい場合は,/exportディレクトリおよび/export/homeディレクトリを移行後の環境にコピーしてください。コピーの手順が不明な場合は,Oracleサポートサービスを契約した会社へお問い合わせください。- 移行前がUFSブートディスク環境の場合
移行前のルートファイルシステム(スワップを含む)以外のUFSファイルシステムは,lucreateコマンドを実行しても移行後のルートプールにコピーできません。また,移行後の環境でも移行前のUFSファイルシステムはマウントされたままになります。
移行前のUFSファイルシステムを使用したくない場合は,移行後のルートプールにファイルシステムの内容をコピーしてください。UFSファイルシステムの内容をコピーする方法,および移行前のUFSファイルシステムのマウントを解除する方法が不明な場合,Oracleサポートサービスを契約した会社へお問い合わせください。
(2) ZFSブートディスク環境をSCSIデバイスからHDLMデバイスへリプレース する
「(1) ローカルブートディスク環境をストレージシステムのLU上(SCSIデバイス)にコピーする」で作成したZFSブートディスク環境のデバイスを,HDLM管理対象デバイスに設定します。
ZFSブートディスク環境のデバイスに,まだHDLMがインストールされていない場合,ここでHDLMをインストールしておいてください。さらにHDLMのインストール後,ローカルブートディスク環境のデバイスをHDLMの管理対象外に設定してから,以降の手順を実行してください。
なお,HDLMのインストール手順については「3.5 HDLMのインストール」を参照してください。デバイスをHDLMの管理対象外に設定する手順については「3.5.6 HDLMの新規インストール時のHDLMデバイスの非構成機能」を参照してください。
- ls -lコマンドを実行して,HDLMデバイスの論理デバイスファイルを指定した場合に出力されるリンク先のファイル名を表示します。
コマンドの実行例を次に示します。# ls -l /dev/dsk/c4t50060E8010253330d1s0 lrwxrwxrwx 1 root root 60 Jun 17 16:28 /dev/dsk/c4t50060E8010253330d1s0 -> ../../devices/pseudo/dlmndrv@1/dlmfdrv@w50060e8010253330,1:a- zpool replaceコマンドを実行して,ZFSブートディスク環境のLU#0をSCSIデバイスからHDLMデバイスへリプレースします。
# zpool replace ルートプール名 現在のブートディスク環境のデバイス HDLMデバイスの物理デバイス
最後に指定するパラメタは,HDLMデバイスの物理デバイスファイルです。
物理デバイスファイルは/devicesディレクトリ下のデバイスファイルです。
HDLMデバイスの物理デバイスの例を次に示します。/devices/pseudo/dlmndrv@1/dlmfdrv@w50060e8010253330,1:aルートプール名をrpool2,現在のブートディスク環境のデバイスをc2t50060E8010253334d0s0,HDLMデバイスの物理デバイスを/devices/pseudo/dlmndrv@1/dlmfdrv@w50060e8010253330,1:aとした場合の例を次に示します。# zpool replace rpool2 c2t50060E8010253334d0s0 /devices/pseudo/dlmndrv@1/dlmfdrv@w50060e8010253330,1:a- zpool statusコマンドを実行して,リプレースが完了したことを確認します。
# zpool statusリプレースが完了すると,次のメッセージが出力されます。
scrub: resilver completed after hh:mm with 0 errors
「hh:mm」には,完了からの経過時間が表示されます。
上記のメッセージが出力されていない場合は,時間をおいて から再度コマンドを実行して,リプレースが完了したことを確認してください。- installbootコマンドを実行して,LU#1 をZFSブートディスク環境として設定します。 新しいブートディスク環境でブートできるように次のコマンドを実行します。
# installboot -F zfs /usr/platform/`uname -i`/lib/fs/zfs/bootblk リプレース後のHDLMデバイス
なお,installbootコマンドに指定するHDLMデバイスはrawデバイスです。
HDLMデバイスの物理デバイスを/devices/pseudo/dlmndrv@1/dlmfdrv@w50060e8010253330,1:aとした場合の例を次に示します。# installboot -F zfs /usr/platform/`uname -i`/lib/fs/zfs/bootblk /devices/pseudo/dlmndrv@1/dlmfdrv@w50060e8010253330,1:a,raw- 手順4で設定したZFSブートディスク環境からブートします。
OBPで指定するブートパスの求め方は,「(5) 移行後の環境を構築する」の手順11を参照してください。
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