Dynamic Link Manager Software ユーザーズガイド(Solaris®用)
Solarisのパッチのインストール,HDLMの管理対象デバイスのバックアップ,ハードウェアの設定,ボリューム管理ソフトウェアの設定などを行います。
- この項の構成
- (1) HDLM管理対象予定のデバイスへの操作
- (2) Solarisのパッチのインストール
- (3) ハードウェアの設定
- (4) /kernel/drv/sd.confファイルの設定
- (5) カーネルモードの切り替え
- (6) /etc/systemファイルの設定
- (7) /etc/syslog.confファイルまたは/etc/rsyslog.confファイルの設定
- (8) VxVMの設定
- (9) SDSまたはSVMの設定
- (10) Sun Clusterの設定
- (11) Solaris11環境での設定
この手順は,HDLM管理対象予定のデバイスをすでに運用している場合に行ってください。
- HDLM管理対象予定のデバイスにアクセスするすべてのアプリケーションのプロセスを終了してください。
- 必要に応じてHDLM管理対象予定のデバイスの内容をテープなどにバックアップしてください。
- HDLM管理対象予定のデバイスの論理デバイスファイル名およびストレージシステムの内部LU番号の対応情報を控えてください。これは,HDLMをインストールしたあとの論理デバイスファイル名との対応が付けられるようにするためです。
- HDLMドライバ構成定義ファイル作成ユティリティ(dlmsetconf)を実行したあと,再構成オプションを指定してホストを再起動すると,HDLM管理対象予定のsdまたはssdデバイスの論理デバイスファイルが削除されます。/dev/dsk,/dev/rdskのディレクトリ下の論理デバイスファイルを別のディレクトリにバックアップしてください。
コマンドの実行例を次に示します。# mkdir /var/tmp/bkfile1 # ls -l /dev/dsk > /var/tmp/bkfile1/devices1 # ls -l /dev/rdsk > /var/tmp/bkfile1/devices2- HDLM管理対象予定のデバイスの登録を解除します。
クラスタソフトウェアを含むプログラム(ボリュームマネージャ以外)にHDLM管理対象予定のデバイスを登録している場合,登録を解除してください。HDLMデバイスにアクセスするときはHDLMデバイスの論理デバイスファイル名を使用するため,これまでの設定名ではアクセスできません。- マウントを解除します。
HDLM管理対象予定のデバイスをマウントしている場合は,マウントを解除してください。また,ホストの起動時に自動でマウントする設定をしている場合は,/etc/vfstabファイルを編集してその設定を削除してください。コマンドの実行例を次に示します。
- マウントの解除
はじめに,現在の設定を確認します。
# mount -p
現在の設定が次に示すように出力されます。
この例では,網掛けの部分がHDLM管理対象予定のデバイスです。ZFSファイルシステムの場合は,次のコマンドを実行してエクスポートします。
# zpool export zpool1
その他のファイルシステムの場合は,次のコマンドを実行してマウントを解除します。
# umount /mntpt- 自動マウントの解除
/etc/vfstabファイルの編集例を次に示します。
網掛け部分の行の先頭に「#」を付けてコメントアウトするか,または行を削除してください。- ボリューム管理ソフトウェアからHDLM管理対象予定のデバイスの登録を解除します。
VxVM,SDS,SVMなどで,HDLM管理対象予定のデバイスを登録している場合,その登録を解除してください。
「3.1.1 HDLMがサポートするホストとOS」を参照して,Solarisのパッチをインストールしてください。
Fibre Channel接続の場合は,接続方式(Fabric,ALなど)を確認し,接続方式に合わせて設定してください。
- ストレージシステムを設定します。
設定内容については,HDLMのソフトウェア添付資料とストレージシステムの保守マニュアルを参照してください。
日立製のRAID Managerで使用するコマンドデバイスは,HDLMの管理対象外です。
日立製のRAID Managerで使用するコマンドデバイスを冗長化するときは,日立製のRAID Managerの機能を利用してください。- スイッチを設定します。
設定方法については,スイッチのマニュアルを参照してください。スイッチを使用しない場合,この操作は不要です。- HBAを設定します。
設定方法については,HDLMのソフトウェア添付資料,およびHBAのマニュアルを参照してください。
(4) /kernel/drv/sd.confファイルの設定
sdドライバを使用する場合,使用するHBAドライバによっては,ディスクを認識するために/kernel/drv/sd.confファイルを編集する必要があります。ファイルを編集する方法については,HBAのマニュアルを参照してください。
ssdドライバを使用する場合は,接続されたディスクは自動的に認識されるため,ファイルの編集は不要です。
/kernel/drv/sd.confファイルを編集したあと,再構成オプションを指定してホストを再起動してください。次に示すコマンドのうち,どちらかを実行してください。
- # reboot -- -r
- okプロンプトでboot -r
ホストを再起動したあと,HDLMの管理対象予定のsdまたはssdデバイスが,formatコマンドで表示されていることを確認してください。
# format設定方法の詳細については,HBAのマニュアルまたはSolarisのマニュアルを参照してください。
32ビットカーネルを使用しているときにHDLMをインストールすると32ビット版のHDLMだけがインストールされます。64ビットカーネルを使用しているときにHDLMをインストールすると,32ビット版と64ビット版の両方のHDLMがインストールされます。HDLMをインストールする前に,32ビットカーネルと64ビットカーネルのどちらでSolarisを運用するかを決め,必要な場合はカーネルモードを切り替えておいてください。32ビット版のHDLMだけがインストールされているときに,カーネルモードを32ビットから64ビットに切り替えた場合,カーネルモードの切り替え後にHDLMを再インストールする必要があります。
現在使用しているカーネルモードを切り替える方法を次に示します。
- 現在使用しているカーネルモードを確認します。
次にコマンドの実行例を示します。# isainfo -b32ビットカーネルを使用している場合は「32」と表示され,64ビットカーネルを使用している場合は「64」と表示されます。- カーネルモードを切り替えます。
次のコマンドを実行して,カーネルモードを32ビットまたは64ビットに切り替えてください。
- 32ビットカーネルに切り替える場合
Solarisが起動されている場合は,次に示すコマンドを実行してください。
# reboot -- "ブートデバイス kernel/unix そのほかのブートオプション"
okプロンプトが表示されている状態から起動する場合は,次に示すコマンドを実行してください。
boot ブートデバイス kernel/unix そのほかのブートオプション- 64ビットカーネルに切り替える場合
Solarisが起動されている場合は,次に示すコマンドを実行してください。
# reboot -- "ブートデバイス kernel/sparcv9/unix そのほかのブートオプション"
okプロンプトが表示されている状態から起動する場合は,次に示すコマンドを実行してください。
boot ブートデバイス kernel/sparcv9/unix そのほかのブートオプション
HDLMはカーネルスレッドのスタックを最大8KB使用します。HDLMの使用量を加えたサイズをカーネルスレッドのスタックサイズに設定してしてください。Solaris 10またはSolaris 11はdefault_stksizeがlwp_default_stksizeより優先します。したがって,/etc/systemにdefault_stksizeが設定されている場合は,default_stksizeに8KB追加してください。また,HDLMデバイスを使用するボリュームマネージャやファイルシステムの説明書で,カーネルスレッドのスタックサイズを拡大するように指示している場合は,その値もカーネルスレッドのスタックサイズに加える必要があります。
カーネルモードが64bitのシステムで,カーネルスレッドのスタックサイズをデフォルトのサイズから増やす手順を次に示します。
- Solaris 8またはSolaris 9の場合
- /etc/systemに「set lwp_default_stksize=0x6000」を追加してから,ホストを再起動してください。
- Solaris 10またはSolaris 11の場合
- /etc/systemに次に示すどちらかのパラメタの記述を追加してから,ホストを再起動してください。
- set lwp_default_stksize=0x8000
- set default_stksize=0x8000
両方を記述した場合は,default_stksizeパラメタが優先されます。
(7) /etc/syslog.confファイルまたは/etc/rsyslog.confファイルの設定
dlmsetconfユティリティとHDLM障害情報収集ユティリティ(DLMgetras)は,syslogにメッセージを出力します。/etc/syslog.confまたは/etc/rsyslog.conf(システムログの構成定義ファイル)を参照して,Errorレベル以上のメッセージが出力される設定になっていることを確認します。
/etc/syslog.confまたは/etc/rsyslog.confに次に示す記述があることを確認してください。/etc/syslog.confファイルまたは/etc/rsyslog.confファイルの「*.err」の出力先は,デフォルトの/var/adm/messagesに指定することを推奨します。
*.err;kern.debug;daemon.notice;mail.crit; /var/adm/messages監査ログを採取する場合は,拡張用のFacility(local0~7)に監査ログ専用の出力先を指定することを推奨します。また,拡張用のFacilityの重要度は「info」を指定することを推奨します。/etc/syslog.confまたは/etc/rsyslog.confの設定例を次に示します。
local0.info /usr/local/audlog
HDLMとVxVMを同じホストで使用する場合,次の手順でVxVMを設定してください。
- /dev/dsk,/dev/rdskのディレクトリ下の論理デバイスファイルがバックアップされているか確認してください。
バックアップされていない場合は,「3.5.1 HDLMを新規インストールする前の準備」の「(1) HDLM管理対象予定のデバイスへの操作」に記載されている,手順4を実行して,バックアップしてください。- すでに作成されているディスクグループにHDLM管理対象予定のデバイスがある場合,該当するディスクグループをデポートします。
詳細は,VxVMのマニュアルを参照してください。HDLMインストール後,デポートしたディスクグループをインポートすることによって,HDLM管理対象デバイスでディスクグループを使用することができます。- SANRISE9500Vシリーズ,SANRISE9900Vシリーズ,Hitachi USPシリーズ,Hitachi AMS2000/AMS/TMS/WMS/SMSシリーズ,XP512,XP48,Universal Storage Platform V/VMシリーズまたはVirtual Storage Platformシリーズを使用する場合は,HDLMのインストール前にVxVMのArray Support Libraryをインストールしてください。
詳細は,ストレージシステムのマニュアルを参照してください。- VxVMをインストールしたあと,HDLMが管理対象とするsdまたはssdデバイスで構成されたディスクグループがbootdgとして登録されていないことを確認してください。
HDLMが管理対象とするsdまたはssdデバイスで構成されているディスクグループがbootdgとして登録されている場合は,次のどちらかを実施してください。詳細は,VxVMのマニュアルを参照してください。
- VxVMのコマンドで,ディスクグループからHDLMが管理対象とするsdまたはssdデバイスを削除する
- ディスクグループをbootdgの登録から解除する
- HDLMが管理対象とするsdまたはssdデバイスを,VxVMの管理対象から除外してください。
該当するsdまたはssdデバイスをVxVMの管理対象から除外する手順は,VxVMのマニュアルを参照してください。HDLMをインストールしている場合は,「3.14.3 VxVMでのデバイスの無効化」に従い,該当するsdまたはssdデバイスをVxVMの管理対象から除外してください。
HDLM管理対象予定のsdまたはssdデバイスをSDSまたはSVMで使用している場合,デバイスの設定を解除してください。詳細は,SDSまたはSVMのマニュアルを参照してください。
SDSまたはSVMの共有ディスクセットを使用する場合,各ホストのハード構成(ホストの種類,HBAの種類・数・搭載スロット,パス数と各パスが経由するHUBやスイッチ,各LUで使用するストレージポートとLUN)が同一であることを確認してください。
Sun Clusterを使用している場合,HDLMをインストールする前に次に示す操作をしてディスクデバイスグループおよびQuorumデバイスの設定を解除します。
- HDLM管理対象予定のsdまたはssdデバイスで構成されているディスクデバイスグループを解除します。
SDSまたはSVMのディスクセットの登録の解除については「3.18.2 HDLMをアンインストールする前の準備」の「(5) SDSでの設定解除」または「3.18.2 HDLMをアンインストールする前の準備」の「(6) SVMでの設定解除」を参照してください。ディスクセットの登録の解除によって,ディスクセットのデータは消去されます。データのバックアップを行ってください。
VxVMディスクグループをSun Clusterのディスクデバイスグループから解除する場合は,次に示す操作を行ってください。
- ディスクデバイスグループをオフラインにします。
# /usr/cluster/bin/scswitch -F -D ディスクデバイスグループ名- scsetupユティリティを起動します。
# /usr/cluster/bin/scsetup- 5(Device group and volumes)を選択します。「Device Group Menu」が表示されます。
- VxVMディスクグループを解除するには,3(Unregister a VxVM device group)を選択します。
画面に表示される指示に従って,登録を解除するディスクグループ名を入力します。
- HDLM管理対象予定のsdまたはssdデバイスをQuorumデバイスとして設定している場合,次に示す操作をして,Quorumデバイスの設定を解除します。
- QuorumデバイスのデバイスIDを確認します。
コマンドの実行例を次に示します。
# /usr/cluster/bin/scconf -pv | grep Quorum
# /usr/cluster/bin/scdidadm -L- Quorumデバイスが2つ以上存在する場合は,Quorumデバイスが1つになるまで次のコマンドを実行します。Quorumデバイスが最後の1つになった場合は,手順cに進んでください。
# /usr/cluster/bin/scconf -r -q globaldev=QuorumデバイスのデバイスID- 最後のQuorumデバイスの設定を解除するために保守状態にするノードで,スーパーユーザになります。
- すべてのリソースグループとsdまたはssdデバイスを保守状態にするノードから退避します。
コマンドの実行例を次に示します。
host1# /usr/cluster/bin/scswitch -S -h host1- 保守状態にするノードをokプロンプトの状態にして,クラスタから抜けます。
コマンドの実行例を次に示します。
host1# shutdown -g0 -y -i0- クラスタ内の別のノードでスーパーユーザになり,手順eで停止したノードを保守状態にします。
コマンドの実行例を次に示します。
host2# /usr/cluster/bin/scconf -c -q node=host1,maintstate- クラスタノードが保守状態であることを確認します。
保守状態にしたノードが,次の状態であることを確認してください。コマンドの実行例を次に示します。
- 状態がオフラインであること
- 現在の定足数投票数(Quorum votes present)および可能な定足数投票数(Quorum votes possible)が,「0」であること
host2# /usr/cluster/bin/scstat -q- クラスタが2ノード構成の場合,インストールモードにします。
クラスタが3ノード以上の構成の場合,この手順は必要ありません。手順iに進んでください。コマンドの実行例を次に示します。
host2# /usr/cluster/bin/scconf -c -q installmode- 最後のQuorumデバイスの設定を解除します。
コマンドの実行例を次に示します。
host2# /usr/cluster/bin/scconf -r -q globaldev=QuorumデバイスのデバイスID- 保守状態ではない任意のノードでスーパーユーザになります。
クラスタが2ノード構成の場合は手順lへ,3ノード以上の構成の場合は手順kへ進んでください。- クラスタが3ノード以上の構成の場合は,クラスタ定足数投票数を初期化します。
コマンドの実行例を次に示します。
host2# /usr/cluster/bin/scconf -c -q node=host1,reset- 保守状態にしたノードを保守状態から戻します。
okプロンプトの状態からbootを実行してください。- クラスタが2ノード構成の場合は,保守状態から戻したいノードが起動したことを確認したあとにクラスタ定足数投票数を初期化します。クラスタが3ノード以上の構成の場合,この手順は必要ありません。
コマンドの実行例を次に示します。
host2# /usr/cluster/bin/scconf -c -q node=host1,reset
- パッケージの発行元の確認
- Solaris11の環境で,現在設定されているパッケージの発行元にアクセスできない場合,HDLMのインストールに失敗するため,パッケージの発行元を無効にする必要があります。次の手順を行ってください。正常にアクセスできる場合は,この手順は必要ありません。
- pkg publisherコマンドを実行します。
# pkg publisher PUBLISHER TYPE STATUS URI solaris origin online http://pkg.oracle.com/solaris/release/- 設定されているパッケージの発行元を無効にします。
# pkg set-publisher --disable solaris- HDLMをインストールします。
- パッケージの発行元を再度有効にします。
# pkg set-publisher --enable solaris
- signature-policyの確認
- HDLMはsignatureには対応していません。このため,システムのsignature-policyがverifyに設定されていることを確認してください。
- pkg property signature-policyを実行します。
# pkg property signature-policy PROPERTY VALUE signature-policy verify- signature-policyがverifyでない場合は次のコマンドを実行し,verifyに設定してください。
# pkg set-property signature-policy verify- HDLMをインストールします。
- signature-policyの値を手順1で出力された値に戻します。
# pkg set-property signature-policy 手順1で出力された値
- 注意事項
- Solaris11の環境で,HDLMのインストールまたはアンインストール実行中に[Ctrl]+[C]で中断しないでください。
- non-global zoneの確認
- Solaris11 の環境で,現在設定されているパッケージの発行元にアクセスできない,かつnon-global zoneを構築済みの環境にインストールする場合,構築済みのnon-global zoneをデタッチする必要があります。設定されているパッケージの発行元に正常にアクセスできる場合は,この手順は必要ありません。
- zoneadmコマンドを実行します。
# zoneadm list -cv ID NAME STATUS PATH BRAND IP 0 global running / solaris shared 1 non-globalzone running /zones/non-globalzone solaris excl- ステータスがrunningの場合,non-global zoneをシャットダウンしステータスをinstalledにします。
# zoneadm -z non-globalzone shutdown # zoneadm list -cv ID NAME STATUS PATH BRAND IP 0 global running / solaris shared 1 non-globalzone installed /zones/non-globalzone solaris excl- non-global zoneをデタッチします。
# zoneadm -z non-globalzone detach- HDLM をインストールします。
- 必要に応じてnon-global zoneのアタッチや起動を行います。
# zoneadm -z non-globalzone attach # zoneadm -z non-globalzone boot
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