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OpenTP1 Version 7 分散トランザクション処理機能 TP1/Server Base Enterprise Option 使用の手引


6.3.3 UAPトレースファイルの運用

UAPトレースファイルは,UAPの障害に備えて,UAPで使用したTP1/EEのライブラリ関数の発行履歴をUAPトレース情報として取得します。UAPトレース情報では,エラーとなったライブラリ関数や取得日時などの,トラブルシュートに関する情報を取得します。UAPトレース情報は,プロセス関連定義のtrb_uap_trace_file_outオペランドを指定した場合に,TP1/EEのライブラリ関数を呼び出す前後で取得されます。

UAPトレースファイルに取得したUAPトレース情報は,eetrbuatedコマンドを実行して編集し,出力します。また,eetrbuapdumpコマンドを実行すると,コアファイルまたはメモリダンプファイルを入力情報として,UAPトレースファイルの編集結果を出力できます。

TASKTMスレッドの異常やI/Oが間延びしてバッファが不足した場合,eetrbuatedコマンドではUAPトレース情報を出力できません。ただし,eetrbuatfputコマンドを実行すると強制出力できます。

〈この項の構成〉

(1) UAPトレースファイルの容量設定

UAPトレースファイルは,トラブルシュート関連定義のtrb_uap_trace_file_sizeオペランドに指定したサイズで,TP1/EEのプロセスごとにUNIXファイルとして作成されます。プロセスごとに,トラブルシュート関連定義のtrb_uap_trace_file_noオペランドで指定した数のUAPトレースファイルが作成され,ラウンドロビン方式で使用されます。UAPトレースファイルのサイズおよびファイル数は,ノードで稼働するTP1/EEのプロセス数やノードのリソース容量などを考慮して,指定してください。

(a) 見積もりに必要な情報

UAPトレースファイルのサイズの見積もり方法を次に示します。

  • 1関数単位のバイト数:280

  • 1ブロック単位に付加する情報のバイト数:96

  • 1ファイル単位に付加する情報のバイト数:128

1サービス内で呼び出す関数の数(サービス関数自身も含む)をx,1秒間当たりのサービス数をv,システム稼働時間(秒)をtとするとUAPトレースファイルに出力する情報の合計は次に示す式で求める値になります。

UAPトレースファイルに出力する情報の合計(T)=
  (280×x×v×t)+(↑((280×x×v×t)÷200000)↑×96)+128
(凡例)

↑↑:小数点以下を切り上げます。

注※

ブロックサイズ(単位:バイト)です。

UAPトレースファイルに出力する情報の合計(T)から,UAPトレースファイルのサイズおよびファイル数を見積もってください。6時間(21600秒)で指定したファイル数を使い切り,ラウンドロビン方式で最初に作成したファイルの上書きが開始されるように,UAPトレースファイルのサイズおよびファイル数を指定することをお勧めします。

(b) 見積もり例

UAPトレースファイルの見積もり例を次に示します。

前提条件
  • 1関数発行単位のバイト数:280

  • 1サービス内で呼び出す関数の数:5回

  • 1秒間当たりのサービス数:100

  • システム稼働時間:6時間(21,600秒)

T=280×5×100×21600
   +(↑((280×5×100×21600)÷200×1024)↑×96)+128+256
 =3025417920
(凡例)

↑↑:小数点以下を切り上げます。

UAPトレースファイルに出力する情報の合計は,3025417920バイト(約2.8ギガバイト)になります。

ファイル数を3ファイルにすると,1ファイルに格納する情報は,次のようになります。

1ファイルに格納する情報=3025417920÷3=1008472640

1ファイルに格納する情報は,1008472640(約1.0ギガバイト)です。したがって,ファイルサイズを1ギガバイトとします。

(2) UAPトレースファイルの作成

UAPトレースファイルはTP1/EEの起動時,$DCDIR/spool/dceeinf/uatディレクトリ下にTP1/EEが作成します。したがって,OpenTP1管理者がUAPトレースファイルを作成する必要はありません。TP1/EEが作成するファイル名は,次に示す規則で付けられます。

サービスグループ名uatXXX(XXXは,3けたのファイル通番)

(3) UAPトレースファイルの削除

TP1/EEの起動時に,前回のTP1/EE稼働時のUAPトレースファイルが存在する場合は,最も古いUAPトレースファイルにUAPトレース情報を上書きします。したがって,OpenTP1管理者はUAPトレースファイルを削除する必要はありません。

(4) UAPトレースファイルの保存

出力中のUAPトレースファイルのサイズが,トラブルシュート関連定義のtrb_uap_trace_file_sizeオペランドの指定値を超えた場合,出力先が新しいUAPトレースファイルに切り替わることを通知するKFSB85400-Iメッセージが出力されます。このメッセージが出力されるタイミングで,UAPトレースファイルのバックアップを取得して,同一論理ボリューム上でファイル移動(mvコマンド)することをお勧めします。

UAPトレースファイル数が,トラブルシュート関連定義のtrb_uap_trace_file_noオペランドの指定値を超えた場合,最も古いUAPトレースファイルにUAPトレース情報を上書きします。古いUAPトレースファイルのUAPトレース情報を保存したい場合は,TP1/EEが上書きする前に,OpenTP1管理者がバックアップしてください。

使用中のUAPトレースファイルをバックアップした場合,編集結果が正しく表示できないことがあります。そのため,UAPトレースファイルを切り替えることを通知するメッセージが出力されてから,バックアップを取得してください。また,使用中のUAPトレースファイルは,移動または削除しないでください。

(5) UAPトレースファイルに関するシステム定義の関連

UAPトレースファイルに関するシステム定義には,ファイルサイズの指定(trb_uap_trace_file_sizeオペランド)とバッファサイズの指定(trb_uap_trace_buffer_sizeオペランド)があります。

それぞれのオペランドについて,次に示す式を満たすように指定してください。

a>b
(凡例)

a:trb_uap_trace_file_sizeオペランドの指定値

b:ファイル単位に付加する情報のバイト数+trb_uap_trace_buffer_sizeオペランドの指定値