6.2.1 TP1EEファイルシステムの運用
TP1EEファイルシステムとOpenTP1ファイルシステム(TP1/Server Baseで管理するファイルシステム)には,互換性がありません。したがって,TP1EEファイルシステムとOpenTP1ファイルシステムの両方を作成する必要がありますので,注意してください。ここでは,TP1EEファイルシステムの作成方法について説明します。
- 〈この項の構成〉
(1) TP1EEファイルシステムの作成
OpenTP1管理者は,TP1EEファイルシステムをeefilmkfsコマンドで初期設定します。このとき,TP1EEファイルシステム領域として,キャラクタ型スペシャルファイル,ブロック型スペシャルファイル,または通常ファイルを割り当てます。初期設定は,TP1EEファイルシステム領域を割り当てるときに一度だけ実行します。
TP1EEファイルシステムをキャラクタ型スペシャルファイルまたはブロック型スペシャルファイル上に作成する場合,パーティションの容量より大きな値を指定すると,そのパーティションに物理的に続くパーティションを破壊することがありますので注意してください。TP1EEファイルシステムを通常ファイル上に作成する場合,TP1EEファイルシステムの容量不足が発生しないように,容量を正しく見積もってください。
また,TP1EEファイルは,eestsinitコマンドを使ってTP1EEファイルシステム上に作成します。キャラクタ型スペシャルファイル上のTP1EEファイルシステムに作成したTP1EEファイルの完全パス名の例を次に示します。
TP1EEファイルの作成,運用方法の詳細については,「6.2.2 ステータスファイルの運用」を参照してください。
(2) TP1EEファイルシステムの状態表示
次のような場合,eefilstatfsコマンドでTP1EEファイルシステムの状態を表示できます。
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初期設定時に指定したセクタ長を確認したいとき
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TP1EEファイル用の領域の総容量を知りたいとき
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TP1EEファイル用の領域の中で,未使用の領域の容量を知りたいとき
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すでに作成されたファイルの数や,これから作成できるファイルの数を知りたいとき
表示内容は,ユーザ領域総容量,作成済みファイル数,ファイルシステム初期化時刻などです。
(3) TP1EEファイルシステムの内容表示
次のような場合,eefillsコマンドでTP1EEファイルシステムの内容を表示できます。
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TP1EEファイルシステム中にどのようなTP1EEファイルがあるか確認したいとき
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TP1EEファイルの所有者,アクセス権,レコード長,レコード数,および最終更新日時を確認したいとき
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TP1EEファイルのロック状態を確認したいとき
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eefilchmod(アクセス許可モードの変更)コマンド,eefilchown(所有者の変更)コマンドをすべてのファイル,または複数のファイルに対して実行する前に,TP1EEファイルの情報一覧を出力して確認したいとき
表示内容はアクセス権,所有者名,最終更新日時などです。
eefillsコマンド実行時,最終更新日時が最近のものから表示したり,最終アクセス日時が最近のものから表示したりすることを,オプションで指定できます。
(4) TP1EEファイルシステムのバックアップとリストア
TP1EEファイルには,TP1/EEのプロセスの回復などに使用する重要な情報が入っています。TP1EEファイルを破壊から守るため,定期的(TP1/EEの開始前など)にeefilbkupコマンドでTP1EEファイルシステムごと,またはTP1EEファイルごとにTP1EEファイルのバックアップを取得しておいてください。バックアップを取得しておけば,TP1EEファイルが破壊された場合でも,eefilrstrコマンドでTP1EEファイルをリストアして回復できます。なお,TP1EEファイル名を指定してリストアすることもできますが,これは主に保守情報を取得するために行います。
TP1EEファイルシステムのバックアップとリストアを次の図に示します。
eefilbkupコマンドを実行すると,レコード長,レコード数,および最終更新日時など個々のTP1EEファイルの属性もバックアップされます。
バックアップ用のファイルには一つのTP1EEファイルシステムだけがバックアップできます。複数のTP1EEファイルシステムをバックアップしたい場合は,バックアップしたいTP1EEファイルシステムごとに別のファイルを指定する必要があります。
(5) TP1EEファイルシステムの保護
操作の誤りでファイルを破壊することは絶対に避けなければなりません。そして,重要なファイル(オンラインを続行するための制御情報,会社の業務情報など)ほど厳重な保護をしなければなりません。ここでは,TP1EEファイルシステムの保護について説明します。
(a) TP1EEファイルシステム単位の保護
TP1EEファイルシステム単位にファイルの所有者とアクセス権を管理して,不意な破壊からTP1EEファイルシステムを保護しておきます。ファイルへのアクセス権は,OSのコマンド(例 chmodコマンド)を使って設定します。
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ファイル所有者の区別:OpenTP1管理者,OpenTP1グループ
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ファイルのアクセス権:読み書きできる,読むことができる
TP1EEファイルシステムの保護(所有者とアクセス権)の例を次の表に示します。
所有者/アクセス権 |
設定値 |
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---|---|---|
所有者 |
ユーザID |
OpenTP1管理者 |
グループID |
OpenTP1グループ |
|
アクセス権 |
所有者 |
rw(読み書きができる) |
グループ |
r-(読むことができる) |
|
その他 |
r-(読むことができる) |
(b) TP1EEファイル単位の保護
OpenTP1管理者は,オンライン中にコマンドを使ってTP1EEファイル単位に所有者とアクセス権を動的に変更できます。これによって,オンライン中にTP1EEファイルの使用を特定のユーザに認めたり認めなかったりできます。
-
TP1EEファイル所有者の変更
OpenTP1管理者は,eefilchownコマンドで,TP1EEファイルの所有者を変更できます。
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TP1EEファイルグループの変更
OpenTP1管理者は,eefilchgrpコマンドで,TP1EEファイルのグループを別グループに変更できます。
-
TP1EEファイルのアクセス許可モードの変更
OpenTP1管理者は,eefilchmodコマンドで,TP1EEファイルのアクセス許可モードを変更できます。
(6) TP1EEファイルシステムの割り当て
ファイルの種類ごとにディスクを分けてTP1EEファイルシステムを作成すれば,性能や信頼性を向上できます。しかし,ファイルの種類の数だけディスクを用意しなければならないため,コストが高くなります。
一つのディスクにすべてのファイルシステムを作成すれば,コストを低く抑えられます。しかし,ディスクが破壊された場合にすべてのファイルが使えなくなるため,信頼性は良くありません。
ファイルの構成を決めるときに考慮する,代表的な項目を次に示します。
-
ハードウェア構成上の考慮
キャラクタ型スペシャルファイルまたはブロック型スペシャルファイル上にTP1EEファイルシステムを作成する場合,ディスクの構成が決まっているときには,TP1EEファイルシステムに割り当てることができるパーティション数とその容量を知っておく必要があります。TP1EEファイルシステム作成の際に,誤って大きな容量を指定すると,そのパーティションに物理的に続くパーティションを破壊するおそれがありますので注意してください。
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性能上の考慮
アクセスが集中する複数のファイルを一つのディスクに割り当てると,データの入出力時間が掛かり性能が悪くなります。これを防ぐため,アクセスが集中するファイル同士はディスクを分ける必要があります。
最適なファイル構成にするためには,上記の項目などを考慮して性能・信頼性・コスト・操作性などを総合的に判断する必要があります。
(7) TP1EEファイルシステムのガーベジコレクション
TP1EEファイルの作成と削除を繰り返した場合,キャラクタ型スペシャルファイルまたはブロック型スペシャルファイル上のTP1EEファイルシステム中に十分な空き領域があっても,必要な連続領域が確保できないためにTP1EEファイルが作成できなくなることがあります。この場合,TP1EEファイルシステムのガーベジコレクション(TP1EEファイルシステム中の使用中の領域を集中させ,空き領域を連続させること)が必要になります。通常ファイル上のTP1EEファイルシステムの場合は,必要ありません。
TP1EEファイルシステムのガーベジコレクションを次の図に示します。
TP1EEファイルシステムのガーベジコレクションの手順を次に示します。
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TP1EEファイルシステムをeefilbkupコマンドでバックアップします。
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バックアップ済みのTP1EEファイルシステムをeefilmkfsコマンドで初期設定します。
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eefilrstrコマンドで,バックアップファイルを初期設定済みのTP1EEファイルシステムにリストアします。
(8) TP1EEファイルシステムの属性変更の手順
容量や最大ファイル数などのTP1EEファイルシステムの属性を変更できます。
TP1EEファイルシステムの属性変更の手順を次に示します。
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TP1EEファイルシステムをeefilbkupコマンドでバックアップします。
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セクタ長などの属性をeefilmkfsコマンドで変更します。
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eefilrstrコマンドで,バックアップファイルを初期設定済みのTP1EEファイルシステムにリストアします。
(9) TP1EEファイルシステムの再作成
TP1EEファイルシステムを作成する場合,すでにTP1EEファイルシステムが存在していても,コマンドのオプション指定でTP1EEファイルシステムを再作成できます。
TP1EEファイルシステムは,次のコマンドで再作成できます。
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eefilrstrコマンド(-t,-o,または-rオプションのどれかを指定した場合)
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eestsinitコマンド
TP1EEファイルシステムを再作成する場合,新しいTP1EEファイルシステムが作成されてから,既存のTP1EEファイルシステムが削除されます。このため,一時的にTP1EEファイルシステムを作成するための未使用領域が必要です。未使用領域が不足していると,容量不足となり,TP1EEファイルシステムの再作成に失敗します。再作成に失敗した場合は,既存のTP1EEファイルシステムをeestsrmコマンドで削除したあと,未使用領域を確保し,再度TP1EEファイルシステムを作成してください。