2.2.4 インストール後の設定
インストール後の設定について説明する。なお,論理ホスト環境でバッチジョブ実行システムを運用する場合は,「4.10.3 クラスタ運用の環境設定」を参照のこと。
(1) 設定ファイルの確認
ジョブを実行する前に/opt/hitachi/bjex/conf/bjex.confをシステムの環境に合わせて変更する。
bjex.confに指定する各種ディレクトリをデフォルトから変更した場合,あらかじめディレクトリを作成しておくこと。
その後,次に示す手順で設定ファイルの確認を必ず実施すること。
-
bjex.confのチェックを実施する
設定ファイル変更後,必ずbjexpdctlコマンドのconftestオプションを実行してエラーのないことを確認する。設定ファイルで指定する各種ディレクトリには,存在するディレクトリを指定すること。
-
スプールジョブ転送デーモンの起動確認を実施する
bjexpdctlコマンドのstartオプションで起動する。
-
必要に応じてbjexecコマンドによるバッチジョブの実行確認を実施する
設定ファイルは,スプールジョブ転送サービスと各バッチジョブで共用する。バッチジョブ実行時にスプールジョブに設定した属性を記録している。そのため設定ファイルは,すべてのスプールジョブを出力および削除したあとに変更する必要がある。また,新たにスプールジョブが生成されないように,すべてのプロセスを停止してから設定ファイルを変更すること。変更後は,上記の手順で設定ファイルの変更後の確認を必ず実施すること。
(2) JP1/IMの設定
バッチジョブ実行システムが通知するJP1イベントの詳細情報をJP1/IMで表示させるためには,バッチジョブ実行システムが提供する拡張属性定義ファイルをJP1/IMのディレクトリにコピーし,設定ファイルにJP1IM_MANAGER_HOSTパラメータを指定する必要がある。
(a) 拡張属性定義ファイルのコピー
拡張属性定義ファイルはバッチジョブ実行システムのインストール先ディレクトリのsystemディレクトリに格納されている。
- <拡張属性定義ファイルの名称>
-
-
hitachi_bjex_attr_ja.conf
-
拡張属性定義ファイルのコピーは次に示す手順で実行する。
- <手順>
-
-
拡張属性定義ファイルをJP1/IMのディレクトリにコピーする※
-
JP1/IM - Managerを再起動する
注※ JP1/IM - Managerがインストールされたマシンの定義ファイル格納ディレクトリを次に示す。
-
UNIXの場合
/etc/opt/jp1cons/conf/console/attribute/
または
共有ディレクトリ/jp1cons/conf/console/attribute/
-
Windowsの場合
Consoleパス\conf\console\attribute\
または
共有フォルダ\jp1cons\conf\console\attribute\
-
また,拡張属性定義ファイルはシフトJIS形式であるため,OSの種類に応じて次の表に示すとおり拡張属性定義ファイルをコード変換してから,JP1/IMのディレクトリにコピーすること。
バッチジョブ実行システムの種類 |
コピー先のOSの種類 |
|||
---|---|---|---|---|
AIX※ |
Linux |
HP-UX※ |
Windows |
|
AIX版 |
− |
UTF-8 |
− |
− |
Linux版 |
− |
UTF-8 |
− |
− |
- (凡例)
-
−:コード変換不要。シフトJIS形式のまま使用できる。
UTF-8:シフトJIS形式からUTF-8形式にコード変換する必要がある。
注※ コピー先のOSで使用している文字コード種別がEUCの場合は,EUCへのコード変換が必要。
(b) JP1IM_MANAGER_HOSTパラメータの設定
JP1イベントの送信先であるJP1/IM-Managerが稼働しているホストを,設定ファイルのJP1IM_MANAGER_HOSTパラメータで設定する必要がある。このパラメータを設定しない場合,バッチジョブ実行システムでは,バッチジョブ実行システムが稼働しているサーバ上でhostnameコマンドを実行したときに表示されるホスト名が,JP1イベントの送信先として仮定される。
JP1IM_MANAGER_HOSTパラメータの詳細については,「8. 設定ファイル」の「JP1IM_MANAGER_HOST(JP1/IM - Managerが稼働するホスト名定義)」を参照のこと。
(3) スプールジョブ転送デーモンの自動起動
スプールジョブ転送デーモンを,システムの起動時および終了時に自動的に実行させる設定方法を次に示す。
(a) AIXの場合
- システム起動時の自動起動機能
-
システム起動時の自動起動機能を設定するには,mkitabコマンドを使用して,自動起動の設定をする。設定後,次のシステム開始時から有効になる。
mkitab "bjexpd:2:wait:/opt/hitachi/bjex/sbin/bjexpdctl start"
スプールジョブ転送デーモンは,連携するJP1シリーズのあとに起動するよう設定すること。JP1/Base,JP1/IM,JP1/AJS,JP1/FTPの順に自動起動を設定する場合,次に示す指定をしてコマンドを実行する。
mkitab -i hntr2mon "jp1base:2:wait:/etc/opt/jp1base/jbs_start" mkitab -i jp1base "jp1cons:2:wait:/etc/opt/jp1cons/jco_start" mkitab -i jp1cons "jp1ajs2:2:wait:/etc/opt/jp1ajs2/jajs_start" mkitab -i jp1ajs2 "jp1_fts:2:wait:/etc/opt/jp1_fts/startup" mkitab -i jp1_fts "bjexpd:2:wait:/opt/hitachi/bjex/sbin/bjexpdctl start"
設定後,lsitabコマンドを使用して,設定内容を確認すること。lsitabコマンドは,次に示す指定をして実行する。
lsitab -a
次に出力例を示す。
init:2:initdefault: brc::sysinit:/sbin/rc.boot 3 >/dev/console 2>&1 # Phase 3 of system boot : hntr2mon:2:once:/opt/hitachi/HNTRLib2/etc/D002start jp1base:2:wait:/etc/opt/jp1base/jbs_start jp1cons:2:wait:/etc/opt/jp1cons/jco_start jp1ajs2:2:wait:/etc/opt/jp1ajs2/jajs_start jp1_fts:2:wait:/etc/opt/jp1_fts/startup bjexpd:2:wait:/opt/hitachi/bjex/sbin/bjexpdctl start
- システム終了時の自動終了機能
-
システム終了時の自動終了機能を設定するには,/etc/rc.shutdownを編集して,連携するJP1シリーズより先に停止させるように次に示す記述を追加のこと。
test -x /opt/hitachi/bjex/sbin/bjexpdctl && /opt/hitachi/bjex/sbin/bjexpdctl stop : 連携するJP1シリーズの停止処理 :
(b) Linuxの場合
Linux6以前とLinux7以降で,自動起動・停止の定義方法が異なるため,それぞれ次に示す手順で設定する必要がある。
-
Linux6以前
自動起動・停止するためのスクリプトファイルbjex_pdを/opt/hitachi/bjex/sampleディレクトリに格納している。このスクリプトファイルを利用して次の手順で設定する。
- /etc/rc.d/init.dディレクトリへの追加
-
/opt/hitachi/bjex/sampleディレクトリに格納されているbjex_pdを/etc/rc.d/init.dに追加する。bjex_pdを追加するには次のように指定する。
cp /opt/hitachi/bjex/sample/bjex_pd /etc/rc.d/init.d chmod u=rwx,go=rx /etc/rc.d/init.d/bjex_pd chown root:root /etc/rc.d/init.d/bjex_pd
-
自動起動のためのシンボリックリンク作成
/etc/rc.d/rcN.dディレクトリ(Nは起動時の実行レベル)に/etc/rc.d/init.d/bjex_pdへのシンボリックリンクを作成する。このとき,連携するJP1シリーズが起動したあとに起動されるように,シンボリックリンクの名称を付ける必要がある。
例えば,/etc/rc.d/rc3.dディレクトリ,/etc/rc.d/rc5.dディレクトリに提供されているJP1/Baseの自動起動スクリプトのシンボリックリンクの名称が「S99_JP1_10_BASE」,JP1/AJSの自動起動スクリプトのシンボリックリンクの名称が「S99_JP1_80_AJS2」の場合,文字列の大小関係で「S99_JP1_80_AJS2」よりも大きくなるようにシンボリックリンクの名称を「S99_UBJEX」とし,次のように指定することでJP1/Base,JP1/AJSよりあとに起動される。
ln -s /etc/rc.d/init.d/bjex_pd /etc/rc.d/rc3.d/S99_UBJEX ln -s /etc/rc.d/init.d/bjex_pd /etc/rc.d/rc5.d/S99_UBJEX chown -h root:root /etc/rc.d/rc3.d/S99_UBJEX chown -h root:root /etc/rc.d/rc5.d/S99_UBJEX
-
自動停止のためのシンボリックリンク作成
/etc/rc.d/rcN.dディレクトリ(Nは停止時の実行レベル)に/etc/rc.d/init.d/bjex_pdへのシンボリックリンクを作成する。このとき,連携するJP1シリーズの停止よりも前に停止されるようにシンボリックリンクの名称を付ける必要がある。
例えば,/etc/rc.d/rc0.dディレクトリ,/etc/rc.d/rc6.dディレクトリに提供されているJP1/Baseの自動停止スクリプトのシンボリックリンクの名称が「K01_JP1_90_BASE」,JP1/AJSの自動起動スクリプトのシンボリックリンクの名称が「K01_JP1_20_AJS2」の場合,文字列の大小関係で「K01_JP1_20_AJS2」よりも小さくなるようにシンボリックリンクの名称を「K01_BJEX」とし,次のように指定することでJP1/Base,JP1/AJSより先に停止される。
ln -s /etc/rc.d/init.d/bjex_pd /etc/rc.d/rc0.d/K01_BJEX ln -s /etc/rc.d/init.d/bjex_pd /etc/rc.d/rc6.d/K01_BJEX chown -h root:root /etc/rc.d/rc0.d/K01_BJEX chown -h root:root /etc/rc.d/rc6.d/K01_BJEX
なお,シンボリックリンクの名称の「K01_BJEX」の「_BJEX」部分をほかの名称にする場合は,スクリプトファイルbjex_pdの次の記述の「_BJEX」を変更する必要がある。
touch /var/lock/subsys/_BJEX rm -f /var/lock/subsys/_BJEX
-
Linux7以降
自動起動・停止するためのUnitファイルbjex.serviceを/opt/hitachi/bjex/sample ディレクトリに格納している。これを利用して次の手順で設定する。
- /usr/lib/systemd/system ディレクトリへの追加
-
/opt/hitachi/bjex/sample ディレクトリに格納されているbjex.serviceを/usr/lib/systemd/system に追加する。bjex.serviceを追加するには次のように指定する。
cp /opt/hitachi/bjex/sample/bjex.service /usr/lib/systemd/system chmod u=rw,go=r /usr/lib/systemd/system/bjex.service chown root:root /usr/lib/systemd/system/bjex.service
- bjex.serviceファイルの編集
-
Unitファイルbjex.serviceは,次に示す条件を満たす最低限必要な設定だけが記述されている。
-
システムの起動時に,JP1/BASEの後にスプールジョブ転送デーモンが起動される。
-
システムの終了時に,JP1/BASEの前にスプールジョブ転送デーモンが停止される。
必要に応じてbjex.serviceファイルの各項目を編集すること。
- 自動起動の有効化
-
bjex.serviceに対して自動起動を有効化する。自動起動を有効化するには次のように指定する。
systemctl --system enable bjex.service