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OpenTP1 Version 7 分散トランザクション処理機能 OpenTP1 プロトコル TP1/NET/OSI-TP編


1.2.2 適用範囲

TP1/NET/OSI-TPでは,次に示す四つの機能を実装しています。

カーネル機能と全二重機能または半二重機能はOSI TPプロトコルの基本機能です。ダイアログを開始し,メッセージを送受信できるようにします。また,メッセージ送受信中のエラー通知や,ダイアログの正常終了または異常終了ができます。ハンドシェイクは,システム間でメッセージの同期合わせをするために使用する機能です。

機能の実装範囲の詳細については,「付録D TP1/NET/OSI-TPの実装範囲」を参照してください。

TP1/NET/OSI-TPは,相手システムとの間だけで行われる特別な処理や,メッセージの重複,欠落などのチェックはしません。したがって,AP間通信をするときには,相手システムと自システムのUAPとの間で,次に示す項目に関して事前に取り決めておく必要があります。

〈この項の構成〉

(1) メッセージの送達の確認

相手システムから一方的にメッセージを送信する場合,相手システムと自システムのUAPとの間で連続して送信する個数や送信する回数を事前に決めておきます。また,連続して送信する場合は,送信したあとで,UAPは相手システムとの同期を取ることが必要です。これらの取り決めをすることで,資源不足による障害の発生を防ぎます。

OSI TPプロトコルのハンドシェイク機能を使用して,メッセージを相手システムが一方的に送信したあと,システム間の同期を取る例を次の図に示します。ハンドシェイクの詳細については,「2.2.6 ハンドシェイク」を参照してください。

図1‒4 メッセージの送達確認の例

[図データ]

(2) メッセージの重複,および欠落のチェック

メッセージの重複,および欠落のチェックをする場合は,相手システムと自システムのUAPとの間でメッセージの形式を事前に決めておきます。例えば,メッセージの内部を制御部とデータ部に分け,制御部にメッセージの通番を,データ部にはユーザの送信したいデータを格納しておきます。メッセージを受信する側が通番をチェックすることで,メッセージの重複,および欠落を検出できます。

メッセージの形式の例を次の図に示します。

図1‒5 メッセージの形式の例

[図データ]

(3) メッセージの応答の要否

OSI TPプロトコルでは,メッセージの応答が必要か不要かを選択できます。応答を不要とすると,通信するメッセージの回数を削減でき,性能が向上します。また,応答を必要とした場合は,メッセージが確実に送信されたかどうかが確認でき,信頼性が高まります。

メッセージの応答を不要とした場合の例を図1-6に,必要とした場合の例を図1-7に示します。

図1‒6 メッセージの応答を不要とした場合

[図データ]

図1‒7 メッセージの応答を必要とした場合

[図データ]

また,ダイアログの開始要求の応答を不要とした場合,それ以後に送信したメッセージが破棄されることがあります。詳細については,「2.2.4 ダイアログ」を参照してください。