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OpenTP1 Version 7 分散アプリケーションサーバ TP1/LiNK 使用の手引


3.2.2 SPPの詳細設定

SPP環境の詳細を設定するときは,[SPP環境設定]ダイアログボックスの[詳細設定(T)...]ボタンをクリックします。ボタンをクリックすると,[SPP詳細設定]ダイアログボックスが表示されます。

図3‒16 [SPP詳細設定]ダイアログボックス

[図データ]

ボタンの使い方
[初期値設定(I)]ボタン

[SPP詳細設定]ダイアログボックスのすべての項目を初期値にします。

[OK]ボタン

各項目を設定した値に変更し,[SPP詳細設定]ダイアログボックスを終了します。

[キャンセル]ボタン

各項目の値を変更しないで,[SPP詳細設定]ダイアログボックスを終了します。

〈この項の構成〉

(1) [トランザクション]タブに設定する項目

[トランザクション]タブは,図3-16を参照してください。

[トランザクション属性(T)]

このSPPでトランザクション機能を使うかどうかをチェックボックスで指定します。

このチェックボックスをオンにする場合は,[システム環境設定]ウィンドウで,[トランザクション機能]欄の[あり]オプションボタンをオンにしておいてください。

[トランザクションブランチ限界経過時間(E)]  〜<符号なし整数>((0〜65535))《0》(単位:秒)

このSPPでトランザクションブランチの処理を監視する限界経過時間を指定します。指定時間を超えたときは,このトランザクションブランチのプロセスを異常終了させて,ロールバックします。0を指定した場合は,時間監視しません。

[子トランザクションブランチを監視時間に含める(B)]

このSPPでトランザクションブランチの処理を監視する場合に,次に示す処理時間も監視時間に含めるかどうかをチェックボックスで指定します。

  1. 監視対象のトランザクションブランチが,RPC機能を使ってほかのトランザクションブランチを呼び出し,その処理が終わるのを待つ時間

  2. 連鎖RPCで呼び出されたサーバUAPが,次のサービス要求を待つ時間

  3. 監視対象のトランザクションブランチが,非同期RPCを使用してほかのトランザクションブランチを呼び出したあと,処理結果受信処理をしている時間

チェックボックスをオンにしたとき

1.,2.,3.のすべてを監視時間に含みます。

チェックボックスをオフにしたとき

3.だけを監視時間に含みます。

[リソースマネジャ拡張子設定(D)...]ボタン

このユーザサーバがアクセスするリソースマネジャ拡張子(リソースマネジャ接続時に設定したOPEN,CLOSE文字列に対応するリソースマネジャ拡張子)を設定する[リソースマネジャ拡張子設定]ダイアログボックスが表示されます。

(2) [閉塞]タブに設定する項目

[図データ]

[SPP異常終了時,閉塞しない(A)]

このSPPを実行中にサーバプロセスが異常終了した場合,サービスグループを閉塞するかどうかをチェックボックスで指定します。

チェックボックスをオンにしたとき

サービスグループを閉塞しないで,サーバプロセスを自動再起動します。

チェックボックスをオフにしたとき

サービスグループを閉塞します。

[連続異常終了限界経過時間(X)]  〜<符号なし整数>((0〜32767))《30》(単位:分)

このSPPでサーバプロセスが異常終了した回数を監視する限界経過時間を指定します。0を指定した場合は,時間監視しません。なお,指定時間内に3回連続してこのSPPのサーバプロセスが異常終了したときは,サービスグループを閉塞します。

[システム再開始時,閉塞状態を引き継ぐ(V)]

システムを再開始したときにサービスグループの閉塞状態を引き継ぐかどうかをチェックボックスで指定します。

チェックボックスをオンにしたとき

サービスグループの閉塞状態を引き継ぎます。

チェックボックスをオフにしたとき

サービスグループの閉塞状態を引き継ぎません。

[サービス単位の閉塞管理をする(S)]

このサービスグループに属するサービスについて,サービス単位の閉塞管理をするかどうかをチェックボックスで指定します。

チェックボックスをオンにしたとき

サービス単位に閉塞管理します。

チェックボックスをオフにしたとき

サービス単位の閉塞管理はしません。

サービス単位の閉塞管理をすることによって,サービス単位にサーバ異常終了時の閉塞,または[サービス閉塞管理]ダイアログボックスもしくは運用コマンドでの閉塞ができます。ただし,サーバ異常終了時のサービス単位の閉塞は,[SPP異常終了時,閉塞しない(A)]チェックボックスをオフにしたとき,または[連続サービス異常終了限界経過時間(T)]を指定したときだけできます。

対象となるサービスのスケジュール要求を受けた場合,サービス要求をサービス要求元にエラーリターンします。

[連続サービス異常終了限界経過時間(T)]  〜<符号なし整数>((0〜32767))《0》(単位:分)

このユーザサーバのサーバプロセスが,同一サービス実行中に異常終了した回数を監視する限界経過時間を指定します。0を指定した場合は,時間監視しません。

この項目を指定すると,指定した時間内にサーバプロセスが同一サービス実行中(dc_rpc_mainloop関数内)で3回異常終了した場合は,そのサービスを閉塞します。また,サーバプロセスがサービス実行中以外(dc_rpc_mainloop関数外)で3回異常終了した場合は,サービスグループを閉塞します。

この項目の指定値は,サーバプロセスが異常終了しても,サービスグループを閉塞しないでサービス単位で閉塞管理する場合に有効となります。

この項目の指定値に0以外の値を指定すると,サービス単位で異常終了した回数を監視するため,[連続異常終了限界経過時間(X)]を指定しても無視されます。

[連続サービス異常終了限界経過時間(T)]と,[SPP異常終了時,閉塞しない(A)],[サービス単位の閉塞管理をする(S)],および[連続異常終了限界経過時間(X)]の指定の関係を,次に示します。

各オペランドの指定値

サーバプロセスが異常終了した回数とOpenTP1の処理

[SPP異常終了時,閉塞しない(A)]

[サービス単位の閉塞管理をする(S)]

[連続異常終了限界経過時間(X)]

[連続サービス異常終了限界経過時間(T)]

1回目

2回目

3回目

オフ

オン

×

×

サービス閉塞

オフ

×

×

サービスグループ閉塞

オン

オン

0

指定なし

プロセス再起動

プロセス再起動

プロセス再起動

0以外

指定なし

プロセス再起動

プロセス再起動

サービスグループ閉塞

0

0

プロセス再起動

プロセス再起動

プロセス再起動

0以外

0

プロセス再起動

プロセス再起動

サービスグループ閉塞

×

0以外

プロセス再起動

プロセス再起動

サービス閉塞

オフ

0

×

プロセス再起動

プロセス再起動

プロセス再起動

0以外

×

プロセス再起動

プロセス再起動

サービスグループ閉塞

(凡例)

×:指定できません(指定しても無視されます)。

−:何もしません。

注※

サーバプロセスがサービス実行中以外(dc_rpc_mainloop関数外)で3回異常終了した場合は,サービスグループを閉塞します。

(3) [RPC]タブに設定する項目

[図データ]

[最大応答待ち時間(W)]  〜<符号なし整数>((0〜65535))《180》(単位:秒)

このSPPでRPCによってプロセス間で通信する場合,サービス要求を送信してからサービスの応答が返るまでの待ち時間の最大値を指定します。

指定時間を過ぎても応答がないときは,RPCは送受信タイムアウトとしてエラーリターンします。0を指定したときは,応答を受信するまで待ち続けます。この指定を省略した場合,[システム環境設定]−[RPC詳細設定]ダイアログボックスで設定したシステム共通の値が仮定されます。

[連鎖RPC間隔監視時間(C)]  〜<符号なし整数>((0〜65535))《180》(単位:秒)

このSPPが連鎖RPCで呼び出された場合,前回のサービス要求に応答を返してから次のサービス要求を受けるまで,またはトランザクションが終了するまでの最大時間間隔を指定します。指定時間を超えたときは,このSPPは異常終了します。0を指定したときは,連鎖RPCでの次のサービス要求を受けるまで,またはトランザクションが終了するまで待ち続けます。

[ソケット用ファイル記述子の最大数(F)]  〜<符号なし整数>((32〜2047))《64》

OpenTP1制御下のプロセスで,ソケット用に使用するファイル記述子の最大値を指定します。

OpenTP1制御下のプロセスでは,システムサービスやユーザサーバとの間で,ソケットを使用したTCP/IP通信でプロセス間の情報交換をしています。このため,同時に稼働するUAPプロセスの数によって,ソケット用のファイル記述子の最大数を変更する必要があります。

この指定値が小さいと,OpenTP1制御下の他プロセスとのコネクションが設定できなくなるため,プロセスはKFCA00307-Eのエラーメッセージを出力して異常終了します。

ソケット用ファイル記述子の最大数の計算式を次に示します。計算結果の値の小数点以下は切り上げます。

(このユーザサーバが通信するUAPプロセス数※1+システムサービスプロセス数※2)÷0.8

注※1

このユーザサーバが通信するUAPプロセス数は,次に示す値の合計です。

  • このユーザサーバが通信する自OpenTP1内のUAPプロセス数

  • このユーザサーバが通信する他ノード内のUAPプロセス数

注※2

システムサービスプロセス数とは,自OpenTP1内のシステムサービスプロセスの数です。自OpenTP1内のシステムサービスプロセスは,rpcstatコマンドで表示されるサーバ名をカウントすることで求められます。rpcstatコマンドで表示されるサーバ名のうち,マニュアル「OpenTP1 解説」のOpenTP1のプロセス構造に記載されているシステムサービスプロセスをカウントしてください。

指定を省略した場合,[システム環境設定]−[RPC詳細設定]ダイアログボックスで設定したシステム共通の値が仮定されます。

[ソケットの一時クローズ開始数(G)]  〜<符号なし整数>((0〜100))《100》(単位:%)

OpenTP1制御下のプロセスで,[ソケット用ファイル記述子の最大数]に指定した使用ソケット数の上限に対し,一時クローズ処理によるソケットの再利用を開始するパーセンテージを指定します。一時クローズ処理とは,保持したコネクションを,ユーザの関知しないところでコネクションを確立したプロセス間の合意のもとに切断することで,プロセス内で使用するソケット数を調整する機能です。

OpenTP1では,プロセス内のソケット用に使用しているファイル記述子の数が,「[ソケット用ファイル記述子の最大数]に指定した値×[ソケットの一時クローズ開始数]に指定した値÷100」の値を超えた時点で,一時クローズ処理を開始します。

0を指定すると,確立したコネクションを保持しないで,コネクションを確立するたびに一時クローズ処理を実行します。指定を省略した場合,[システム環境設定]−[RPC詳細設定]ダイアログボックスで設定したシステム共通の値が仮定されます。

[ソケットの一時クローズ非対象数(U)]  〜<符号なし整数>((0〜80))《0》(単位:%)

[ソケット用ファイル記述子の最大数]に指定した使用ソケット数の上限に対して,「[ソケット用ファイル記述子の最大数]に指定した値×[ソケットの一時クローズ非対象数]に指定した値÷100」の個数を一時クローズ処理の非対象として扱い,一時クローズ要求を送信しません。

ソケットの一時クローズ非対象数は,ソケットの一時クローズ開始数と同じか,それ以下の値を指定してください。指定を省略した場合,[システム環境設定]−[RPC詳細設定]ダイアログボックスで設定したシステム共通の値が仮定されます。

OpenTP1制御下のプロセスは,システムサーバやユーザサーバとの間で,ソケットを使用したTCP/IP通信による,プロセス間の情報交換をします。このとき,コネクション確立時のオーバヘッド削減のために,一度確立したコネクションは切断しないで保持し,同じプロセス間の通信で再利用しています。しかし,同じプロセス間の通信が頻繁に発生しない運用や,通信する相手プロセスが非常に多いシステムでは,保持しているコネクション数がある程度増えてきたときに適度にコネクションを解放し,1プロセスで使用するソケット数を調整および再利用できるようにする必要があります。

また,OpenTP1制御下のプロセスから電文の送信が発生した場合は,コネクションを確立するときに送信ポートを確保します。このポートの個数は1マシンで約4000であるため,UAPプロセスが1プロセスで保持するコネクション数の,システム全体の合計が2000を超えない程度に,[ソケットの一時クローズ開始数]および[ソケットの一時クローズ非対象数]を指定して調整してください。

この指定値が適切でないと,1プロセス内で使用できるソケット数が上限に達して,一時クローズによるソケットの再利用が新たなコネクション確立要求に追いつかなくなったり,システム全体で使用するポート数がTCP/IPの上限を超え,プロセスが異常終了したりする場合があります。

OpenTP1で使用するポート番号使用量の見積もり式については,「3.1.2(4) [ソケット]タブに設定する項目」の「表3-2 OpenTP1で使用するポート番号使用量の見積もり式」を参照してください。

[一時クローズ要求の応答監視時間(L)]  〜<符号なし整数>((0〜65535))《180》(単位:秒)

OpenTP1制御下のプロセスで,使用中のソケット数が[ソケット用ファイル記述子の最大数]で指定した上限値に達した時点から,一時クローズ処理でソケットが空いて再利用できるようになるまでの監視時間を指定します。

ここで指定した時間を過ぎてもソケットが空かない場合は,そのプロセスを異常終了させます。

0を指定した場合は,無限に待ちます。指定を省略した場合,[システム環境設定]−[RPC詳細設定]ダイアログボックスで設定したシステム共通の値が仮定されます。

[RPCトレースを取得するファイルの容量(J)]  〜<符号なし整数>((1024〜2147483647))(単位:バイト)

このSPPでRPCトレースを取得する場合,RPCトレースを取得するファイルの容量を指定します。指定を省略した場合,[システム環境設定]ウィンドウで設定したシステム共通の値が仮定されます。

なお,RPCトレースファイル容量よりも,はるかに大きい電文が送受信された場合,編集時に何も出力しなかったり,出力情報にRPCトレースの抜け落ちが発生したりします。

また,RPCトレースを取得した場合,処理スピードが遅くなることが原因となって,RPCがタイムアウトでエラーリターンすることがあります。この場合,[RPC詳細設定]ダイアログボックスのシステム共通の最大応答待ち時間に十分な値を指定してください。

[一時クローズ処理要求が到着していないかどうかを検査する(Z)]

OpenTP1制御下のSPP,MHPがサービス要求の受信待ち状態のとき,定期的に割り込んで,一時クローズ処理要求が到着していないか検査するかどうかをチェックボックスで指定します。

チェックボックスがオンのとき

サービス要求の受信待ち状態に定期的に割り込み,一時クローズ処理要求が到着していないかどうかを検査します。

チェックボックスがオフのとき

サービス要求の受信待ち状態に割り込まないで,トランザクション回復要求が到着するまで待ち状態を継続します。

クライアントからのサービス要求が長時間発生しない常駐UAPに対しては,オンにする必要があります。また,時間帯によって業務トラフィックにばらつきのあるシステムでは,常駐UAPについてもオンにする必要があります。

[ソケットの再利用指示を受信できる契機を与えるインタバル時間(Y)]  〜<符号なし整数>((1〜86400))《90》(単位:秒)

OpenTP1制御下のSPP,MHPが,サービス要求の受信待ち状態のとき,定期的に割り込んで,一時クローズ処理要求が到着していないかどうかを検査する場合の検査インタバル時間を,秒単位で指定します。

また,サービス要求を待つことなく次々にサービスを受け付けている場合には,連続してサービス要求を受け付けた時間が一定時間を超えたところで,一時クローズ処理要求が到着していないかどうかを検査します。

指定値は,このインタバル値としても使用されます(連続してサービス要求を受け付けた時間がこの指定値を超えたときの,一時クローズ処理要求到着検査には,割り込みは発生しません)。

この指定値は,[一時クローズ要求の応答監視時間(L)]指定値よりも小さい値を設定する必要があります。サービス要求待ち状態に割り込んで,一時クローズ処理要求受信を検査する機能は,[一時クローズ処理要求が到着していないかどうかを検査する(Z)]チェックボックスがオンのときにだけ動作します。

連続してサービス要求を受け付けたときに一時クローズ処理要求受信を検査する機能は,[一時クローズ処理要求が到着していないかどうかを検査する(Z)]の指定に関係なく動作します。最大値を指定した場合は,[一時クローズ処理要求が到着していないかどうかを検査する(Z)]の指定に関係なく,一時クローズ処理要求が到着していないかどうかの検査を実行しません。

[TCP/IPの受信バッファサイズ(H)]  〜<符号なし整数>((0,8192〜1048576))《8192》(単位:バイト)

コネクションごとに確保されるTCP/IPの受信バッファのサイズを指定します。

高速な通信媒体やMTUの大きな通信媒体を使用している場合,この値を大きくすれば性能向上を見込めます。ただし,イーサネットなどのMTUの小さな通信媒体を使用している場合,性能が悪くなるおそれがあります。

0を指定した場合は,OSの受信バッファサイズが適用されます。受信データサイズが8192バイトを超える場合,この項目に0を指定することで受信バッファのサイズが拡張され,性能が向上することがあります。

0を指定する場合の使用方法については,マニュアル「OpenTP1 運用と操作」の遠隔サービス要求時の通信レスポンスのチューニングに関する記述を参照してください。

なお,0を指定する場合,このノードと通信するすべてのノードで同じ値を指定してください。同じ値を指定しない場合,通信するノードとバッファサイズに差異が生じ,通信性能が劣化するおそれがあります。また,1〜8191は指定できません。OSで使用できるTCP/IPの受信バッファのサイズ以下の値を指定してください。

TCPは,受信したデータに対し,送達確認(ACK)パケットを返信します。受信バッファのサイズに対し,受信したデータが小さいと,データを受信しても直ちにACKを返信しません(遅延ACK)。この指定値に大きな値を指定し,小さいデータをやり取りし合うような通信処理の場合,遅延ACKの影響によって性能が悪くなるおそれがあります。遅延ACKについての詳細は,TCP/IPの文献を参照してください。

指定を省略した場合,[システム環境設定]−[RPC詳細設定]ダイアログボックスで設定したシステム共通の値が仮定されます。

[TCP/IPの送信バッファサイズ(O)]  〜<符号なし整数>((0,8192〜1048576))《8192》(単位:バイト)

コネクションごとに確保されるTCP/IPの送信バッファのサイズを指定します。

高速な通信媒体やMTUの大きな通信媒体を使用している場合,この値を大きくすれば性能向上を見込めます。ただし,イーサネットなどのMTUの小さな通信媒体を使用している場合,性能が悪くなるおそれがあります。

RPCは,送信バッファにデータ送信する段階で4キロバイト単位に送信していて,ネットワークの状態によっては送信バッファ内のデータがネットワーク上に出力しきれないで,送信処理に失敗することがあります。例えば,[RPC詳細設定]ダイアログボックスの[その他]タブで[RPC送受信電文の最大長(M)]に8を指定して8メガバイトのメッセージを送信する場合,ネットワークの状態次第では4キロバイトの送信処理で35ミリ秒の待ちが多く発生し,通信性能に大きな影響を与えるおそれがあります。

このような場合は,この項目に0を指定し,送信バッファサイズを調整することを推奨します。

0を指定した場合は,OSの送信バッファサイズが適用されます。送信データサイズが8192バイトを超える場合,この項目に0を指定することで送信バッファのサイズが拡張され,性能が向上することがあります。

0を指定する場合の使用方法については,マニュアル「OpenTP1 運用と操作」の遠隔サービス要求時の通信レスポンスのチューニングに関する記述を参照してください。

なお,0を指定する場合,このノードと通信するすべてのノードで同じ値を指定してください。同じ値を指定しない場合,通信するノードとバッファサイズに差異が生じ,通信性能が劣化するおそれがあります。また,1〜8191は指定できません。OSで使用できるTCP/IPの送信バッファのサイズ以下の値を指定してください。

指定を省略した場合,[システム環境設定]−[RPC詳細設定]ダイアログボックスで設定したシステム共通の値が仮定されます。

(4) [リモートAPI機能]タブに設定する項目

[図データ]

[OpenTP1が常設コネクションを自動管理する(P)]

SPPでリモートAPI機能の常設コネクションを使用してサービス要求する場合に,SPPとリモートAPI制御プロセスとの間のコネクションをTP1/LiNKが自動的に管理するかどうかをチェックボックスで指定します。

チェックボックスをオンにしたとき

TP1/LiNKが自動的にコネクションを管理します。

チェックボックスをオフにしたとき

dc_rap_connect関数またはdc_rap_disconnect関数を使ってユーザがコネクションを管理します。

[常設コネクション問い合わせ間隔最大時間(M)]  〜<符号なし整数>((0〜1048575))《0》(単位:秒)

SPPでリモートAPI機能を使用してサービス要求する場合に,リモートAPI制御プロセスがSPPからのサービス要求を処理してから,次のサービス要求を処理するまでの間の最大待ち時間を指定します。この指定値は,リモートAPI制御プロセス側で監視するタイマです。指定時間を超えても次のサービス要求がないときは,リモートAPI制御プロセスはSPPがダウンしたものと見なして処理します。0を指定したときは,リモートAPI制御プロセス側のデフォルト値(180秒)が有効となります。

(5) [サービス関数]タブに設定する項目

[図データ]

[サービス関数をリトライする最大回数(R)]  〜<符号なし整数>((0〜65535))《0》

サービスリトライ機能で,サービス関数をリトライする最大回数を指定します。

0を指定したときは,サービスリトライ機能を使用しません。このため,dc_rpc_service_retry関数はエラーリターンし,サービス関数はリトライされません。0以外を指定したときは,指定された回数だけ連続してサービス関数がリトライされます。指定された回数を超えて呼び出されたdc_rpc_service_retry関数はエラーリターンし,サービス関数はリトライされません。

[サービス関数実行監視時間(S)]  〜<符号なし整数>((0〜65535))《0》(単位:秒)

SPPでのサービス関数開始から終了までの実行監視時間を指定します。ここで指定した時間を超えてもサービス関数がリターンしない場合,SPPは異常終了します。0を指定したときは,時間監視しません。

[サービス単位にスケジュールサービスの動作を指定]欄

SPPがスケジュールキューにサービス要求を登録,または取り出す場合の動作をサービス単位に指定できます。[SPP環境設定]ダイアログボックスまたは[SPP.NET環境設定]ダイアログボックスの[登録するサービス]欄でサービスを削除した場合は,この欄に指定した値が自動的に削除されます。

  • [サービス名(C)]  〜<1〜31文字の識別子>

    サービス単位での動作を指定するサービス名称をドロップダウンリストボックスから選択します。選択すると対応する[同時実行可能なサービス数(P)],[キューイング可能なサービス要求数(N)],または[キューイング可能なサービス要求データ格納プール長(L)]の指定値が表示されます。

    ドロップダウンリストボックスから「サービス共通」を選択した場合は,すべてのサービスに対してサービス単位での動作を指定します。なお,「サービス共通」の設定とサービス名称を指定した設定がある場合は,サービス名称を指定した設定が優先されます。

  • [同時実行可能なサービス数(P)]  〜<符号なし整数>((1〜128))

    [サービス名(C)]で選択したサービス名に対するサービス要求について,同時実行可能なサービス数の上限値を指定します。

    この指定値は,SPPの最大プロセス数([SPP環境設定]ダイアログボックスに指定したプロセス数の合計値([常駐(R)]+[非常駐(N)])またはscdchprcコマンドで指定)よりも小さい値の場合に有効になります。この指定を省略した場合,同時実行可能なサービス数の上限値はチェックしません。

  • [キューイング可能なサービス要求数(N)]  〜<符号なし整数>((1〜65535))

    [サービス名(C)]で選択したサービス名に対するサービス要求について,スケジュールキューにキューイング可能なサービス要求数を指定します。

    この指定値は,SPPのサービス要求データ格納プールにキューイング可能なサービス要求数よりも小さい値の場合に有効になります。この指定を省略した場合,キューイング可能なサービス要求数はチェックしません。

  • [キューイング可能なサービス要求データ格納プール長(L)]  〜<符号なし整数>((1〜30719))(単位:キロバイト)

    [サービス名(C)]で選択したサービス名に対するサービス要求について,スケジュールキューにキューイング可能なサービス要求データ格納プール長を指定します。

    この指定値は,SPPのサービス要求データ格納プール長([SPP環境設定]ダイアログボックスに指定した[サービス要求データ格納プール長(B)])よりも小さい値の場合に有効になります。この指定を省略した場合,キューイング可能なサービス要求データ格納プール長はチェックしません。

注意事項

[キューイング可能なサービス要求数(N)]および[キューイング可能なサービス要求データ格納プール長(L)]の指定値によって,スケジュールキューにサービス要求が登録できない場合には,KFCA00831-Wメッセージを出力してほかのTP1ノードへの再スケジュールを試みます。再スケジュール先が存在しない場合は,RPC発行元にDCRPCER_NO_BUFS(-304)がリターンされます。

(6) [その他]タブに設定する項目

[図データ]

[システム再開始時,自動起動する(N)]

TP1/LiNK再開始時,SPPを自動起動するかどうかをチェックボックスで指定します。

SPPが正常終了した場合,この指定は無効となります。

チェックボックスをオンにしたとき

TP1/LiNK再開始時,自動起動します。

チェックボックスをオフにしたとき

TP1/LiNK再開始時,自動起動しません。

[UAPトレース格納最大数(K)]  〜<符号なし整数>((0〜4095))《32》

SPPで取得できるUAPトレースのレコード数を指定します。1レコードのサイズは256バイトです。0を指定したときは,UAPトレースを取得しません。

[スケジュール遅延限界経過時間(S)]  〜<符号なし整数>((0〜32767))《0》(単位:秒)

スケジュールキューによるスケジューリングの遅延限界経過時間を指定します。

スケジュールキューにサービス要求が登録されているにもかかわらず,サービス要求が取り出されない状態が,この指定値を超えて続くと,該当サーバごとにKFCA00838-Wのエラーメッセージを出力します。

この際,[スケジュール遅延時にシステムダウンする(A)]をオンにしている場合には,SCDデーモンが異常終了してTP1/LiNKがシステムダウンします。この指定値を省略,または0を指定した場合,スケジュール遅延を監視しません。

スケジュールサービスは,10秒のインタバルでスケジュール遅延を監視するため,スケジュール遅延を検知するのに最大10秒掛かることがあります。この指定値には,該当サーバの起動処理時間およびサービス処理時間よりも大きい値を指定してください。

[スケジュール遅延時にシステムダウンする(A)]

スケジュール遅延時にシステムダウンするかどうかをチェックボックスで指定します。

チェックボックスがオンのとき

スケジュール遅延時にシステムダウンします。

チェックボックスがオフのとき

スケジュール遅延時にシステムダウンしません。

スケジュールキューにサービス要求が登録されているにもかかわらず,サービス要求が取り出されない状態が,[スケジュール遅延限界経過時間(S)]の指定値を超えて続くと,オンにした場合,KFCA00839-Eのエラーメッセージを出力したあと,SCDデーモンが異常終了してシステムダウンします。[スケジュール遅延限界経過時間(S)]を省略,または0を指定した場合,この指定は無視されます。