Hitachi

OpenTP1 Version 7 分散アプリケーションサーバ TP1/LiNK 使用の手引


2.1.1 セットアップの準備

TP1/LiNKをセットアップする前に,準備しておく内容について説明します。

〈この項の構成〉

(1) マシンの環境を確認します

TP1/LiNKをWindowsにセットアップする前に,使うマシンの環境を確認してください。確認する項目を次に説明します。

(a) ディスク容量

TP1/LiNKをセットアップする前に,ディスクの空き容量が十分かどうかをWindowsエクスプローラで確認してください。

(b) ネットワーク環境

TP1/LiNKでは,TCP/IPのネットワーク環境が組み込まれていることが前提です。ネットワーク環境にTCP/IPを組み込んであることを確認してください。組み込んでいない場合は,TCP/IPの環境をセットアップしてください。

TCP/IPの環境を組み込む方法については,Windowsのマニュアルのネットワーク環境に関する記述を参照してください。

(c) ファイルシステム

Windowsのファイルシステムには,FATを使ってもNTFSを使ってもかまいません。ただし,FATを使うと,システム管理者以外のユーザからもファイルシステムにアクセスできるため,TP1/LiNKのセキュリティを保証できません。FATとNTFSのどちらを使うかは,業務内容に応じて選んでください。

FAT,NTFSの使い方については,Windowsのマニュアルを参照してください。

(d) Microsoft Visual C++の環境変数

TP1/LiNKにリソースマネジャを接続する場合は,Microsoft Visual C++が組み込まれていることが前提です。Microsoft Visual C++を組み込んであることと,Microsoft Visual C++を実行するための環境変数(Path,Lib,Include)が設定してあることを確認してください。

Visual Studioを使用する場合,コンパイルおよびリンケージを実行するための環境変数を[コントロールパネル]−[システム]でシステム環境変数に追加する必要があります。

追加する環境変数の詳細については,Visual Studioで提供されているコマンドラインビルド用環境変数設定コマンド(vcvars32.bat)を参考にしてください。

Visual Studioを使用する場合に追加する環境変数値の例を次の表に示します。

環境変数名

追加する環境変数値※1

Path

Visual Studio 2013を使用する場合
  • %NETDIR%\Common7\IDE

  • %NETDIR%\VC\BIN

  • %SDKDIR%\bin\x86

Visual Studio 2015を使用する場合
  • %NETDIR%\Common7\IDE

  • %NETDIR%\VC\BIN

  • %SDK10DIR%\bin\x86

Visual Studio 2017以降を使用する場合
  • %NETDIR%\Common7\IDE

  • %NETDIR%\VC\Tools\MSVC\14.10.25017※2\bin\HostX86\x86

  • %SDK10DIR%\bin\x86

Include

Visual Studio 2013を使用する場合
  • %NETDIR%\VC\INCLUDE

  • %SDKDIR%\include\um

Visual Studio 2015を使用する場合
  • %NETDIR%\VC\INCLUDE

  • %SDK10DIR%\Include\10.0.14393.0※2\um

  • %SDK10DIR%\Include\10.0.14393.0※2\ucrt

Visual Studio 2017以降を使用する場合
  • %NETDIR%\VC\Tools\MSVC\14.10.25017※2\include

  • %SDK10DIR%\Include\10.0.15063.0※2\um

  • %SDK10DIR%\Include\10.0.15063.0※2\ucrt

Lib

Visual Studio 2013を使用する場合
  • %NETDIR%\VC\LIB

  • %SDKDIR%\Lib\winv6.3\um\x86

Visual Studio 2015を使用する場合
  • %NETDIR%\VC\LIB

  • %SDK10DIR%\Lib\10.0.14393.0※2\um\x86

  • %SDK10DIR%\Lib\10.0.14393.0※2\ucrt\x86

Visual Studio 2017以降を使用する場合
  • %NETDIR%\VC\Tools\MSVC\14.10.25017※2¥lib\x86

  • %SDK10DIR%\Lib\10.0.15063.0※2\um\x86

  • %SDK10DIR%\Lib\10.0.15063.0※2\ucrt\x86

注※1

%NETDIR%はVisual Studioのインストールフォルダです。

%SDKDIR%はWindows SDK for Windows 8.1のインストールフォルダです。

%SDK10DIR%はWindows SDK for Windows 10のインストールフォルダです。

注※2

Visual StudioのUpdateなどによって値が変わる場合があります。

なお,これらの環境変数を設定しないでTP1/LiNKにリソースマネジャを接続する場合は,Visual Studioが提供するコマンドプロンプトから次に示す「リソースマネジャ接続」ショートカットキーリンク先を実行してください。

%DCDIR%\bin\DCXAOPEN.EXE %DCDIR%

(e) TP1/LiNKのインストール先フォルダ名の制限

TP1/LiNKのインストール先のフォルダ名には,次に示す制限があります。

  • フォルダ名の英字を大文字と小文字とで区別しません。

  • フォルダ名は,すべて8文字以内です。空白文字は使えません。

  • パスの最大長は,50文字です。

(2) OpenTP1管理者を決定します

TP1/LiNKを使うときには,Windowsのユーザマネジャに登録している任意の利用者に,TP1/LiNKを管理したり運用したりする役割を任せます。この役割の利用者をOpenTP1管理者といいます。

(a) OpenTP1管理者の条件

システム管理者(Administrators)の権限を持つユーザが,OpenTP1管理者になれます。OpenTP1管理者の名称には,制限はありません。

TP1/LiNKのために新しくOpenTP1管理者のユーザアカウントを作るときは,Windowsのユーザマネジャでユーザアカウントを作成してください。このシステム管理者は,Administratorsの権限を持つユーザとしてください。

システム管理者として登録したあと,Windowsにログオンし直してください。

(b) OpenTP1管理者の決定

システム管理者(Administrators)の権限を持つユーザだけが,TP1/LiNKのセットアッププログラム(setup.exe)を実行できます。

セットアップが完了すると,TP1/LiNKのファイルはシステム管理者以下のユーザがアクセスできないようにWindowsによって保護されます。ただし,ほかのユーザからのアクセスを制限できるのは,ファイルシステムにNTFSを使っているときだけです。ファイルシステムにFATを使っているときは,ほかのユーザからのアクセスを制限できません。

OpenTP1管理者は,TP1/LiNKを使う上で重要な権限を持つユーザとなります。必ずシステム管理者の責任で運用してください。また,システムの機密保護上,ユーザアカウントにはパスワードを必ず設定して,限られた人だけがOpenTP1管理者のユーザアカウントを使えるようにしてください。

(3) TP1/Client/WまたはTP1/Client/Pからのサービス要求を認証するログイン名を登録します

TP1/Client/WまたはTP1/Client/Pからサービスを要求されたときに,その要求をTP1/LiNKで受け付けるかどうかを判定する機能をユーザ認証機能といいます。TP1/Client/WまたはTP1/Client/Pからのサービス要求を認証するログイン名とパスワード(ユーザアカウント)を,Windowsのユーザマネジャに登録しておくことで,サービス要求を受け付けるかどうかを設定できます。TP1/Client/WまたはTP1/Client/Pのユーザには,特に制限はありません。

ユーザ認証機能については,マニュアル「OpenTP1 クライアント使用の手引 TP1/Client/W,TP1/Client/P編」を参照してください。

TP1/Client/WまたはTP1/Client/Pのユーザ認証機能を使うかどうかは,TP1/LiNKの環境設定で選べます。ユーザ認証機能を使わないように指定すると,どんなログイン名を指定しても,TP1/LiNKに認証されます。ユーザ認証機能を使うかどうかは,[システム環境設定]ウィンドウで指定します。[システム環境設定]ウィンドウについては,「3.1 TP1/LiNKの実行環境の設定」を参照してください。

ユーザ認証機能を使用する場合,TP1/LiNKを動作させるコンピュータまたはドメインのユーザマネジャに登録された,ユーザ名とパスワードで認証されます。ユーザ認証は,Windowsの次に示すユーザアカウントデータベースを使用して実行されます。

TP1/LiNKサービスをユーザアカウントで実行する場合は,TP1/LiNKを実行するユーザアカウントに「オペレーティングシステムの一部として機能」する権利を与えてください。