Hitachi

AIX Hitachi HA Booster Pack for AIX


1.3.1 VG制御機能の概要

HA BoosterのVG制御機能の概要を図1-4に示します。HA Boosterは,二つのEP8000装置からオンライン状態(varyon状態)であるVGに対するアクセスを制御します。

図1‒4 VG制御機能の概要

[図データ]

通常は,実行系と待機系で共有するディスクの排他制御はvaryonvg/varyoffvgコマンドを利用し,片系からだけvaryonを行うことで実現しています。共有するディスクをHA Boosterの制御対象として定義することによって,あらかじめ両系からvaryonにした状態で排他制御ができ,フェイルオーバ時に必要だったvaryon完了までのオーバヘッドを削減できます。1.3.2(2)の図1-7中の(2)に相当する従来の処理(varyon)に要する時間が削減されます。

アクセス制御状態は上位アプリケーションによって管理され,系をまたがる排他は上位アプリケーションが責任を持ちます。制御グループの定義および定義解除は,上位アプリケーションまたはコンソールの操作者が行います。

HA Boosterが提供する機能を次に示します。

〈この項の構成〉

(1) アクセス制御対象VGの登録

HA Boosterは,VGを制御グループに分類し,制御グループを単位としてアクセス制御をします。登録可能な制御グループの数は50個(バージョン01-10以前は20個)であり,ユーザはVGを任意の制御グループに登録できます。登録可能なVGは全制御グループで4096個です。制御グループに登録されたVGは,登録先の制御グループのアクセス制御状態に従い,制御グループのアクセス制御状態が変化すると,個々のVGのアクセス制御状態も変化します。

(2) アクセス制御対象VGの除外

指定されたVGを,制御グループから除外します。除外されたVGは,HA Boosterによってアクセスの制御対象から外れます。

(3) アクセス制御状態の変更

制御グループを単位としてアクセス制御状態を変更します。ユーザは制御グループごとにアクセス制御状態を設定できます。アクセス制御状態は表1-2の組み合わせであり,HA Boosterが起動した直後の初期状態はリード,ライト共に禁止の状態です。制御グループのアクセス制御状態を変更すると,このグループに登録されたすべてのVGがそのアクセス制御状態に従います。

表1‒2 アクセス制御状態の組み合わせ

組み合わせに対応したユーザコマンドのパラメタの値

リード

ライト

rw

許可

許可

ro

許可

禁止

disable

禁止

禁止

リードまたはライトのアクセスを禁止したVGに対して,禁止された処理をすると,この処理はエラーとなって終了します。このときのerrno変数には「EFAULT」が設定されます。なおアクセス制御状態にかかわらずopen()サブルーチンによる新規ファイルディスクリプタの取得や,close()サブルーチンによる取得済みディスクリプタの破棄はできます。

図1-5に示した例では,ID=0のグループをリード/ライト共に許可し,ID=1のグループをリードだけ許可し,ID=2のグループをリード/ライト共に禁止しています。

図1‒5 VGグループ単位でのアクセス制御状態の設定例

[図データ]

(4) アクセス制御状態の問い合わせ

指定されたVGまたは制御グループのアクセス制御状態を取得します。