Hitachi Multi Payment Network communications server for Bank

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4.3.3 通信サーバシステム定義の定義項目

通信サーバシステム定義には,次の種類があります。通信サーバシステム定義の項目は,通信サーバfor Bankが指定する制限内であれば,すべての項目に任意の値を設定できます。

表4-22 通信サーバシステム定義の種類

定義の種類 タグ
共通定義 [COMMON]
文字コード変換機能定義 [HMPN/CODE]
DB接続リトライ機能定義 [HMPN/DB]
オンライン定義 [HMPN/OL]
HA定義 [HMPN/HA]
収納サービス定義 一般収納サービス定義 [GENERAL_RECEIPT]
国庫金収納サービス定義 [NATIONAL_RECEIPT]
地公体収納サービス定義 [LOCAL_RECEIPT]

収納サービス定義には,一般収納サービス定義,国庫金収納サービス定義,および地公体収納サービス定義があります。定義するときは,このうちの提供するサービスについてだけ,定義してください。提供しないサービスについては,定義する必要はありません。

また,各定義ファイルの記述例については,「4.6 定義ファイルの記述例(通信サーバfor Bank単独でのHA構成の場合)」または,「4.7 定義ファイルの記述例(通信サーバBaseと通信サーバfor Bank双方でのHA構成の場合)」を参照してください。

<この項の構成>
(1) 共通定義
(2) 文字コード変換機能定義
(3) DB接続リトライ機能定義
(4) オンライン定義
(5) HA定義
(6) 収納サービス定義

(1) 共通定義

共通定義の項目を次の表に示します。共通定義は,[COMMON]タグのセクションに記述します。

表4-23 共通定義

定義名 定義内容 定義値の条件 推奨値 説明
CENTER_CODE センタコード <英字の大文字,記号,数字>(10桁) 自センタコードを指定します。この定義値を基に,通信サーバfor Bankは共通ソフトウェアのキューマネージャー名を決定します。

(凡例)
−:該当なし

注※
使用できる記号については,MPNの仕様に従ってください。

(2) 文字コード変換機能定義

文字コード変換機能定義の項目を次の表に示します。文字コード変換機能定義は,[HMPN/CODE]タグのセクションに記述します。

表4-24 文字コード変換機能定義

定義名 定義内容 定義値の条件 推奨値 説明
OWN_NAME 動作環境で使用する文字コードセット名 AIX 5Lのコードセット・コンバーター(iconv)でサポートされている日本語コードセット IBM-943 通信サーバfor Bankで使用する文字コードセット名を指定します。
MPN_NAME MPNセンタで使用する文字コードセット名 AIX 5Lのコードセット・コンバーター(iconv)でサポートされている日本語コードセット JISX0208.1983-GL MPN仕様上の文字コードの規定を満たす日本語コードセットを指定します。

(凡例)
−:該当なし

注※
「OWN_NAME」および「MPN_NAME」には,AIX 5Lがサポートするコードセット・コンバーターによって相互に変換できる日本語コードセットを指定してください。コードセット・コンバーターについては,AIX 5Lのマニュアルを参照してください。

(3) DB接続リトライ機能定義

DB接続リトライ機能定義の項目を次の表に示します。DB接続リトライ機能定義は,[HMPN/DB]タグのセクションに記述します。

表4-25 DB接続リトライ機能定義

定義名 定義内容 定義値の条件 推奨値 説明
CONNECT_RETRY_TIMES DB再接続リトライ回数 <符号なし整数>((0〜2,048)) 15 DBとの接続にエラーが発生した場合に,接続をリトライする回数を指定します。0を指定した場合は,リトライしません。
CONNECT_RETRY_INTERVAL DB接続リトライ間隔(単位:秒) <符号なし整数>((1〜10)) 1 DBとの接続がエラーになった場合に接続をリトライする間隔を指定します。

注意
これらの定義は,HAモニタが系を監視する間隔,DBサーバの起動に掛かる時間などを考慮して,値を決定してください。指定した値が小さ過ぎると,DBサーバが起動する前に,DBとの接続がエラーとなり,通信サーバがダウンするおそれがあります。指定した値が大き過ぎると,重大な障害が発生してDBサーバと接続できなくなった場合,エラーリターンするまでに時間が掛かります。
また,これらの定義は,OpenTP1のシステム環境定義(env)の「system_init_watch_time」の値とも調整して,値を決定してください。

(4) オンライン定義

オンライン定義の項目を次の表に示します。オンライン定義は,[HMPN/OL]タグのセクションに記述します。

表4-26 オンライン定義

定義名 定義内容 定義値の条件 推奨値 説明
MAX_TRAN_NUM 有効トランザクション数 <符号なし整数>((9〜49,999)) ※1 通信サーバfor BankとMPNセンタとの間のトランザクション数の最大値を指定します。
AUTO_OPEN 自動開局 <文字列>{AUTO|MANUAL} MANUAL 通信サーバfor Bank起動時に,自動開局する場合は「AUTO」,手動開局する場合は「MANUAL」を指定します。
ONLINE_SEISA カウンタ通知要否 <文字列>{ON|OFF} ON 閉局時にカウンタ通知電文を受信する場合は「ON」,受信しない場合は「OFF」を指定します。
OPEN_RETRY_INTERVAL 開始要求送出間隔タイマ(単位:秒) <符号なし整数>((0〜290)) 10 開始要求がタイムアウトになった場合の再送間隔を指定します。
OPEN_RETRY_TIMES 開始要求送出回数 <符号なし整数>((0〜2)) 0 開始要求の再送回数を指定します。
ONLINE_STATUS オンライン収納サービス状態引き継ぎ <文字列>{ON|OFF} ON OpenTP1に障害が発生したために通信サーバfor Bankを再起動した場合に,開閉局状態を引き継ぐときは「ON」,引き継がないときは「OFF」を指定します。
HA構成で通信サーバfor Bankを構築する場合は,必ず「ON」を指定してください。
REC_WATCH_TIMER MPNセンタ要求監視SUP受信監視タイマ(単位:秒) <符号なし整数>((1〜10)) 5※2 MPNセンタ要求監視SUPがMPNセンタからの開始要求および終了準備要求を監視する間隔を指定します。
REC_SUP_CNF_TIMER 開閉局制御SPP状態確認タイマ(単位:秒) <符号なし整数>((30〜300)) 60 MPNセンタ要求監視SUPがMPNセンタからの開始要求および終了準備要求を受信するときに,開閉局制御SPPの起動完了を監視する間隔を指定します。
MPN_OL_SOFT_ENV_FILE 共通ソフトウェアの環境設定ファイル(オンライン電文用) <パス名>(1〜255文字) 共通ソフトウェアの環境設定ファイル(オンライン電文用)を絶対パスで指定します。
MPN_OL_SOFT_MQ_STT_SH 共通ソフトウェア起動コマンド <パス名>(1〜PATH_MAX文字) 共通ソフトウェアの起動コマンドを絶対パスで指定します。
MPN_OL_SOFT_MQ_STP_SH 共通ソフトウェア停止コマンド <パス名>(1〜PATH_MAX文字) 共通ソフトウェアの停止コマンドを絶対パスで指定します。
TRC_FILE_SIZE プロセス別トレースのファイルサイズ(単位:バイト) <符号なし整数>((4,096〜2,147,483,647)) 300,000 一つのプロセス別トレースファイルの最大サイズを指定します。
TRC_FILE_NUM プロセス別トレースファイル数 <符号なし整数>((1〜16)) 7※6 プロセス別トレースのファイル数を指定します。
TRC_LEVEL トレースレベル <符号なし整数>{0|10|20|30} 10※3 トレース出力レベルを指定します。指定方法については,マニュアル「Hitachi Multi Payment Network communications server Base」を参照してください。
TRC_PRC_LEVEL プロセス別トレースしきい値 <符号なし整数>{0|10|20|30} 0※3 プロセス別トレースのしきい値を指定します。指定方法については,マニュアル「Hitachi Multi Payment Network communications server Base」を参照してください。
TRC_SHM_LEVEL 統合トレースのしきい値 <符号なし整数>{0|10|20|30} 0※3 統合トレースのしきい値を指定します。指定方法については,マニュアル「Hitachi Multi Payment Network communications server Base」を参照してください。
RAW_NAME_SRVCND オンライン状態格納ファイル用ロウ論理ボリューム名 <パス名>(1〜PATH_MAX文字) ※4 オンライン状態格納ファイル用ロウ論理ボリューム名を絶対パスで指定します。
RAW_NAME_TUBANBK 仕向処理通番ファイル用ロウ論理ボリューム名 <パス名>(1〜PATH_MAX文字) ※4 仕向処理通番ファイル用ロウ論理ボリューム名を絶対パスで指定します。
OPENTP1_WATCH_TIMER OpenTP1異常終了監視タイマ(単位:秒) <符号なし整数>((1〜1,200)) 10 OpenTP1が停止しているかどうかを監視する間隔を指定します。
OPENTP1_WATCH_COUNT OpenTP1異常終了監視回数 <符号なし整数>((1〜1,000)) 3 OpenTP1が異常終了していると判断する回数を指定します。OpenTP1の起動状態を監視し,連続して停止状態だった回数が,ここに指定した値を超えた場合,OpenTP1が異常終了していると判断されます。
RESEND_STOP_MODE 停止時再送打ち切り <文字列>{RESEND|STOP} RESEND 通信サーバfor Bankを停止するとき,再送処理中の取引があった場合の再送の扱いを指定します。
RESEND:再送を続けたあと停止します。
STOP:再送を打ち切って停止します。
ERR_FILE_SIZE エラー電文ファイルサイズ(単位:バイト) <符号なし整数>((307,200〜2,147,483,647)) 400,000 エラー電文ログファイル1個当たりの最大サイズを指定します。
ERR_FILE_NUM エラー電文ファイル数 <符号なし整数>((1〜16)) 7 エラー電文ログファイル数を指定します。
MY_HOST 自ホスト名 <英数字>(1〜63文字) 自ホストのホスト名称を指定します。OpenTP1のシステム共通定義の「my_host」の値を指定してください。ただし,「my_host」を省略,または「MYHOST」を指定した場合は,hostnameコマンドを実行して得られたホスト名を指定してください。
CHANNEL_NAME チャネル名 <文字列>
半角文字だけ使用できます。
共通ソフトウェアのキューマネージャー(オンライン電文用)を作成した際に指定したチャネル名を「CHANNEL_NAME="送信チャネル1:受信チャネル1,送信チャネル2:受信チャネル2"」の形式で指定します。
指定できるチャネルは,最大で100系です。なお,最低でも1系分の送受信チャネルを指定する必要があります。
文字列を区切る場合は,「:」および「,」を使用してください。※5

(凡例)
−:該当なし

注※1
コマンドによる手動再送を使用しない場合は,OpenTP1の照会SPP用ユーザサービス定義,消込SPP用ユーザサービス定義,および取消SPP用ユーザサービス定義の「parallel_count」の値の合計値よりも大きな値を指定してください。OpenTP1の定義については,「4.1 OpenTP1の定義」を参照してください。
コマンドによる手動再送を使用する場合は,「parallel_count」の合計値に,再送待ちになってもよい取引の数の最大値を加えた値よりも大きな値を指定してください。
「MAX_TRAN_NUM」の定義値の算出式を次に示します。

(MAX_TRAN_NUM定義値)>(parallel_countの合計値)+(再送待ちになってもよい取引の数)

注※2
「REC_WATCH_TIMER」に設定した時間が経過するたびにMPNセンタ要求監視SUPを終了するかどうかを確認するため,「REC_WATCH_TIMER」の値はプロセス停止に影響します。

注※3
システム構築時にテストする場合,トラブルシュート時に,詳細な障害情報が必要になった場合などを除き,トレース出力レベル,プロセス別トレースのしきい値,および統合トレースのしきい値は推奨値を指定してください。
トレース出力レベル,プロセス別トレースしきい値および統合トレースのしきい値の詳細については,マニュアル「Hitachi Multi Payment Network communications server Base」を参照してください。

注※4
「RAW_NAME_SRVCND」と「RAW_NAME_TUBANBK」には,異なるロウ論理ボリュームを指定してください。また,通信サーバBaseで使用するロウ論理ボリュームを指定しないでください。
ロウ論理ボリュームについては,「3.4.5 ロウ論理ボリュームの作成」を参照してください。

注※5
チャネル名を複数行に分けて指定する場合は,次のように指定してください。

CHANNEL_NAME="TO.N0000000000:TO.N9999900000,",
             "TO.N0000000001:TO.N9999900000"

注※6
見積もり方法については,「4.5.1 トレースファイルの見積もり」を参照してください。システム構築時に,テストを実施する場合を除き,プロセス別トレースファイル数は2以上を指定してください。

(5) HA定義

HA定義の項目を次に示します。HA定義は[HMPN/HA]タグのセクションに記述します。また,この定義の「HA_KIND」および「SV_GRP」は,必ず両方指定してください。この定義は,HA構成で構築する場合に必要です。

表4-27 HA定義

定義名 定義内容 定義値の条件 推奨値 説明
HA_KIND 通信サーバfor BankおよびHiRDBの構成の種別 {SRV|GRP}
  • 通信サーバfor Bank単独でのHA構成の場合,通信サーバfor BankとHiRDBを別のマシンに構成するときは,「SRV」を指定します。また,通信サーバfor BankとHiRDBを同じマシンに構成するときは,「GRP」を指定します。
  • 通信サーバBaseと通信サーバfor Bank双方でのHA構成の場合,「GRP」を指定します(HiRDBの構成は任意)。
SV_GRP HAモニタの監視対象名 <アルファベットおよび数字>(1〜8文字)
ただし,先頭にはアルファベットだけを指定できます。

  • 「HA_KIND」に「SRV」を指定した場合,OpenTP1を監視対象サーバとするサーバの識別名を指定します。
  • 「HA_KIND」に「GRP」を指定した場合,監視対象サーバをグループ化した,サーバグループ名を指定します。

(凡例)
−:該当なし

注※
通信サーバfor Bankが監視するプロセスが障害によって停止した場合,この項目にサーバ識別名,またはグループ名を設定し,HAモニタの系切り替えコマンド(monswap)を実行します。通信サーバfor Bankが監視するプロセスとは,OpenTP1監視プロセス,SPP障害監視プロセス,および共通ソフトウェアです。

(6) 収納サービス定義

収納サービス定義には,一般収納サービス定義,国庫金収納サービス定義,および地公体収納サービス定義があり,それぞれ[GENERAL_RECEIPT]タグ,[NATIONAL_RECEIPT]タグ,および[LOCAL_RECEIPT]タグのセクションに記述します。定義ファイルには,このうちの提供するサービスの定義だけを記述してください。提供しないサービスのセクションは,タグを含めて削除するか,行頭に「#」を挿入してコメント文にしてください。

収納サービス定義を次の表に示します。一般収納サービス定義,国庫金収納サービス定義,および地公体収納サービス定義の項目は,すべて共通です。なお,各定義内の項目は,すべて記述してください。

表4-28 収納サービス定義

定義名 定義内容 定義値の条件 推奨値 説明
REF_USV 照会ユーザサーバ名 <識別子>(1〜8文字) OpenTP1の照会SPP名を指定します。
REF_SVGRP 照会サービスグループ名 <識別子>(1〜31文字) OpenTP1の照会SPP用ユーザサービス定義で指定したサービスグループ名(service_group)を指定します。
REF_SV 照会サービス名 <識別子>(1〜31文字) OpenTP1の照会SPP用ユーザサービス定義で指定したサービス名(service)を指定します。
PAY_USV 消込ユーザサーバ名 <識別子>(1〜8文字) OpenTP1の消込SPP名を指定します。
PAY_SVGRP 消込サービスグループ名 <識別子>(1〜31文字) OpenTP1の消込SPP用ユーザサービス定義で指定したサービスグループ名(service_group)を指定します。
PAY_SV 消込サービス名 <識別子>(1〜31文字) OpenTP1の消込SPP用ユーザサービス定義で指定したサービス名(service)を指定します。
CAN_USV 取消ユーザサーバ名 <識別子>(1〜8文字) OpenTP1の取消SPP名を指定します。
CAN_SVGRP 取消サービスグループ名 <識別子>(1〜31文字) OpenTP1の取消SPP用ユーザサービス定義で指定したサービスグループ名(service_group)を指定します。
CAN_SV 取消サービス名 <識別子>(1〜31文字) OpenTP1の取消SPP用ユーザサービス定義で指定したサービス名(service)を指定します。
PAY_RESEND_INTERVAL 再送確認通知送出間隔タイマ(消込サービス)(単位:秒) <符号なし整数>((585〜3,510)) 585 消込依頼電文がタイムアウトになった場合の再送間隔を指定します。
PAY_RESEND_TIMES 再送確認通知送出回数(消込サービス) <符号なし整数>((0〜5)) 1 消込依頼電文の再送回数を指定します。
CAN_RESEND_INTERVAL 再送確認通知送出間隔タイマ(取消サービス)(単位:秒) <符号なし整数>((585〜3,510)) 585 取消依頼電文がタイムアウトになった場合の再送間隔を指定します。
CAN_RESEND_TIMES 再送確認通知送出回数(取消サービス) <符号なし整数>((0〜5)) 1 取消依頼電文の再送回数を指定します。
PAY_CMD_RETRY コマンドによる手動再送要否(消込) <文字列>{Y|N} 「Y」を指定すると,電文再送コマンド(hmpnretry),または複数電文再送コマンド(hmpnretryall)を実行するタイミングで再送処理をします。この定義を省略した場合,「N」が指定されます。
CAN_CMD_RETRY コマンドによる手動再送要否(取消) <文字列>{Y|N} 「Y」を指定すると,電文再送コマンド,または複数電文再送コマンドを実行するタイミングで再送処理をします。この定義を省略した場合,「N」が指定されます。

(凡例)
−:該当なし

注※
電文の再送についての詳細は,「8.3.3 電文の再送」を参照してください。