Hitachi

 Hitachi Application Server V10 ユーザーズガイドWindows®用)


10.1 Application Serverが出力するトラブルシュート資料について

Application Serverが出力するトラブルシュート資料には、メッセージログや性能解析トレースのほか、各プロセスの特徴に応じたトラブルシュート資料などがあります。必要に応じて、システム情報収集機能または手動でトラブルシュート資料を収集します。

システム情報収集機能とは

システム情報収集機能は、Application Serverを使用して構築されたシステムに関する情報を一括収集する機能です。システム情報収集機能を障害発生時に用いることで、現象発生時点のダンプや設定ファイル・ログ・トレースといった障害の原因究明に必要な資料一式を収集することができます。

収集が必要なトラブルシュート資料

Application Serverのインストール時、アプリケーションの開発時およびシステムの運用時に障害が発生した場合に必要な、トラブルシュート資料を次の表に示します。なお、トラブルシュート資料は、システム情報収集機能を利用して収集します。システム情報収集機能で収集できない情報については、手動で収集する必要があります。

項番

障害発生のタイミング

トラブルシュート資料の内容

システム情報収集機能での収集可否

1

Application Serverのインストール時

インストールログ

-

2

アプリケーション開発時、Application Serverのシステム構築時、およびシステム運用時

各プロセスのログ・トレース

3

メモリーダンプ

4

定義・設定情報 (製品のバージョン情報、製品の設定ファイルなど )

5

作業ディレクトリーの内容

×

6

画面のキャプチャー

×

7

標準エラー出力(コマンド実行時のコンソール出力)

×

8

性能解析トレース(CSV形式)

9

OS のログ (syslog)

10

OS のログ (イベントログ)

×

11

OS の統計情報 (CPU利用率、メモリー使用量、スレッド数など )

×

12

OS の状態情報 (環境変数、netstat/ps/sarなどの各種コマンドの結果 )

(凡例)

○:システム情報収集機能で収集できます。

×:システム情報収集機能で収集できません。

Application Serverが出力するトラブルシュート資料の分類

Application Serverを使用したシステムで障害が発生した場合に、Application Serverが出力するトラブルシュート資料には、次のような種類があります。必要に応じて、トラブルシュート資料を収集して、調査してください。

なお、トラブルシュート資料の出力先ディレクトリーは、一部の資料を除きHJES_LOGSDIR環境変数で変更できます。HJES_LOGSDIR環境変数のデフォルト値は、"Application Serverのインストールディレクトリー/javaee/logs"です。

メッセージログ

Java EEサーバやWebサーバから出力されるログです。障害の原因や稼働状況が確認できます。

性能解析トレース

複数のプロセスにわたるリクエスト処理の流れを追跡できるトレース情報です。障害の解析や性能の解析に利用できます。

Java EEサーバおよびHiRDBで出力されるID付きの性能解析トレースを、Webサーバのリクエストログに出力されるリクエストを識別するIDと突き合わせることで、リクエスト処理の追跡ができます。

各プロセスのトラブルシュート資料

プロセスの特徴によって、それぞれ異なる資料に出力されるログやトレース情報です。プロセスの構成を次の図に示します。

[図データ]

プロセスの特徴に応じたトラブルシュート資料について次の表に示します。

項番

プロセス

プロセスの特徴と資料の用途

トラブルシュート資料

1

すべてのプロセス

OS上で動作します。

OSから出力される情報をトラブルシュート資料として利用できます。

  • OSのログ

  • OSの統計情報

  • OSの状態情報

  • メモリーダンプ(coreダンプ)

2

Javaのプロセス

  • Java EEサーバ

  • ドメイン管理サーバ

  • asadmin

  • Eclipse

Java VM上で動作します。

Java VMレイヤーについては、一般的なJavaのトラブルシュート資料に加え、製品で拡張したJavaログやスレッドダンプがトラブルシュート資料として利用できます。

  • Java VMログ

  • スタックトレースログ

  • スレッドダンプ

  • エラーリポートファイル

3

リクエストを処理するプロセス

  • Webサーバ

  • Java EEサーバ

  • HiRDB

複数のプロセスにわたってリクエスト処理が実行されます。

リクエスト処理の流れを複数プロセスにわたって追うことができます。

  • Webサーバのアクセスログ

  • Webサーバのリクエストログ

  • 性能解析トレース

4

Java EEサーバ

セッションオブジェクトを明示管理ヒープで管理します。

明示管理ヒープ機能のイベントの発生がログで確認できます。

明示管理ヒープイベントログ

5

インプロセスでMQ Brokerが動作します。

MQ Brokerのメッセージがログで確認できます。

MQ Brokerメッセージログ

6

JSPやJAX-WSの開発時に使用されるコマンドを提供します。

標準エラー出力でエラーメッセージが確認できます。

標準エラー出力

7

Java EEサーバ(asadmin)

Java EEサーバを起動します。

Java EEサーバのロガー初期化前のタイミングの障害情報が確認できます。

プロセス起動ログ

8

Eclipse

ユーザーがGUIで操作します。

GUIの操作中に、エラーなどの情報が確認できます。

  • コンソール情報

  • エラーダイアログ

9

詳細調査のためにEclipseのログが確認できます。

  • Eclipseのエラーログ

  • Eclipseプラグインのトレースログ

ドメイン管理サーバのトラブルシュート資料

ドメイン管理サーバのトラブルシュート資料の一覧を示します。

項番

ログの名称

出力先ディレクトリー

ファイル名

ラップ時間(初期値)

サイズ(初期値)

面数※1(初期値)

ログの設定方法

1

ドメイン管理サーバ メッセージログ※2

HJES_LOGSDIR/domains/ドメイン名

das_messagen.log

00:00:00

16メガバイト

8

asadminユーティリティーコマンドのset-log-attributesサブコマンドのパラメーターで指定します。

2

ドメイン管理サーバ スタックトレースログ※2

HJES_LOGSDIR/domains/ドメイン名

das_stacktracen.log

00:00:00

16メガバイト

8

asadminユーティリティーコマンドのset-log-attributesサブコマンドのパラメーターで指定します。

3

ドメイン管理サーバ Java VMログ

HJES_LOGSDIR/domains/ドメイン名

das_javavmn.log

00:00:00

128メガバイト

8

asadminユーティリティーコマンドのcreate-jvm-optionsサブコマンドのパラメーターで指定します。

4

ドメイン管理サーバ スレッドダンプ

Application Serverのインストールディレクトリー/javaee/glassfish/domains/ドメイン名/config

javacoreプロセスID.日時.txt

  • ユーザーの操作を契機に出力される。

  • サイズ制限なし。

  • 時間・面数による削除はなし。

なし

5

ドメイン管理サーバ エラーリポートファイル

Application Serverのインストールディレクトリー/javaee/glassfish/domains/ドメイン名/config

hs_err_pidプロセスID.log

  • プロセスの異常終了を契機に出力される。

  • サイズ制限なし。

  • 時間・面数による削除はなし。

なし

注※1

バックアップ用のファイルに加えて書き込み用のファイルが1つ作成されます。例えば、面数が8の場合は合計9ファイルが作成されます。

注※2

スタックトレースの一部は、メッセージログに出力されます。

Java EEサーバ(サーバインスタンス)のトラブルシュート資料

Java EEサーバ(サーバインスタンス)のトラブルシュート資料の一覧を示します。

項番

ログの名称

出力先ディレクトリー

ファイル名

ラップ時間(初期値)

サイズ(初期値)

面数※1(初期値)

ログの設定方法

1

サーバインスタンス メッセージログ※2

HJES_LOGSDIR/nodes/ノード名/サーバインスタンス名

je_messagen.log

00:00:00

16メガバイト

8

asadminユーティリティーコマンドのset-log-attributesサブコマンドのパラメーターで指定します。

2

サーバインスタンス スタックトレースログ※2

je_stacktracen.log

00:00:00

16メガバイト

8

asadminユーティリティーコマンドのset-log-attributesサブコマンドのパラメーターで指定します。

3

WebSocketアクセスログ

je_websocket_accessn.log

00:00:00

300メガバイト

8

asadminユーティリティーコマンドのset-log-attributesサブコマンドのパラメーターで指定します。

4

サーバインスタンス Java VM ログ

je_javavmn.log

00:00:00

128メガバイト

8

asadminユーティリティーコマンドのcreate-jvm-optionsサブコマンドのパラメーターで指定します。

5

サーバインスタンス 明示管理ヒープイベントログ

je_eheap_eventn.log

00:00:00

128メガバイト

8

asadminユーティリティーコマンドのcreate-jvm-optionsサブコマンドのパラメーターで指定します。

6

サーバインスタンス スレッドダンプログ

Application Serverのインストールディレクトリー/javaee/glassfish/nodes/ノード名/サーバインスタンス名/config

javacoreプロセスID.日時.txt

  • ユーザーの操作を契機に出力される。

  • サイズ制限なし。

  • 時間・面数による削除はなし。

なし

7

サーバインスタンス エラーリポートファイル

hs_err_pidプロセスID.log

  • プロセスの異常終了を契機に出力される。

  • サイズ制限なし。

  • 時間・面数による削除はなし。

なし

注※1

バックアップ用のファイルに加えて書き込み用のファイルが1つ作成されます。例えば、面数が8の場合は合計9ファイルが作成されます。

注※2

スタックトレースの一部は、メッセージログに出力されます。ユーザーが作成したアプリケーションによって出力される標準出力および標準エラー出力も、メッセージログに出力されます。

Java EEサーバ(asadmin)のトラブルシュート資料

Java EEサーバ(asadmin)のトラブルシュート資料の一覧を示します。

項番

ログの名称

出力先ディレクトリー

ファイル名

ラップ時間(初期値)

サイズ(初期値)

面数※1(初期値)

ログの設定方法

1

asadmin メッセージログ※2

HJES_LOGSDIR/commands/asadmin

asadmin_messagen.log

00:00:00

16メガバイト

8

asenvの環境変数に指定します。

2

asadmin スタックトレースログ※2

asadmin_stacktracen.log

00:00:00

16メガバイト

8

asenvの環境変数に指定します。

3

asadmin スレッドダンプ

コマンド実行時のカレントディレクトリー

javacoreプロセスID.日時.txt

  • ユーザーの操作を契機に出力される。

  • サイズ制限なし。

  • 時間・面数による削除はなし。

なし

4

asadmin エラーリポートファイル

hs_err_pidプロセスID.log

  • プロセスの異常終了を契機に出力される。

  • サイズ制限なし。

  • 時間・面数による削除はなし。

なし

5

asadmin プロセス起動時ログ

HJES_LOGSDIR/commands/asadmin

asadmin_launchn.log

00:00:00

16メガバイト

8

asenvの環境変数に指定します。

注※1

バックアップ用のファイルに加えて書き込み用のファイルが1つ作成されます。例えば、面数が8の場合は合計9ファイルが作成されます。

注※2

スタックトレースの一部は、メッセージログに出力されます。

Java EEサーバ(アプリケーションクライアント)のトラブルシュート資料

Java EEサーバ(アプリケーションクライアント)のトラブルシュート資料の一覧を示します。

項番

ログの名称

出力先ディレクトリー

ファイル名

ラップ時間(初期値)

サイズ(初期値)

面数(初期値)

ログの設定方法

1

アプリケーションクライアント スレッドダンプログ

カレントディレクトリー(appclientコマンドを起動したディレクトリー)

javacoreプロセスID.日時.txt

  • ユーザーの操作を契機に出力される。

  • サイズ制限なし。

  • 時間・面数による削除はなし。

なし

2

アプリケーションクライアント エラーリポートファイル

hs_err_pidプロセスID.log

  • プロセスの異常終了を契機に出力される。

  • サイズ制限なし。

  • 時間・面数による削除はなし。

なし

注※

バックアップ用のファイルに加えて書き込み用のファイルが1つ作成されます。例えば、面数が8の場合は合計9ファイルが作成されます。

Java EEサーバ(MQ Broker) のトラブルシュート資料

Java EEサーバ(MQ Broker)のトラブルシュート資料の一覧を示します。

項番

ログの名称

出力先ディレクトリー

ファイル名

ラップ時間(初期値)

サイズ(初期値)

面数※1(初期値)

ログの設定方法

1

MQ Broker メッセージログ

Application Serverのインストールディレクトリー/javaee/nodes/ノード名/サーバインスタンス名/imq/instances/MQインスタンス名/log

log_n※2.txt

00:00:00

16メガバイト

8

config.propertiesファイルに指定します。

注※1

バックアップ用のファイルに加えて書き込み用のファイルが1つ作成されます。例えば、面数が8の場合は合計9ファイルが作成されます。

注※2

n=0〜面数-1

Webサーバのトラブルシュート資料

Webサーバのトラブルシュート資料の一覧を示します。

項番

ログの名称

出力先ディレクトリー

ファイル名

ラップ時間(初期値)

サイズ(初期値)

面数(初期値)

ログの設定方法

1

アクセスログ

HJES_LOGSDIR/nodes/ノード名/Webサーバ名

access.n※1

24時間

最大2ギガバイト

8

TransferLogディレクティブまたはCustomLogディレクティブで指定します。※2

2

リクエストログ

hwsrequest.n※1

24時間

最大2ギガバイト

8

HWSRequestLogディレクティブで指定します。※2

3

エラーログ

error.n※1

24時間

最大2ギガバイト

8

ErrorLogディレクティブで指定します※2

4

プロセスIDログ

httpd.pid

PidFileディレクティブで指定します。※2

5

内部トレース

hws.trclog.n※3

2

HWSTraceLogFileディレクティブで指定します。※2

6

共有メモリーIDログ

hws.trcid

HWSTraceIdFileディレクティブで指定します。※4

(凡例)

‐:該当なし

注※1

n=ログ採取開始時

注※2

出力先ディレクトリー、ファイル名を変更した場合、システム情報収集機能で収集できません。手動で収集する必要があります。

注※3

n=01〜02

注※4

システム情報収集機能で収集できません。手動で収集する必要があります。

パフォーマンストレーサーのトラブルシュート資料(トラブルシュート用)

パフォーマンストレーサーのトラブルシュート資料(トラブルシュート用)の一覧を示します。

項番

ログの名称

出力先ディレクトリー

ファイル名

ラップ時間(初期値)

サイズ(初期値)

面数(初期値)

ログの設定方法

1

メッセージログ

HJES_LOGSDIR/nodes/ノード名/PRF識別子/log/PRF識別子

prf_messagen

00:00:00

10メガバイト

8

なし

注※

n=01〜32

パフォーマンストレーサーのトラブルシュート資料(性能解析用)

パフォーマンストレーサーのトラブルシュート資料(性能解析用)の一覧を示します。

項番

ログの名称

出力先ディレクトリー

ファイル名

ラップ時間(初期値)

サイズ(初期値)

面数(初期値)

ログの設定方法

1

PRFトレース

HJES_LOGSDIR/nodes/ノード名/PRF識別子/utt/prf/PRF識別子/dcopltrc

prf_n※1

時間でラップしません。

8メガバイト

4

なし

2

性能解析トレースファイル(PRFトレースをCSV形式に編集したファイル)

システム情報収集機能によって収集されたアーカイブファイル内。

(例)アーカイブファイルの出力先がD:/snapshotの場合は、性能解析トレースファイルは次のフォルダにzip形式で格納されます。

アーカイブファイルのルート/D/snapshot/作業用ディレクトリ/prfTrace/

node名-サーバインスタンス名-ファイル生成日時.csv※2

  • システム情報収集機能の実行を契機にPRFトレースがCSV形式に変換される。

  • サイズ制限なし。

  • 時間・面数による削除はなし。

なし

注※1

n=001〜256

注※2

zipファイルを展開したファイルです。

アプリケーション開発環境(Eclipse環境を含む)のトラブルシュート資料

アプリケーション開発環境(Eclipse環境を含む)のトラブルシュート資料の一覧を示します。

項番

ログの名称

出力先ディレクトリー

ファイル名

ラップ時間(初期値)

サイズ(初期値)

面数(初期値)

ログの設定方法

1

サーバ構築エラーファイル

Application Server for Developersのインストールディレクトリー/dev

BuildEnvironment.err

時間でラップしません。

なし

1

なし