9.11 Application ServerまたはApplication Server for Developersをバージョンアップする
Application ServerまたはApplication Server for Developersをバージョンアップするには、旧バージョンのドメインを新バージョンに適用するためのアップグレードが必要です。 この作業には、asadminユーティリティーコマンドのbackup-domainサブコマンドで、旧バージョンのドメインのバックアップファイルを作成し、新バージョンをインストールしたあとに、asadminユーティリティーコマンドのrestore-domainサブコマンドで、ドメインを新環境にリストアします。このリストアしたドメインに対してasadminユーティリティーコマンドのstart-domainサブコマンドを実行して、ドメイン管理サーバの構成をアップグレードします 。
前提条件
-
旧バージョンのドメインが存在する
想定ユーザー
-
システム構築者またはシステム運用者
操作手順
-
旧バージョンの環境情報のバックアップを取得します。
-
旧バージョンの環境で稼働中のすべてのサーバおよびすべてのドメイン管理サーバを停止します。
-
asadminユーティリティーコマンドのbackup-domainサブコマンドを実行して、旧バージョンの環境情報のバックアップファイルを出力します。
asadmin backup-domain --backupdir バックアップファイルの格納ディレクトリー ドメイン名
コマンドの実行結果を次に示します。
Command backup-domain executed successfully.
-
次に示すバックアップファイルが出力されたことを確認します。
バックアップファイルの格納ディレクトリー/ドメイン名/ドメイン名_YYYY_MM_DD_v通番.zip
通番は、00001から始まる数値が割り当てられます。
-
-
新バージョンをインストールします。
-
旧バージョン環境で稼働中のすべてのサーバおよびすべてのドメイン管理サーバを停止します。
-
新バージョンをインストールします。
インストールの種類を次に示します。
新規インストール:旧バージョンがインストールされているマシンとは別のマシンに、新バージョンをインストールする
複数インストール:旧バージョンがインストールされているマシンで、別のディレクトリーに新バージョンをインストールする
上書きインストール:旧バージョンがインストールされているマシンで、同じディレクトリーに新バージョンをインストールする
複数のJava EEサーバを配置するクラスター構成にする場合は、リモートホストごとにインストールを実行します。
-
インストール後のマシンの再起動でドメイン管理サーバ が起動している場合は、ドメイン管理サーバ を停止します。
-
-
旧バージョンでバックアップを取得した環境情報を、新バージョンの環境に移行します。
上書きインストールをした場合、この作業は不要です。
-
旧バージョンのJava EE Serverの環境変数定義ファイル(asenv.bat)に追加した環境変数を、新バージョンの同じファイルに設定します。
Java EE Serverの環境変数定義ファイル
インストールディレクトリー/javaee/glassfish/config/asenv.bat
インストールディレクトリーには、Application ServerまたはApplication Server for Developersのインストールディレクトリーを指定します。
-
新バージョンの環境で、asadminユーティリティーコマンドのrestore-domainサブコマンドを実行して、バックアップした旧バージョンの環境情報を新バージョンの環境にリストア(復元)します。
asadmin restore-domain --backupdir バックアップファイルの格納ディレクトリー 環境情報をリストアするドメイン名
-
リストアしたドメインのドメインディレクトリーを参照して、環境情報が復元されたことを確認します。
-
-
ドメインのアップグレードをします。
-
新バージョンの環境で、asadminユーティリティーコマンドのstart-domainサブコマンドに--upgradeオプションを指定して実行し、ドメインのアップグレードをします。
asadmin start-domain --upgrade ドメイン名
コマンドの実行結果を次に示します。
Command start-domain executed successfully. The DAS was stopped.
このとき、コンソールを参照して、 SEVERE、 ALERT、または EMERGENCY レベルのメッセージが出力されていないことを確認します。
-
新バージョンの環境で、ドメインディレクトリー以下に出力された osgi-cache-数字という名称のディレクトリーを削除します。
ドメインのアップグレードを実行すると、ドメインディレクトリー以下にあったOSGiキャッシュディレクトリーが
osgi-cache-数字という名前にリネームされます。アップグレード後は使用しないディレクトリーであるため、削除します。
-
asadminユーティリティーコマンドのstart-domainサブコマンドを実行して、ドメイン管理サーバを起動します。
asadmin start-domain ドメイン名
コマンドの実行結果を次に示します。
Command start-domain executed successfully.
-
asadminユーティリティーコマンドのupdate-node-configサブコマンドまたはupdate-node-dcomサブコマンドを実行して、各ノードのインストールディレクトリーを新バージョンのインストールディレクトリーに変更します。
ローカルホストのノードの場合
asadmin update-node-config --installdir 新バージョンのインストールディレクトリー/javaeeの絶対パス --nodedir ノードディレクトリー ノード名
DCOM接続のノードの場合
asadmin update-node-dcom --installdir 新バージョンのインストールディレクトリー/javaeeの絶対パス --nodedir ノードディレクトリー ノード名
旧バージョンの環境でノードディレクトリーをデフォルトから変更していた場合は、--nodedirオプションを指定して、ノードディレクトリーも変更します。
ノードディレクトリーの変更が必要な場合は、ノードディレクトリーも変更してください。
コマンドの実行結果を次に示します。
ローカルホストのノードの場合
Command update-node-config executed successfully.
DCOM接続のノードの場合
Command update-node-dcom executed successfully.
-
-
動作確認をします。
-
ドメイン上のサーバを起動し、サーバの動作確認とアプリケーションのテストを実施します。
-
テストで問題がないことを確認したら、新バージョンの本番環境として運用を開始します。
-
-
必要に応じて、旧バージョンの環境を削除します。
上書きインストールした場合は、この手順は不要です。
旧バージョンの環境を複数のJava EEサーバを配置するクラスター構成にしていた場合、リモートホストごとに旧バージョンの環境をアンインストールします。