uCosminexus DocumentBroker Version 3 システム導入・運用ガイド

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付録B.2 クラスタリングシステムで運用するための環境設定

DocumentBrokerをクラスタリングシステムで運用するための環境設定について説明します。

環境設定の流れを次の図に示します。なお,環境設定の作業に入る前に,現用系ノードおよび待機系ノードにMicrosoft Cluster Serverをインストールしておいてください。

図B-2 クラスタリングシステムで運用するための環境設定の流れ

[図データ]

各手順の詳細について説明します。

<この項の構成>
(1) プログラムのインストール
(2) Microsoft Cluster Serverの設定
(3) TPBrokerのOSAgentの設定
(4) HiRDBの設定
(5) DocumentBroker Serverの設定
(6) 系切り替えの確認

(1) プログラムのインストール

現用系ノード,待機系ノード,およびクライアントノードにインストールするプログラムを次の表に示します。なお,現用系ノードおよび待機系ノードにプログラムをインストールするときは,インストールパスを同じにしてください。

表B-2 各ノードにインストールするプログラム

ノード プログラム
現用系ノードおよび待機系ノード TPBroker
DocumentBroker Server
HiRDBサーバ
DABrokerおよびDABroker for C++
クライアントノード TPBroker
DocumentBroker Development KitまたはDocumentBroker Runtime

(2) Microsoft Cluster Serverの設定

現用系ノードでクラスタアドミニストレータを使用し,次に示す項目を設定します。なお,クラスタアドミニストレータには,事前に現用系ノードと待機系ノードを登録しておいてください。

各設定の詳細について説明します。

(a) グループの作成

グループを作成します。

設定する項目を次の表に示します。

表B-3 グループの作成時に設定する項目

項目 説明
名前 グループの任意の名前を設定します。
例:「DocumentBroker_Group」
説明 任意のコメントを設定します。
優先所有者 現用系ノード,待機系ノードの順に,優先所有者を設定します。
(b) 共有ディスクリソースの登録

作成したグループに対して,共有ディスクリソースを登録します。なお,すでに共有ディスクリソースを登録している場合は,作成したグループにリソースを移動してください。また,共有ディスクを現用系ノードおよび待機系ノードから利用できるようにしておいてください。

設定する項目を次の表に示します。

表B-4 共有ディスクリソースの登録時に設定する項目

項目 説明
名前 共有ディスクの任意の名前を設定します。
例:「DocumentBroker_Disk」
説明 任意のコメントを設定します。
リソースの種類 「物理ディスク」を設定します。
実行可能な所有者 現用系ノードおよび待機系ノードを設定します。
リソースの依存関係 設定しません。
ディスク 現用系ノードと待機系ノードで共有できるディスクを設定します。
(c) IPアドレスリソースの登録

作成したグループに対して,IPアドレスリソースを登録します。

設定する項目を次の表に示します。

表B-5 IPアドレスリソースの登録時に設定する項目

項目 説明
名前 論理ホストのIPアドレスの任意の名前を設定します。
例:「DocumentBroker_IP」
説明 任意のコメントを設定します。
リソースの種類 「IPアドレス」を設定します。
実行可能な所有者 現用系ノードおよび待機系ノードを設定します。
リソースの依存関係 設定しません。
アドレス 現用系ノードおよび待機系ノードで共通に使用する論理IPアドレスを設定します。
例:「172.17.134.160」
サブネットマスク サブネットに使用するサブネットマスクを設定します。
例:「255.255.255.0」
ネットワーク 「172.17.134.160」が動作するネットワークを設定します。
(d) ネットワーク名リソースの登録

作成したグループに対して,ネットワーク名リソースを登録します。

設定する項目を次の表に示します。

表B-6 ネットワーク名リソースの登録時に設定する項目

項目 説明
名前 任意のネットワーク名を設定します。
例:「DocumentBroker_Network」
説明 任意のコメントを設定します。
リソースの種類 「ネットワーク名」を設定します。
実行可能な所有者 現用系ノードおよび待機系ノードを設定します。
リソースの依存関係 「仮想ホストIPアドレス」を設定します。
ネットワーク名 クライアントノードから接続する論理ホスト名を設定します。
例:「CLUSTER01」

(3) TPBrokerのOSAgentの設定

各ノードで次に示す項目を設定します。

各設定の詳細について説明します。

(a) 系切り替え用の環境変数の設定

現用系ノードおよび待機系ノードに対して,次に示す環境変数を設定します。

表B-7 系切り替え用の環境変数

環境変数 説明
HVI_OSAGENT_ORMSG_RESTRICT 任意の文字列を設定します。
OSAGENT_CLIENT_HANDLER_UDP_PORT 未使用の任意のポート番号を設定します。
OSAGENT_CLIENT_HANDLER_TCP_PORT 未使用の任意のポート番号を設定します。
(b) 現用系ノードでのアドレスファイルの設定

現用系ノードでアドレスファイルを設定します。設定するアドレスファイルを次に示します。

(c) 待機系ノードでのアドレスファイルの設定

待機系ノードでアドレスファイルを設定します。設定するアドレスファイルを次に示します。

(d) クライアントノードでのアドレスファイルの設定

クライアントノードでアドレスファイルを設定します。設定するアドレスファイルを次に示します。

(e) TPBroker用の汎用アプリケーションリソースの登録

(2)(a) グループの作成」で作成したグループに対して,TPBrokerのOSAgent用の汎用アプリケーションリソースを登録します。現用系ノードでクラスタアドミニストレータを使用して登録します。

設定する項目を次の表に示します。

表B-8 TPBroker用の汎用アプリケーションリソースの登録時に設定する項目

項目 説明
名前 OSAgentの任意の名前を設定します。
例:「OSAgent_Resource」
説明 任意のコメントを設定します。
リソースの種類 「汎用アプリケーション」を設定します。
実行可能な所有者 現用系ノードおよび待機系ノードを設定します。
リソースの依存関係 「仮想ホスト」を設定します。
コマンドライン 「OSAgent.exe -c -v」を設定します。
現在のディレクトリ 「%TPBroker%\adm」を設定します。
ルートレジストリキー 設定しません。

(4) HiRDBの設定

各ノードで次に示す項目を設定します。

各設定の詳細について説明します。

(a) hostsファイルの設定

現用系ノードおよび待機系ノードのhostsファイルに,IPアドレスとホスト名を設定します。設定するhostsファイルを次に示します。

(b) 共有ディスクおよびネットワークの有効化

現用系ノードでクラスタアドミニストレータを使用し,「(2)(a) グループの作成」で作成したグループの「共有ディスク」および「仮想ホスト」をオンラインにします。

(c) HiRDBシステム定義の作成

現用系ノードでHiRDBシステム定義を作成します。なお,ここでは,HiRDBの系切り替え機能を「モニタモード」に設定した場合に必要な定義だけを説明します。各定義の詳細,およびそのほかの定義については,マニュアル「HiRDB システム定義」を参照してください。

(d) HiRDBシステム定義のコピー

(c) HiRDBシステム定義の作成」で作成した現用系ノードのHiRDBシステム定義を待機系ノードにコピーします。このとき,ユニット制御情報定義(pdutsys)の「set pd_hostname」には,待機系ノードの物理ホスト名を設定してください。

(e) HiRDBのセットアップ

現用系ノードでHiRDBをセットアップします。次に示す手順で作業を実施してください。

そのほか,運用に応じて必要な作業を実施してください。詳細は,「3.10 データベースシステムでの環境設定」を参照してください。

(f) HiRDB/ClusterService用の汎用サービスリソースの登録

現用系ノードでクラスタアドミニストレータを使用し,「(2)(a) グループの作成」で作成したグループに対して,HiRDB/ClusterService用の汎用サービスリソースを登録します。

設定する項目を次の表に示します。

表B-9 HiRDB/ClusterService用の汎用サービスリソースの登録時に設定する項目

項目 説明
名前 HiRDB/ClusterService用の任意の名前を設定します。
例:「HiRDB/ClusterService_Resource」
説明 任意のコメントを設定します。
リソースの種類 「汎用サービス」を設定します。
実行可能な所有者 現用系ノードおよび待機系ノードを設定します。
リソースの依存関係 「共有ディスク」と「仮想ホスト」を設定します。
サービス名 「HiRDBClusterService」を設定します。
起動パラメータ 設定しません。
ルートレジストリキー 設定しません。
(g) HiRDBサーバ用の汎用サービスリソースの登録

現用系ノードでクラスタアドミニストレータを使用し,「(2)(a) グループの作成」で作成したグループに対して,HiRDBサーバ用の汎用サービスリソースを登録します。

設定する項目を次の表に示します。

表B-10 HiRDBサーバ用の汎用サービスリソースの登録時に設定する項目

項目 説明
名前 HiRDBサーバ用の任意の名前を設定します。
例:「HiRDBServer_Resource」
説明 任意のコメントを設定します。
リソースの種類 「汎用サービス」を設定します。
実行可能な所有者 現用系ノードおよび待機系ノードを設定します。
リソースの依存関係 「共有ディスク」と「仮想ホスト」を設定します。
サービス名 HiRDBサーバがHiRDB/SingleServerの場合は,「HiRDBSingleServer」を設定します。HiRDB/ParallelServerの場合は,「HiRDBParallelServer」を設定します。
起動パラメータ 設定しません。
ルートレジストリキー 設定しません。

(5) DocumentBroker Serverの設定

各ノードで次に示す項目を設定します。

各設定の詳細について説明します。

(a) HiRDBの有効化

現用系ノードでクラスタアドミニストレータを使用し,「(2)(a) グループの作成」で作成したグループの次に示すリソースをオンラインにします。

HiRDBサーバがHiRDB/SingleServerの場合
「HiRDB/ClusterService」および「HiRDB/SingleServer」をオンラインにします。

HiRDBサーバがHiRDB/ParallelServerの場合
「HiRDB/ClusterService」および「HiRDB/ParallelServer」をオンラインにします。
(b) 現用系ノードでのDocumentBroker Serverの環境設定

現用系ノードで,DocumentBroker Serverの環境設定をします。なお,ここでは,クラスタリングシステムで運用する場合に必要な文書空間の定義だけを説明します。そのほかの環境設定の方法については,「3. 環境設定」および「4. 環境設定で必要なファイル」を参照してください。

クラスタリングシステムで運用するために,DocumentSpace構成定義ファイル(DocumentBroker Serverのインストールディレクトリ\Server\etc\docspace.ini)に次に示す値を設定します。

DocumentSpace構成定義ファイルの詳細は,「4.2 DocumentSpace構成定義ファイル(docspace.ini)」を参照してください。

(c) 待機系ノードでのDocumentBroker Serverの環境設定

待機系ノードでのDocumentBroker Serverの環境設定は,現用系ノードの実行環境識別子が0か,1〜254かによって設定する内容が異なります。運用に応じて,どちらかの設定を実施してください。

現用系ノードの実行環境識別子が0の場合
現用系ノードの"DocumentBroker Serverのインストールディレクトリ\Server\etc"下の全ファイルを,待機系ノードの"DocumentBroker Serverのインストールディレクトリ\Server\etc"下にコピーします。

現用系ノードの実行環境識別子が1〜254の場合
次に示す手順で設定してください。
  1. 現用系ノードのDocumentSpace構成定義ファイル(現用系ノードのDocumentBroker Serverのインストールディレクトリ\Server\etc\docspace.ini)を,待機系ノードの"DocumentBroker Serverのインストールディレクトリ\Server\etc"下にコピーします。
  2. コピーしたDocumentSpace構成定義ファイルのSerialIdエントリの値を,次の個所に設定します。
    ファイル名 ファイルの格納先 設定個所
    edms.ini 待機系ノードの"DocumentBroker Serverのインストールディレクトリ\Server\etc" [dmaClass_DocSpace]セクションの[dmaProp_DocSpaceId]エントリ
    slocalreg.ini 待機系ノードの"DocumentBroker Serverのインストールディレクトリ\Server\etc" ServiceObjectIDエントリ
  3. メタ情報ファイルの出力コマンド(EDMPrintMeta -F)を実行します。
    メタ情報ファイルの出力コマンドについては,「7.3 コマンドの文法」の「EDMPrintMeta(メタ情報ファイルの出力)」を参照してください。
  4. DocumentBroker実行環境の情報の登録コマンド(EDMRegEnvId -r)を実行して,待機系ノード用の実行環境識別子を登録します。使用していない実行環境識別子を登録してください。
    すでに使用している実行環境識別子の一覧は,-lオプションを指定してDocumentBroker実行環境の情報の登録コマンド(EDMRegEnvId)を実行することで,確認できます。
    DocumentBroker実行環境の情報の登録コマンドについては,「7.3 コマンドの文法」の「EDMRegEnvId(DocumentBroker実行環境の情報の登録)」を参照してください。
(d) DocumentBroker Server用の汎用サービスリソースの登録

現用系ノードでクラスタアドミニストレータを使用し,「(2)(a) グループの作成」で作成したグループに対して,DocumentBroker Server用の汎用サービスリソースを登録します。

設定する項目を次の表に示します。

表B-11 DocumentBroker Server用の汎用サービスリソースの登録時に設定する項目

項目 説明
名前 DocumentBroker Serverの任意の名前を設定します。
例:「DocumentBrokerService_Resource」
説明 任意のコメントを設定します。
リソースの種類 「汎用サービス」を設定します。
実行可能な所有者 現用系ノードおよび待機系ノードを設定します。
リソースの依存関係 次に示すリソースを設定します。
  • HiRDB/ClusterService用の汎用サービスリソース
  • HiRDBサーバ用の汎用サービスリソース
  • TPBroker用の汎用アプリケーションリソース
サービス名 「DocumentBroker Server」を設定します。
起動パラメータ 設定しません。
ルートレジストリキー 「SOFTWARE\HITACHI\DocumentBrokerServer」を設定します。
(e) ノード内で複数の実行環境を構築する場合の設定

ノード内で複数の実行環境を構築する場合にだけ必要な設定について説明します。複数の実行環境を構築しない場合,この設定は不要です。

次に示す手順で設定してください。

  1. 現用系ノードおよび待機系ノードで,DocumentBroker Serverをセットアップします。
    インストール時に設定するセットアップ識別子は,現用系ノードと待機系ノードで同じ値を設定してください。
  2. 現用系ノードおよび待機系ノードで,DocumentBroker Serverの環境設定をします。
  3. 現用系ノードおよび待機系ノードで,実行環境ごとにDocumentBroker Server用の汎用サービスリソースを登録します。
    複数の実行環境を構築する場合に注意が必要な項目だけを次の表に示します。それ以外の項目については,「(d) DocumentBroker Server用の汎用サービスリソースの登録」を参照してください。

    表B-12 複数の実行環境を構築する場合に設定する項目(DocumentBroker Server用の汎用サービスリソースの登録)

    項目 説明
    名前 実行環境ごとに一意の名前を設定します。
    サービス名 サービス名+半角スペース+セットアップ識別子の形式で設定します。
    例えば,セットアップ識別子が「0001」の場合は,「DocumentBroker Server 0001」のように設定します。
    ルートレジストリキー ルートレジストリキー+セットアップ識別子の形式で設定します。
    例えば,セットアップ識別子が「0001」の場合は,「SOFTWARE\HITACHI\DocumentBrokerServer0001」のように設定します。
(f) リファレンスファイル管理機能を使用する場合の設定

リファレンスファイル管理機能を使用する場合は,現用系ノードおよび待機系ノード以外のサーバか,または共有ディスク上でコンテントを管理するように設定してください。

(g) File Link連携機能を使用する場合の設定

File Link連携機能を使用する場合は,共有ディスク,現用系ノードのサーバ,および待機系ノードのサーバ以外でコンテントを管理するように設定してください。詳細は,マニュアル「HiRDB File Link」を参照してください。

(h) プロパティの設定

プロパティでは,異常が発生した場合の処理方法および連続異常終了の監視方法を設定します。

異常が発生した場合の処理方法の設定
異常が発生した場合に,アクティブノードで再実行するか,すぐにスタンバイノードに処理を移すかの設定ができます。クラスタアドミニストレータで,DocumentBrokerの各リソースを選択して,[プロパティ]−[詳細設定]で設定します。すぐにスタンバイノードに処理を移すときは,「グループに適用する」チェックボックスをオンにして,「しきい値」を「0」にします。

連続異常終了の監視方法の設定
DocumentBrokerの連続異常終了の監視方法を,グループのリソースのプロパティで設定できます。クラスタアドミニストレータで,DocumentBrokerグループのリソースを選択して,[プロパティ]−[詳細設定]で,「グループに適用する」チェックボックスをオンにして,「しきい値」および「期間」に適当な値を設定してください。

(6) 系切り替えの確認

クラスタアドミニストレータを使用して,系切り替えの確認をします。

確認する項目を次に示します。