7.10.3 性能解析トレースの表示
J2EEサーバの稼働ログ,ルートアプリケーション情報の一覧表示などで取得したルートアプリケーション情報から,ルートアプリケーション情報に一致する性能解析トレースを表示します。ルートアプリケーション情報の一覧表示については,「7.10.4 ルートアプリケーション情報の一覧表示」を参照してください。
(1) ルートアプリケーション情報に一致する性能解析トレースの表示
メッセージトラッキングプロンプトに,ルートアプリケーション情報を入力します。入力すると,メッセージトラッキングの起動時に読み込んだ性能解析トレースの中から,入力したルートアプリケーション情報に一致する性能解析トレースの情報が時系列に出力されます。出力された性能解析トレースの情報から,応答に時間が掛かっている個所やリターンコードがエラーになっているトレースを確認できます。
(a) 入力形式
メッセージトラッキングプロンプトでprfコマンドを実行します。prfコマンドの詳細については,マニュアル「サービスプラットフォーム リファレンス」の「cscmsgtk(メッセージトラッキング機能の起動)」にある障害解析コマンドを参照してください。
prfコマンドの実行形式を次に示します。
prf <ルートアプリケーション情報のIPアドレス>/<ルートアプリケーション情報のプロセスID>/<ルートアプリケーション情報の通信番号>
(b) 出力形式
出力形式を次に示します。
1 2 3 4 5 |
yyyy/MM/dd hh:mm:ss.SSS No. interval(msec) event rc thread(hashcode) interface operation 通番 +前回出力時からの経過時間 イベントID リターンコード スレッドID インターフェース名 オペレーション情報 機能レイヤ: トレース取得ポイント(対応するイベントID) 遅延レベル |
3〜5行目は性能解析トレースの数分出力されます。
なお,出力モードを詳細出力モードにした場合,サービスプラットフォーム以外で取得した性能解析トレースも出力されます。出力モードについては,マニュアル「サービスプラットフォーム リファレンス」の「cscmsgtk(メッセージトラッキング機能の起動)」にある出力モード切り替えコマンドを参照してください。
- 1行目:出力開始日時
-
性能解析トレースの出力を開始した日時が「yyyy/MM/dd hh:mm:ss.SSS」の形式で出力されます。
-
yyyy:西暦年
-
MM:月
-
dd:日
-
hh:時
-
mm:分
-
ss:秒
-
SSS:ミリ秒
-
- 2行目:カラム
-
性能解析トレースに対応するカラムが出力されます。出力形式と同じ内容が出力されます。
- 3行目:性能解析トレースの内容
-
カラムに対応する性能解析トレースの内容が出力されます。
表示項目
対応するカラム
説明
通番
No.
通番を示します。
前回出力時からの経過時間
interval(msec)
性能解析トレースの1つ前の出力時からの経過時間(ミリ秒)を示します。半角数字6桁(約16分)まで出力されます。それ以上の時間が経過した場合は,「999999」が出力されます。
イベントID
event
トレース取得ポイントを示すイベントIDを示します。
リターンコード
rc
リターンコード(16進数)を示します。次のどちらかが出力されます。
-
0:正常
-
0以外:異常
スレッドID
thread(hashcode)
トレース情報を取得したプロセス内スレッドのスレッドID,およびスレッドのハッシュ値を示します。
-
スレッドID
「0x」を付加した小文字の16進数です。
-
ハッシュ値
「0x」を付加した小文字の16進数です。10桁未満の場合は,10桁に桁合わせをします。10桁以上の場合は,すべての値が出力されます。
なお,16進数の変換で失敗した場合は,「????????(????????)」が出力されます。
また,CTMおよびリダイレクタで取得したトレース情報の場合は,スレッドのハッシュ値が出力されないことがあります。その場合は,スレッドIDだけが出力されます。
インターフェース名
interface
取得ポイントごとのインターフェース名を示します。
オペレーション情報
operation
取得ポイントに関連するオペレーション情報を示します。
-
- 4行目:性能解析トレースのポイント名
-
性能解析トレースのポイント名が出力されます。なお,サービスプラットフォームのトレースポイント以外で取得した性能解析トレースの場合は,「−」が出力されます。
表示項目
説明
機能レイヤ
性能解析トレースを出力する機能の層を示します。次のどれかが出力されます。
-
HCSC(MSG):メッセージング基盤
-
HCSC(BP):ビジネスプロセス基盤
-
HCSC(DT):データ変換基盤
-
HCSC(FTR):FTP受付
-
HCSC(HTR):HTTP受付
-
HCSC(MQR):Message Queue受付
-
HCSC(FER):ファイルイベント受付
-
HCSC(KAR):Kafka受付
-
HCSC(SDR):スケジュール駆動受付
-
HCSC(GRR):gRPC受付
-
HCSC(DBA):DBアダプタ
-
HCSC(FFA):ファイルアダプタ
-
HCSC(OAA):Object Accessアダプタ
-
HCSC(MQA):Message Queueアダプタ
-
HCSC(FTP):FTPアダプタ
-
HCSC(FTI):FTPインバウンドアダプタ
-
HCSC(FOA):ファイル操作アダプタ
-
HCSC(MA):メールアダプタ
-
HCSC(HTA):HTTPアダプタ
-
HCSC(CMDA):コマンドアダプタ
-
HCSC(SFTP):SFTPアダプタ
-
HCSC(KAA):Kafkaアダプタ
-
HCSC(KAI):Kafkaインバウンドアダプタ
-
HCSC(GRA):gRPCアダプタ
-
HCSC(GRI):gRPCインバウンドアダプタ
トレース取得ポイント
各機能レイヤで性能解析トレースを出力するポイントを示します。
対応するイベントID
取得ポイントに対応するイベントIDを示します。起点(入口)で取得されたトレースの場合は「-<対応するイベントID>」が,終点(出口)で取得されたトレースの場合は「<対応するイベントID>-」が出力されます。存在しない場合は出力されません。
-
- 5行目:遅延レベル
-
トレース間の遅延レベルが出力されます。
表示項目
説明
行なし
経過ミリ秒が1秒未満の遅延レベルを示します。
@@ (1sec-10sec)
経過ミリ秒が1秒以上の遅延レベルを示します。
@@ @@ (10sec-100sec)
経過ミリ秒が10秒以上の遅延レベルを示します。
@@ @@ @@ (100sec more...)
経過ミリ秒が100秒以上の遅延レベルを示します。
(c) 出力例
出力例を次に示します。
出力例の場合,トレース通番117とトレース通番121の間で遅延が発生し,トレース通番121でリターンコードがエラーになっています。
(2) 性能解析トレースの詳細情報表示
「7.10.3(1) ルートアプリケーション情報に一致する性能解析トレースの表示」で表示したリターンコードや遅延レベルから,詳細情報を確認したい性能解析トレースを特定し,その性能解析トレースの通番を取得します。ルートアプリケーション情報に続けて,取得した通番を入力すると,その性能解析トレースの詳細情報が出力されます。メッセージ共通ID,リクエストID,サービス部品名などが出力され,障害解析の有益な情報を得られます。
(a) 入力形式
メッセージトラッキングプロンプトでprfコマンドを実行します。性能解析トレースの詳細情報を表示するには,ルートアプリケーション情報に続けて通番を指定します。prfコマンドの詳細については,マニュアル「サービスプラットフォーム リファレンス」の「cscmsgtk(メッセージトラッキング機能の起動)」にある障害解析コマンドを参照してください。
prfコマンドの実行形式を次に示します。
prf <ルートアプリケーション情報のIPアドレス>/<ルートアプリケーション情報のプロセスID>/<ルートアプリケーション情報の通信番号> 通番
(b) 出力形式
性能解析トレースのASCIIカラムに出力されている内容が出力されます。ASCIIカラムに設定されていない場合は,何も出力されません。
(c) 出力例
出力例を次に示します。
-
トレース通番117の詳細情報を出力した場合
-
トレース通番121の詳細情報を出力した場合