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Cosminexus V11 アプリケーションサーバ 機能解説 保守/移行編


12.2.4 11-40で非サポートの機能

アプリケーションサーバ 11-40には,09-87からの移行をサポートしていない機能があります。なお,一部の機能を除き,V9互換モードでは使用できます。

〈この項の構成〉

(1) 非サポートのWebコンテナの機能

(a) ラウンドロビン方式によるリクエストの振り分け

アプリケーションサーバ 11-40のWebサーバに内蔵されたプロキシモジュールでは,09-87のリダイレクタによるWebサーバ連携でサポートしていたラウンドロビン方式によるリクエストの振り分け(ロードバランサ)をサポートしていません。

ラウンドロビン方式によるリクエストの振り分けを実現するには,負荷分散機やロードバランサ機能を持つWebサーバが別途必要です。

(b) POSTデータサイズでのリクエストの振り分け

アプリケーションサーバ 11-40のWebサーバに内蔵されたプロキシモジュールでは,09-87のリダイレクタによるWebサーバ連携でサポートしていた,POSTデータサイズでのリクエストの振り分けをサポートしていません。

POSTデータサイズによるリクエストの振り分けを実現するには,その機能を持つ負荷分散機やロードバランサ機能を持つWebサーバが別途必要です。

(c) J2EEサーバによるゲートウェイ指定機能

アプリケーションサーバ 11-40のNIO HTTPサーバには,09-87のリダイレクタやインプロセスHTTPサーバで提供していた「ゲートウェイ指定機能」がありません。

URL転送の際にLocationヘッダに付与するURLとして,負荷分散機やSSLアクセラレータなど,ゲートウェイのURLをクライアントに返却する必要がある場合,負荷分散機やSSLアクセラレータの機能でLocationヘッダの書き換えなどの適切なゲートウェイのURLを返す設定をしてください。

Webコンテナが生成したセッションIDをCookieによってクライアントに返すとき,Cookieにsecure属性を付与するには,Servlet標準仕様に従ってweb.xml(/web-app/session-config/cookie-config/secure要素)で設定してください。または,Cosminexus HTTP Serverでのレスポンスヘッダ書き換えをご検討ください。詳細はマニュアル「HTTP Server」の「4.10.2(3) バックエンドのレスポンスヘッダ値を書き換える場合」を参照してください。

「ゲートウェイ指定機能」使用時に動作が変わっていた次のAPIは,Servlet標準仕様およびマニュアル「アプリケーションサーバ 機能解説 基本・開発編(Webコンテナ)」の「8.2 サーブレットおよびJSPの実装時の注意事項」に従って動作します。

  • javax.servlet.http.HttpServletResponseクラスのsendRedirectメソッド

  • javax.servlet.ServletRequestインタフェースのgetRequestURLメソッド

  • javax.servlet.ServletRequestインタフェースのgetServerNameメソッド

  • javax.servlet.ServletRequestインタフェースのgetServerPortメソッド

  • javax.servlet.ServletRequestインタフェースのgetSchemeメソッド

  • javax.servlet.ServletRequestインタフェースのisSecureメソッド

また,「ゲートウェイ指定機能」使用時にjavax.servlet.ServletRequestインタフェースのgetAttributeメソッドで取得できない次の属性は,NIO HTTPサーバでも取得できません。

  • javax.servlet.request.cipher_suite

  • javax.servlet.request.key_size

  • javax.servlet.request.X509Certificate

(d) Webコンテナ単位のエラーページのカスタマイズ機能

アプリケーションサーバ 11-40のNIO HTTPサーバには,09-87のリダイレクタやインプロセスHTTPサーバで提供していた「Webコンテナ単位のエラーページのカスタマイズ機能」がありません。

エラーステータスコードに応じたユーザ独自のエラーページをレスポンスとして返したい場合は,Servlet仕様に従ってアプリケーション単位で定義するか,またはWebサーバのリバースプロキシ機能を介したWebサーバ連携を構成し,Webサーバ側の機能を使用してエラーページをカスタマイズしてください。

(e) 有効なHTTPメソッドの制限機能

アプリケーションサーバ 11-40のNIO HTTPサーバには,09-87のインプロセスHTTPサーバで提供していた「有効なHTTPメソッドの制限機能」がありません。

有効なHTTPメソッドの制限が必要な場合は,Webサーバのリバースプロキシ機能を介したWebサーバ連携を構成し,Webサーバ側の機能を使用して有効なHTTPメソッドを制限してください。

(f) リダイレクトによるリクエストの振り分け機能

アプリケーションサーバ 11-40のNIO HTTPサーバには,09-87のインプロセスHTTPサーバで提供していた「リダイレクトによるリクエストの振り分け機能」がありません。

URL単位でリダイレクトが必要な場合は,Webサーバのリバースプロキシ機能を介したWebサーバ連携を構成し,Webサーバ側の機能を使用してURLのリダイレクトをしてください。

(2) 非サポートの拡張機能

アプリケーションサーバ 11-40では,「EADsセッションフェイルオーバ機能」をサポートしていません。この機能は,V9互換モードでも使用できません。

(3) 非サポートの互換機能

アプリケーションサーバ 09-87以前から,前バージョンとの互換性のために残されていた次の互換機能は,アプリケーションサーバ 11-40では使用できません。これらの機能は,V9互換モードでも使用できません。

表12‒2 アプリケーションサーバ 11-40では非サポートの互換機能

分類

機能名

代替機能

互換機能

ベーシックモード

J2EEサーバを使用してください。

サーブレットエンジンモード

(Webコンテナサーバ)

J2EEサーバを使用してください。

簡易Webサーバ機能

NIO HTTPサーバ機能を使用してください。

詳細は,マニュアル「アプリケーションサーバ 機能解説 基本・開発編(Webコンテナ)」の「7. NIO HTTPサーバ」を参照してください。

EJBクライアントアプリケーションの

ログのサブディレクトリ専有モード

デフォルトのサブディレクトリ共有モードを使用してください。

メモリセッションフェイルオーバ機能

データベースセッションフェイルオーバ機能を使用してください。

詳細は,マニュアル「アプリケーションサーバ 機能解説 拡張編」の「6. データベースセッションフェイルオーバ機能」を参照してください。

複数の構築済み実行環境の切り替え

なし

J2EEアプリケーションのテスト機能

なし

JSP1.1仕様およびJSP1.2仕様に準拠したJSPソースのチェック

(cjjsp2java)

なし

論理サーバのアプリケーション管理のV7互換モード

なし

セキュリティ

管理機能

セッションフェイルオーバ機能を使用したログイン状態の引き継ぎ

なし

コマンド

Management Serverで使用するコマンド

(旧バージョンとの互換用のコマンド)

  • cmx_define_applicationコマンド

  • cmx_deploy_applicationコマンド

  • cmx_register_applicationコマンド

  • cmx_start_applicationコマンド

  • cmx_stop_applicationコマンド

  • cmx_undefine_applicationコマンド

  • cmx_undeploy_applicationコマンド

  • cmx_unregister_applicationコマンド

  • cmx_define_resourceコマンド

  • cmx_deploy_resourceコマンド

  • cmx_register_resourceコマンド

  • cmx_start_resourceコマンド

  • cmx_stop_resourceコマンド

  • cmx_undefine_resourceコマンド

  • cmx_undeploy_resourceコマンド

  • cmx_unregister_resourceコマンド

  • cmx_add_serverrefコマンド

  • cmx_delete_serverrefコマンド

J2EEサーバのコマンドを使用してください。

詳細は,マニュアル「アプリケーションサーバ リファレンス コマンド編」の「2. J2EEサーバで使用するコマンド」を参照してください。

(4) 非サポートになったCosminexus TPBrokerの機能

Windows版アプリケーションサーバ 11-40のCosminexus TPBrokerには,11-00以前にあったtssetfwコマンドがありません。Cosminexus TPBrokerのWindowsファイアウォール例外リストの登録については,netshコマンドを使用してください。netshコマンドの使用方法については,マニュアル「アプリケーションサーバ 機能解説 セキュリティ管理機能編」を参照してください。