1.1.1 アプリケーションの実行基盤としての機能
アプリケーションとして実装されたオンライン業務やバッチ業務を実行する基盤となる機能です。システムの用途や求められる要件に応じて,使用する機能を選択します。
アプリケーションの実行基盤としての機能を使用するかどうかは,システム構築やアプリケーション開発よりも前に検討する必要があります。
アプリケーションの実行基盤としての機能について,分類ごとに説明します。
- 〈この項の構成〉
(1) アプリケーションを動作させるための基本的な機能(基本・開発機能)
アプリケーション(J2EEアプリケーション)を動作させるための基本的な機能が該当します。主にJ2EEサーバの機能が該当します。
アプリケーションサーバでは,Java EE 8に対応したJ2EEサーバを提供しています。J2EEサーバでは,標準仕様に準拠した機能のほか,アプリケーションサーバ独自の機能も提供しています。
基本・開発機能は,機能を使用するJ2EEアプリケーションの形態に応じて,さらに三つに分類できます。アプリケーションサーバの機能解説のマニュアルは,この分類に応じて分冊されています。
それぞれの分類の概要を説明します。
-
Webアプリケーションを実行するための機能(Webコンテナ)
Webアプリケーションの実行基盤であるWebコンテナの機能,およびWebコンテナとWebサーバが連携して実現する機能が該当します。
-
Enterprise Beanを実行するための機能(EJBコンテナ)
Enterprise Beanの実行基盤であるEJBコンテナの機能が該当します。また,Enterprise Beanを呼び出すEJBクライアントの機能も該当します。
-
WebアプリケーションとEnterprise Beanの両方で使用する機能(コンテナ共通機能)
Webコンテナ上で動作するWebアプリケーションおよびEJBコンテナ上で動作するEnterprise Beanの両方で使用できる機能が該当します。
(2) Webサービスを開発するための機能
Webサービスの実行環境および開発環境としての機能が該当します。
アプリケーションサーバでは,次のエンジンを提供しています。
-
JAX-WS仕様に従ったSOAPメッセージのバインディングを実現するJAX-WSエンジン
-
JAX-RS仕様に従ったRESTful HTTPメッセージのバインディングを実現するJAX-RSエンジン
(3) 信頼性や性能などを向上させるために拡張されたアプリケーションサーバ独自の機能(拡張機能)
アプリケーションサーバで独自に拡張された機能が該当します。バッチサーバ,CTM,データベースなど,J2EEサーバ以外のプロセスを使用して実現する機能も含まれます。
アプリケーションサーバでは,システムの信頼性を高め,安定稼働を実現するための多様な機能が拡張されています。また,J2EEアプリケーション以外のアプリケーション(バッチアプリケーション)をJavaの環境で動作させる機能も拡張しています。
(4) システムのセキュリティを確保するための機能(セキュリティ管理機能)
アプリケーションサーバを中心としたシステムのセキュリティを確保するための機能が該当します。不正なユーザからのアクセスを防止するための認証機能や,通信路での情報漏えいを防止するための暗号化機能などがあります。