3.11.4 アプリケーションサーバの実行系と待機系を相互スタンバイにする構成
アプリケーションサーバの実行系と待機系を1:1にする構成で,それぞれのアプリケーションサーバを実行系として稼働させながら,お互いの待機系にする構成について説明します。この構成を,相互スタンバイ構成といいます。また,この構成で構築されたシステムを,相互系切り替えシステムといいます。
- 〈この項の構成〉
(1) システム構成の特徴
この構成は,実行系のアプリケーションサーバマシン1台に対して待機系のアプリケーションサーバマシンを1台用意しておく構成の一つです。ただし,待機系のアプリケーションサーバを停止させておくのではなく,実行系とは異なるJ2EEサーバを動作させておきます。これを,相互スタンバイといいます。
それぞれのアプリケーションサーバに同じ種類のJ2EEサーバを配置して,異なるJ2EEサーバを起動しておくことで,それぞれのアプリケーションサーバが現用系として動作しながらお互いの予備系として機能します。どちらかのマシンに障害が発生した場合は,系が切り替えられ,もう片方のアプリケーションサーバマシンで両方のJ2EEサーバの処理が実行されるようになります。
この構成は,次のことが前提になります。
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CORBAネーミングサービスはインプロセスで起動されていること
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グローバルトランザクションを使用する場合,トランザクションのステータスファイルは共有ディスクに格納されていること
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Management Serverを利用して運用していること
Management Serverは,アプリケーションサーバと同じマシンに,一つずつ配置して,両方のホストで起動します。それぞれのManagement Serverは,別の運用管理ドメインを管理します。それぞれの運用管理ドメインの範囲は,Management Serverが配置されているアプリケーションサーバマシン内です。
相互系切り替えシステムの構成の例を次の図に示します。この例は,トランザクションサービスを使用する例です。共有ディスクは,トランザクションサービスを使用する場合にだけ必要です。
これ以外の凡例については,「3.2 システム構成の説明について」を参照してください。
- 特徴
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実行系と待機系は1:1で構成します。それぞれのマシンにManagement Serverを配置します。
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一つの運用管理ドメイン(一つのマシン)内に,二つの仮想ホストを定義します。それぞれの仮想ホストを,実行系のアプリケーションサーバのホスト,待機系のアプリケーションサーバのホストとして,システムを構築します。
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運用管理ドメイン内のそれぞれの仮想ホストは,一つの運用管理エージェントで起動・停止を制御されます。ただし,それぞれの仮想ホストには実際に運用に使用されるIPアドレスとは異なるIPアドレスが割り当てられているため,見かけ上異なるホスト上で動作しているように定義されています。
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各アプリケーションサーバの運用に使用するIPアドレスは,クラスタソフトウェアによって動的に割り当てられるIPアドレスを使用します。Management Serverから運用管理エージェントに対するリクエストの送信には,系切り替えによって他系へ移動しないIPアドレスを使用します。
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グローバルトランザクションを使用する場合は,共有ディスク装置が必要です。共有ディスクは,仮想ホストごとに必要です。
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図の場合,仮想ホスト単位にLANを分けていますが,必須ではありません。
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- 系切り替えの流れ
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どちらかのアプリケーションサーバマシンに障害が発生すると,系切り替えが実行されます。系切り替えは,Management Server,運用管理エージェント,またはクラスタソフトウェアなどに障害が発生した場合に実行されます。なお,このほか,明示的に系切り替えを実行するコマンドを実行した場合や,これ以外にクラスタソフトウェアが系切り替えの対象にしている事象が発生した場合も,系切り替えが実行されます。
系切り替えが実行されると,待機系だった側のアプリケーションサーバマシンの運用管理エージェントによって,それまで停止していた論理サーバのプロセスが起動されます。
例えば,図の場合に,アプリケーションサーバ1に障害が発生した場合は,クラスタソフトウェアによってアプリケーションサーバ2への系切り替えが実行され,アプリケーションサーバ2の運用管理エージェントによって,アプリケーションサーバ2上のJ2EEサーバ1およびそれ以外の論理サーバのプロセスが起動されます。
(2) それぞれのマシンで起動するプロセス
それぞれのマシンに必要なソフトウェアとプロセスについて説明します。
(a) アプリケーションサーバマシン(実行系1/待機系2)
アプリケーションサーバマシンには,Application Serverをインストールする必要があります。
相互系切り替えシステムのアプリケーションサーバマシンで必ず起動するプロセスは次のとおりです。
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運用管理エージェント
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Management Server
これ以外にアプリケーションサーバに必要なソフトウェアおよびプロセスは,使用する機能に応じたシステム構成ごとに異なります。使用する機能に応じて必要なソフトウェアとプロセスを配置してください。
なお,系切り替えの対象になるプロセスは,仮想ホスト1のプロセスだけを起動してください。
(b) アプリケーションサーバマシン(待機系1/実行系2)
待機系のアプリケーションサーバマシンにインストールするソフトウェアおよびプロセスの構成は,実行系1/待機系2と一致させてください。
なお,系切り替えの対象になるプロセスは,仮想ホスト2のプロセスだけを起動してください。
(c) クライアントマシン
クライアントマシンには,次のソフトウェアをインストールしてください。
- Webクライアント構成の場合
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Webブラウザ
- EJBクライアント構成の場合
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Client(Windowsの場合),Application Server