1.1 アプリケーションサーバのシステム設計の目的
アプリケーションサーバは,JavaやCORBAなどの業界標準に準拠したアプリケーションの実行環境である,アプリケーションサーバを構築する製品です。アプリケーションサーバは,業務システムの構築基盤として位置づけられます。
業務システムには,次のような要件が求められます。
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信頼性と可用性の高いシステムの実現
業務システムを止めることなく安定稼働させるために,信頼性と可用性を確保したシステムであることが必要です。
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セキュリティの確保
システムを管理または運用するユーザがシステムを構築・運用していく過程や,システムが提供するサービスをエンドユーザが利用していく過程で,システムにはセキュリティ上のさまざまな脅威が想定されます。脅威からシステムを守るには,システムを物理的に安全な構成に設計したり,作業者の運用ルールを定めたりするなどの対策を実施する必要があります。
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優れた処理性能の実現
Webクライアントなどの多数のクライアントからの処理要求や,EJBクライアントなどの業務のバックシステムでのミッションクリティカルな処理要求などに,迅速かつ確実に対応するレスポンスが求められます。
これらの要件を満たすシステムを構築するためには,システム構築を始める前にシステムの目的や特徴を分析したり,システムで使用するリソースを見積もったりするなど,最適なシステム構成を検討する必要があります。また,システムの運用を開始する前に,セキュリティを確保するための手順を整備したり,実際に想定される運用時の状態で動作確認およびチューニングを実施したりする必要があります。
アプリケーションサーバのシステム設計は,これらの作業を通して,アプリケーションサーバ上で動作する業務システムを,最適な状態で運用できるようにすることを目的とします。このマニュアルでは,アプリケーションサーバのシステムを設計する場合に検討,考慮する必要がある項目として,次の項目について説明します。
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システム構成の検討方法
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セキュアなシステムの検討方法
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パフォーマンスチューニングの実施方法