4.8.2 簡易構築定義ファイルを設定するときの注意事項(その他の機能使用時)
ここでは,次のアプリケーションサーバの機能を使用するシステムを,Smart Composer機能を使用して,簡易構築定義ファイルで設定するときの注意事項について説明します。
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CTMを使用したスケジューリング機能
-
NIO HTTPサーバ機能(Webサーバ連携を行わない場合)
- 〈この項の構成〉
(1) J2EEアプリケーションを実行するシステムでCTMを使用したスケジューリング機能を使用する場合
CTMを使用するシステムでは,CTMにリクエストを送信するクライアントの定義が必要です。クライアントとして,Smart Composer機能や運用管理ポータルを使用して構築したWebフロントシステム以外にも,EJBクライアントやユーザが独自に定義するWebフロントシステムが利用できます。
統合ネーミングスケジューラサーバ(グローバルCORBAネーミングサービスを配置したホスト)を使用した,統合ネーミングスケジューラサーバモデルで構築する場合,簡易構築定義ファイルでは,統合ネーミングスケジューラサーバと,アプリケーションサーバを定義する必要があります。統合ネーミングスケジューラサーバとアプリケーションサーバは,それぞれ別のWebシステムで定義します。また,CTMにリクエストを送信するシステムとして,Smart Composer機能で構築するWebフロントシステムを使用する場合は,スケジューリング機能で使用するWebシステムとは別にWebシステムを定義してください。
Webシステムごとに,簡易構築定義ファイルで必要な定義について説明します。
(a) アプリケーションサーバ(CTM)用のWebシステム
このWebシステムでは,アプリケーションサーバを定義します。
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Webシステムの属性定義
アプリケーションサーバを構築するWebシステムを定義します。
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負荷分散機の定義
負荷分散機は定義できません。負荷分散機を定義した場合は,エラーとなります。
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物理ティアの定義
物理ティアの種類にはctm-tierを定義します。
アプリケーションサーバでは,複数のJ2EEサーバが配置できます。複数のJ2EEサーバを配置する場合は,物理ティアの定義で,1ホストに配置するJ2EEサーバの数を設定します。なお,1ホストに配置するJ2EEサーバの数は,Webシステムの構成変更時に変更できません。
ctm-tierでは,CTMドメインマネジャ,CTM,スマートエージェントおよびパフォーマンストレーサのコンフィグレーションと,J2EEサーバ全体で共通のコンフィグレーションを設定できます。複数のJ2EEサーバを配置する場合は,同じ番号(<server-no>タグ)を持つJ2EEサーバで共通のコンフィグレーションも設定できます。
J2EEサーバごとに適用されるコンフィグレーション定義が複数ある場合,各定義で同じパラメタを指定したときは,次の1.,2.,3.の順に優先して適用されます。
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サービスユニットの定義(特定のJ2EEサーバの定義)
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物理ティアの定義(同じ番号を持つJ2EEサーバで共通の定義)
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物理ティアの定義(J2EEサーバ全体で共通の定義)
統合ネーミングスケジューラサーバとの関係を定義するため,次に示すパラメタは,統合ネーミングスケジューラサーバと同じ値を設定してください。
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CTMドメインマネジャが属するCTMドメイン名(論理CTMドメインマネジャのctmdomname)
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CTMドメインマネジャで使用するポート番号(論理CTMドメインマネジャのcdm.port)
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スマートエージェントで使用するポート番号(論理スマートエージェントのsmartagent.port)
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サービスユニットの定義
CTM関連のプロセス,J2EEサーバを配置するサービスユニットを定義します。
サービスユニットごとに,CTMドメインマネジャ,CTM,スマートエージェントおよびパフォーマンストレーサのコンフィグレーションと,特定のJ2EEサーバのコンフィグレーションを設定できます。複数のJ2EEサーバを配置する場合,サービスユニット内のJ2EEサーバは,番号(<server-no>タグ)で特定します。
CTMを識別するCTM識別子(ctmid)は,運用管理ドメイン内でユニークな値を設定する必要があります。CTM識別子(ctmid)の設定は省略できます。
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ホストの定義
CTM関連のプロセス,J2EEサーバを配置するアプリケーションサーバを定義します。
(b) 統合ネーミングスケジューラサーバ用のWebシステム
統合ネーミングスケジューラサーバモデルで構築する場合に,このWebシステムが必要になります。このWebシステムでは,統合ネーミングスケジューラサーバ(グローバルCORBAネーミングサービスを配置したマシン)を定義します。
-
Webシステムの属性定義
統合ネーミングスケジューラサーバを構築するWebシステムを定義します。
-
負荷分散機の定義
負荷分散機は定義できません。負荷分散機を定義した場合は,エラーとなります。
-
物理ティアの定義
物理ティアの種類にはctm-tierを定義します。
統合ネーミングスケジューラサーバではJ2EEサーバを配置しないため,ctm-tierで,J2EEサーバの数に0を設定します。
ctm-tierでは,CTMドメインマネジャ,CTM,スマートエージェントおよびパフォーマンストレーサのコンフィグレーションを設定できます。
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サービスユニットの定義
CTM関連のプロセスを配置するサービスユニットを定義します。
-
ホストの定義
統合ネーミングスケジューラサーバを定義します。
(2) NIO HTTPサーバ機能(Webサーバ連携を行わない場合)を使用する場合
簡易構築定義ファイルでは,次の定義が必要になります。なお,j2ee-tierでは負荷分散機が使用できないため,負荷分散機の定義は削除します。負荷分散機を使用する場合は,運用管理ポータルを使用して構築してください。
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物理ティアの定義
物理ティアの種類にはj2ee-tierを定義します。また,j2ee-tierで,NIO HTTPサーバ機能を使用するための設定を定義します。
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サービスユニットの定義
J2EEサーバを配置するサービスユニットを定義します。NIO HTTPサーバが使用するポート番号を定義します。
(3) 各機能で共通の注意事項
各機能を使用する場合に,1ホストに複数のサービスユニットを配置できます。ただし,同じCTMドメインのサービスユニットは,1ホスト内に複数配置できません。1ホスト内に複数のサービスユニットを配置するときの注意事項を次に示します。
(a) 論理サーバの設定に関する注意事項
1ホストに複数のサービスユニットをすると,同じホスト内に同じ種類の論理サーバが複数存在することになります。このため,簡易構築定義ファイルを作成する際には,各論理サーバのコンフィグレーションで,次に示す項目の指定値を重複しないようにしてください。
論理サーバの種類 |
項目 |
param-nameの指定値 |
---|---|---|
Webサーバ |
httpポート番号 |
Listen |
J2EEサーバ |
NIO HTTPサーバのポート番号 |
webserver.connector.nio_http.port※1 |
ajp13のポート番号 |
webserver.connector.ajp13.port※2 |
|
インプロセスのネーミングサービス用のポート番号 |
ejbserver.naming.port |
|
インプロセスのHTTPサーバのポート番号 |
webserver.connector.inprocess_http.port※2 |
|
JTAリカバリの固定ポート番号 |
ejbserver.distributedtx.recovery.port |
|
RMIレジストリのポート番号 |
ejbserver.rmi.naming.port |
|
管理用サーバのポート番号 |
ejbserver.http.port |
|
稼働情報取得時のリクエスト受付ポート番号 |
ejbserver.rmi.remote.listener.port |
|
パフォーマンストレーサ |
PRF識別子 |
PRFID |
スマートエージェント |
スマートエージェントが監視するポート番号 |
smartagent.port |
CTMドメインマネジャ |
CTMドメインマネジャが属するCTMドメイン名 |
ctmdomname |
CTM実行環境ディレクトリ |
ctmspool |
|
CTMドメインマネジャがCTMドメイン構成情報を交換するために使用するポート番号 |
cdm.port |
|
CTM |
CTMの識別子 |
ctmid※3 |
CTMが使用するポート番号 |
ctm.port |
|
CTMと対となるネーミングサービスのポート番号 |
ctm.ns.port |
注※1 推奨モードで使用されます。推奨モードを使用しない場合はManagement Serverで無視されます。
注※2 V9互換モードで使用されます。V9互換モードを使用しない場合はManagement Serverで無視されます。
注※3 ctmidの設定は省略できます。省略時は,ホスト間で一意になるようにManagement Serverで自動的に設定されます。
- 参考
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1ホスト内にある複数のサービスユニットを同時に起動しない運用をする場合は,各サービスユニットの同じ種類の論理サーバに同じ値を設定できます。
ホストに配置するサービスユニットが属するWebシステムによって,これらの設定項目をどの定義のコンフィグレーションで指定するかが異なります。
-
同じWebシステムのサービスユニットを同じホストに配置する場合
各サービスユニットの論理サーバ定義(<define-server>タグ)内の<configuration>タグで指定します。
-
異なるWebシステムのサービスユニットを同じホストに配置する場合
各Webシステムの物理ティア定義(<tier>タグ)内の<configuration>タグで指定します。
(b) Webサーバのポート番号に関する注意事項
サーバマシン内に複数のサービスユニットを配置する場合に,Webサーバのポート番号を変更するときは,次に示す制限事項があります。なお,複数のサービスユニットが,同一のWebシステム内にある場合も,異なるWebシステムにある場合も,この制限事項の対象となります。
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複数のサービスユニットのWebサーバで同じポート番号を設定している場合
1台のサーバマシン内で,複数のサービスユニットを同時に起動しない運用をする場合は,各サービスユニットのWebサーバに同じポート番号を設定できます。
この場合は,次のどちらかの手順で変更してください。
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すべてのサービスユニットのWebサーバのポート番号を同時に変更します。
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一部のサービスユニットのWebサーバのポート番号を変更します。そのあと,ほかのサービスユニットのWebサーバのポート番号を変更します。
- 注意事項
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一部のサービスユニットのWebサーバのポート番号を変更した場合,ほかのサービスユニットのWebサーバのポート番号は削除され,ポート番号を削除されたWebサーバは使用できなくなります。このため,必ず,あとからほかのサービスユニットのWebサーバのポート番号も変更してください。
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複数のサービスユニットのWebサーバで異なるポート番号を設定している場合
ここでは,サービスユニット1(unit1)のWebサーバでポート番号に80,サービスユニット2(unit2)のWebサーバでポート番号に81を設定している場合を例に説明します。ポート番号の設定変更の方法と変更可否を次の表に示します。
表4‒42 ポート番号の変更方法と変更可否 ポート番号の変更方法
論理サーバのパラメタ変更用の構成変更定義ファイルの設定方法
変更後のWebサーバのポート番号
変更可否
unit1
unit2
各サービスユニットのWebサーバのポート番号を同じ番号へ変更
サービスユニット1のWebサーバにポート番号81を設定します。
81
81
○
サービスユニット2のWebサーバにポート番号80を設定します。
80
80
○
各サービスユニットのWebサーバのポート番号の入れ替え
サービスユニット1のWebサーバにポート番号81を,サービスユニット2のWebサーバにポート番号80を設定します。
81
80
×
一方のサービスユニットのWebサーバを他方で設定済みのポート番号に変更して,他方のサービスユニットのWebサーバを未使用のポート番号(82とする)へ変更
サービスユニット1のWebサーバにポート番号81を,サービスユニット2のWebサーバにポート番号82を設定します。
81
82
×
サービスユニット1のWebサーバにポート番号82を,サービスユニット2のWebサーバにポート番号80を設定します。
82
80
×
一方のサービスユニットのWebサーバを未使用のポート番号(82とする)へ変更
サービスユニット1のWebサーバにポート番号82を設定します。
82
81
○
サービスユニット2のWebサーバにポート番号82を設定します。
80
82
○
(凡例)○:変更できます。 ×:変更できません。
- 参考
-
設定済みのポート番号に変更する場合に,1回の操作で変更できない変更方法は,いったん未使用のポート番号を設定してから入れ替えたり,複数回に分けて変更したりするなどの,設定変更操作を実施すれば変更できます。