2.4.1 J2EEサーバを複数配置してマルチテナントに対応する
ここでは,単一のWebフロントシステムからホストのリソースを有効活用してマルチテナントへ対応するシステムに変更する手順について説明します。システム構成については,「1.2.3 J2EEサーバを複数配置してマルチテナント対応するには」を参照してください。
- 参考
-
説明で使用する画面,コマンドおよびファイルの参照先,コマンドおよびファイルの格納先については,「5. システムの構築・運用時に使用する画面,コマンドおよびファイル」を参照してください。
J2EEサーバを複数配置するホストは,Smart Composer機能を使用してWebシステムを複製したあとに論理サーバ(Webサーバ,J2EEサーバおよびパフォーマンストレーサ)を追加して作成します。ここでは,追加するJ2EEサーバ上で動作する業務アプリケーションには,同一のアプリケーションを使用するとします。例題で使用する設定内容を次の表に示します。
項目 |
設定例 |
---|---|
Webシステムの名称 |
MyWebSystem |
追加するサービスユニットの名称 |
unit2 |
追加する論理Webサーバの名称 |
MyWebServer2 |
追加する論理J2EEサーバの名称 |
MyJ2EEServer2 |
追加する論理パフォーマンストレーサの名称 |
MyPerformanceTracer2 |
構成変更定義ファイルのファイル名称 |
MyWebSystemAddUnit.xml |
- 〈この項の構成〉
(1) Webシステムの複製
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コマンドプロンプトでcmx_export_modelコマンドを実行し,簡易構築定義ファイルを<任意のディレクトリ>にエクスポートします。
コマンドの実行例を次に示します。
cmx_export_model -m localhost:28080 -u admin -o <簡易構築定義ファイルのエクスポート先のファイルパス>
<簡易構築定義ファイルのエクスポート先のファイルパス>には,簡易構築定義ファイルを格納するディレクトリのパスとファイル名を指定します。簡易構築定義ファイルはXML形式のファイルです。
-
コマンドプロンプトでcmx_delete_systemコマンドを実行し,システムを削除します。
システムを複製するための準備として,ホスト上に構築済みのシステムを削除します。
コマンドの実行例を次に示します。
cmx_delete_system -m localhost:28080 -u admin -s MyWebSystem
-
コマンドプロンプトでcmx_build_systemコマンドを実行し,手順1.でエクスポートした簡易構築定義ファイルからWebシステムを複製します。
コマンドの実行例を次に示します。
cmx_build_system -m localhost:28080 -u admin -f <簡易構築定義ファイルのファイルパス>
<簡易構築定義ファイルのファイルパス>には,手順1.の簡易構築定義ファイルを格納されているディレクトリのパスとファイル名を指定します。
(2) 論理サーバ(Webサーバ,J2EEサーバおよびパフォーマンストレーサ)の追加
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構成変更定義ファイルのテンプレートファイル(cmxaddcombinedmodel.xml)を任意の場所にコピーして,任意の名称を変更します。
サービスユニットやホストを追加する構成変更定義ファイルのテンプレートファイルは,次の場所に提供されています。ここではファイル名を「MyWebSystemAddUnit.xml」に変更します。
- Windowsの場合
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<Application Serverのインストールディレクトリ>\manager\config\templates\cmxaddcombinedmodel.xml
- UNIXの場合
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/opt/Cosminexus/manager/config/templates/cmxaddcombinedmodel.xml
-
テキストエディタなどで,手順1.でコピーした構成変更定義ファイルを編集します。
構成変更定義ファイルには,追加するサービスユニットの定義および論理サーバの定義を指定します。また,追加する論理サーバ名,および次の表に示す論理サーバのコンフィグレーション定義の指定値が重複しないようにしてください。論理サーバごとに重複しないように設定するコンフィグレーション定義を次の表に示します。
表2‒8 論理サーバごとに重複しないように設定するコンフィグレーション定義 論理サーバの種類
項目
param-nameの指定値
パフォーマンストレーサ
PRF識別子
PRFID
J2EEサーバ
JTAリカバリの固定ポート番号
ejbserver.distributedtx.recovery.port
管理用サーバのポート番号
ejbserver.http.port
インプロセスのネーミングサービス用のポート番号
ejbserver.naming.port
RMIレジストリのポート番号
ejbserver.rmi.naming.port
NIO HTTPサーバのポート番号
webserver.connector.nio_http.port
稼働情報取得時のリクエスト受付ポート番号
ejbserver.rmi.remote.listener.port
Webサーバ
httpポート番号
Listen
構成変更定義ファイルの編集例を次に示します。背景色付きの太字の部分が編集する個所です。
<?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?> <unit-addition xmlns="http://www.cosminexus.com/mngsvr/schema/UnitAddition-2.5"> <web-system> <name>MyWebSystem</name> <!--Specify the settings for the Service Unit to add.--> <unit> <name>unit2</name> <allocated-host> <host-ref>@myhost</host-ref> <hosts-for>combined-tier</hosts-for> <define-server> <logical-server-name>MyPerformanceTracer2</logical-server-name> <logical-server-type>performance-tracer</logical-server-type> <configuration> <param> <param-name>PRFID</param-name> <param-value>PRF_ID2</param-value> </param> </configuration> </define-server> <define-server> <logical-server-name>MyJ2EEServer2</logical-server-name> <logical-server-type>j2ee-server</logical-server-type> <configuration> <param> <param-name>ejbserver.distributedtx.recovery.port</param-name> <param-value>20303</param-value> </param> <param> <param-name>ejbserver.http.port</param-name> <param-value>8081</param-value> </param> <param> <param-name>ejbserver.naming.port</param-name> <param-value>901</param-value> </param> <param> <param-name>ejbserver.rmi.naming.port</param-name> <param-value>23153</param-value> </param> <param> <param-name>webserver.connector.nio_http.port</param-name> <param-value>8008</param-value> </param> <param> <param-name>ejbserver.rmi.remote.listener.port</param-name> <param-value>23550</param-value> </param> </configuration> </define-server> <define-server> <logical-server-name>MyWebServer2</logical-server-name> <logical-server-type>web-server</logical-server-type> <configuration> <param> <param-name>Listen</param-name> <param-value>81</param-value> </param> </configuration> </define-server> </allocated-host> </unit> </web-system> </unit-addition>
注 ホストの定義(<host>タグ)は削除してください。
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コマンドプロンプトでcmx_change_modelコマンドとcmx_build_systemコマンドを実行し,手順2.で編集した構成変更定義ファイルから論理サーバ(Webサーバ,J2EEサーバおよびパフォーマンストレーサ)を追加します。
コマンドの実行例を次に示します。
cmx_change_model -m localhost:28080 -u admin -f <構成変更定義ファイルのファイルパス> cmx_build_system -m localhost:28080 -u admin -s MyWebSystem
<構成変更定義ファイルのファイルパス>には,手順1.の構成変更定義ファイル(MyWebSystemAddUnit.xml)が格納されているディレクトリのパスとファイル名を指定します。
(3) 運用管理ポータルの起動とログイン
運用管理ポータルにログイン済みの場合は「(4) 追加した論理サーバの一括起動」に進みます。
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Webブラウザを起動し,「http://localhost:28080/mngsvr/index.jsp」に接続して,運用管理ポータルを起動します。
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[Management Serverへログイン]画面で管理ユーザIDに「admin」を入力して,[ログイン]ボタンをクリックします。
(4) 追加した論理サーバの一括起動
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[運用管理ポータル]画面で[論理サーバの起動/停止]をクリックします。
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[サーバビュー]タブで[DefaultDomain]をクリックし,[一括起動]タブをクリックします。
-
[一括起動]画面で[実行]ボタンをクリックします。
一括起動要求が受け付けられ,[論理サーバの稼働状況]画面の論理サーバの稼働状況が「稼働中」となります。
(5) 追加したJ2EEサーバ(MyJ2EEServer2)へのリソースアダプタの設定と開始
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[運用管理ポータル]画面で[論理サーバのアプリケーション管理]をクリックします。
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[DefaultDomain]−[論理J2EEサーバ]−[J2EEサーバ]−[MyJ2EEServer2]−[リソース]−[リソースアダプタ]をクリックし,[インポート]タブをクリックします。
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[リソースアダプタのインポート]画面でMyJ2EEServer2にインポートするリソースアダプタの情報を設定して,[実行]ボタンをクリックします。
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[実行結果]に「成功」が表示されたら[戻る]アンカーをクリックします。
[実行結果]に「失敗」が表示された場合は,[ログの表示]タブをクリックして[ログの表示]画面のメッセージを確認し,障害要因を取り除いてからインポートし直してください。
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[DefaultDomain]−[論理J2EEサーバ]−[J2EEサーバ]−[MyJ2EEServer]−[リソース]−[リソースアダプタ]をクリックし,[プロパティ設定]タブをクリックします。
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[リソースアダプタのプロパティ設定]画面で手順3.でインポートしたリソースアダプタの[操作]の[基本設定]アンカーをクリックします。
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[リソースアダプタの基本設定]画面で基本情報やプロパティを設定し,[設定]ボタンをクリックします。
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[リソースアダプタの基本設定]画面で表示されたメッセージを確認して[戻る]アンカーをクリックします。
失敗を示すメッセージが表示された場合は,障害要因を取り除いてからプロパティを設定し直してください。
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[リソースアダプタの開始/停止]画面で[操作]の[開始]アンカーをクリックします。
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[リソースアダプタの開始]画面で[はい]ボタンをクリックします。
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[実行結果]に「成功」が表示されたら[戻る]アンカーをクリックします。
[実行結果]に「失敗」が表示された場合は,[ログの表示]タブをクリックして[ログの表示]画面のメッセージを確認し,障害要因を取り除いてから開始し直してください。
(6) 追加したJ2EEサーバへ(MyJ2EEServer2)の業務アプリケーションの設定と開始
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[運用管理ポータル]画面で[論理サーバのアプリケーション管理]をクリックします。
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[DefaultDomain]−[論理J2EEサーバ]−[J2EEサーバ]−[MyJ2EEServer2]−[アプリケーション]をクリックし,[インポート]タブをクリックします。
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[J2EEアプリケーションのインポート]画面で[J2EEアプリケーションファイル]から同一のJ2EEアプリケーション(MyApp)を選択し,[実行]ボタンをクリックします。
- 参考
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ここでは,追加したJ2EEサーバ上でも同じ業務アプリケーションを動作させるため,アップロード済みのJ2EEアプリケーションをインポートします。異なる業務アプリケーションを動作させる場合は,J2EEアプリケーションをアップロードしてからインポートしてください。
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[実行結果]に「成功」が表示されたら[戻る]アンカーをクリックします。
[実行結果]に「失敗」が表示された場合は,[ログの表示]タブをクリックして[ログの表示]画面のメッセージを確認し,障害要因を取り除いてからインポートし直してください。
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[開始/停止]タグをクリックします。
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[J2EEアプリケーションの開始/停止]画面で[インポートJ2EEアプリケーション一覧]にある,手順3.でインポートしたアプリケーションの[操作]の[開始]アンカーをクリックします。
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[J2EEアプリケーションの開始]画面で[はい]ボタンをクリックします。
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[実行結果]を確認して[戻る]アンカーをクリックします。
[実行結果]に「失敗」が表示された場合は,[ログの表示]タブをクリックして[ログの表示]画面のメッセージを確認し,障害要因を取り除いてから開始し直してください。
[実行結果]に「成功」が表示された場合は,[J2EEアプリケーションの開始/停止]画面の[ステータス]が「稼働」になります。