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Cosminexus V11 アプリケーションサーバ 機能解説 運用/監視/連携編


18.5.1 相互系切り替えシステムの設定手順

ここでは,システムの構成例とシステムの設定手順について説明します。

〈この項の構成〉

(1) システムの構成例

相互系切り替えシステムの構成例を次の図に示します。なお,以降の項では,このシステムの構成例を使用したシステムの設定例を示します。

図18‒7 相互系切り替えシステムの構成例(UNIXの場合)

[図データ]

この例では,2種類のアプリケーションサーバ(アプリケーションサーバ1,アプリケーションサーバ2とします)を使用しています。アプリケーションサーバ1の実行系(現用系1)と待機系(予備系2),アプリケーションサーバ2の実行系(現用系2)と待機系(予備系1)をそれぞれ1:1で配置しています。それぞれ別の運用管理ドメインを持つManagement Serverを配置し,両方のマシンでManagement Serverを起動させています。

相互系切り替えシステムでは,一つの運用管理ドメイン内に二つの仮想ホストを定義し,それぞれを現用系アプリケーションサーバのホスト,予備系アプリケーションサーバのホストとして構築します。この例では,次のような組み合わせになります。

仮想ホストでは,一つの運用管理エージェントによってアプリケーションサーバの起動,停止を制御しますが,運用で使用するIPアドレスには異なるIPアドレスを割り当てて,見かけ上は異なるホストであるように定義しています。

アプリケーションサーバをクラスタ構成に配置するためには,エイリアスIPアドレスを設けて,稼働中のノードがエイリアスIPアドレスを引き継ぐことで,クライアントがクラスタ内のノードを意識しないようにします。相互系切り替えシステムの場合,エイリアスIPアドレスは,HAモニタによって動的に割り当てられるアドレスとなります。アプリケーションサーバの運用に使用するIPアドレスには,エイリアスIPアドレスを使用し,Management Serverから運用管理エージェントに対するリクエストの送信には,系切り替えによって他系に移動しないIPアドレス(ステーショナリIPアドレス)を使用します。

(2) システムの設定手順

HAモニタと連携する場合には,Management ServerやHAモニタのファイルの設定などが必要になります。相互系切り替えシステムの設定手順を次の図に示します。

図18‒8 相互系切り替えシステムの設定手順(UNIXの場合)

[図データ]

図中の1.〜9.について説明します。

  1. グローバルトランザクションを使用する場合は,共有ディスクにパーティションを作成して,ファイルシステムを構築します。

    グローバルトランザクションを使用するためには,トランザクション情報の格納場所を作成します。

  2. グローバルトランザクションを使用する場合は,システムに共有ディスクを割り当てます。

    システムに共有ディスクを割り当てる際は,現用系1と予備系1,現用系2と予備系2で,同じマウント先ディレクトリにしてください。

  3. Management Serverでクラスタサーバの環境を設定します。

    Management ServerのSmart Composer機能の簡易構築定義ファイルで,HAモニタを使用する場合の設定をします。詳細は,「18.5.2 クラスタサーバの環境設定」を参照してください。

  4. 設定ファイルを編集します。

    簡易構築定義ファイルでは設定できない,運用管理エージェントやManagement Server,HTTP Serverなどの各種定義ファイルを設定します。詳細は,「18.5.3 設定ファイルの編集」を参照してください。

  5. HAモニタの環境を設定します。

    HAモニタのsysdefファイルで,HAモニタの環境を定義します。詳細は,「18.5.4 HAモニタの環境設定」を参照してください。

  6. シェルスクリプトファイルを作成します。

    運用管理エージェントを監視,論理サーバを起動および停止するためのシェルスクリプトファイルを作成します。詳細は,「18.5.5 シェルスクリプトファイルの作成」を参照してください。

  7. サーバ対応の環境を設定します。

    HAモニタのserversファイルで,系で稼働させる現用系サーバや予備系サーバの環境を定義します。詳細は,「18.5.6 サーバ対応の環境設定」を参照してください。

  8. LANの状態を設定します。

    HAモニタのLANの状態設定ファイルで,LANアダプタのIPアドレスなどを指定してHAモニタでのLANの切り替えについて定義します。詳細は,「18.5.7 LANの状態設定」を参照してください。

  9. Management ServerとHAモニタのコマンドで,アプリケーションサーバの設定をします。

    Management ServerとHAモニタのコマンドを使用して,アプリケーションサーバをクラスタ構成に配置し,J2EEアプリケーションやリソースアダプタを設定します。詳細は,「18.5.8 アプリケーションサーバの設定」を参照してください。