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Cosminexus V11 アプリケーションサーバ 機能解説 運用/監視/連携編


5.4.1 Webアプリケーションのサービスの閉塞と閉塞解除とは

Webアプリケーションのサービスの閉塞とは,WebアプリケーションをフロントとするJ2EEアプリケーションのサービスを閉塞することを指します。Webアプリケーションのサービスの閉塞は,例えば,業務時間外やシステムのメンテナンス時に,サービスを停止するときに実施します。

〈この項の構成〉

(1) サービス閉塞の方法

Webアプリケーションのサービスを閉塞する方法には,次の五つがあります。

注※1

負荷分散機でリクエストの振り分け先を変更する方法の場合,実行中のリクエストの処理を,エラーを返さないで続行させるため,負荷分散機の次の機能を使用します。

  • リクエスト振り分け先の変更時に,変更前の負荷分散機とWebサーバ間の接続を,リクエスト処理が完了するまで保持する機能

注※2

負荷分散機を停止する方法の場合,負荷分散機の停止中に,実行中のリクエストの処理を,エラーを返さないで続行させるため,負荷分散機の次の機能を使用します。

  • 負荷分散機の停止時に,負荷分散機とWebサーバ間の接続を,リクエスト処理が完了するまで保持する機能

注※3

Webサーバを停止する方法は,WebサーバにHTTP Serverを使用している場合だけできます。Microsoft IISを使用している場合は,実行中のリクエストにエラーを返すため,使用できません。

(2) 負荷分散機を使用したシステム構成でのサービス閉塞

サービス閉塞の方法には,負荷分散機を使用する場合と使用しない場合で手順が異なります。ここでは,負荷分散機でリクエストの振り分け先を変更することによって,サービスを閉塞する場合を例に,サービスの閉塞について説明します。

負荷分散機を使用してリクエストの振り分け先を変更する場合,サービス閉塞用のWebサーバを配置する必要があります。稼働中のWebアプリケーションの閉塞後は,サービス閉塞用のWebサーバにリクエストを転送するよう,負荷分散機を設定します。

サービス閉塞前とサービス閉塞後のリクエストの振り分けについて,次の図に示します。

図5‒11 サービス閉塞前とサービス閉塞後のリクエストの振り分け

[図データ]

なお,サービス閉塞用のWebサーバでは,Webアプリケーションのサービス閉塞後,リクエストが来たときには,エラーページを返すようにします。

表示させるエラーページはカスタマイズすることもできます。表示されるエラーページについては,「5.4.1(3) エラーページの表示」を参照してください。

(3) エラーページの表示

閉塞したWebアプリケーションのサービスにアクセスした場合,クライアントにはエラーページが表示されます。表示されるエラーページは,次のどれかとなります。

(a) サービス閉塞の方法と表示されるエラーページ

表示されるエラーページは,Webアプリケーションのサービス閉塞の方法によって異なります。サービス閉塞の方法と,表示されるエラーページを次の表に示します。

表5‒17 サービス閉塞の方法と表示されるエラーページ

サービス閉塞の方法

表示されるエラーページ

負荷分散機でリクエストの振り分け先を変更する方法

サービス閉塞用のWebサーバで設定したエラーページ

負荷分散機を停止する方法

接続エラーのページ

Webサーバを停止する方法

接続エラーのページ※1

J2EEサーバを停止する方法

次のエラーステータスコードが表示されたページ

  • 404エラー※2

  • 500エラー※3

  • 503エラー※4

アプリケーションを停止する方法

次のエラーステータスコードが表示されたページ

  • 404エラー※5

  • 503エラー※4

注※1

ただし,負荷分散機を使用している場合は,使用している負荷分散機の仕様に依存します。

注※2

J2EEサーバを停止したときの404エラーは,アプリケーションの停止時に,J2EEサーバにはリクエストが到達していて,Webアプリケーションへの実行待ちキューには到達していないリクエストに対して返されます。

注※3

500エラーは,アプリケーションの停止時に,J2EEサーバに到達していないリクエストに対して返されます。

注※4

503エラーは,アプリケーションの停止時に,Webアプリケーションの実行待ちキューにあるリクエストに対して返されます。

注※5

アプリケーションを停止したときの404エラーは,アプリケーションの停止時に,Webアプリケーションへの実行待ちキューに到達していないリクエストに対して返されます。

(b) ユーザ作成のエラーページの使用

表示されるエラーページは,ユーザ作成のエラーページにカスタマイズできます。ただし,カスタマイズはサービス閉塞の方法によって,できる場合とできない場合があります。サービス閉塞の方法と,エラーページのカスタマイズについて次の表に示します。

表5‒18 サービス閉塞の方法とエラーページのカスタマイズ

サービス閉塞の方法

エラーページのカスタマイズ

負荷分散機でリクエストの振り分け先を変更する方法

負荷分散機を停止する方法

×

Webサーバを停止する方法

×

J2EEサーバを停止する方法

 

アプリケーションを停止する方法

 

(凡例) ○:できる  ×:できない

注※

エラーページのカスタマイズをするときのWebサーバの設定で,httpsd.confファイルのErrorDocumentディレクティブでフルURL(http://で始まるURLを記述し,他サイトのコンテンツを指定したURL)を指定しているときには,302エラーが返ります。

エラーページのカスタマイズの設定については,マニュアル「HTTP Server」を参照してください。エラーページのカスタマイズは,WebサーバにHTTP Serverを使用している場合だけできます。

(4) サービス閉塞の解除

Webアプリケーションのサービス閉塞の解除は,サービス閉塞の方法によって異なります。サービス閉塞の方法ごとに,サービス閉塞の解除の方法を示します。