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Cosminexus V11 アプリケーションサーバ 仮想化システム構築・運用ガイド


5.2.1 仮想サーバのテンプレートの作成と初期設定

ここでは,仮想サーバのテンプレートを作成する手順と,テンプレート作成用の仮想サーバの初期設定について説明します。仮想サーバのテンプレートとは,ゲストOSやApplication Serverなどの製品がインストール済みで,かつ環境設定が完了している仮想サーバのイメージのことです。

ポイント

作業を実施するユーザ:システム構築者

〈この項の構成〉

(1) テンプレート作成用の仮想サーバの入手と起動

テンプレート作成用の仮想サーバを入手して,起動する手順について説明します。

  1. メールなどを利用して,仮想サーバのテンプレートを作成するための仮想サーバの手配をリソース管理者に依頼します。

    テンプレート作成用の仮想サーバのスペックやゲストOS,テンプレート名,利用日時などの情報をリソース管理者に連絡します。インストールできるOSについては,「2.2.1 仮想化システムで使用するマシンの前提条件」を参照してください。

  2. 管理用端末マシンからテンプレート作成用の仮想サーバにリモート接続します。

(2) OS固有の設定(ゲストOSがLinuxの場合)

ゲストOSがLinuxの場合は,次の手順でOS固有の設定をしてください。

  1. 管理用端末マシンからテンプレート作成用の仮想サーバにリモート接続します。

  2. ホスト名「localhost」がループバックアドレス「127.0.0.1」へIPアドレスを解決できるかを確認し,解決できない場合はhostsファイルにループバックアドレスを設定します。

    IPアドレス解決できるかどうかはpingコマンドで確認します。pingコマンドの実行例を次に示します。

    # ping localhost

    IPアドレス解決できない場合は,hostsファイル(/etc/hosts)のlocalhostに次の設定をします。

    127.0.0.1 localhost
  3. 必要に応じて,Component Container管理者のユーザとグループ,およびManagement Server管理グループを,ゲストOSに登録します。

    ゲストOSがLinuxの場合,スーパーユーザ(root権限のあるユーザ)以外のユーザでも構築,運用できるように設定できます。Component Container管理者は,サーバのセットアップ,起動と停止などの操作が実施できるユーザです。Management Server管理グループは,Management Serverで使用するコマンドを実行できるユーザのグループです。これらのユーザまたはグループを設定する場合は,設定するユーザおよびグループが,ゲストOSにあらかじめ登録されている必要があります。

    OSのコマンドの実行例を次に示します。ここでは,グループとして「groupA」と,groupAグループにユーザとして「usera」を登録します。

    # groupadd groupA
    # useradd -g groupA usera
    # passwd usera

    ここで登録したユーザとグループは,vmsetup.propertiesに設定します。詳細は,「5.2.3(8) 管理者の設定」を参照してください。

(3) NTPクライアントの設定

ゲストOSの時刻を正確な時刻に調整する場合は,管理用端末マシンからテンプレート作成用の仮想サーバにリモート接続し,NTPクライアントを導入して,NTPサーバの設定をします。時刻の調整はslewモードで実行する設定にします。

参考

NTPクライアントの設定をする場合は,NTPサーバも仮想化システムに導入されていることが前提となります。

(4) Application Serverのインストール

管理用端末マシンからテンプレート作成用の仮想サーバにリモート接続して,Application Serverをインストールします。インストール方法については,マニュアル「アプリケーションサーバ システム構築・運用ガイド」の次の個所を参照してください。

なお,Management Serverが自動設定する内容については,マニュアル「アプリケーションサーバ システム構築・運用ガイド」の「付録E Management Serverが自動で設定する内容」を参照してください。

(5) サーバ通信エージェントの環境設定

サーバ通信エージェントの環境設定をします。サーバ通信エージェントの詳細は,サーバ通信エージェントのドキュメントを参照してください。

  1. 管理用端末マシンからテンプレート作成用の仮想サーバにリモート接続します。

  2. sinaviagent.properties(サーバ通信エージェントプロパティファイル)で,仮想サーバマネージャからサーバ通信エージェントへの接続を許可する設定をします。

    sinaviagent.propertiesのsinaviagent.permitted.hostsキーに仮想化システム管理用サーバマシンの管理用IPアドレスを指定します。設定例を次に示します。

    sinaviagent.permitted.hosts=192.168.2.3
  3. snactlコマンドに引数「setauto」を指定して,サーバ通信エージェントをゲストOSと同時に起動するように設定します。

    コマンドの実行例を次に示します。

    snactl setauto

(6) JDBCドライバの配置

アプリケーションからデータベースにアクセスするために,JDBCドライバ(JARファイル)を,管理用端末マシンからテンプレート作成用の仮想サーバにリモート接続して,任意のディレクトリに配置します。

OracleのJDBCドライバを配置する例を次に示します。

(例)
ゲストOSがWindowsの場合

C:\work\ojdbc6.jar

ゲストOSがLinuxの場合

/work/ojdbc6.jar

ここで配置したJDBCドライバのパスは,簡易構築定義ファイルに設定します。

(7) 定義ファイルの取得

管理用端末マシンからテンプレート作成用の仮想サーバにリモート接続して,次に示すCCディレクトリおよびmanagerディレクトリのファイル(定義ファイルのテンプレートファイル)のうち,運用上,変更が必要なファイルを取得します。取得したファイルは,任意のディレクトリ,または仮想化システム管理用サーバマシンに,ディレクトリ構造を保持したままコピーします。ここで取得したファイルは,「5.2.3(6) CCディレクトリおよびmanagerディレクトリの定義ファイルの編集」で定義ファイルを作成する時に,テンプレートとして使用します。

<Application Serverのインストールディレクトリ>
  ├CC
  │ └admin
  │   └usrconf
  │      ├usrconf.bat※1
  │      ├usrconf※2
  │      └usrconf.properties
  └manager
     └config
        ├adminagent.properties
        ├cmxclient.properties
        ├manager.cfg
        ├mngsvrutilcl.properties
        ├mserver.properties
        └:※3
注※1

ゲストOSがWindowsの場合にだけ取得するファイルです。

注※2

ゲストOSがLinuxの場合にだけ取得するファイルです。

注※3

次のファイルは取得しないでください。

  • mserver.xml

  • mmodel.xml

(8) JP1/IMと連携して障害監視をするための設定

JP1/IMと連携して障害監視をする場合の設定手順を次に示します。JP1での操作については,マニュアル「JP1/Base 運用ガイド」を参照してください。

JP1/IMと連携する場合にフックスクリプトを利用すると,JP1/Baseの環境設定を自動化できます。JP1/IM連携を自動設定するかどうかによって手順が異なります。フックスクリプトの利用によるJP1/IM連携の自動化については,「7.7.2 フックスクリプトを利用したJP1連携の自動設定」を参照してください。

(9) JP1/PFMと連携して負荷監視をするための設定

JP1/PFMと連携して負荷監視をする場合の設定手順を次に示します。

JP1/PFMと連携する場合にフックスクリプトを利用すると,JP1/PFM - Agent for Cosminexusの環境設定を自動化できます。JP1/PFM連携を自動設定するかどうかによって手順が異なります。フックスクリプトの利用によるJP1/PFM連携の自動化については,「7.7.2 フックスクリプトを利用したJP1連携の自動設定」を参照してください。

(10) 仮想サーバの停止

テンプレート作成用の仮想サーバを停止する手順を次に示します。

  1. 管理用端末マシンからテンプレート作成用の仮想サーバにリモート接続します。

  2. ゲストOSをシャットダウンして,テンプレート作成用の仮想サーバを停止します。