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Cosminexus V11 アプリケーションサーバ & BPM/ESB基盤 概説


10.2.2 システムの運用と各環境の関係

サービスプラットフォームでは,開発環境,運用環境および実行環境が相互に関連してシステム全体を構成します。サービスプラットフォーム全体の運用と開発環境,運用環境および実行環境の関係を次の図に示します。

図10‒8 システムの運用と開発環境,運用環境および実行環境の関係

[図データ]

開発環境で定義した内容は,リポジトリを使用して運用環境に取り込みます。取り込んだ内容は,実行環境にセットアップしたり配備したりします。あらかじめ作成したサービスリクエスタからサービス部品の実行要求がくると,HCSCサーバからサービス部品が呼び出されます。運用環境からは,サービス部品の呼び出しなどの状態の確認,およびログやトレースの採取による管理ができます。

図10-8に示したサービスプラットフォームの開発環境,運用環境および実行環境についてそれぞれ説明します。

〈この項の構成〉

(1) 開発環境

サービス部品やビジネスプロセスを実行するために必要なHCSCコンポーネントとシステム構成定義を作成する環境です。

HCSCコンポーネントとは,開発環境で作成するサービスアダプタおよびビジネスプロセスを総称したものです。

システム構成定義とは,HCSCコンポーネントを実行環境にどう配備するか定義したものです。システム構成定義には,運用環境でのHCSCサーバおよびクラスタのセットアップ情報と,HCSCコンポーネントを実行環境にどう配備するかの情報が含まれます。開発環境では,運用環境で作成,更新したセットアップ情報を,リポジトリを利用して取得し,HCSCコンポーネントをどのように配備するかを定義します。

作成したHCSCコンポーネントは,EARファイルに組み立てます。EARファイルとは,HCSCコンポーネントに関するファイルを,実行環境に配備できるように組み立てたものです。EARファイルを作成することをパッケージングと呼びます。パッケージングしたEARファイルはリポジトリに格納します。

リポジトリとは,定義した情報を格納するディレクトリです。格納した情報は,リポジトリの管理機能(リポジトリのインポート/エクスポート機能)を利用して,開発環境と運用環境との間で受け渡しをします。

また,開発環境では,実行環境でサービス部品を実行するための要求電文を受け付けて,サービスアダプタおよびビジネスプロセスに要求電文を送信するサービスリクエスタも作成します。

(2) 運用環境

開発環境で作成したEARファイルをリポジトリから読み込み,実行環境に配備する環境です。また,実行環境で利用するHCSCサーバをセットアップします。

運用を開始したあとは,システムの起動・停止,および状態を監視したり,ログやトレースを採取したりします。

(3) 実行環境

サービスリクエスタで受け付けた要求電文に応じて,HCSCサーバを介してサービス部品およびビジネスプロセスを呼び出し,業務を実行する環境です。HCSCサーバには,メッセージング基盤,ビジネスプロセス基盤,データ変換基盤が含まれます。また,開発環境で作成したHCSCコンポーネントは,運用環境からHCSCサーバに配備されます。

サービスリクエスタが要求電文を受け付けると,メッセージング基盤に要求電文が送信されます。そのあと,メッセージング基盤の配送機能によって,要求電文に応じて適切なサービスアダプタまたはビジネスプロセスへ要求が送信されます。

要求電文がビジネスプロセスへの要求の場合,要求電文がビジネスプロセス基盤に送信されます。ビジネスプロセス基盤ではビジネスプロセスの定義に従って,メッセージング基盤を介して順次サービス部品を呼び出します。

サービス部品の実行に際してデータ変換するよう設定されている場合,データ変換基盤を利用してデータ変換をして,サービス部品が実行されます。

実行環境での制御の流れを次の図に示します。

図10‒9 実行環境での制御の流れ

[図データ]

  1. 業務担当者がサービス部品またはビジネスプロセスの実行を要求します。

  2. サービスリクエスタが要求電文を受け付けます。

  3. サービスリクエスタから要求電文が送信されます。

  4. 要求電文は,配送機能によって,適切なサービスアダプタまたはビジネスプロセスへ送信されます。

  5. データ変換定義に従って,必要に応じて要求電文のデータが変換されてサービス部品が呼び出されます。