Hitachi

Cosminexus V11 アプリケーションサーバ & BPM/ESB基盤 概説


10.2.1 ソフトウェア製品と各環境の関係

〈この項の構成〉

(1) サービスプラットフォームを構成する環境

サービスプラットフォームは,次に示す3つの環境から構成されています。

(2) 開発環境・実行環境・運用環境の関係

開発環境,実行環境・運用環境をそれぞれ異なるマシンに構築します。

開発環境にはService ArchitectとEclipseを,実行環境・運用環境にはService Platformと,Windowsの場合はEclipseをインストールします。

また,運用環境から実行環境を操作するには,リポジトリというデータモデルが必要です。

サービスプラットフォームを構成する環境を次の図に示します。

図10‒5 サービスプラットフォームを構成する環境

[図データ]

これらの環境は,相互に連携してサービスの統合環境を実現しています。各環境は,環境構築後,次に示す流れを経て実際に運用できるようになります。

  1. 開発環境でHCSCコンポーネントを作成します。

  2. 実行環境・運用環境で,HCSCサーバをセットアップし,システムの構成を定義します。

  3. 実行環境・運用環境からリポジトリをエクスポートし,運用環境で定義したシステム構成定義を開発環境にインポートします。

  4. 実行環境・運用環境で定義したシステム構成定義を基に,システム構成のどこに配備するかを定義して更新します(配備定義)。

  5. 開発環境で定義した配備定義を含むリポジトリをエクスポートし,実行環境・運用環境にインポートします。

  6. 開発環境で定義した配備定義を基に,コンポーネントを配備します。

環境間の情報の受け渡しには,環境間で共有する情報を格納したリポジトリを使用します。リポジトリは媒体を経由して,ZIPファイル形式で保存したり,読み込んだりします。

(3) 開発環境とテスト環境との関係

開発環境では,複数台のマシンで作成したHCSCコンポーネントの情報を,リポジトリを通じて1つにまとめることができます。そして,開発環境と同じマシンに,作成したHCSCコンポーネントのテスト・デバッグを実施するためのテスト環境を構築できます。テスト環境は,テストに必要な簡易的な環境で,一括構築できます。開発環境とテスト環境との関係を次の図に示します。

図10‒6 開発環境とテスト環境との関係

[図データ]

開発環境とテスト環境を利用する場合,次に示す流れを経て運用します。

  1. 開発環境でHCSCコンポーネントを作成します。

  2. テスト環境を構築します(HCSC簡易セットアップ機能を使うことで,HCSCサーバのセットアップや,システムの構成が定義できます)。テスト環境の構築時にも,本番用の実行環境を想定します。

  3. テスト環境からリポジトリをエクスポートし,テスト環境で定義したシステム構成定義を開発環境にインポートします。

  4. テスト環境で定義したシステム構成定義を基に,システム構成のどこに配備するかを定義し更新します(配備定義)。

  5. 開発環境で定義した配備定義を含むリポジトリをエクスポートし,テスト環境にインポートします。

  6. 開発環境で定義した配備定義を基に,テスト環境にコンポーネントを配備します。

この場合のような環境間の情報の受け渡しにも,リポジトリを使用します。開発環境とテスト環境は同じマシンに構築されるため,媒体を使用しないで情報を受け渡します。

(4) テスト環境と本番環境との関係

サービスプラットフォームでは,まず,テスト環境を構築してテストやデバッグを実施します。テスト環境の構築には,HCSC簡易セットアップ機能を使用できます。

実際のシステム開発では,テスト環境のほかに本番で使用する環境を構築する必要があります。そのため,テスト環境で使用したリポジトリを,本番環境に移行する必要があります。

次のようにテスト環境と本番環境で,データベースとReliable Messagingの使用有無を同じ設定で構築した場合,テスト環境で使用したリポジトリをそのまま本番環境へ移行できます。

なお,テスト環境と本番環境で,データベースとReliable Messagingの使用有無の設定が同じでない場合でも,リポジトリは移行できます。詳細については,マニュアル「サービスプラットフォーム システム構築・運用ガイド」の「1.3 テスト環境と本番環境との関係」を参照してください。

テスト環境と本番環境で,データベースとReliable Messagingの使用有無を同じ設定で構築した場合の移行の流れを次の図に示します。

図10‒7 データベースとReliable Messagingの使用有無を同じ設定で構築した場合の移行の流れ

[図データ]

  1. テスト環境のHCSCサーバをセットアップし,システムの構成を定義します。

    HCSC簡易セットアップ機能を使うことで,HCSCサーバのセットアップや,システムの構成が定義できます。ただし,データベースを使用してReliable Messagingを使用しない構成を構築する場合,HCSC簡易セットアップ機能は使用できません。

  2. 運用環境からリポジトリをエクスポートし,テスト環境で定義したシステム構成定義を開発環境にインポートします。

  3. 開発環境で,HCSCコンポーネントを作成します。

  4. テスト環境で定義したシステム構成定義を基に,システム構成のどこに配備するかを定義し更新します(配備定義)。

  5. 開発環境で定義した配備定義を含むリポジトリをエクスポートし,運用環境にインポートします。

  6. 開発環境で定義した配備定義を基に,テスト環境にHCSCコンポーネントを配備します。

  7. 本番環境のHCSCサーバをセットアップし,システムの構成を定義します。

    テスト環境と本番環境で,データベースとReliable Messagingの使用有無の設定を同じにします。

  8. 開発環境で定義した配備定義を含むリポジトリをエクスポートし,運用環境にインポートします。

    標準インポートを使用すると,HCSCサーバ名やIPアドレスなどが異なる場合でも,テスト環境のリポジトリをそのまま本番環境へ移行できます。

  9. 開発環境で定義した配備定義を基に,本番環境にHCSCコンポーネントを配備します。