7.7.7 ファイルアダプタ実行時の障害対策
ファイルアダプタで障害が発生した場合,障害対策に必要な情報がログファイルおよびトレースファイルに出力されます。ファイルアダプタで取得できるログおよびトレースの種類を次に示します。
ログ・トレース |
出力情報 |
説明 |
---|---|---|
メッセージログ |
ファイルアダプタで発生した各種情報が,メッセージとして出力されます。 |
稼働情報(起動・停止・障害など)をメッセージとして確認できます。なお,メッセージログの出力先は,アプリケーションサーバおよびサービスプラットフォーム全体で共通なので,システムの稼働状況を一括して確認できます。 |
メソッドトレース |
ファイルアダプタの内部メソッドの開始時と終了時に,次の情報が出力されます。
|
内部メソッドの発行時刻およびシーケンスを確認できます。 |
性能解析トレース(PRFトレース) |
アプリケーションサーバおよびサービスプラットフォーム全体の性能解析トレース取得ポイントで,次の情報が出力されます。
ファイルアダプタの性能解析トレース取得ポイントでは,ファイルアダプタ固有の情報が出力されます。 |
サービスリクエスタから要求を受け付けて,実行結果を返却するまでの一連の処理で出力される性能解析情報を基に,サービスプラットフォームシステムの性能を検証できます。 |
ログまたはトレースを出力する場合の注意事項については,「7.3.1(3) ログおよびトレース取得時の注意事項(全般的な注意事項)」を参照してください。
ファイルアダプタのログおよびトレースは,アプリケーションサーバのトラブルシューティングの機能を使用して取得できます。取得方法を次に示します。
-
運用管理コマンド(mngsvrutil)を使用する。
詳細は,マニュアル「アプリケーションサーバ リファレンス コマンド編」を参照してください。
-
運用管理ポータルを使用する。
詳細は,マニュアル「アプリケーションサーバ 運用管理ポータル操作ガイド」を参照してください。
-
snapshotlogコマンドを使用する。
詳細は,マニュアル「アプリケーションサーバ リファレンス コマンド編」を参照してください。
-
cprfコマンドを使用する(性能解析トレースだけ)。
詳細は,マニュアル「アプリケーションサーバ リファレンス コマンド編」を参照してください。
また,HCSCサーバのトレースを取得すると,アプリケーションサーバシステム全体のトラブルシュートが容易になります。HCSCサーバで取得できるトレースの情報を次の表に示します。詳細は,マニュアル「アプリケーションサーバ 機能解説 保守/移行編」の障害情報の取得に関する内容を参照してください。
トレース機能 |
説明 |
---|---|
リクエストトレース |
メッセージング基盤での,標準受付,ビジネスプロセス受付,またはサーバ間転送受付で受け付けたリクエストのビジネスプロセスやサービスアダプタの呼び出し先やその結果を把握するための情報が取得できます。 |
メソッドトレース |
HCSCサーバが提供するメソッドトレース情報が取得できます。 |
性能解析トレース |
J2EEアプリケーションを含めたアプリケーションサーバおよびサービスプラットフォームシステム全体の性能ボトルネックを解析するための情報が取得できます。 |
(1) 障害処理
ファイルアダプタで障害が発生した場合,停止処理中の障害を除いてHCSCサーバに対して例外が通知されます。
(a) 開始処理の失敗
ファイルアダプタの開始処理が失敗した場合,HCSCサーバに例外が通知され処理が終了します。開始処理失敗の要因としては,ファイルアダプタ実行環境プロパティファイルの解析失敗などが考えられます。
(b) ファイル制御処理の失敗
ファイルアダプタのファイル制御処理の失敗が検知された場合,HCSCサーバに例外が通知され処理が終了します。
(c) 停止処理の失敗
ファイルアダプタの停止処理の失敗が検知された場合,処理が終了するまで停止処理が継続されます。HCSCサーバに対しては,例外は通知されません。ただし,予期しない障害が発生した場合は,例外が通知されることがあります。
(2) メッセージログ
サービスの起動・停止などのインフォメーション情報および障害時のエラー情報をメッセージログとして取得し,障害の発生を検知したり,障害要因を解析したりできます。
(a) 出力先
メッセージログの出力先を次に示します。
J2EEサーバ稼働ログの出力先に指定されたパス
J2EEサーバ稼働ログの出力先は,HCSCサーバが動作するJ2EEサーバ用オプション定義ファイル(usrconf.cfg)のejb.server.log.directoryキーで指定します。詳細は,マニュアル「アプリケーションサーバ リファレンス 定義編(サーバ定義)」の「2.2.2 usrconf.cfg(J2EEサーバ用オプション定義ファイル)」,および「2.2.3 usrconf.properties(J2EEサーバ用ユーザプロパティファイル)」を参照してください。
メッセージログのログファイル名を次の表に示します。
ログファイルの出力モード |
ログファイル名 |
---|---|
ラップアラウンドモードの場合 |
cjmessage<面数>.log※ |
シフトモードの場合 |
cjmessage.log※ |
(b) ファイル面数
出力ファイル面数は,HCSCサーバが動作するJ2EEサーバ用ユーザプロパティファイル(usrconf.properties)のejbserver.logger.channels.define.<チャネル名>.filenumキーで指定します。詳細については,次に示すマニュアルを参照してください。
-
推奨モードの場合
マニュアル「アプリケーションサーバ リファレンス 定義編(サーバ定義)」の「2.2.3 usrconf.properties(J2EEサーバ用ユーザプロパティファイル)」
-
V9互換モードの場合
マニュアル「アプリケーションサーバ 機能解説 互換編」の「10.1.1 usrconf.properties(J2EEサーバ用ユーザプロパティファイル)」
(c) ファイルサイズ
出力ファイルサイズは,HCSCサーバが動作するJ2EEサーバ用ユーザプロパティファイル(usrconf.properties)のejbserver.logger.channels.define.<チャネル名>.filesizeキーで指定します。詳細については,次に示すマニュアルを参照してください。
-
推奨モードの場合
マニュアル「アプリケーションサーバ リファレンス 定義編(サーバ定義)」の「2.2.3 usrconf.properties(J2EEサーバ用ユーザプロパティファイル)」
-
V9互換モードの場合
マニュアル「アプリケーションサーバ 機能解説 互換編」の「10.1.1 usrconf.properties(J2EEサーバ用ユーザプロパティファイル)」
(3) メソッドトレース
内部メソッド発行の時刻やシーケンスを確認できます。保守員が障害解析のために使用します。
(a) 出力先
メソッドトレースの出力先を次に示します。
<J2EEサーバ稼働ログの出力先に指定されたパス>\CSCADP\FFADP\maintenance\<サービスアダプタ名>
J2EEサーバ稼働ログの出力先は,HCSCサーバが動作するJ2EEサーバ用オプション定義ファイル(usrconf.cfg)のejb.server.log.directoryキーで指定します。詳細は,マニュアル「アプリケーションサーバ リファレンス 定義編(サーバ定義)」の「2.2.2 usrconf.cfg(J2EEサーバ用オプション定義ファイル)」を参照してください。
メソッドトレースのトレースファイル名を次の表に示します。
トレースファイルの出力モード |
トレースファイル名 |
---|---|
ラップアラウンドモードの場合 |
mtdtrace<面数>.log |
シフトモードの場合 |
mtdtrace.log |
(b) ファイル面数
出力ファイル面数のデフォルトは4面です。出力ファイル面数は,ファイルアダプタ実行環境プロパティファイルのmethodtracefile.numキーで変更できます。変更方法の詳細は,マニュアル「サービスプラットフォーム 開発ガイド 受付・アダプタ定義編」の「3.3.7 ファイルアダプタを定義する」のファイルアダプタ実行環境プロパティファイルの作成に関する説明を参照してください。
(c) ファイルサイズ
出力ファイルサイズのデフォルトは4MBです。出力ファイルサイズは,ファイルアダプタ実行環境プロパティファイルのmethodtracefile.sizeキーで変更できます。変更方法の詳細は,マニュアル「サービスプラットフォーム 開発ガイド 受付・アダプタ定義編」の「3.3.7 ファイルアダプタを定義する」のファイルアダプタ実行環境プロパティファイルの作成に関する説明を参照してください。
(4) 性能解析トレース(PRFトレース)
サービスリクエスタから要求を受け付けて,実行結果を返却するまでの一連の処理で出力される性能解析情報を基に,アプリケーションサーバおよびサービスプラットフォームシステムの性能を検証できます。ファイルアダプタの性能解析トレース取得ポイントでは,ファイルアダプタ固有の情報が出力されます。保守員が性能ボトルネックの解析のために使用します。
(a) 出力先
性能解析トレースの出力先およびトレースファイル名を次の表に示します。
トレースの出力先パス |
トレースファイル名 |
---|---|
<環境変数PRFSPOOLの設定ディレクトリ>\utt\prf\<PRF識別子>\dcopltrc※ |
prf_<n> |
(b) ファイル面数
出力ファイル面数のデフォルトは4面です。出力ファイル面数は,運用管理ポータルまたはcprfコマンドで変更できます。運用管理ポータルの詳細はマニュアル「アプリケーションサーバ 運用管理ポータル操作ガイド」を,cprfコマンドの詳細はマニュアル「アプリケーションサーバ リファレンス コマンド編」を参照してください。
(c) ファイルサイズ
運用管理ポータルでファイルサイズを設定した場合,ファイルサイズのデフォルトは32MBです。cprfコマンドでファイルサイズを設定した場合,ファイルサイズのデフォルトは8MBです。ファイルサイズは,運用管理ポータルまたはcprfコマンドで変更できます。運用管理ポータルの詳細はマニュアル「アプリケーションサーバ 運用管理ポータル操作ガイド」を,cprfコマンドの詳細はマニュアル「アプリケーションサーバ リファレンス コマンド編」を参照してください。
(d) 出力形式
性能解析トレースに出力される形式は,J2EEサーバの性能解析トレースと同様です。詳細は,マニュアル「アプリケーションサーバ 機能解説 保守/移行編」の「7.3 Management Serverを利用した性能解析トレースファイルの収集」を参照してください。
(e) 性能解析トレースの取得ポイント
ファイルアダプタの性能解析トレース取得ポイントでは,ファイルアダプタ固有の情報が出力されます。
- ●概要
-
ファイルアダプタの性能解析トレース取得ポイントを次の図に示します。
図7‒106 ファイルアダプタの性能解析トレース取得ポイント 性能解析トレースの取得ポイントには,ポイント固有のイベントIDが割り当てられます。ファイルアダプタで出力されるトレースのイベントIDは0xA000〜0xA0FFです。イベントID,トレース取得ポイント,および性能解析トレース取得レベルを次の表に示します。表の「図中の番号」は,「図7-106 ファイルアダプタの性能解析トレース取得ポイント」中の番号と対応しています。
表7‒101 性能解析トレース取得ポイント イベントID
図中の番号
トレース取得ポイント
レベル※1
0xA000
1
リクエスト受付時
詳細
0xA002
2
ファイル操作処理呼び出し時
標準
0xA003
3
ファイル操作処理完了時※2
標準
0xA001
4
レスポンス送信時
詳細
- ●トレース取得レベルの変更
-
PRFトレース取得レベルを変更する場合,cprflevelコマンドの-PrfChangeLevelオプションに4バイトの16進数(8桁)の値を2つ指定します。それぞれの16進数の値には,インデックス番号(インデックス1,インデックス2)が割り当てられています。トレース情報を取得する場合の指定個所を次の表に示します。
表7‒102 トレース取得レベルの指定個所 インデックス
桁番号
上位レイヤ
下位レイヤ
インデックス1
1桁目
リダイレクタ
Webコンテナ
2桁目
EJBコンテナ
JNDI
3桁目
JTA
JCAコンテナ
4桁目
DB Connector
RMI
5桁目
Web Services - Base
TP1 Connector,TP1/Client/J
6桁目
TP1/Message Queue - Access
Reliable Messaging
7桁目
OTS
−
8桁目
CTM
−
インデックス2
1桁目
HCSCサーバ
標準出力/標準エラー出力/ユーザログ
2桁目
DI
−
3桁目※
−
ファイルアダプタ
表7‒103 ファイルアダプタのトレース取得レベルの指定値 指定値※
トレース取得レベル
0
標準
1
詳細
cprflevelコマンドの詳細は,マニュアル「アプリケーションサーバ リファレンス コマンド編」を参照してください。