4.2.5 鍵データを暗号化する
この項では,鍵データを暗号化するアプリケーションの開発の流れを,コーディング例を示して説明します。
(1) 鍵データのDocumentオブジェクトの生成
JAXPのDocumentBuilderを使用して空のDocumentオブジェクトを生成します。ここで生成するDocumentオブジェクトは,EncryptedKey要素を文書要素とする暗号文書を作成するために必要となります。Documentオブジェクトを生成するときには,名前空間が有効になるように設定してください。コーディングの例を次に示します。
DocumentBuilderFactory dbf = DocumentBuilderFactory.newInstance(); dbf.setNamespaceAware(true); Document doc = dbf.newDocumentBuilder().newDocument();
(2) 暗号アルゴリズムの指定
XMLEncryptionFactoryクラスを使用してXMLEncryptionインタフェースを生成し,暗号化に必要な暗号アルゴリズムを指定します。ここでは,暗号アルゴリズムにTripleDES鍵ラッピングを指定する場合のコーディングの例を示します。
XMLEncryptionFactory xef = XMLEncryptionFactory.newInstance(); EncryptionMethod em = xef.newEncryptionMethod( EncryptionMethod.URI_KEYWRAP_TRIPLEDES, null); XMLEncryption xenc = xef.newXMLEncryption(em, null);
(3) 暗号データの生成
暗号データを生成するときは,コンテキストおよび暗号化対象の鍵データを指定してから,暗号データを生成します。ここでは,次の三つの処理について,コーディング例を示して説明します。
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コンテキストの設定
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暗号化対象の指定
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暗号データの生成
(a) コンテキストの設定
鍵データの暗号化に必要なコンテキストを設定します。暗号化に使用する鍵暗号化鍵で鍵リゾルバを生成し,コンテキストに鍵リゾルバを設定します。コンテキストの処理モードは,「暗号化」を指定してください。コーディングの例を次に示します。
XMLSecurityContext context = new XMLSecurityContext( XMLSecurityContext.Mode.ENCRYPT, doc); context.setKeyResolver( new AdhocKeyResolver(Utilities.getSecretKey()));
(4) 暗号構文の構築
XMLEncryptionFactoryクラスを使用して,EncryptedKey要素以下の構文に対応するオブジェクトを生成します。この場合,CipherValue要素を使用して「(3)(C) 暗号データの生成」で計算した暗号値を設定します。次に,EncryptedDataクラスのgenerateメソッドを使用して,EncryptedKey要素を生成します。生成したEncryptedKey要素は,Documentオブジェクトに挿入します。コーディングの例を示します。
CipherData cd = xef.newCipherData(xef.newCipherValue( encrypted.getAsByteArray())); EncryptedKey ek = xef.newEncryptedKey(em, null, cd, null, null, null); Element encelem = ek.generate(context); doc.appendChild(encelem);
(5) 暗号化した鍵の出力
XMLSerializerクラスを使用して,暗号化したい鍵データをEncryptedKey要素として挿入したDocumentオブジェクトをXML形式で出力します。冗長な名前空間を省略し,Shift_JISで出力する場合のコーディングの例を次に示します。
XMLOutputFormat format = new XMLOutputFormat(); format.setOmitRedundantNamespaceDecls(true); format.setEncoding("Shift_JIS"); OutputStream os = new BufferedOutputStream( new FileOutputStream(output)); XMLSerializer xsr = new XMLSerializer(os, format); xsr.serialize(doc); os.close();