3.11 クラスタソフトウェアを使用した障害時の系切り替えを検討する
この節では,クラスタソフトウェアを使用した障害時の系切り替えを実現するためのシステム構成について説明します。
アプリケーションサーバのシステムでは,OSごとに,次のクラスタソフトウェアを使用できます。
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Windowsの場合
Windows Server Failover Cluster
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AIXまたはLinuxの場合
HAモニタ
アプリケーションサーバで構築するシステムでは,クラスタソフトウェアを使用して,次に示す構成を実現できます。なお,これらの構成は,Management Serverを利用して運用することが前提になります。
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アプリケーションサーバの実行系と待機系を1:1にする構成
実行系のアプリケーションサーバマシン1台に対して待機系のアプリケーションサーバマシンを1台用意しておく構成です。実行系のアプリケーションサーバマシンにトラブルが発生してマシンが終了した場合,または運用管理エージェントが終了した場合に,クラスタソフトウェアによって待機系のアプリケーションサーバを起動して処理を切り替えます。トランザクションサービスを使用しない場合と使用する場合で,共有ディスク装置の要否が異なります。なお,Windows Server Failover Clusterを使用する場合は,トランザクションサービスを使用しない場合も,共有ディスク装置が必要です。
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運用管理サーバの実行系と待機系を1:1にする構成
実行系の運用管理サーバマシン1台に対して待機系の運用管理サーバマシンを1台用意しておく構成です。実行系の運用管理サーバマシンにトラブルが発生してマシンが終了した場合,またはManagement Serverのプロセスが終了した場合に,クラスタソフトウェアによって待機系の運用管理サーバを起動して処理を切り替えます。
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アプリケーションサーバの実行系と待機系を相互スタンバイにする構成
アプリケーションサーバの実行系と待機系を1:1にする構成の一つです。それぞれのアプリケーションサーバに同じ種類のJ2EEサーバを配置して,異なるJ2EEサーバを起動しておくことで,それぞれのアプリケーションサーバが実行系として動作しながらお互いの待機系として機能します。どちらか一方の系に障害が発生すると,もう一方の系に切り替えられます。これによって,少ない台数のアプリケーションサーバマシンで,むだの少ない運用が可能になります。
この構成では,それぞれのアプリケーションサーバマシンでManagement Serverを起動して,それぞれに異なる運用管理ドメインを管理します。
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N台の実行系に対して1台の待機系を用意する構成(リカバリ専用サーバを使用する構成)
この構成は,J2EEサーバを冗長化した構成でグローバルトランザクションを使用する場合に,特定のJ2EEサーバにトラブルが発生したときにトランザクションを決着するためのシステム構成です。
N台のJ2EEサーバを冗長化するためには,負荷分散機などを使用します。
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ホスト単位管理モデルの実行系と待機系をN:1にする構成
アプリケーションサーバマシン(ホスト)の実行系複数(1〜N台)と待機系1台を配置し,それぞれにManagement Serverおよび運用管理エージェントを配置するシステムです。実行系のアプリケーションサーバマシンに障害が発生したときに待機系のアプリケーションサーバマシンに系を切り替えて,業務を続行できます。