Cosminexus V9 アプリケーションサーバ Cosminexus Reliable Messaging
Reliable Messagingは,アプリケーションサーバシステム上のアプリケーションがメッセージを使用して非同期に通信するためのミドルウェアです。メッセージ通信機能をアプリケーションに提供します。
送信側アプリケーションがメッセージを送信すると,メッセージはキューに登録されます。受信側アプリケーションがメッセージを受信すると,キューからメッセージが取り出されます。
こうして,キューを介してメッセージを送受信することによって,送信側と受信側のアプリケーションを同時に動作させる必要のない非同期通信ができます。
Reliable Messagingでは,永続版リソースアダプタと非永続版リソースアダプタを提供します。永続版リソースアダプタと非永続版リソースアダプタの概要について説明します。
- <この節の構成>
- (1) 永続版リソースアダプタの概要
- (2) 非永続版リソースアダプタの概要
(1) 永続版リソースアダプタの概要
永続版リソースアダプタでは,メッセージやキューの属性情報,システムステータスなどをDBで管理し永続化しています。永続化とは,不揮発性の記憶媒体にデータを保存し,変化しない状態にすることです。
永続版リソースアダプタの概要を次の図に示します。
図1-1 永続版リソースアダプタの概要
永続版リソースアダプタには,次に示す特長があります。
- 高信頼のメッセージ管理
Reliable Messagingがメッセージを登録するキューは,DBのテーブル上に作成されます。DBにメッセージを永続化することで,メッセージの再現性を保持し,高信頼のメッセージ管理ができます。
- 高信頼なメッセージ通信
確実に1回の配送保証,または順序保証のQoS(通信品質)を,ユーザが通信相手ごとに選択できます。
- JMSインタフェースの採用
Reliable MessagingはアプリケーションにJMSインタフェースを提供します。JMSインタフェースは,Javaでのメッセージング通信のためのAPIです。
- インターネット経由のシステム連携
通信手段としてSOAPおよびHTTPを利用します。HTTPは幅広く利用されているプロトコルです。多くの企業のファイアウォールはHTTP(80番ポート)による内外の通信を許可しているので,ファイアウォールを介した接続が比較的容易に実現できます。また,SSLを使用すると,秘密性,完全性などのセキュリティ機能を実現できます。
- WS-Reliabilityによる通信のサポート
オープンで高信頼な通信プロトコルであるWS-Reliability によって,Reliable Messaging間での通信や,WS-Reliabilityに準拠した他ベンダのシステムとの通信ができます。WS-Reliabilityは標準化団体OASISで標準化された仕様です。
- DB Connector for Reliable Messagingとのコネクション共有
Reliable MessagingとDB Connector for Reliable Messagingが同じDBに接続する場合,Reliable MessagingとDB Connector for Reliable Messagingのコネクションを共有することによって,DBのコネクションの有効利用とトランザクションの1相コミット化による性能向上の両方を実現できます。
(2) 非永続版リソースアダプタの概要
非永続版リソースアダプタでは,キューなどのシステム情報をDBで管理しないで非永続化します。非永続化とは,揮発性のメモリだけにデータを保存して,処理を実施することです。
非永続版リソースアダプタの概要を次の図に示します。
図1-2 非永続版リソースアダプタの概要
非永続版リソースアダプタには,次に示す特長があります。
- DB接続の不要
キューなどのシステム情報をDBで管理しないため,DBとの接続が不要になります。その結果,レスポンス性能の向上だけでなく,システム導入・構築,運用の簡易化とコストダウンが期待できます。
- JMSインタフェースの採用
永続版リソースアダプタの場合と同様に,非永続版リソースアダプタでもアプリケーションにJMSインタフェースを提供します。JMSインタフェースは,Javaでのメッセージング通信のためのAPIです。
- 注意
- 非永続版リソースアダプタの場合,使用できるキューはローカルキューだけです。
All Rights Reserved. Copyright (C) 2012, 2015, Hitachi, Ltd.