Cosminexus V9 アプリケーションサーバ 機能解説 互換編
ここでは,テストモードでのJ2EEアプリケーションの運用について説明します。
J2EEアプリケーションを新しく登録する場合や,すでに動作中のJ2EEアプリケーションを入れ替えるとき,本番運用を開始する前に,本番環境で問題なく動作することを確認したいことがあります。このような場合にテストモードを使用します。
テストモードでの運用は,J2EEアプリケーション単位で実行できます。テストモードから本番運用時のモード(通常モード)に変更する場合,J2EEアプリケーションの設定やカスタマイズをし直す必要はありません。また,一つの本番環境で表示名が同じJ2EEアプリケーションを,通常モードとテストモードで同時に開始できます。これによって,既存のJ2EEアプリケーションでクライアントにサービスを提供しながら,入れ替える予定のJ2EEアプリケーションの動作を同じ環境で確認できます。
テストモードで運用できるのは,J2EEアプリケーションだけです。J2EEアプリケーション内でDB Connectorなどのリソースアダプタを使用する場合は,本番時に使用するものを使用してください。また,Webサーバ上の静的コンテンツについても,本番用に構築したWebサーバ上に配置して使用してください。
J2EEアプリケーションのテストモードでの動作確認には,サーバ管理コマンドを使用します。
テストモードで動作中のJ2EEアプリケーションに対してできる操作を次に示します。
Management Serverでは,J2EEアプリケーションをテストモードでインポートして動作確認することはできません。ただし,次の場合には,Management Serverの運用管理コマンド(mngsvrutil)で,テストモードで動作しているJ2EEアプリケーションの稼働情報が参照できます。
運用管理コマンド(mngsvrutil)では,テストモードで動作しているJ2EEアプリケーションを操作できません。テストモードでJ2EEアプリケーションを操作したい場合は,サーバ管理コマンドを実行してください。ただし,テストモードの場合も,運用管理コマンドで稼働情報を出力できます。
なお,J2EEアプリケーションのモードが,サーバ管理コマンドでテストモードに変更された場合,運用管理コマンドにサブコマンド「get」を指定して取得したJ2EEアプリケーションの稼働情報のfullyQualifiedNameに,「_TEST」という文字列が付いて出力されます。
また,次の表に示すコマンドは,テストモードで実行しているJ2EEアプリケーションに対して実行できます。cjlistthreadコマンド以外のコマンドでは,-testオプションを指定することで,コマンドの実行対象がJ2EEアプリケーションになります。cjlistthreadコマンドは,テストモードのJ2EEアプリケーションだけを対象にするためのオプションはありません。
テストモードのJ2EEアプリケーションに対して実行できるサーバ管理コマンドと実行時の形式を次の表に示します。各コマンドの詳細については,マニュアル「アプリケーションサーバ リファレンス コマンド編」の「2. J2EEサーバで使用するコマンド」を参照してください。
表7-13 テストモードのJ2EEアプリケーションに対して実行できるサーバ管理コマンドと実行時の形式
コマンド | テストモードでの動作 | 形式 |
---|---|---|
cjclearpool | テストモードのJ2EEアプリケーションにに含まれる指定されたデータソース(JDBC)またはリソースアダプタのコネクションをクリアします。 | リソースアダプタ(J2EEアプリケーションに含めて使用)の場合 cjclearpool [<サーバ名称>] [-nameserver <プロバイダURL>] -type connector [-mode {normal|plan}] [-test] -name <アプリケーション名> -resname <リソースアダプタ表示名> [-resname <リソースアダプタ表示名> ...] |
cjdeleteapp | テストモードのJ2EEアプリケーションを削除できます。 | cjdeleteapp [<サーバ名称>] [-nameserver <プロバイダURL>] [-test] -name <J2EEアプリケーション名> [-name <J2EEアプリケーション名> ...] |
cjdeletelibjar | ライブラリJARをテストモードのJ2EEアプリケーションから削除します。 | cjdeletelibjar [<サーバ名称>] [-nameserver <プロバイダURL>] [-test] -name <アプリケーション名> -f <ライブラリJAR名> [-f <ライブラリJAR名> ...] |
cjgencmpsql | テストモードのJ2EEアプリケーションのCMP2.x Entity Bean用のSQL文を生成します。 | cjgencmpsql [サーバ名称] [-nameserver <プロバイダURL>] [-test] -name <アプリケーション名> [-resname <EJB-JARの表示名/Entity Beanの表示名>] |
cjgetappprop | テストモードのJ2EEアプリケーションのアプリケーション属性,WAR属性およびEJB-JAR属性を取得できます。 | アプリケーションの場合 cjgetappprop [<サーバ名称>] [-nameserver <プロバイダURL>] [-test] -name <J2EEアプリケーション名> [-encoding <エンコーディング名>] -c <属性ファイルパス> EJB-JARファイル,WARファイル,またはRARファイルの場合 cjgetappprop [<サーバ名称>] [-nameserver <プロバイダURL>][-test] -name <J2EEアプリケーション名> -type {ejb|war|rar} -resname <リソース表示名>[/<下位リソース表示名>] [-encoding <エンコーディング名>] -c <属性ファイルパス> すべての情報を取得する場合 cjgetappprop [<サーバ名称>] [-nameserver <プロバイダURL>] [-test] -name <J2EEアプリケーション名> -type all [-encoding <エンコーディング名>] -c <属性ファイルパス> |
cjgetstubsjar | テストモードのJ2EEアプリケーションからRMI-IIOPスタブおよびインタフェースを取得できます。 | cjgetstubsjar [<サーバ名称>] [-nameserver <プロバイダURL>] [-test] -name <アプリケーション名> -d <スタブおよびインタフェース格納先ディレクトリパス> |
cjimportapp | J2EEアプリケーションをテストモードでインポートできます。インポートは,実行時情報を含む形式(ZIPファイル)または実行時情報を含まない形式(EARファイル)のどちらも実行できます。 | アーカイブ形式のアプリケーションをインポートする場合 cjimportapp [<サーバ名称>] [-nameserver <プロバイダURL>] [-test] [-nodelete] -f <EARファイルのパス> [-f <EARファイルのパス>...] 展開ディレクトリ形式のアプリケーションとしてインポートする場合(アプリケーションディレクトリ) cjimportapp [<サーバ名称>] [-nameserver <プロバイダURL>] [-test] -a <アプリケーションディレクトリパス> 展開ディレクトリ形式のアプリケーションとしてインポートする場合(標準のアプリケーションファイル(拡張子.ear)またはアプリケーションサーバのアプリケーション実行環境情報ファイル(拡張子.zip)) cjimportapp [<サーバ名称>] [-nameserver <プロバイダURL>] [-test] [-nodelete] -f <EARファイルのパス> -d <展開ディレクトリパス> |
cjimportlibjar | テストモードのJ2EEアプリケーションにライブラリJARをインポートします。 | cjimportlibjar [<サーバ名称>] [-nameserver <プロバイダURL>] [-test] -name <アプリケーション名> -f <ライブラリJARファイルパス> [-f <ライブラリJARファイルパス> ...] |
cjlistapp | J2EEサーバに含まれるすべてのJ2EEアプリケーションのうち,テストモードのJ2EEアプリケーションの一覧を表示できます。また,テストモードのJ2EEアプリケーションに含まれるWARファイルおよびEJB-JARファイルの一覧を表示できます。 | アプリケーションに含まれるEJB-JARファイルまたはWARファイルの場合 cjlistapp [<サーバ名称>] [-nameserver <プロバイダURL>] [-test] -name <J2EEアプリケーション名> -type {ejb|war} [-resname <表示名>] アプリケーションに含まれるRARファイルの場合 cjlistapp [<サーバ名称>] [-nameserver <プロバイダURL>] [-test] -name <J2EEアプリケーション名> -type rar [-spec | -resname <表示名> -outbound| -resname <表示名> -inbound| -resname <表示名> -listenertype <メッセージリスナのタイプ名>] |
cjlistlibjar | テストモードのJ2EEアプリケーションに含まれるライブラリJARの一覧を標準出力に出力します。 | cjlistlibjar [<サーバ名称>] [-nameserver <プロバイダURL>] [-test] -name <アプリケーション名> |
cjlistpool | テストモードのJ2EEアプリケーションに含まれるリソースアダプタのコネクションプールの状態を標準出力に出力します。 | アプリケーションに含めて使用されるリソースアダプタを指定する場合 cjlistpool [<サーバ名称>] [-nameserver <プロバイダURL>] [-test] -name <アプリケーション名> -resname <リソースアダプタの表示名> [-resname <リソースアダプタの表示名> ...] |
cjlistthread | テストモードのJ2EEアプリケーションのスレッド一覧を表示できます。 | cjlistthread [<サーバ名称>] [-nameserver <プロバイダURL>] |
cjreloadapp | テストモードのJ2EEアプリケーションをリロードできます。 | cjreloadapp [<サーバ名称>] [-nameserver <プロバイダURL>] [-test] -name <アプリケーション名> [-t <強制リロード開始までのタイムアウト時間>] |
cjrenameapp※ | テストモードのJ2EEアプリケーションの名称を変更します。 | cjrenameapp [<サーバ名称>] [-nameserver <プロバイダURL>] [-test] -name <アプリケーション名> -newname <変更後アプリケーション名> |
cjreplaceapp | テストモードのJ2EEアプリケーションをリデプロイできます。 | cjreplaceapp [<サーバ名称>] [-nameserver <プロバイダURL>] [-test] -name <アプリケーション名> -f <ファイルパス> [-t <タイムアウト時間>] [-replaceDD] |
cjsetappprop | テストモードのJ2EEアプリケーションのアプリケーション属性,WAR属性およびEJB-JAR属性を設定できます。 | アプリケーションの場合 cjsetappprop [<サーバ名称>] [-nameserver <プロバイダURL>] [-test] -name <J2EEアプリケーション名> -c <属性ファイルパス> EJB-JARファイル,WARファイル,またはRARファイルの場合 cjsetappprop [<サーバ名称>] [-nameserver <プロバイダURL>] [-test] -name <J2EEアプリケーション名> -type {ejb|war|rar} -resname <リソース表示名>[/<下位リソース表示名>] -c <属性ファイルパス> すべての情報を設定する場合 cjsetappprop [<サーバ名称>] [-nameserver <プロバイダURL>] [-test] -name <J2EEアプリケーション名> -type all -c <属性ファイルパス> |
cjstartapp | J2EEアプリケーションをテストモードで開始できます。 | cjstartapp [<サーバ名称>] [-nameserver <プロバイダURL>] [-test] -name <J2EEアプリケーション名> [-jspc] |
cjstopapp | テストモードで開始したJ2EEアプリケーションを停止できます。 | 通常停止を行う場合 cjstopapp [<サーバ名称>] [-nameserver <プロバイダURL>] [-test] -name <J2EEアプリケーション名> [-t <タイムアウト時間>] 通常停止がタイムアウトしたあと,強制停止を手動で行う場合 cjstopapp [<サーバ名称>] [-nameserver <プロバイダURL>] [-test] -name <J2EEアプリケーション名> -cancel 通常停止がタイムアウトしたあと,強制停止を自動で行う場合 cjstopapp [<サーバ名称>] [-nameserver <プロバイダURL>] [-test] -name <J2EEアプリケーション名> -t <タイムアウト時間> -force |
cjstopthread | テストモードのJ2EEアプリケーションに対してメソッドキャンセルを実行できます。 | cjstopthread [<サーバ名称>] [-nameserver <プロバイダURL>] -tid <スレッドID> [-tid <スレッドID> ...] |
cjtestres | テストモードのJ2EEアプリケーションに含まれるJ2EEリソースアダプタ,メールおよびデータソースの接続テストをします。 | アプリケーションに含めて使用するリソースアダプタの場合 cjtestres [<サーバ名称>] [-nameserver <プロバイダURL>] [-test] -name <アプリケーション名> -type rar -resname <表示名> [-resname <表示名> ...] |
注※ テストモードと通常モードで,それぞれに一意のアプリケーション名称を登録できます。同一モードで同一アプリケーション名称が存在する場合は,エラーとなります。このとき,アプリケーション名の大文字・小文字は区別されません。
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