ネーミング管理では，オブジェクト（Enterprise Beanに対応するEJBホームオブジェクト，ビジネスインタフェースのリファレンスおよびJ2EEリソース）の名前と格納場所を管理しています。ネーミング管理の機能を使用することで，EJBクライアントは，呼び出すEnterprise Beanまたはリソースの格納場所を知らなくても，名前から必要なオブジェクトを利用できるようになります。

また，Connector 1.5仕様に準拠したリソースアダプタを使用する場合，管理対象オブジェクトもネーミング管理で管理されています。管理対象オブジェクトは，J2EEアプリケーションの中からメッセージの送信および同期受信をするときに使用するオブジェクトです。管理対象オブジェクトについては，「3.16.5　管理対象オブジェクトのルックアップ」を参照してください。

ネーミング管理機能のJNDIでは，CORBAオブジェクトリファレンス以外のオブジェクト（RMI-IIOPのリモートオブジェクトやJDBCデータソースなどのオブジェクト）を次のように扱います。

• CORBAオブジェクトリファレンス以外の登録は，対象のオブジェクトをCORBAオブジェクトに変換し，CORBAオブジェクトリファレンスをCORBAネーミングサービスへ登録することで実現しています。
• CORBAオブジェクト以外のオブジェクトの検索は，CORBAオブジェクトリファレンスを検索し，CORBAオブジェクトから逆変換して元のオブジェクトを取得することで実現しています。

なお，アプリケーションサーバで提供するネーミング管理の機能には，J2EEで規定された機能にアプリケーションサーバ独自の機能を拡張したものと，アプリケーションサーバ独自の機能として提供しているものがあります。アプリケーションサーバ独自の機能かどうかについては，「1.　アプリケーションサーバの機能」を参照してください。

アプリケーションサーバが提供するネーミング管理の機能と対象になるオブジェクトの関係を次の表に示します。

表2-2　アプリケーションサーバが提供するネーミング管理の機能と対象になるオブジェクトの関係

機能	Enterprise Bean		J2EEリソース
	EJBホームオブジェクト	ビジネスインタフェース
JNDI名前空間へのオブジェクトのバインドとルックアップ	○	○	○※1
Portable Global JNDI名でのルックアップ	○	○	○
HITACHI_EJBから始まる名称でのルックアップ	○	○	×
Enterprise BeanまたはJ2EEリソースへの別名付与（ユーザ指定名前空間機能）	○	○	○
ラウンドロビンポリシーによるCORBAネーミングサービスの検索	○	○	×
ネーミング管理機能でのオブジェクトのキャッシング	○	×※2	×
CORBAネーミングサービスの切り替え	○	×	×

（凡例）

○：使用できる　×：使用できない

注※1

HITACHI_EJBから始まる名称でのルックアップはできません。

注※2

ビジネスインタフェース使用時に，プロパティ「ejbserver.jndi.cache」に「on」を設定している状態でJ2EEサーバを再起動した場合，ビジネスメソッド実行時にjavax.ejb.EJBExceptionが発生する場合があります。

注意

Webアプリケーションでカスタムエラーページを設定している場合，設定されたエラーページからJNDIを利用できません。